Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
青木 章平; 久米 民和; 川嶋 浩二*
食品総合研究所研究報告, 43, p.90 - 93, 1983/00
放射線処理によるタマネギ鱗葉表皮の剥離性の変化を測定し、適正線量の検定、あるいは照射処理の検出への応用の可能性について検討した。照射直後の鱗葉表皮の剥離性は5~10kred照射では非照射と大差なく、30kred以上では著しく増大した。5~10kred照射したタマネギを常温貯蔵した後、10kredの追加照射を行うと鱗葉表皮の剥離性が著しく増大した。非照射のものに同様の追加照射を行っても剥離性はさほど増大せず、また低温貯蔵しておいたタマネギに10kradの照射を行っても剥離性の増大は認められなかった。この照射処理によるタマネギの鱗葉表皮の剥離性の増大は、鱗葉表皮と多肉組織との間の中間組織が照射によって破壊されたことに起因すると考えられた。以上の結果、発芽防止を目的として照射されたタマネギは鱗葉表皮の剥離性の変化を用いて、低温貯蔵したタマネギとの区別に応用できるものと考えられた。
久米 民和; 八木 国光*; 上野 博資*; 青木 章平*; 佐藤 友太郎*
JAERI-M 9256, 12 Pages, 1981/01
各種高分子物質に放射線を照射し、清酒に対するおり下げ効果を検討した。ペクチン、ゼラチン、トラガントガム、セルロース、カラゲーナン、グルテン、アルギン酸ソーダのいずれの場合にも、照射によるおり下げ促進効果が認められ、とくにグルテン抽出タンパクおよびアルギン酸ソーダで良好な結果が得られた。最適照射線量は50Mradであったが、10Mradので十分な促進効果が認められた。また、照射アルギン酸ソーダの場合には、常法とされている柿渋の併用がなくても十分なおり下げ効果が得られた。照射によりグルテン中のグルテニン区分が減少し、比較的低分子のダリアジン-アルブミン区分が増大したことから、グルテン分子は照射により低分子化していることが認められた。したがって、これらおり下げ剤が照射により低分子化し、清酒に対して溶解あるいは分散しやすくなることがおり下げ促進効果の一因であると推定された。
久米 民和; 渡辺 宏; 青木 章平*; 佐藤 友太郎*
Agricultural and Biological Chemistry, 45(6), p.1311 - 1315, 1981/00
treptomyces phaeochromogenus菌体より抽出・精製したグルコースイソメラーゼに対する線照射の影響を検討した。稀薄溶液中(pH 7.0)で照射した場合酵素活性は指数関数的に減少し、失活収率(Go)は空気中では0.069、窒素中では0.115であった。 また、ラジカル補捉剤であるNOガスおよびt-BuOHを用いて、酵素失活に対する水の放射線分解生成ラジカルの寄与の割合を検討した。・OH、Hおよびlのグルコースイソメラーゼに対する失活効率は各々0.032,0.025,0.005であった。このように本酵素の失活には主として・OHとHが関与しており、lの寄与はわずかであった。しかし、無酸素状態の中性水溶液では・OHの収率が高いため、全体としては・OHが主に失活に関与していた。
久米 民和; 小林 信夫*; 奥 秋明*; 青木 章平
Agricultural and Biological Chemistry, 43(8), p.1625 - 1632, 1979/00
低粘度化を目的として線照射処理した澱粉に対する加熱溶解時のpHの効果について検討した。アミログラムおよびB型粘度計による冷却粘度測定の結果から、照射澱粉は糊化時のpHが高い程粘度低下が著しくなり、非照射試料との粘度差が大きいことが認められた。市販の酸化澱粉(味の素エスサンサイザー600)と同程度の低粘度澱粉を得るための必要線量は、pHを調整しない場合約7Mradであるのに対し、pH7.0では約5Mrad、pH11.0では約3Mradとなり、pHを高くすることにより必要線量を小さくすることが可能であった。一方、照射澱粉の溶解度はアルカリ側で顕著に増大した。また、溶解残渣について走査型電子顕微鏡で観察を行った結果、照射試料ではpHを高くすると粒表層部からの成分溶出が著しくなり、粒構造が崩壊しやすくなっていることが認められた。
久米 民和; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 25(1), p.29 - 35, 1978/01
