検索対象:     
報告書番号:
※ 半角英数字
 年 ~ 
 年
検索結果: 17 件中 1件目~17件目を表示
  • 1

発表形式

Initialising ...

選択項目を絞り込む

掲載資料名

Initialising ...

発表会議名

Initialising ...

筆頭著者名

Initialising ...

キーワード

Initialising ...

発表言語

Initialising ...

発行年

Initialising ...

開催年

Initialising ...

選択した検索結果をダウンロード

口頭

MLF-BL10の中性子イメージング用デバイス性能評価

及川 健一; 原田 正英; 大井 元貴; 甲斐 哲也; 篠原 武尚; 酒井 健二; 前川 藤夫

no journal, , 

J-PARC・MLFのBL10に設置された中性子源特性試験装置(NOBORU)は、中性子源施設グループが主体となって建設した実験装置である。我々は本装置において、2008年度よりJSNSの特性試験を実施するとともに、供用課題を受け入れてきた。NOBORUで推進されてきたイメージングのプロジェクト課題等を通じ、数年にわたり高度化を行ってきたビームライン機器の性能評価について報告を行う。また、2013年度改造を行ったビームライン機器制御系の更新についても紹介する。

口頭

不活性表面に蒸着した単層シリコンの構造

馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵; 関口 哲弘

no journal, , 

単原子層のシリコンがグラフェンと類似のハニカム構造をとりうるという理論計算は数多くあるが、実験的にはその構造は必ずしも確認されていない。本研究では、表面が平坦で不活性な高配向性熱分解グラファイト(HOPG)およびサファイアを基板に用い、その表面にシリコンを精密蒸着し、相互作用の小さい"free-standing"の単層シリコン膜の作成を試みた。蒸着膜の構造は、放射光を用いたX線光電子分光法(XPS)およびX線近吸収端微細構造法(NEXAFS)によりその場観察した。両基板とも、0.2モノレーヤー以下のシリコン膜のSi K-吸収端NEXAFSスペクトルには、バルクのシリコンにはない高エネルギー領域に明瞭な2つのピークが観測された。分子軌道計算結果から、これらのピークはSi 1s軌道から非占有パイ軌道およびシグマ軌道への共鳴励起によるものと同定した。放射光の入射角を変えてNEXAFSスペクトルの偏光依存性を測定したところ、グラファイトと類似の偏光依存性が認められた。このことから、蒸着されたシリコンの一部はグラフェンに類似した構造をとり、基板に平行に配向することを明らかにした。

口頭

PDF解析法を用いたスピネル化合物LiMn$$_2$$O$$_4$$における局所構造歪みの観測

樹神 克明; 井川 直樹; 社本 真一; 池田 一貴*; 大下 英敏*; 金子 直勝*; 大友 季哉*; 鈴谷 賢太郎; 星川 晃範*; 石垣 徹*

no journal, , 

スピネル構造を持つLiMn$$_2$$O$$_4$$は約260Kで立方晶から斜方晶へ構造相転移を示す。高温立方晶ではすべてのMnサイトは結晶学的に等価でその価数は+3.5であるが、低温斜方晶では複数の非等価な+3価と+4価のサイトが存在する。このことからこの構造相転移はMn価電子の電荷秩序に伴うものと考えられるが、電気伝導は構造相転移の上下でともに非金属的である。そこで高温立方晶における非金属的な電気伝導の起源を知る目的で、J-PARCに設置されている高強度汎用全散乱装置NOVAおよび茨城県材料構造解析装置iMATERIAを用いて$$^7$$LiMn$$_2$$O$$_4$$の粉末回折実験を行い、得られたデータを原子対相関関数(PDF)に変換して局所構造解析を行った。その結果高温立方晶においても複数の非等価な+3価と+4価のサイトが存在すること、すなわち電荷の短距離秩序が存在し、それが非金属的伝導の原因であることがわかった。さらにPDFの温度依存性を調べた結果、低温斜方晶相を含む200-450Kの広い温度範囲において局所構造歪みおよびMn-O距離はほとんど温度変化しないこともわかった。

