Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
望月 陽人; 松井 裕哉; 中山 雅; 坂本 亮*; 柴田 真仁*; 本島 貴之*; 城 まゆみ*
Case Studies in Construction Materials, 22, p.e04648_1 - e04648_20, 2025/07
被引用回数:0放射性廃棄物の地層処分で使用される低アルカリ性セメントは、長期にわたる処分場の操業期間中に大気中の二酸化炭素による炭酸化や地下水との接触によってその特性が変化する可能性がある。本研究では、フライアッシュとシリカヒュームを混合した低アルカリ性セメント(HFSC)を用いた吹付けコンクリートの化学的特性、微細構造ならびに輸送特性に対して大気中での炭酸化および地下水との接触が与える影響を、幌延の地下研究施設において16年間にわたり調査した。HFSC吹付けコンクリートの炭酸化領域と溶出領域のいずれにおいても、直径約300nm未満の細孔の毛細管空隙率が増加し、全空隙率は非変質領域よりも高くなった。これらの空隙構造の変化は、ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)の脱灰とエトリンガイトの分解に関連していると考えられる。このような変化は、OPC吹付けコンクリートの変質領域では軽微であったことから、本研究の調査条件下において、HFSC吹付けコンクリートは炭酸化や地下水溶出に対する抵抗性が相対的に低いことが示された。しかしながら、HFSCの透水係数は、地層処分に用いられる低pHセメントに求められる機能要件を満たす程度に低かった。
吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史
JAEA-Research 2025-003, 24 Pages, 2025/06
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(RuO)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。揮発性Ruは施設内を移行する過程で床面に停留するプール水中の亜硝酸によって化学吸収が促進されることが想定され、施設内の硝酸-水混合蒸気の凝縮水量がRuの施設内での移行に重要な役割を担う。当該事故の施設内の熱流動解析では、水の熱流動を解析対象とするMELCORコードを用いている。解析では、凝縮の支配因子である蒸発潜熱が、事故時での施設内の温度帯域で同程度であることから硝酸をモル数が等しい水として扱っている。本報では、この解析モデルの妥当性を確認するために、MELCORの制御関数機能を用いて硝酸-水混合蒸気を水蒸気で近似することによって生じる誤差を補正する解析モデルを作成し解析を実施し補正効果を比較することで従来の解析モデルの妥当性を確認した。その結果、補正解析モデルの適用によって各区画のプール水量の分布は変化するものの施設内のプール水量の総和には影響しないことを確認した。
杉田 裕; 大野 宏和; Beese, S.*; Pan, P.*; Kim, M.*; Lee, C.*; Jove-Colon, C.*; Lopez, C. M.*; Liang, S.-Y.*
Geomechanics for Energy and the Environment, 42, p.100668_1 - 100668_21, 2025/06
国際共同プロジェクトDECOVALEX-2023は、数値解析を使用してベントナイト系人工バリアの熱-水-応力(または熱-水)相互作用を研究するためのタスクDとして、幌延人工バリア性能確認試験を対象とした。このタスクは、モデル化のために、1つの実物大の原位置試験と、補完的な4つの室内試験が選択された。幌延人工バリア性能確認試験は、人工的な地下水注入と組み合わせた温度制御非等温の試験であり、加熱フェーズと冷却フェーズで構成されている。6つの研究チームが、さまざまなコンピューターコード、定式化、構成法則を使用して、熱-水-応力または熱-水(研究チームのアプローチによって異なる)数値解析を実行した。
木下 淳一; 坂本 裕; 鈴木 一朗; 中嶋 瞭太; 森田 祐介; 入江 博文
JAEA-Technology 2024-027, 55 Pages, 2025/05
第2廃棄物処理棟は、原子力科学研究所内で発生する比較的放射能レベルの高い放射性廃棄物を処理することを目的として建設された施設であり、旧建築基準法に基づき設計、建設されたものである。平成25年12月に施行された「試験研究の用に供する原子炉等の位置、構造及び設備の基準に関する規則」の要求事項に従い、現行の建築基準法に基づき耐震評価した結果、耐震強度が不足していることが判明したことから、耐震強度を向上させるための耐震補強工事を平成30年11月から令和2年2月にかけて行った。本稿は、第2廃棄物処理棟の耐震補強工事の設計、工事及び試験検査について取りまとめたものである。
Wilson, J.*; 笹本 広; 舘 幸男; 川間 大介*
Applied Clay Science, 275, p.107862_1 - 107862_15, 2025/05