ウィンナーソーセージ(V.S)に1.0Mradまでの線を照射したときの色の変化について検討した。この結果、V.Sは照射により退色し、特に赤色色素成分が減少することが認められた。また,照射時に存在する酸素量が多いほど退色が著しくなる傾向が認められた。官能検査の結果、99%の信頼度で非照射試料との間に有意差が認められる線量は、市販V.Sの場合窒素置換で1.0Mrad(95%の信頼度では0.5Mrad)、空気封入で0.5Mradであり、酸素置換では0.3Mradですでに有意差が認められた。一方特定総合研究用の特性V.Sの場合は市販V.Sより退色し難く、窒素置換では1.0Mradまで有意差は認められず、市販包装状態(窒素気流中で包装)では1.0Mrad、空気封入では0.3Mradで有意差が認められた。また、照射V.Sの抽出色素成分の540nmおよび340nmにおける吸光度変化等から、呈色基であるニトロソヘム化合物の減少およびヘム部分のポリフィリン核の開裂が生じていることが推定された。
橘 宏行; 渡辺 宏; 青木 章平
食品照射, 13, p.30 - 35, 1978/00
原研大阪研2号加速器棟照射室内に、ミカン照射処理用コンベア装置が完成した。本照射装置を用いて実際のミカンを照射するに先立ち、ポリエチレン製球形モデルを用いて行った線量測定結果、および線量の評価と線量均一度について検討した。加速器は500keV,3mAに設定し、加速器スキャンナー窓面より照射用パレットまでの距離30cm、コンベア速度1m-min、照射パレットの両端部の角度を0°~20°と変えて両面照射を行うと表面線量均一度は0°、10°、15°、18°、20°で、それぞれ5.2,4.1,3.2,2.4,2.8となった。この結果18°における2.4が最良値となり、設計値の2.3とほぼよい一致が得られた。深部線量分布の測定結果では、スキャンナーに面した最頂部を0°、赤道部を90°とした場合、0°、22.5°では深部に最大値を持つ減衰曲線を示し、飛程は約160mg-cmであり、90°では約110mg-cmの飛程を示した。この結果から線量の評価の厚さを変えると、表面線量、分布および線量均一度が変化する。したがって線量測定方法を規定する必要がある。
伊藤 均; 渡辺 宏; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本農芸化学会誌, 51(10), p.603 - 608, 1977/10
被引用回数:0保存料無添加の特注ウィンナーソーセージ(VS)に線を300~500krad照射した後に増殖してくるMoraxella like taxaに属するMA菌や酵母菌の増殖を抑制する目的で酸素ガス透過度の異なる包装フィルムの影響をしらべた。酸素ガス透過度の異なるセロポリ、ナイロン-12、Kセロハン、EG-QのフィルムにVSを窒素ガス置換して包装した場合、非照射では各包装フィルムとも差がなく2~3日(10C)で10/gに達しネトが認められるようになった。ところが照射VSでは10/gに達するに要する期間はセロポリの300kradで4~5日、500kradで7~8日であったのに対し、KセロハンやEG-Qではその期間が延長され300kradで7~9日、500kradで13~15日以上になった。この場合、酸素ガス透過度の低い包装フィルムでは好気性のMA菌や酵母菌Micrococcusなどの増殖が抑制された。しかし非照射VSに増殖する乳酸菌には効果は認められなかった。なお食味に対する影響は若干EG-QやKセロハンに認められた程度である。
青木 章平
原子力工業, 23(5), p.9 - 12, 1977/05
わが国の食品照射は1972年8月馬鈴薯の発芽防止のためのCO-60線照射が許可されたことにより、実用化の段階を迎えた。1973年には北海道士幌町に馬鈴薯照射施設が竣工し、以来年間3万トン照射の規模で操業されている。わが国における食品照射の研究は1967年から原子力特定総合研究として進められている。ここでは、すでに実用化されている馬鈴薯の照射をはじめ、研究終了の近い玉ねぎ等について、これまでの研究動向を述べるとともに、原研高崎研の食品照射線照射施設、および士幌馬鈴薯照射施設の概要を紹介した。 放射線による馬鈴薯の発芽防止についてはFAO、IAEA、WHOの共同で開催された国際委員会においても無条件に安全なことが認められており、技術的にも優れた方法であるといえる。今後このような食品照射技術が健全な姿で発展して行く事を願っている。
