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伊藤 栄近*; 鈴木 章一*; 金地 佐千子*; 白石 裕士*; 太田 昭一郎*; 有馬 和彦*; 田中 剛*; 玉田 太郎; 本庄 栄二郎*; Garcia, K. C.*; et al.
Journal of Biological Chemistry, 284(36), p.24289 - 24296, 2009/09
被引用回数:23 パーセンタイル:45.4(Biochemistry & Molecular Biology)IL-4とIL-13はともにIL-4受容体鎖とIL-13受容体-1鎖(IL-13R1)を共通の受容体として結合する。しかしながら、これらリガンドタンパク質の受容体結合様式には違いがあり、この違いがリガンド特異的な機能の発現をつかさどっている。われわれはこれまでにIL-13R1のIg様ドメイン(D1ドメイン)がIL-13結合に特異的かつ必要不可欠な領域であることを見いだした。しかしながら、受容体D1ドメイン中のどのアミノ酸がIL-13の特異的な結合に関与しているか、さらにはD1ドメインがIL-13とIL-4をどのように識別しているかはいまだ不明のままであった。これらの疑問を解決するために、本研究では、D1ドメインへの変異体解析を構造情報を利用することにより実施した。結晶構造中においてIL-13結合に関与しているC'ストランド中のLys76, Lys77, Ile78、及び結合部位に近接したTrp65, Ala79への変異導入はIL-13結合を顕著に低下させた。よって、これらのアミノ酸がIL-13結合部位を構成していることが明らかになった。また、他のストランド中のVal35, Leu38, Val42への変異導入もIL-13の結合低下をもたらした。これはこれらの変異導入がD1ドメインの構造安定性を低下させたことに起因すると推察された。さらに、上記の変異導入のいずれもIL-4結合には影響を及ぼさなかった。これらの結果から、Lys76, Lys77, Ile78から構成される疎水的な領域がIL-13特異的な認識部位として機能し、IL-4との識別を可能にしていると考えられた。
白石 健介
熱処理, 27(3), p.156 - 161, 1987/03
高速増殖炉の燃料集合体に使用されているオーステナイトステンレス鋼(SUS316相当)では、長年の使用経験と高性能化のための研究開発のほか、核融合炉の構造材料への利用を目的とした開発研究によって、中性子照射による材料特性の変化がかなりよく理解できるようになってきた。ステンレス鋼では、冷間加工や微量元素の添加のほか、オーステナイト相を安定化するように化学組成を調整したPCAや高Niのオーステナイト鋼が開発されている。中性子照射に対する耐性がより優れていることが期待される高Crフェライト鋼では、マルテンサイト単相の12Cr-1Mo鋼で、高温強度をあげるためにMoをWに置きかえ、高温加熱による靭性低下を遅らせるためにNiを除きSi量を減らしたものが第一次の候補材料にあげられる。この材料の実用化のためには、照射損傷に関する基礎的な研究のほか、溶接施工法の開発が望まれる。
白石 健介
応用物理, 55(3), p.202 - 209, 1986/00
核融合炉のプラズマ周辺の構造材料では、中性子照射による特性劣化と放射化が大きな問題になっている。核分裂炉に比べて高エネルギーの中性子が発生する核融合炉では、格子位置からエネルギーの大きな原子がはじき出されることや核変換によって多量のHeが生成することが、材料の照射損傷の解析を複雑にしている。また、核変換によって生じる長寿命の放射性核種は、炉の分解・修理ばかりではなく、炉で使用した材料の廃棄でも大きな問題を引き起こしている。そこで、核融合炉における中性子照射環境,中性子による格子原子のはじき出し,Heの生成およびそれらと材料特性との関係について、核分裂炉の照射と比較して述べる。さらに、低放射化材料の開発を念頭において、構造材料の放射化について解説する。
片野 吉男; 有賀 武夫; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 132, p.32 - 40, 1985/00