被引用回数:0高レベル放射性廃棄物の処分場では、鉄または鋼製ベースの容器/オーバーパック及びベントナイト緩衝材が用いられる。25年以上にわたり、鉄とベントナイトの相互作用に関わる研究が行われ、その中では、特に膨潤性粘土(スメクタイト)の鉄に富んだ層状珪酸塩(膨潤能が欠落する鉱物も存在)への変質可能性について検討がなされた。このような変質が生じると、人工バリア材の一つである緩衝材に期待されている膨潤性の欠落或いは低下を引き起こし、せん断応力に対するオーバーパックの保護性、水や溶質の移行抑制にも影響を与える。鉄とベントナイトの相互作用に関わるデータの多くは、実験及び地球化学モデリングによるものであり、ナチュラルアナログによるデータには乏しい。これらの既往データによれば、スメクタイト(アルミ質のモンモリロナイト)が鉄に富んだ固相(層状珪酸塩を含む)に変質したものや、グリーンラスト又は磁鉄鉱のような腐食生成物を伴う鉄に富んだ変質ゾーンが生成される可能性が示唆される。一方、このような変質ゾーンについての実態は複雑であり、現状での理解は不十分な部分もある。25年以上にもわたり研究が行われているにもかかわらず不確実な部分も多いが、今回のレビューにより、鉄とベントナイトの相互作用に伴い生じる尤もらしいシナリオが認識され、考えられ得る緩衝材特性への影響についても提示された。
高畠 容子; 渡部 創; 渡部 雅之; 佐野 雄一; 竹内 正行
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 7, p.195 - 198, 2025/05
高レベル放射性廃液からの抽出クロマトグラフィ法によるマイナーアクチノイドの回収に係る研究開発を実施している。高レベル放射性廃液中では微粒子が発生する。抽出クロマトグラフィのカラムの閉塞を防ぐため、それを取り除く技術の開発が必要である。シリカビーズ充填カラムにおける微粒子の除去性能を実験的に評価した。シリカビーズ充填カラムにて、アルミナ粉末を回収したところ、0.12から15mの微粒子がカラム閉塞の原因であることが分かり、またシリカビーズを充填したカラムによる微粒子除去は実現可能であることが示された。
荒井 陽一; 渡部 創; 中原 将海; 船越 智雅; 星野 貴紀; 高畠 容子; 坂本 淳志; 粟飯原 はるか; 長谷川 健太; 吉田 稔生; et al.
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 7, p.168 - 174, 2025/05
STRADプロジェクトの進捗に係る報告として、CPFホットセルの処理状況とともに、新たなターゲットに係る研究計画と最新のトピックスについて報告する。
富岡 大; 河内山 真美; 小曽根 健嗣; 仲田 久和; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2024-023, 38 Pages, 2025/03
日本原子力研究開発機構は、我が国の研究施設等から発生する低レベル放射性廃棄物の浅地中埋設事業の実施主体である。これらの放射性廃棄物の放射能濃度に関する情報は、埋設事業の許可申請及びその適合性審査に向けた廃棄物埋設施設の設計や安全評価に不可欠である。このため、埋設事業センターでは、埋設対象廃棄物のうち試験研究用原子炉から発生する解体廃棄物について、放射化計算に基づく解体廃棄物の放射能評価手順の改良を進めている。今回、多群中性子スペクトルを用いてより精度の高い放射化計算が可能なORIGENコード(SCALE6.2.4に付属)の適用性を検討するため、これまで使用実績が多いORIGEN-Sコード(SCALE6.0に付属)との比較検証を行った。この検証では、炉心周辺の原子炉構造材の放射能分析データを取りまとめている立教大学研究炉の解体廃棄物を対象として両コードにより放射化計算を行った。その結果、ORIGENコードとORIGEN-Sコードの計算時間の差異はほとんどないこと、放射能濃度の評価値として前者は後者の0.81.0倍の範囲となり、放射化学分析による放射能濃度と概ね0.5
3.0倍の範囲でよく一致した結果から、ORIGENコードの適用性を確認した。さらに、原子炉構造材に含まれる微量元素の放射化を想定してORIGENコード及びORIGEN-Sコードによる放射化計算を行い、比較を行った。また、浅地中処分における被ばく線量評価上重要な170核種のうち大きな差が見られたものに対してその原因を核種毎に調べた。
畠山 祐一; 平井 功希; 池上 雄太*; 佐野 成人; 冨田 健; 宇佐美 浩二; 田上 進
JAEA-Technology 2024-020, 33 Pages, 2025/03
廃棄物安全試験施設(WAste Safety TEsting Facility: WASTEF)は、使用済燃料の再処理によって発生する高レベル放射性廃棄物の長期貯蔵とその後の地層処分に関する安全性試験研究を実施することを目的として、昭和57年12月に運転を開始した施設である。本施設は、コンクリートセル5基、鉛セル1基、グローブボックス6基、フード7基から構成され、ウラン、プルトニウムを含む核燃料物質、ネプツニウム、アメリシウムなどの放射性同位元素を使用できる大型施設である。施設には、消防法及び使用施設等の技術基準に関する規則に基づき建家全体を対象とした自動火災報知設備が設置されている。これは、安全管理上重要な位置付けにあり、健全性、信頼性の十分に高い設備であるが、設置後30年以上の長期使用により自動火災報知設備の構成機器のうち、火災受信盤の老朽化が著しく、更に使用部品の多くが生産中止となり調達が不可能な状態となったため、設備の性能・維持が困難な状況に陥ってきた。そのため、WASTEFの安全・安定な運転を確保する目的で、火災受信盤の更新を実施した。本報告書では、令和4年度に実施した火災受信盤の更新についてまとめたものである。