渡辺 宏; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 24(2), p.59 - 64, 1977/02
電子線エネルギーやビーム電流、および照射前後の加熱処理などが果皮の褐度化や殺菌効果に及ぼす影響について調べ、カビや褐度の発生を抑えて温州ミカンを貯蔵するための条件を検討した。果皮の褐度化は電子線エネルギーが低いほど少なく、0.2MeVでは非照射と変わらなかった。前報での線量測定の結果から、果皮の褐度化は果皮だけに吸収された線量に依存し、果実全体に吸収された線量には依存しないことを明らかとした。また殺菌効果は0.5MeVで最も大きく、エネルギーが高くなるにつれて逆にカビの発生率は増加した。ビーム電流を変えて間接的に線量率効果を調べた結果、褐度発生には影響がみられないが、殺菌効果は電流が大きいほど、大きくなった。照射前後の加熱処理は無処理の場合よりも褐度やカビの発生を増加させた。したがってカビや褐度を抑えて貯蔵するには、比較的大きなビーム電流で0.5MeVで照射することが望ましく、また照射前後のミカンの品温を一定にする必要があると思われる。
久米 民和; 橘 宏行; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 24(2), p.72 - 76, 1977/02
貯蔵期間の延長を目的としたかまぼこの線照射処理に関する研究が進められている。本実験では、かまぼこのパッケージ照射実用化のための照射条件を明らかにするため、パッケージ内かまぼこ中の吸収線量分布と線量均一度について検討した。パッケージとしては市場流通に用いられている142738cmのダンボール箱を用い、線量計としては鉄線量計を用いた。かまぼこによる吸収線量減衰率は210、510、110rad/hrの各線量率でほぼ一致した結果が得られた。厚さ14cmのパッケージを用い、310rad/hrの線量率で反転照射したときのパッケージ内の奥行方向の線量均一度は1.16であった。高さ方向の空間の線量均一度は1.11であり、全体の線量均一度はこれらの値から近似的に1.29と求められた。包装紙・板付のままかまぼこを照射した場合には、線量均一度は1.12と小さい値が得られた。安全性試験用のかまぼこを用いて、かまぼこによる吸収線量減衰率から求めた線量均一度の計算値は実測値とよく一致した。
久米 民和; 橘 宏行; 青木 章平; 梅田 圭司*; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 24(1), p.37 - 40, 1977/01
実用規模で大量のタマネギを線照射処理する際に必要となる発芽防止必要最低線量および線量率効果の有無について検討した。試料としては「札幌黄」を用い、吸収線量のバラツキを抑えた状態(2%程度)で照射し、照射後室温で収穫後8か月までの貯蔵実験を行なった。2~5krad照射区では顕著な発芽防止効果が認められたのに対し、0.5および1krad照射では不十分な抑制効果しか認められなかったことから、発芽防止必要最低線量は2kradであると考えられた。また、実用照射時に使用可能であると考えられる510~110rad/hrの線量率範囲では、線量率が異なっても発芽率に顕著な差は認められず、線量率効果はほとんどないと考えられた。
渡辺 宏; 橘 宏行; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 24(1), p.31 - 36, 1977/01
電子線照射による殺菌効果やミカンの生理的変化を理解するための基礎として、照射したミカン表面の線量分布をCTAを用いて測定し、さらにミカン表面を均一に照射するための条件について検討した。電子線のエネルギーが高い程、ミカン赤道の線量は増加した。これは反転することにより両面から同線量照射したためであるが、0.5MeV以下のエネルギーではこの線量増加はみられなかった。表面線量分布に与える散乱線の影響は0.2MeVで照射した場合に観察されたが散乱線の寄与はあまり大きくなく、線量均一性に最も大きく影響する要因は、電子線のミカンへの入射角度であった。コンベア上の照射領域全体を考えると、試料全体の線量均一性は、空間線量分布と電子線の入射角度によって最も影響された。これらの結果を含め、ミカンを大量に照射する場合の線量均一性に関係する諸条件について考察した。
青木 章平; 渡辺 宏; 佐藤 友太郎*; 星 龍夫; 田中 進; 高野 博幸*; 梅田 圭司*
日本食品工業学会誌, 23(7), p.283 - 287, 1976/07