被引用回数:4 パーセンタイル:54.56(Materials Science, Multidisciplinary)ステンレス鋼へのN-イオン照射効果については、既に照射によるボイドスエリング挙動(J.Nucl.Mater 103-104(1981)1053)及び深さ分布挙動(同誌122-123(1984)191)をそれぞれ発表して来たが、本研究では、照射による析出効果について電子顕微鏡により組織観察で調べた。1.1MeVのN-イオンを照射温度803Kで照射量60dpaまで行なった。この時損傷ピーク位置おける照射速度は約0.3at%/dpaである。照射量20dpaの組織観察では、クランクループ上又は母相中に微細な析出物が観られ、電子線回折(SAD)の結果'相の回折斑点が認められ、X-線分析(EDS)により、それらは、Ni及びSi偏析による'相(NiSi)であることがわかった。更に照射量を42および60dpaにすると、各々の照射量と共に板状折出物が観察され、それぞれ析出物の平均径は18nmおよび28nmであった。又数密度は、照射量に依存せず、約7.410/m程度である。この板状析出物はSAD及びEDSの解析によりCrN相であることがわかった。このようにステンレス鋼へのN-イオン照射では高密度の'相やCrN相の照射析出が起こることが明らかとなった。
鈴木 建次; 片野 吉男; 有賀 武夫; 浜田 省三; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 133-134, p.585 - 589, 1985/00
被引用回数:2 パーセンタイル:37.51(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉の第一壁材料では損傷組織に及ぼすヘリウムの影響が大きな問題になっているので、炭素量を0.15wt%まで含有する改良ステンレス鋼(PCA)におけるヘリウム気泡の析出挙動と炭素量との関係について検討した。1273および1373Kで30分間保持後急冷した試料に1.0MeVのヘリウムイオンを350および1023Kで約0.1dp(約210ppm)のピーク値になるまで照射した。照射後、試料の損傷領域における組織を電子顕微鏡で観察した。1023Kでヘリウムイオン照射した炭素含有量の異なる改良ステンレス鋼における組織観察によれば、炭素含有量の増加に伴ってヘリウム気泡の直径は11nmから4nmと減少するのに反して数密度は210/mから410/mと増加する。これらの結果は炭素含有量が増加することによりヘリウム気泡の核生成が促進される結果、ヘリウム気泡の成長を抑制することを示している。
有賀 武夫; 片野 吉男; 鈴木 建次; 池田 裕二郎; 中村 知夫; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 133-134, p.667 - 670, 1985/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉炉物理用中性子源の14MeV中性子を室温で3.010/nまで照射した純バナジウム試料中の欠陥集合体の分布を電子顕微鏡で観察し第1次ノックオン原子(PKA)のエネルギー分布との関係を調べた。欠陥集合体は、孤立した3~15nmのものと70nmの大きさの領域に数個のサブカスケードに分割した大きさ5~15nmの集合体が特徴的に観察された。集合体の数密度は210/mであるが、個々のカスケード(1つのPKAに起因)としてはその1/2程度である。これは310/mまで照射したバナジウム中のPKA密度の約1/4に相当する。さらに、最も頻度高く観察された10~15nmの大きさの集合体は、2体衝突近似の格子照射損傷計算の結果から、約20KeVのPKAによるものと推定され、典型的なサブカスケードに分割した集合体は100~数百KeVのPKAに起因している。これはPKAのエネルギー分布で100~400KeVのPKAが約50%を占めることと顕著な相関を示すものと認められた。
白石 健介; 深谷 清; 深井 勝麿
Journal of Nuclear Materials, 119(2-3), p.268 - 277, 1985/00
被引用回数:8 パーセンタイル:68.41(Materials Science, Multidisciplinary)抄録なし
鈴木 建次; 片野 吉男; 有賀 武夫; 白石 健介
JAERI-M 84-181, 37 Pages, 1984/10
エネルギーの高いイオンで照射した材料における照射損傷領域の組織観察法は材料の照射損傷を研究する上で有用な手段である。組織変化に及ぼす照射量の影響を解明するために、均質かつ時間的に安定なプロフィルを有するイオンビームが必要となる。2MVバンデグラフ加速器のセンターダクトにおけるイオンビームは上述の条件を比較的容易に満し得るけれども、装置の設置に対する許容空間は少ない。このため、大型装置と同様に排気、試料の加熱およびイオン電流密度の計測などができる小型イオン照射装置を製作し、得られる照射条件の検討を行った。その結果、本照射装置は材料の照射試験に充分使用できることがわかった。
白石 健介; 太田 定雄*; 青田 健一*; 榊原 瑞夫*; 寺西 洋志*; 小崎 明郎*; 三浦 立*; 野原 清彦*; 佐々木 晃史*; 高岡 達雄*; et al.