BE資源・処分システム開発部
JAEA-Evaluation 2024-002, 86 Pages, 2025/03
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針(平成28年12月21日内閣総理大臣決定)」に基づき、令和6年3月21日に「原子力施設の廃止措置及び関連する放射性廃棄物の処理に関する技術開発」に関する第4期中長期目標期間の研究開発計画のうち、令和3年度以降に開始した研究テーマに対する事前評価を廃止措置研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、廃止措置研究開発・評価委員会は定められた評価の観点に従い評価を行った。
林崎 康平; 廣岡 瞬; 山田 忠久*; 砂押 剛雄*; 村上 龍敏; 齋藤 浩介
Ceramics (Internet), 8(1), p.24_1 - 24_12, 2025/03
Zirconolite is a wasteform that can immobilize Pu. Herein, zirconolites comprising Ce as a Pu simulant and Al as a charge compensator of Ce/Pu were synthesized by sintering raw CaO, ZrO, TiO
, CeO
, and Al
O
powder mixtures at 1400
C in static air. The reduction behavior and phase transformation of zirconolites during their heat treatment in an Ar-H
gas flow were investigated. All zirconolite compositions first underwent reduction at
1050
C by forming a small domain of perovskite phase. Ce-Al co-doped zirconolite showed a smaller fraction of phase transformation in perovskite than Ce-doped zirconolite, indicating the advantage of using a charge compensator to prevent perovskite formation.
冠城 雅晃; 宮本 勇太; 森 教匡; 岩井 紘基; 手塚 将志; 黒澤 俊介*; 田川 明広; 高崎 浩司
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(3), p.308 - 316, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)Nuclear decommissioning has recently accelerated, particularly following the accident at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, Tokyo Electric Power Holdings. -ray/X-ray (radiation photon) spectroscopy provides information on the types of radionuclides with radiation photon emissions. Radiation photon spectroscopy in a control rod guide tube positioned at the center of Fugen was conducted. Fugen is a prototype advanced thermal reactor with 165 MWe electric power generation that is being decommissioned. The dose rates measured in a control rod guide tube positioned at the center of the reactor were 4.1 - 9.1 Gy/h. The dose rate considerably increased at a position close to a tank that contained
Co caused by the radioactivation of stainless steel. Radiation photon spectroscopy was performed without radiation shielding, identifying
Co with an energy resolution better than 5.4% at 1333 keV and
Nb with an energy resolution better than 5.9% at 871 keV.
