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山本 啓介; 中川 拓哉; 下条 裕人; 木島 惇; 三浦 大矢; 小野瀬 芳彦*; 難波 浩司*; 内田 広明*; 坂本 和彦*; 小野 千佳*; et al.
JAEA-Technology 2024-019, 211 Pages, 2025/02
日本原子力研究開発機構(以下、「JAEA」という。)核燃料サイクル工学研究所旧ウラン濃縮施設は、遠心分離法によるウラン濃縮技術を確立させるための技術開発を本格的に行う目的で建設された施設であり、単機遠心分離機の開発、遠心機材料の開発及び遠心機によるウラン濃縮処理を主に実施したG棟及びG棟に付属するH棟、遠心分離機の小規模カスケード試験を行っていたJ棟、遠心分離機の寿命試験を行っていたL棟、その他ウラン貯蔵施設、廃棄物保管施設、廃水処理施設など複数の施設で構成されていた。これらの施設におけるウラン濃縮技術開発は、開発技術の日本原燃(株)のウラン濃縮工場及びウラン濃縮技術開発センターへの技術移転が完了し、JAEAにおける技術開発の当初の目的が達成されたため、平成13年に終了した。廃水処理室は、昭和51年に建設され、旧ウラン濃縮施設で発生した放射性廃水の処理を行ってきたが、平成20年度に廃水処理室以外の施設に廃水処理設備が整備されて以降は、施設のバックアップ的な位置づけとして維持管理されてきた。さらに、昨今においては、他の施設における廃水処理の実績等からバックアップとしての必要性が無くなり、施設も建設後約48年が経過し、老朽化も進んでいたことから、施設中長期計画に基づき同施設を廃止措置することになり、令和3年11月から令和5年8月に内装設備の解体撤去を行った。本報告は令和5年9月から令和6年3月に行った管理区域解除のための放射線測定に係る実積と関連する知見をまとめたものである。
石井 裕太*; 坂倉 輝俊*; 石川 喜久*; 鬼柳 亮嗣; Lustikova, J.*; 青山 拓也*; 大串 研也*; 若林 裕助*; 木村 宏之*; 野田 幸男*
Physical Review B, 110(18), p.184404_1 - 184404_7, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)Neutron-scattering measurements were employed to investigate the magnetic ordering in TbGd
Mn
O
(x = 0.485) enriched with the
Gd isotope, a member of multiferroic RMn
O
(R = rare-earth element) compounds. This material, at low temperatures, exhibits commensurate magnetic (CM) ordering, which drives electric polarization. Notably, electric polarization diminishes as the temperature decreases further, while the CM ordering persists. Magnetic structure analyses revealed that a cycloidal magnetic structure along the c axis transforms into a sinusoidal-like structure, resulting in the nonferroelectric phase, whereas a collinear magnetic structure in the ab plane exhibits no significant change. The findings suggest that the cycloidal magnetic structure plays a key role in inducing electric polarization in the CM ordering of the present material.
石川 諒尚; 古場 裕介*; 古田 琢哉; Chang, W.*; 米内 俊祐*; 松本 真之介*; 橋本 慎太郎; 平井 悠大*; 佐藤 達彦
Radiological Physics and Technology, 17(2), p.553 - 560, 2024/06
At the Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba (HIMAC), a series of retrospective studies are ongoing in patients treated with carbon ion radiotherapy (CIRT) to obtain the knowledge to improve tumor control and reveal the mechanism of the low risk of secondary cancer after CIRT. Dose-averaged linear energy transfer (LET) is generally used as a measure of treatment effectiveness or biological effects in such retrospective studies; however, it is conventionally evaluated from the relative biological effectiveness (RBE)-LET
fitted function used in the treatment planning system. In this study, we calculated the physical doses and their linear energy transfer (LET) distributions for a series of treatment plans for a homogeneous rectangular phantom and a human body phantom with typical CIRT beams using Monte Carlo (MC) simulation. The LET
was then deduced from the MC simulation and compared with the corresponding data obtained using the conventional method. The comparison suggested that the two types of LET
agreed well with each other, except around the distal end of the spread-out Bragg peak, where the MC simulation yielded significantly higher LET
values than that of the conventional method. This is because the RBE-LET
fitted function adopted in the conventional method ignores the contribution of the high-LET components, causing an overkill effect. Furthermore, an MC simulation was conducted to determine the material composition of water and realistic materials from the CT number in the planned image. The profiles of physical dose and LET
were in good agreement for both techniques. These results indicate the possibility of enhancing the efficiency of retrospective studies of CIRT using MC simulations in the future.