口頭

MLF低温水素システム用3号機アキュムレータの開発

麻生 智一; 達本 衡輝; 大都 起一; 川上 善彦; 小守 慎司; 武藤 秀生; 高田 弘

no journal, , 

低温水素システムは、水銀ターゲットで発生した高速中性子を冷中性子に冷却するために、超臨界圧(1.5MPa)の極低温水素(20K以下)を3基のモデレータに供給し、そこで発生する核発熱(3.8kW)を強制方式で冷却する冷凍システムである。陽子ビーム入射・停止時に水素ループに与えられる熱負荷変動で発生する圧力変動を自発的容積可変機能で吸収する圧力変動抑制機構としてアキュムレータを採用し、ヒータによる熱補償制御と併用している。2MPaの耐圧性能を持ち、繰り返し設計寿命一万回(2MPa時)のアキュムレータの製作を目的として、0.8mmの厚肉プレートによる溶接ベローズの要素技術開発を行い、溶接トーチの位置など最適条件を見出すことができた。3号機アキュムレータの製作・組立時の溶接歪、傾斜等は、溶接ベローズのスペーサとガイドの接触で伸縮機能性や寿命に影響を及ぼす。このため、スペーサとガイドの距離から傾斜0.1$$^{circ}$$以内を目標として製作を行い、組立時の水平・垂直度を目標値に抑えることができた。既存の2号機と交換し、低温試運転を行った結果、設計どおりの性能を有することを確認した。

口頭

X線照射によるミトコンドリアの動態変化と膜電位の関係

嘉成 由紀子; 野口 実穂; 神長 輝一; 坂本 由佳; 横谷 明徳; 鈴木 啓司*

no journal, , 

低線量の放射線環境下では、細胞を通過する少数の放射線トラックは必ずしもDNAが存在する細胞核を貫通するとは限らない。むしろ細胞核以外の細胞質がヒットを受ける確率が高い。我々は細胞質中に広く存在するミトコンドリアに着目し、放射線照射によるミトコンドリアの形態や動態、膜電位の変化を明らかにすることを目的とした。KEK・PFのBL-27Bを利用し、専用のディッシュに培養したヒト繊維芽細胞(BJ1 hTERT Fucci)へ6Gy相当のX線マイクロビームを照射した後、ミトコンドリア動態のタイムラプス観察を行った。ミトコンドリアの膜電位変化は、膜電位依存性の蛍光試薬であるJC-1を用いて可視化した。タイムラプス動画像を元にして、ミトコンドリア活性部位(膜電位が高い部位)を追跡し、部位が位置を変える移動速度を数値化し動態変化として解析を行った。その結果、活性部位は照射後24時間から48時間にかけて空間位置を大きく変えるという、新しい現象を見出した。この位置変化の理由はまだ明らかではないが、放射線によるダメージからの回復に必要とされるATPを要求性の生理活性の上昇と関連があるのではないかと推測される。

口頭

軽元素オペランド条件XAFS測定による局所電子構造; Cs吸着構造への応用

本田 充紀; 下山 巖; 岡本 芳浩; 鈴木 伸一; 矢板 毅

no journal, , 

現在KEK-PF BL27Aにて軟X線放射光(2-5keV)を用いた軽元素オペランド条件蛍光XAFSシステムを開発している。XAFS測定で一般的に用いられる全電子収量法は真空下での測定に限定されるため、真空中に導入できない試料は測定が不可能であった。今回、大気下・溶液下でのXAFS測定が可能なシステムを開発することで、Cs減容化を目指した吸着材開発などを目的とし各種Cs含有試料についてのXAFS測定による局所電子構造解析を行った。今回、蛍光収量法によるオペランド条件下XAFS測定システムにより、Cs L-edge (5.01keV)についての大気および溶液環境下でのXAFSスペクトルの取得を行ったので報告する。各種Cs含有試料についてのCs L-edge NEXAFSスペクトルとして、(a)CsCl, (b)CsCO$$_{3}$$(標準物質)、(c)CsOH(溶液)および、(d)Cs in Vermiculiteについての測定結果を示した。(a)および、(b)のCs標準物質ではL3端の光エネルギーがA:5012eVおよびB:5013eVと異なることなり、塩化物Csと炭酸Cs吸収端が異なることが分かった。また(c)溶液下でもスペクトルを取得した。(d)粘土鉱物中のCsについてもスペクトルの取得に成功し、今回開発したシステムは実環境試料測定に有用であることが示せた。