JAERI-M 84-189, 220 Pages, 1984/09
核融合実験炉およびそれに続くトカマク型の核融合炉の構造材料として研究開発を進めている第一候補材料(PCA)および5種類の比較材料について、昭和56年度および昭和57年度に、鉄鋼6社への委託試験および金属材料技術研究所との共同研究として実施してきた試験研究の成果をまとめた。これらの材料の製造・加工性、基本特性は少なくとも316ステンレス鋼と同等であることが確認できた。また、高温水による応力腐食割水性に関する試験によって、PCAは水環境で使用できる構造材料として期待できることが分かった。また、PCAの溶接については、溶接棒の選定を行ない、溶接継手の基本特性に関する試験ができるようにした。
小沢 国夫; 中井 洋太; 白井 稔三; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 122-123, p.1611 - 1612, 1984/00
原研における核融合のための原子分子データの収集、評価の現状と将来の活動計画を(1)原子衝突、(2)粒子-物質相互作用、(3)原子構造について紹介する。
有賀 武夫; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 122-123, p.1401 - 1405, 1984/00
溶体処理後923kで11,000h時効処理をした316及び316+0.58w/0Tiの析出相の組成分析を行った。316鋼では多種類の析出相が観察され、これらにはMo,Si,Crが多く含まれている。すなわち、316鋼の母相ではMo,Si,Cr量が平均の値より少なくなっている。これに対し、316+Ti鋼では、mC型の炭化物のみが生じ組成に大きな変化は認められない。これらの試料に973kでピーク値で510appmのHeを注入した後電子顕微鏡組織を観察した。時効した316鋼では、非常に小さい気泡が数多く生じており、これらの気泡によるスエリング量は0.3%で、比較のためHeを注入した溶体化処理のままの316鋼のスエリング量の2%に比べて、非常に小さい。これに対して、時効処理をした316+Ti鋼ではかなり大きな気泡が生じ、この気泡によるスエリングは5.5%と非常に大きい。このことは、ステンレス鋼中の気泡の生成・成長は材料組成の局所的な変化に対して非常に敏感であることを示している。
有賀 武夫; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 122-123, p.191 - 195, 1984/00
溶体処理をした316ステンレス鋼に803kで10dpaまで炭素イオン照射をすると、イオンの入射表面から0.35および1.3mの距離に、それぞれ、0.02および0.002%のスエリングピークが現われ、0.5~0.8mの間はボイドが生じない。なお、計算によるはじき出し損傷のピーク位置は0.83mにある。照射量を42dpaに増やすと試料表面に近い方のピークは0.5mの位置で約20%と非常に大きくなる。窒素イオンを、この温度で、42dpaまで照射した試料でも、0.4~0.5および1.1~1.2mの位置にスエリングピークが現われ、0.7~1.1mの間にはボイドが生じない。これに対して、923kで炭素イオンを10dpaまで照射した試料には0.5~0.6mの位置に0.07%のスエリングピークが現われるにすぎない。これらの現象は、入射イオンの照射欠陥と結合した拡散によって説明できる。
實川 資朗; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Science and Technology, 21(9), p.671 - 677, 1984/00
被引用回数:14 パーセンタイル:79.2(Nuclear Science & Technology)照射下に於けるミクロ組織の変化に対する外力の効果を調べるために、超高圧電子顕微鏡を用いて電子線照射下の純ニッケル中のミクロ組織変化を試料引張ステージを用いて、その場観察してみた。照射温度は723K,電子線束は110e/msとした。外力が加わっている試料では、照射により生じたフランク・ループが、10nm程度にまで成長するとUnfaultすることが観察された。外力を加えていない試料中に発生したフランク・ループも外力が加えられるとUnfaultした。Unfaultを生じさせ得る外力の大きさは、照射温度723Kのとき、112Unfault方向の剪断応力で、3.7MPa以上であることがわかった。Unfaultして生じた完全転位ループの成長速度は、フランク・ループのそれより3倍程度と大きかった。外力の加わっている試料中に於いては、これらの完全転位ループは、その大きさがある大きさを越えるまで成長すると、すべり運動をして拡がった。