高崎研究所で設計、製作したサイロ型中規模米麦照射装置を用い、米について実際に殺虫試験および照射米の官能検査を行なった。本装置は棒状のC-60線源(277/Ci)の周囲に同心円状に3つの照射領域を有し、線量の調節は、米麦の流速を各領域ごとに仕切弁で制御することにより行なう構造となっている。試料米には46年群馬県産「日本睛」玄米を用い、線量は8~21kradとした。殺虫試験ではコクゾウの成虫およびカルチャーを各照射領域に混入して照射した。成虫はいずれの領域のものも、照射後7日間で約85%、21日後でほとんど完全に死滅した。また、卵、幼虫、蛹からの成虫羽化は認められなかった。官能検査では大量に照射した玄米のなかから一部を精白して試料とした。照射米は照射直後において粘りについて5%の危険率の下に、非照射米より若干劣っていたが、3ヵ月貯蔵後では試験項目すべてにわたって有意差は認められなかった。
渡辺 宏; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 23(7), p.300 - 305, 1976/07
温州ミカンの放射線殺菌のための線質を選定する目的で、線および電子線で照射したミカンの風味の変化と、線照射したミカンの貯蔵性について検討した。線で50krad照射したミカンは照射直後にoff-flavorを生じるが、4C7日間貯蔵すれば、非照射試料との間で有意差は認められなかった。また200krad照射しても貯蔵中にoff-fravorが減少する傾向がみられた。電子線では逆に甘味が増し、非照射よりも高い評価を与えた。カビの発生を抑制できる線量は200kradであり、3C貯蔵で3ヶ月間はカビの発生はみられない。しかし低温貯蔵中でも照射によって表皮の褐変発生率は増加し、線量に依存した。低温貯蔵後室温に移すと200krad線照射したミカンではカビや褐変の発生が増加し、さらに組織の軟化や萎縮が著しく、食用に絶えない程品質が劣化した。低温貯蔵後の室温貯蔵中での著しい品質の低下と、低温貯蔵中での褐変の発生を考えると、温州ミカンの殺菌には線照射は適用できない。
久米 民和; 橘 宏行; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
JAERI-M 6408, 9 Pages, 1976/02
線照射による馬鈴薯の発芽防止必要最低線量および実用照射で使用可能と考えられる線量率範囲における線量率効果の有無について、北海道士幌産の「男爵」種を用いて検討した。48年産試料について4~7kradの照射を行ない、照射後6か月間(収穫後約8か月)貯蔵した。室温貯蔵(1~24C)の場合、4~5kradでは腐敗粒を除く全ての試料に発芽が認められたが、6kradおよび7kradではほとんど発芽は認められなかった。4Cで6か月間貯蔵後とほぼ同じ結果が得られた。これらのことから馬鈴薯の発芽防止に必要な最低線量は6kradであると考えられた。48年産および49年産試料について、510~110rad/hrの線量率を用いて5~7krad照射して貯蔵試験を行なった結果、線量率相異による発芽率に大きな差は認められず、この線量率範囲でにおける線量率効果はほとんどないと考えられた。
伊藤 均; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
食品照射, 11(1-2), p.33 - 39, 1976/02
特定総合研究用に特別調製した保存料無添加のウィンナーソーセージはすでに報告したように市販ソーセージとは異なったミクロフローラを構成している。この特別調製のソーセージに照射後生残する主要なネト発生原因菌はMoratellaとAcinetobacterのIntermediate typeと思われるグラム陰性の二連球桿菌と酵母菌であり、いずれも好気性菌である。そこで酸素ガス透過度が大きく異なるポリセロとEG-Qに窒素ガス置換して包装した場合に貯蔵中の微生物増殖を総菌数で比較すると、非照射では両者とも差がなく2~3日で10個/gに達しネトが認められるようになった。ところが、照射ソーセージでは10個/gに達する期間はポリセロの300kradで4~5日、500kradで7~8日であったのに対し、酸素ガス透過度の少ないEG-Qではその期間が延長され300kradで7~10日、500kradで15日以上になった。
渡辺 宏; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