口頭

ミュオンで探るペロフスカイト型酸化物中の不純物水素の電子状態

伊藤 孝

no journal, , 

単純ペロフスカイト構造をもつ一連の酸化物は電子材料として我々の生活に広く役立てられている。これらの多くは、本来、優れた誘電体であるが、その絶縁性能は微量の欠陥や不純物の存在により著しく劣化し得る。ゆえに、ペロフスカイト酸化物における特定の欠陥・不純物の電子状態を明かにすることは、そのアプリケーションにおいて大変重要である。本研究では、最もありふれた不純物である水素に着目し、代表的なペロフスカイト型酸化物誘電体BaTiO$$_{3}$$およびSrTiO$$_{3}$$における不純物水素の電子状態の解明を試みた。希薄な不純物水素の電子状態を実験的に明らかにすることは、測定対象が微量であるがゆえに大変難しい。そこで我々は、水素原子核と同じ+1価の正電荷を持つ正ミュオンを純良単結晶に打ち込み、格子間水素をシミュレートした上で、その電子状態をミュオンの崩壊を利用して高感度に測定する手法($$mu$$SR法)を用いることにした。BaTiO$$_{3}$$およびSrTiO$$_{3}$$純良単結晶に対する$$mu$$SR測定の結果、極低温でミュオニウム(正ミュオンと電子の束縛状態)の形成を示す信号が両物質において観測された。そのイオン化の様子から、伝導帯下端から数十meVのところにミュオニウムが浅い不純物準位を形成しているとことが明らかになった。格子間水素もこれらの物質中においてミュオニウムと同様に浅い不純物準位を形成し、室温付近では電子を放出して絶縁劣化を引き起こすと考えられる。

口頭

タイムラプスイメージング法で観察したFucci発現細胞へのX線マイクロビーム照射の影響

神長 輝一; 成田 あゆみ; 野口 実穂; 嘉成 由紀子; 坂本 由佳; 横谷 明徳

no journal, , 

照射細胞からサイトカインなどの信号物質が放出され、周囲の照射細胞にも影響が伝搬するいわゆるバイスタンダー効果により、微小核形成などが誘発されることが知られている。本研究では、照射による細胞周期の遅延や停止といった現象も、このバイスタンダー効果により誘発され得るかを明らかにすることを目的としている。KEK・PFのBL27BのX線マイクロビームを利用し、狙った細胞にX線を照射した後の照射及び周囲の未照射の細胞の細胞周期の経時観察(タイムラプスイメージング)を試みた。細胞周期により細胞核の色が変化するFucci細胞を培養し数10個程度の細胞からなるマイクロコロニーを作成しこれを照射試料とした。その中の特定の細胞を狙い撃ちしたときの周囲の細胞の周期に注目し、タイムラプス観察を行った。その結果、周囲の細胞への明確な周期遅延効果は認められなかったものの、一部の照射した細胞自体の周期遅延が抑制される現象がみられた。これは周囲の細胞の存在により、照射細胞の応答が変わる「逆バイスタンダー効果」がある可能性を示している。