浜田 省三; 沢井 友次; 白石 健介
日本原子力学会誌, 26(8), p.695 - 697, 1984/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.3(Nuclear Science & Technology)ヘリウムイオンのステンレス鋼中の平均飛程は、照射試料の入射面に垂直な断面を化学腐食することによって精度よく測定できると報告されている。この方法が不活性ガスイオンばかりではなく、一般の高エネルギー重イオン照射の場合にも適用できることを確かめるために、炭素イオンをステンレス鋼に照射して、化学腐食法によって平均飛程を測定し、計算で求めた値と比較・検討した。タンデム加速器を用いて40MeVの炭素イオンを雰囲気温度で316ステンレス鋼に照射した。照射試料の入射面に垂直な断面を化学腐食すると入射面に平行な腐食線が入射面から18~19mの距離に観察された。この腐食線を含む領域を電子顕微鏡で観察すると転位ループが集合した帯が入射面に平行に観られた。この結果から、腐食線は平均飛程に対応していることがわかった。この腐食線の入射面からの距離18.5mは計算で求めた平均飛程18.7mとよい一致を示す。
深井 勝麿; 白石 健介; 八木 栄一*; 浜田 省三; 沢井 友次
日本原子力学会誌, 26(11), p.974 - 976, 1984/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.3(Nuclear Science & Technology)イオン照射によって金属材料中に生じる損傷の分布は一様ではなく、照射イオンの平均飛程近傍に集中する。従って、イオン照射による実験結果を定量的に解析する上で、一つの基準となる平均飛程を実測することは重要である。高エネルギーHeイオンのステンレス鋼における平均飛程を実測するために、我々が開発した化学エッチングによる方法が、Heイオンに限らず他のイオン種にも応用できることをArイオン及びNイオンの照射によって確かめた。この方法によって、ステンレス鋼におけるArイオン(45.7MeV)及びNイオン(86.2MeV)の平均飛程は、それぞれ6m及び40mと求められた。これらの値は、拡張E-DEP-1コードを用いて計算した平均飛程〔Ar(45.7MeV)…5.2m N(86.2MeV)…39.8m〕とかなりよく合う。また、照射後、高温で熱処理すると飛程近傍に顕著な組織変化が起きる。このため、同じ方法で飛程を求めることができる。
白石 健介; 深井 勝麿
Journal of Nuclear Materials, 117, p.134 - 142, 1983/00
被引用回数:12 パーセンタイル:77.09(Materials Science, Multidisciplinary)標準の316ステンレス鋼を室温で24MeVのヘリウムイオンを3.210ions/mまで照射した。この試料の上表面の微小硬さを照射面からの距離の関数として測定すると、硬さの最大値が照射面から105mの位置に現われる。また、この試料の断面の電子顕微鏡組織の観察では、照射面から105~114mの範囲で小さな転位ループが認められる。この試料を1023Kで1時間熱処理すると、化学エッチによって、照射面から107mの位置を中心にして8mの間隔をもった2本の線が光学顕微鏡写真上で観察される。この2本の線は、断面の電子顕微鏡写真で観察される、かなり密にしかも直線状に並んだフランクループの列と対応していることが確められた。本実験で観察した照射欠陥の深さ分布は、Littmark and Zieglerが非晶質の鉄について理論的に計算したヘリウムの分布とよい一致を示す。
浜田 省三; 田中 三雄; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 114, p.338 - 340, 1983/00