古田 琢哉; 古場 裕介*; 橋本 慎太郎; Chang, W.*; 米内 俊祐*; 松本 真之介*; 石川 諒尚*; 佐藤 達彦
Physics in Medicine & Biology, 67(14), p.145002_1 - 145002_15, 2022/07
被引用回数:8 パーセンタイル:68.93(Engineering, Biomedical)炭素線治療は従来の放射線治療よりも腫瘍部への線量集中性に関する優位性を持つが、二次的ながんの発生原因となり得る正常組織への照射を完全に無くすことは困難である。そのため、発がんリスクを照射炭素ビームの核反応によって生成される二次粒子による線量まで含めて評価するには、計算シミュレーション解析が有効となる。本研究では、PHITSコードを中核とした炭素線治療の線量再構築システムを開発した。このシステムでは、治療計画を記録したDICOMデータから自動でPHITSの入力ファイルを作成し、PHITSシミュレーションの実行によって腫瘍および周辺正常組織での線量分布を計算する。PHITSの様々な機能を利用することで、粒子毎の線量寄与や二次粒子の発生場所の特定など、詳細な解析が実施可能である。開発したシステムの妥当性は、水中での線量分布の実験結果や人体等価ファントムへの治療計画との比較により確認した。今後、本システムは量子科学技術研究開発機構において、過去の治療データを用いたシミュレーション解析による遡及的研究に利用される予定である。
富安 啓輔*; 伊藤 菜緒子*; 岡崎 竜二*; 高橋 佑生*; 小野寺 貢*; 岩佐 和晃*; 野島 勉*; 青山 拓也*; 大串 研也*; 石川 喜久*; et al.
Advanced Quantum Technologies (Internet), 1(3), p.1800057_1 - 1800057_7, 2018/12
スピンクロスオーバーとしても知られるスピン状態転移は、様々な物質において重要な役割をもつ。理論的に、低スピンと高スピン状態の境界近傍では、従来とは異なる物理状態を引き起こすと予想されている。しかしながら、外場を印加せずに、基底状態としてほぼ縮退した臨界の状態を実現する系は、いまだに実験的には確認されていない。本研究は、LaCoOへのSc置換が、非磁性の低スピン状態を不安定化させ、トランスポートギャップのエンハンスメントと磁気格子膨張、Co-O距離の縮みを伴う異常な常磁性状態を生み出すことを明らかにした。これらの現象は、通常の低スピン・高スピン状態の混合状態ではよく説明できず、スピン状態転移の境界で生じる量子重ね合わせで記述することができる。
川村 英之; 古野 朗子; 小林 卓也; 印 貞治*; 中山 智治*; 石川 洋一*; 宮澤 康正*; 碓氷 典久*
Journal of Environmental Radioactivity, 180, p.36 - 58, 2017/12
被引用回数:13 パーセンタイル:33.69(Environmental Sciences)本研究では、単一の海洋拡散モデルと複数の海洋大循環モデルを使用して、福島第一原子力発電所事故起因のセシウム137の海洋拡散相互比較シミュレーションを実施した。シミュレーション結果は、福島県沿岸、日本沖合及び外洋で観測されたセシウム137濃度を比較的良好に再現していることが確認された。セシウム137は事故後数か月間は沿岸を南北方向に拡散し、その後、黒潮や黒潮続流により沖合へ拡散されたことが、福島県沿岸、日本沖合及び外洋を対象とした海洋拡散相互比較シミュレーションにより共通して示唆された。事故から1年間のセシウム137の海洋中存在量を定量化することにより、セシウム137が活発に福島県沿岸及び日本沖合から外洋へ拡散し、同時に海洋の浅い層から深い層へ拡散したことが示唆された。
古田 琢哉; 前山 拓哉*; 石川 顕一*; 福西 暢尚*; 深作 和明*; 高木 周*; 野田 茂穂*; 姫野 龍太郎*; 林 慎一郎*
Physics in Medicine & Biology, 60(16), p.6531 - 6546, 2015/08