食品照射, 11(1-2), p.39 - 45, 1976/02
0.2~1.5MeVの範囲で電子線エネルギーを変化させ、エネルギーと褐度発生との相関、ならびに各エネルギーでのカビ抑制効果について検討した。ミカン表面を200krad照射し、3Cで3ヶ月間貯蔵すると、褐度発生率は0.2MeVでは非照射と同じで10%であったが、0.5MeVでは非照射の1.4倍、0.9MeVでは1.8倍、1.5MeVでは2.7倍となり、エネルギーが高くなるほど褐度発生率は増加した。カビ発生の抑制効果は0.2MeVでも幾分認められるが、0.5MeVが最も効果が大きく、0.9MeVや1.5MeV逆に低下した。一般市場への移送を考慮し、照射後3Cに3か月貯蔵した試料をさらに、16~25C室温で1週間貯蔵した場合のカビと褐度の発生率をしらべた結果、0.5MeV照射区でカビや褐度の発生が最も少なく、0.2MeV、0.9MeV、1.5MeVではカビの発生が著しかった。また線量率効果はみられず、照射前後の加熱処理(52C、5分)はカビの発生と褐度の発生を増加させた。電子線の透過性と殺菌効果について考察した。
渡辺 宏; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
Agricultural and Biological Chemistry, 40(1), p.9 - 15, 1976/01
廃糖蜜中のビオチンを線によって効果的に失活させるために、先ず、ビオチンの失活に対する水の放射線分解生成物の相対的な関与について検討を行なった。各種ラジカルとイオンのG値当りの失活効率は中性溶液中でそれぞれOH=0.73、H=0.10、Eaq=0.02、O=0.64であった。OHラジカルがビオチンの失活に最も効果的であった。Eaqはビオチンの失活にはほとんど寄与しないが、酸素と反応してOイオンになると、ほぼOHに近い効率でビオチンを失活させることが明らかとなった。また分子状生成物のHやHOなどはビオチンの活性に全く影響を与えなかった。無酸素中性溶液中ではビオチンの失活は大部分OHラジカルによっており、失活のG値は2.08であるが、いっぽう、溶存酸素下ではOイオンの効果も大きく、そのG値は4.16となった。したがってビオチンを効率よく失活させるためには、酸素飽和、酸性溶液中で照射することが望ましい。
佐藤 友太郎*; 青木 章平
放射線と産業, (1), p.10 - 15, 1976/01
放射線による馬鈴薯の発芽防止について、士幌照射施設創業開始までの経緯,施設の概要および照射実績などを中心に紹介した。実用化成功の理由としては、第1に馬鈴薯の発芽防止を端緒として生鮮農産物の流通利用面の安定化をはかろうという農政の目標の一つに合致したため農林省その他の援助が得られたこと。第2に実用化までの研究が食品照射特定総合研究として各分野の研究機関の緊密な協力の下に推進されたため比較的短期間のうちに必要なデーターが蓄積されたこと。第3に照射の位置づけを生産,貯蔵,輸送,販売,消費という一連の流通過程に関係づけて考えたことなどが挙げられる。産業面からみた今後の課題としては馬鈴薯照射時期以外のアイドルタイムをいかに利用したらよいかという問題が残されている。
久米 民和; 青木 章平; 伊藤 均; 渡辺 宏; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 22(12), p.577 - 581, 1975/12
203030cmのpackageにウィンナーソーセージを詰めて(平均密度0.27g/cm)、線を照射したときのpackage内の吸収線量分布を鉄線量計およびPMMAを用いて測定し、package irradiationにより大量の試料を均一に照射するための諸条件の検討を行なった。線源と平行方向における吸収線量は線源の中心線付近ではほぼ均一であった。線量率510R/hrの位置における高さ方向のDmax/Dminは1.10であり、空間のDmax/Dmin1.11とほぼ一致した。この結果から高さ方向の線量不均一性には空間の線量分布がそのまま影響していると考えられるので、線源の比放射能分布や高さをかえるあるいはpackageの高さを低くすることにより高さ方向の線量不均一性を小さくすることができると考えられた。深さ方向に関しては大線源を用いて低線量率で照射することにより均一性をよくすることができ、140,000Ciの線源を用いて1.710R/hrの位置で反転照射した場合、Dmax/Dmin1.13すなわち6%程度の線量均一度で照射可能であった。