被引用回数:8 パーセンタイル:91.1(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉材料の照射損傷の研究において、イオン照射実験は非常に有効であるが、イオン照射によって材料中に生成する損傷が試料表面からの距離によって非常に異なったものになることに注意を要する。ステンレス鋼について、イオン照射後熱処理することなく、イオン照射によって生じた損傷組織の深さによる変化の様子を透過電子顕微鏡によって直接観察する実験技術を開発したので、実験技術の詳細について報告する。この実験技術を応用して、ステンレス鋼に1MeVのヘリウムイオンを照射した試料で損傷組織を試料表面からの深さの関数として観察した。この観察では、損傷組織は原子のはじき出しによるものと注入したヘリウムによるものとが分離でき、それぞれの分布はZieglenのイオン阻子能を用いた計算の結果とよい一致をすることが認められた。
深井 勝麿; 白石 健介
日本原子力学会誌, 25(2), p.123 - 125, 1983/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.29(Nuclear Science & Technology)中性子照射損傷の模擬試験としてイオン照射実験を行う場合、イオン照射によって試料中に生じる欠陥の分布についてよく調べておかなくてはならない。溶体化処理した316ステンレス鋼に24MeVのヘリウム・イオンを照射した後750Cで1時間熱処理し化学エッチをすると照射面から107mの距離に2本の平行線が現われる。この2本の線は、照射試料の断面の電子顕微鏡組織観察で観られる、2列に並んだフランク型の転位ループに対応している。このフランク型の転位ループは、照射後熱処理した試料に生じるヘリウム気泡が分布する領域の両側に生じるものであり、ヘリウムの気泡の分布は室温で入射したヘリウムの分布とそれほど異っていないので、化学エッチで観られる2本の平行線の中心線が入射ヘリウムの平均の飛程を表わすものであると結論できる。このようにして測定したステンレス鋼中のヘリウムの平均飛程は22~32MeVのエネルギー範囲で計算によって求めた値とよい一致を示す。
深井 勝麿; 白石 健介
日本原子力学会誌, 25(4), p.52 - 54, 1983/00
高エネルギーイオンの金属中の平均飛程は照射欠陥による硬さの変化として比較的容易に測定できることが期待される。このことを確めるために、ステンレス鋼に24MeVのヘリウムイオンを3.210ions/mまで照射し、試料の上表面の硬さを照射面からの深さの関数として測定した。照射硬化による硬さの最大値は、照射量に関係なく、試料表面から105mの深さの位置に生じる。この深さは、電子顕微鏡で観察される照射欠陥の深さ分布とよく対応しており、照射硬化量も電子顕微鏡で観察される照射欠陥の大きさと密度から予測される値とかなりよい一致を示す。また、試料の前にクサビ型の黒鉛を置き、ステンレス鋼試料に入射するヘリウムイオンのエネルギーを連続的に変えた実験で得られた硬さが最大となる深さ位置を入射イオンのエネルギーの関数として整理すると、ヘリウムイオンのエネルギーが21~33MeVの範囲でLittmark-Zieglerの鉄についてのヘリウムイオンの平均過程の計算とかなりよく一致する。
白石 健介
日本原子力学会誌, 25(8), p.617 - 621, 1983/00
被引用回数:3 パーセンタイル:44.36(Nuclear Science & Technology)核融合炉ブランケット構造第一壁材料として研究開発を進めている改良ステンレス鋼は、高速増殖炉の燃料集合体材料としての使用実績及びその開発研究を基に、316ステンレス鋼を改良したものである。核融合炉における照射条件は、高速増殖炉より厳しいもので、316ステンレス鋼の材料データが外挿できる範囲でオーステナイト相が安定になるような組成にし、0.25%のTiを添加した試料について、材料の基本特性に関する試験を終え、改良ステンレス鋼は少くとも316ステンレス鋼と同程度に性能をもっていることを確めた。現在、PCAの溶接に関する試験のほか、耐応力腐食割れ性がよい材料と比較して、冷却水との共存性に関する試験及び高温疲労特性に関する試験を行っている。改良ステンレス鋼の中性子照射試験は、まずHeの影響を調べることを目的に、日米共同照射試験として、HFIR及びORRを利用して実施する計画である。