被引用回数:24 パーセンタイル:68.90(Engineering, Biomedical)現在の粒子線がん治療の治療計画に用いられている簡易的な線量解析では、軟組織と骨の境界等の不均質な領域で線量分布の再現性が低いことが知られており、より高精度なモンテカルロ計算による治療計画の実現が求められている。そこで、現状のモンテカルロ計算による線量解析で、治療に即した状況での精度を検証することを目的として、生体物質中での線量分布を実験により比較検証した。具体的には、生体物質として骨付き鶏肉を用意し、これを挿入した容器の背後にPAGATゲル線量計を配置し、炭素線ビームを前方から照射することで、不均質な生体物質を通り抜けた炭素線によってゲル線量計内に形成される複雑な線量分布の比較を行った。シミュレーションではCTイメージから再構成された生体物質を含む実験環境を模擬し、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて炭素線の輸送を計算することで、ゲル線量計内の線量分布を導出した。その結果、実験での炭素線の飛程端が作る複雑な線量分布の構造について、シミュレーションにより2mm程度の違いの範囲でよく再現できることを示した。
小林 卓也; 印 貞治*; 石川 洋一*
Journal of Nuclear Science and Technology, 52(6), p.769 - 772, 2015/06
被引用回数:1 パーセンタイル:8.75(Nuclear Science & Technology)東京電力福島第一原子力発電所(F1NPP)事故は、大量の放射性物質を大気・海洋環境へ放出する結果となった。2014年8月時点でF1NPPに滞留・貯留している汚染水は、タービン建屋、海側トレンチ、海側地下水、貯留設備等に存在する。これらの汚染水が海洋へ漏洩する可能性に備え、漏洩した放射性物質の日本の沿岸域及び日本周辺の海洋における移行過程を事前に把握しておくことは、漏えいによる海洋汚染範囲の予測や、迅速なモニタリング計画の策定に対して有効である。そこで原子力機構ではF1NPPから漏洩する汚染水の拡散の概略を把握するために、単位放出率の仮想放出シミュレーションを季節ごとに実行し、アンサンブル平均を求めて海洋拡散相対濃度マップを作成した。マップの検証として、2つの異なる季節における実際の放出事象に適用し、実測値をよく再現することを確認した。
古田 琢哉; 佐藤 達彦; 小川 達彦; 仁井田 浩二*; 石川 顕一*; 野田 茂穂*; 高木 周*; 前山 拓哉*; 福西 暢尚*; 深作 和明*; et al.
Proceedings of Joint International Conference on Mathematics and Computation, Supercomputing in Nuclear Applications and the Monte Carlo Method (M&C + SNA + MC 2015) (CD-ROM), 9 Pages, 2015/04
粒子・重イオン輸送計算コードPHITSには計算時間短縮のために、二種類の並列計算機能が組み込まれている。一つはメッセージパッシングインターフェイス(MPI)を利用した分散メモリ型並列計算機能であり、もう一つはOpenMP指示文を利用した共有メモリ型並列計算機能である。それぞれの機能には利点と欠点があり、PHITSでは両方の機能を組み込むことで、利用者のニーズに合わせた並列計算が可能である。また、最大並列数が8から16程度のノードを一つの単位として、数千から数万というノード数で構成されるスーパーコンピュータでは、同一ノード内ではOpenMP、ノード間ではMPIの並列機能を使用するハイブリッド型での並列計算も可能である。それぞれの並列機能の動作について解説するとともにワークステーションや京コンピュータを使用した適用例について示す。
前山 拓哉*; 福西 暢尚*; 石川 顕一*; 古田 琢哉; 深作 和明*; 高木 周*; 野田 茂穂*; 姫野 龍太郎*; 福田 茂一*
Radiation Physics and Chemistry, 107, p.7 - 11, 2015/02
被引用回数:17 パーセンタイル:77.67(Chemistry, Physical)粒子線治療で正常組織への不要な照射を避けるため、照射による三次元線量分布の正確な測定の重要性が増している。そこで、代表的なゲル線量計であるVIPポリマーゲル線量計について、炭素線照射による三次元線量分布の測定への適用性を調べた。ゲル線量計は放射線照射後のMRI分析で線量分布を読み出すことができるが、線量とMRIシグナルの比例関係は線量に寄与する放射線の線エネルギー付与(LET)により変化する。本研究でも、炭素線のLETのエネルギー依存性から、ブラッグピークのようにエネルギーが大きく変化する場合、MRI分析の結果から線量分布へ単純に変換できないことを確認した。さらに、入射エネルギーが違う場合、同じ線量平均LETを持つブラッグピークの深さでも、線量とMRIシグナルとの関係が異なることが分かった。これは核反応で生じる二次粒子の寄与によるものであり、本研究により、線量とMRIシグナルの関係付けにおいて、先行研究で示された線量平均LETを指標とするのではなく、線量に寄与する各粒子のLETに着目する必要があることを解明した。また、この関係を用いることで、実測で得られるMRIシグナル分布をPHITSコードにより、再現できることを示した。