Metcalfe, R.*; Benbow, S. J.*; 川間 大介*; 舘 幸男
Science of the Total Environment, 958, p.177690_1 - 177690_17, 2025/01
花崗岩が隆起している条件を対象とした地層処分の安全評価においては、隆起による地質条件の変化とそれに伴う放射性核種の移行・遅延特性への影響を考慮する必要がある。このような地質環境の長期変遷を考慮した安全評価では、十分に現実的な数値モデルと適切なパラメータを適用する必要がある。しかしながら、隆起過程には、岩石特性や核種移行特性の変化などを含む複雑な連成現象が含まれるため、モデルの開発には困難を伴う。ここでは、いくつかの代表的な放射性核種を対象とした連成モデル解析を通じて、現実的で保守的なプロセスの概念化とモデルパラメータの設定を検討するための方法論を提示する。
坂本 雅洋; 奥村 啓介; 神野 郁夫; 松村 太伊知; 寺島 顕一; Riyana E. S.; 金子 純一*; 溝上 暢人*; 溝上 伸也*
Journal of Nuclear Science and Technology, 10 Pages, 2025/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)In this paper, we propose a new nuclide inventory estimation method based on computational methods, called a "theoretical scaling factor method" for difficult-to-measure (DTM) nuclides in fuel debris and radioactive wastes. The theoretical scaling factor method provides a method similar to a conventional scaling factor method. The theoretical scaling factor method, however, does not require performing many measurements to obtain correlations between a key nuclide which is easy-to-measure and a DTM nuclide. Instead of actual analytical measurements, the results of theoretical calculations are used. A correlation equation between the key nuclide and the DTM nuclide is created based on the results of theoretical calculations, and the DTM nuclide is deterministically estimated using the measurement value of the key nuclide only. In this paper, we selected Cs-135 as the DTM nuclide and Cs-137 as the key nuclide. Cs-135 has a long half-life of 2.310
years and is one of the important fission products in the safety evaluation for the geological disposal of high-level radioactive waste, because it dissolves and migrates in groundwater easily. We confirmed the validity of the proposed method using measured data of Cs-137 and Cs-135 on radioactive wastes from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F) accident obtained by many researchers. It can be used as a rational and efficient technology to reduce the analysis costs of various types of fuel debris and radioactive waste present at 1F.
Metcalfe, R.*; 舘 幸男; 笹尾 英嗣; 川間 大介*
Science of the Total Environment, 957, p.177375_1 - 177375_17, 2024/12
放射性廃棄物の地層処分の安全評価では、将来において地下水を介した放射性核種の移行が岩盤のバリア性能によって遅延されることを示す必要がある。サイトが選定される前の初期段階の安全評価は、特定のサイト条件を考慮しない一般的なものであり、保守的なパラメータ値や簡略化された安全評価モデルに基づくことになる。その後の特定のサイトを対象とした安全評価では、長期的な地質環境の変遷やその放射性核種の移行・遅延への影響を考慮可能な、より現実的なモデルが必要となる。隆起はそのような長期的な地質環境の変遷の一つである。ここでは、日本の既往の研究に基づき、花崗岩の特性が隆起に伴ってどのように変化するかについての知見をレビューする。また、花崗岩の隆起に伴う放射性核種の移行と遅延過程に関する概念モデルと一般的なシナリオを提示し、安全評価を支える現実的な数値モデルの基礎を提示する。
中山 雅
JAEA-Review 2024-042, 111 Pages, 2024/11