口頭

HeLa-FUCCIスフェロイドを使ったギャップジャンクションを介するバイスタンダー効果の研究

坂本 由佳; 嘉成 由紀子; 神長 輝一; 野口 実穂; 横谷 明徳

no journal, , 

低線量放射線による生物影響を考える上で、バイスタンダー効果は1つの重要なポイントであり、これまで様々な報告がされている。しかし、それらの研究のほとんどは単層培養の細胞を使用したものであり、細胞間の情報伝達物質も培地を介して移動することが分かっている。だが、実際の生体内は細胞同士が密になって組織を形成しており、その周囲に培地は存在していない。これらの矛盾を解決すべく、本研究ではスフェロイドに対するX線マイクロビーム照射といった新しい実験系を提案する。本研究ではヒトのガン細胞(HeLa-FUCCI)を培養し、直径100-200ミクロンのスフェロイドを作製した。このスフェロイドの中心に対し、KEK・PFにおいて20ミクロンのX線マイクロビームで部分照射を行った。しかし照射後にスフェロイドの経時観察を行おうとすると、その位置が顕微鏡の視野の外に出てしまうことが分かった。これは培養ディッシュの温度ムラや水蒸気の蒸発による対流が原因と考えられる。スフェロイドが一つだけ入るウェルのあるディッシュなど、さらに工夫が必要であることが分かった。

口頭

J-PARC/MLF BL01チョッパー型中性子非弾性散乱装置「四季」

梶本 亮一; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 蒲沢 和也*; 池内 和彦*; 飯田 一樹*; 石角 元志*; 鈴木 淳市*; 中島 健次; 河村 聖子; et al.

no journal, , 

四季は現在J-PARC・MLFで稼働中の3台のチョッパー分光器の1つで、3台の中でも特に熱中性子領域において高効率の非弾性散乱測定を可能にすることを目的としている。装置が事実上稼働を開始した2009年6月から4年が経ち、装置整備の進展に合わせて一般課題数も増加してきており、その結果、超伝導体,磁性体,誘電体等で様々な成果が得られつつある。現在もさらに装置の性能や利用環境の向上を図り、測定効率をさらに高める新たなデータ測定モードの構築、試料環境からのバックグラウンドを抑えるラジアルコリメータ、強度の大幅な増大が見込まれるチョッパーの改良等の整備も進めている。本発表では四季で最近の装置整備や実験課題の実施状況、成果例を紹介する。

口頭

全反射高速陽電子回折によるAg(111)表面上のシリセンの構造決定

深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 松田 巌*; 河裾 厚男

no journal, , 

シリセンは、グラフェンのシリコン版であり、多彩な物性の発現が期待される新材料である。シリセンの理論的な研究は比較的古くから行われているが、実際にその合成に2012年に成功した。理論的にはシリセンがバックリング構造を形成することが予想されているが、これまで実験的に確かめられていなかった。バックリングの大きさに依存してディラックコーンの形状が変化するため、実験的にその大きさを決定することは非常に重要である。本研究では、最近、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の低速陽電子実験施設にて開発した全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用い、Ag(111)表面上に作製したシリセンの原子配置を決定した。高強度陽電子ビームは、専用電子線形加速器を用いて発生し、透過型輝度増強法によりそのエネルギーを単色化した。加速電圧は10kVに設定し、視射角を0.1$$^{circ}$$間隔で6$$^{circ}$$まで変化させ、ロッキング曲線を測定した。シリセンのバックリングの大きさとシリセンとAg基板との距離をパラメーターとして強度解析を行った。この結果、バックリングの大きさを0.83Aと決定し、シリセンは、グラフェンの平面構造とは異なり、バックリング構造を形成することが確かめられた。

口頭

シトクロム${it b$_{5}$}$の高分解能X線結晶構造

平野 優; 木村 成伸*; 玉田 太郎

no journal, , 

小胞体に結合するシトクロム${it b$_{5}$}$は、約134アミノ酸残基からなるヘム結合タンパク質であり、N末端側は小胞体膜の細胞質側に存在するヘム結合領域で、C末端側で小胞体膜に結合している。本研究では、ブタ肝臓由来シトクロム${it b$_{5}$}$のN末端側94残基のX線結晶構造解析を酸化還元両状態で実施した。回折実験はPF BL17Aにおいて行い、酸化型では0.85${AA}$分解能(Ca有り)、0.93${AA}$分解能(Ca無し)、還元型では0.85${AA}$分解能(Ca有り)、0.98${AA}$分解能(Ca無し)のデータセットを取得した。構造精密化の結果、Caイオン存在下で得られた結晶構造においては、ヘム近傍の2つのグルタミン酸側鎖がCaイオンの結合に関与していた。

口頭

低温適応性セルラーゼの結晶構造解析

玉田 太郎; 有森 貴夫*; 福原 宏章*; 伊藤 彰紘*; 上田 光宏*

no journal, , 

セルロースを含む木質バイオマスからのバイオエタノール生産における糖化プロセスにおいて、低温適応性セルラーゼを用いることができれば、加熱するためのエネルギーを節約できるだけではなく、並行複発酵による高濃度アルコール生産が可能となる。GHファミリー9に属するシマミミズ由来1,4-$$beta$$-エンドグルカナーゼ(EF-EG2)は313Kにおいて最大活性を示すが、283Kにおいても比較的高い活性を保持する。酵母を用いた組換え型EF-EG2の発現系を構築し、引き続き試料精製および結晶化を実施したところ、太さ0.02mm程度の針状結晶を得ることに成功した。この結晶を用いて1.50${AA}$分解能の回折データを収集し、結晶学的${it R}$値が14.7%(free-${it R}$値が16.8%)まで精密化を完了した。さらに、触媒残基と想定されるGlu431をGlnに置換した変異体(E431Q)と基質(セロトリオース)複合体結晶を作製し、1.55${AA}$分解能の回折データを収集した。現在、精密化中であるが、サブサイト-2$$sim$$-4にセロトリオース由来の明瞭な電子密度を観測することができた。また、分子表面は負電荷に富んでいたが、この特徴は構造既知の低温適応性酵素においても広く観察されており、EF-EG2の低温適応性との関連が示唆された。

口頭

PDF解析法を用いたスピネル化合物LiMn$$_2$$O$$_4$$における局所構造歪みの観測

樹神 克明; 井川 直樹; 社本 真一; 池田 一貴*; 大下 英敏*; 金子 直勝*; 大友 季哉*; 鈴谷 賢太郎; 星川 晃範*; 石垣 徹*

no journal, , 

スピネル構造を持つLiMn$$_2$$O$$_4$$は約260Kで立方晶から斜方晶へ構造相転移を示す。高温立方晶ではすべてのMnサイトは結晶学的に等価でその価数は+3.5であるが、低温斜方晶では複数の非等価な+3価と+4価のサイトが存在する。このことからこの構造相転移はMn価電子の電荷秩序に伴うものと考えられるが、電気伝導は構造相転移の上下でともに非金属的である。そこで高温立方晶における非金属的な電気伝導の起源を知る目的で、J-PARCに設置されている高強度汎用全散乱装置NOVAおよび茨城県材料構造解析装置iMATERIAを用いて$$^7$$LiMn$$_2$$O$$_4$$の粉末回折実験を行い、得られたデータを原子対相関関数(PDF)に変換して局所構造解析を行った。その結果高温立方晶においても複数の非等価な+3価と+4価のサイトが存在すること、すなわち電荷の短距離秩序が存在し、それが非金属的伝導の原因であることがわかった。さらにPDFの温度依存性を調べた結果、低温斜方晶相を含む200-450Kの広い温度範囲において局所構造歪みおよびMn-O距離はほとんど温度変化しないこともわかった。