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和5年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を再開し、350m調査坑道に新たに3本の坑道を掘削するとともに、東立坑および換気立坑の掘削を実施した。令和5年度末現在、350m調査坑道の拡張(坑道延長66m)を終了し、立坑の掘削深度は、東立坑で深度424m、換気立坑で深度393mである。また、令和5年2月から開始した幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行い、原位置試験や解析などの実施計画を検討するとともに、研究の進捗状況について確認、議論を行った。令和5年度末現在、原子力機構を含め、8つの国と地域から11の組織が参加している。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2024-021, 126 Pages, 2024/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「ジオポリマー等によるPCV下部の止水・補修及び安定化に関する研究」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、PCV底部の止水及び補修を目的として、改良したジオポリマーや超重泥水によりジェットデフレクター等を止水し、併せてドライウェル下部を補修する施工法を提案する。また、堆積状況など未解明な状況にある現場施工の選択肢を増やすため、止水・補修材の対象部位周辺への局所的施工のみならず、ペデスタル外の広範囲にわたる施工についても検討し、最新の熱流動シミュレーション法により、工法実現性を評価する。広範囲に施工する場合には、ペデスタル外に流出した燃料デブリや堆積物は止水・補修材で被覆されて廃棄体となる。このため、燃料デブリの成層化状態等性状を実験及び解析により把握した上で、廃棄体を安定化する方策を検討するとともに、核種浸出性を含めた廃棄体の長期寿命を評価する。
Bachmann, A. M.*; Richards, S.*; Feng, B.*; 西原 健司; 阿部 拓海
Proceedings of International Conference on Nuclear Fuel Cycle (GLOBAL2024) (Internet), 4 Pages, 2024/10
この研究は、燃料サイクルシミュレーションを活用するための初期段階として、コード検証を行ったものである。CyclusとNMBは、核燃料サイクルオプションの解析を提供するオープンソースの燃料サイクルシミュレータであり、アルゴンヌ国立研究所と日本原子力研究開発機構(JAEA)によって、燃料サイクルベンチマークに関する複数年の共同研究のためにそれぞれ選ばれた。両者とも比較的新しく、厳密なコード間比較を行った後に改良することが可能である。これらのシミュレータの初期検証は、ワンススルー及びマルチリサイクル燃料サイクルの一連の仮想シナリオを用いて実施した。その結果、2つのシミュレータのシナリオ定義とモデル化手法の違いが、物質インベントリ、マスフロー、及び燃料サイクル評価における他の重要な測定基準における結果の違いにどのようにつながるかが明らかになった。
中山 雅
JAEA-Review 2024-033, 64 Pages, 2024/09
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和6年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」および「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」について、引き続き調査研究を行う。令和6年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や解析課題などに取り組む。また、物質移行試験について、掘削損傷領域を対象とした試験および有機物・微生物・コロイドの影響について取りまとめ、評価手法を整備する。さらに、ブロックスケールを対象とした物質移行について、稚内層深部を事例とした評価手法を取りまとめる。「処分概念オプションの実証」では、閉鎖技術の実証として、坑道掘削・閉鎖後の地質環境変化に関する調査試験結果などの整理・取りまとめを行うとともに、坑道内から掘削されたボーリング孔の閉塞技術の適用性や技術的な課題について取りまとめる。坑道スケールピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、調査・評価手法の整理や解析などを進める。また、高温度(100
C以上)等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験では、令和5年度に開始した原位置試験を継続し、ひと組の試験体を解体して100
Cを超える熱履歴を経た緩衝材の特性を確認する。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、地殻変動が地層の透水性に与える影響、ダクティリティインデックスを用いた透水性の評価手法・隆起侵食の影響の評価手法および水圧擾乱試験による断層の活動性(力学的な安定性)評価手法について取りまとめる。地下施設の建設・維持管理では、令和5年度に引き続き東立坑と換気立坑の掘削を行うとともに、湧水対策を実施した後に西立坑および500m調査坑道の掘削を開始する。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスクについて調査研究を継続する。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-012, 122 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1F事故で発生した多様な廃棄物を対象とし、固定化が難しく長期被ばく線量を支配するヨウ素(I)、核種のマイナーアクチノイド(MA)に注目し、これらのセラミクス1次固化体を、更に特性評価モデルに実績を有するSUSやジルカロイといったマトリクス材料中に熱間等方圧加圧法(HIP)等で固定化した"ハイブリッド固化体"とすることを提案する。核種閉じ込めの多重化、長期評価モデルの信頼性の向上により実効性・実用性のある廃棄体とし、処分概念を具体化する。潜在的有害度及び核種移行の観点から処分後の被ばく線量評価を行い、安全かつ合理的な廃棄体化法、処分方法の構築を目的としている。2年目の令和4年度は、1F模擬廃棄物の合成実験、各種放射線照射実験、浸出試験、ハイブリッド固化体の構造解析、固化元素の電子状態変化の放射光分析を行った。種々の計算でI固化体の固溶エネルギー、マトリクスと1次固化体との相互作用を解明した。実験と計算検討により、ヨウ素廃棄物にはマトリクスとしてSUSが適すると結論付けた。ハイブリッド固化体からの核種移行、被ばく線量に対する人工バリア、天然バリア機能の感度解析により、廃棄体寿命を長くすることが長半減期かつ難固定性のI-129には効果的であることが明らかとなった。以上により、廃棄物合成から廃棄物処分時の安全評価までの結節が達成された。