口頭

世界中で整備が進む構造生物学中性子回折装置と最近の成果

黒木 良太

no journal, , 

世界の中性子施設には、着々と構造生物学研究用中性子回折計の整備が進みつつある。2014年度には世界中で7台(JRR-3の2台を除く)の中性子回折計が稼働する予定である。これらの中性子回折計には、定常炉中性子源に設置された回折計4台とパルス中性子源に設置された3台が含まれる。大型パルス中性子源に設置された中性子回折計だけでなく、定常炉中性子回折計も新たに3台が本格的な稼働を始める。構造生物学研究者の中性子利用をさらに拡大するには、中性子回折データを、より小型結晶で短期間に取得する必要がある。そのためには、試料タンパク質結晶の大型化技術や完全重水素化試料の作製技術の高度化が急務である。近年フランスのラウエ・ランジュバン研究所(ILL)で実施された創薬標的タンパク質の中性子構造解析では、完全重水素化試料を用いることによって、従来必要であった試料体積の約1/10(0.2mm$$^{3}$$)でのデータ収集が可能となっている。また日本国内の構造生物学研究者の要望から、現代の構造生物学研究の花形領域である"膜タンパク質"や複数のタンパク質が会合した"タンパク質複合体"の解析に対応でき、共同利用を目的とした中性子回折計をJ-PARCに設置することを計画中である。これが実現すれば、構造生物学研究領域の発展だけでなく医薬品や生体触媒など有用分子の創製への貢献も期待できる。

口頭

X線マイクロビームを用いた細胞周期に依存した照射影響のリアルタイム観察

成田 あゆみ; 神長 輝一; 横谷 明徳; 野口 実穂; 小林 克己*; 宇佐美 徳子*; 藤井 健太郎

no journal, , 

ヒト由来の細胞に対して細胞周期に依存した照射影響を明らかにすることを目標とし、我々はこれまでにKEK-PF BL27Bにおいて、マイクロビームで狙い撃ちされた細胞をリアルタイム観察するための実験システムを構築してきた。本研究ではこのシステムを利用したより長時間の経時観察を行い、X線照射された細胞の行く末を追跡した。照射細胞には顕微鏡下で細胞周期が判別できるFUCCI(Fluorescent Ubiquitination-based Cell Cycle Indicator)発現HeLa細胞を用い、任意の周期にある細胞をマイクロビームで狙い撃ちした。その後、48時間の経時観察を行った。その結果、G2期で照射したときには、約60%の細胞がG2期からM期に進行する直前に細胞死に至った。これは損傷を修復するために周期が一時的に停止したものの、修復することができずにアポトーシスしたと考えられる。一方で同じ視野内にある非照射の細胞では、G2期から観察を開始したものに関しては、周期が進行してから細胞死したものの割合が増加した。これは照射細胞からの影響を受け、バイスタンダー効果が現れている可能性がある。以上の結果より、照射・非照射細胞の双方に周期に依る照射影響が現れることがわかった。

口頭

酸化物表面に作製した有機自己組織化膜へのオリゴヌクレオチド固定化

成田 あゆみ; 藤井 健太郎; 横谷 明徳; 馬場 祐治; 下山 巖

no journal, , 

DNA分子を構成する元素のイオン化領域エネルギー(200$$sim$$5000eV)で照射を行うと、選択的に損傷が誘発されることが知られている。しかしながら、これらの研究例は無機表面にDNA薄膜を作製した場合の結果であり、これは生体内の環境とは大きく異なる。そこで本研究では、より生体に近い環境で照射実験を行うために、まず無機表面に生体内に近い環境を再現することを目指し、無機表面に作製した自己組織化膜にオリゴヌクレオチドを固定化することを試みた。基板にはサファイア単結晶、自己組織化膜を作製する分子にはメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)分子を用いた。MPTS分子膜を作製したのちにバッファーに溶かしたオリゴヌクレオチド溶液を基板上に滴下し、洗浄・乾燥させた。試料はX線光電子分光(XPS)とX線吸収微細構造法(NEXAFS)で測定した。XPSスペクトルでは、MPTS膜のみの試料では明瞭なS 1sとSi 1sピークが確認された。それに対してオリゴヌクレオチドを堆積させた試料ではこれらのピーク強度は減少し、オリゴヌクレオチド由来のP 1sピークが現れた。これらの結果から、オリゴヌクレオチドはMPTS膜上に残っていることがわかった。

17 件中 1件目~17件目を表示
  • 1