川村 英之; 小林 卓也; 西川 史朗*; 石川 洋一*; 碓氷 典久*; 蒲地 政文*; 麻生 紀子*; 田中 裕介*; 淡路 敏之*
Global Environmental Research (Internet), 18(1), p.81 - 96, 2014/09
2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波により東北地方から北太平洋へ流出した洋上漂流物に関して、北太平洋における分布を再現・予報するため、漂流シミュレーションを実施した。その結果、洋上漂流物は最初は黒潮続流と西風により主に東に流されながら、海洋の渦と大気擾乱により南北方向にも広がったと示唆された。浮遊性の高い洋上漂流物は、海流よりも海上風の影響をより強く受けて北太平洋上に広がり、2011年の秋頃には北アメリカ大陸西岸に到着したと考えられる。北アメリカ大陸周辺の洋上漂流物は大気圧の季節変動の影響を受けて広がったことが示唆された。また、予報シミュレーションにより、北アメリカ大陸からフィリピン諸島にかけて、洋上漂流物が帯状に広がることが予報された。
川村 英之; 小林 卓也; 古野 朗子; 碓氷 典久*; 蒲地 政文*; 西川 史朗*; 石川 洋一*
Proceedings of 19th Pacific Basin Nuclear Conference (PBNC 2014) (USB Flash Drive), 7 Pages, 2014/08
福島第一原子力発電所から放出された放射性セシウムの濃度を明らかにするため、2011年3月から2013年9月における北太平洋の海洋拡散シミュレーションを行った。一般的に、放射性セシウムの海洋拡散シミュレーションでは、海流のような海況データが濃度分布に大きな影響を与える。本研究では、2種類の独立した海況データを使用して海洋拡散シミュレーションを行った。その結果、福島第一原子力発電所事故から約2年後には北太平洋におけるCs濃度は事故前のバックグラウンドレベル以下になったことが2つの海洋拡散シミュレーションから示唆された。また、海洋拡散シミュレーションの相互比較から、黒潮続流域の中規模渦が海表面における放射性セシウム濃度を効果的に希釈したことが示唆された。さらに、中規模渦に伴う強い下降流が放射性セシウムを中層に輸送したことが示唆され、この現象は将来の北太平洋における放射性セシウム濃度を評価する上で重要なことだと考えられる。
篠嶋 妥*; 安島 直紀*; 長田 卓也*; 石川 法人; 岩瀬 彰宏*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 316, p.176 - 182, 2013/12
被引用回数:5 パーセンタイル:36.92(Instruments & Instrumentation)核燃料の初期燃焼を制御するために添加される(中性子吸収断面積の高い)GdO
による照射影響の違いを調べるために、Gd
O
添加した核燃料模擬物質CeO
における高速重粒子照射の分子動力学シミュレーションを行った。高速重粒子の通過の0.3ピコ秒後、通過軌跡付近が非晶質化し、3ピコ秒後には急速に結晶が回復する現象が見られた。Gd
O
添加に伴い、照射損傷が顕著になる傾向が観測され、過去の照射実験結果と同じ傾向であることが分かった。
篠嶋 妥*; 安島 直紀*; 長田 卓也*; 石川 法人; 岩瀬 彰宏*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 314, p.202 - 207, 2013/11
被引用回数:10 パーセンタイル:58.46(Instruments & Instrumentation)高エネルギー核分裂片の通過が核燃料中の照射損傷に至るメカニズムを解明するために、蛍石型結晶であるCeOを対象とした計算シミュレーションを行った。照射に伴う原子変位プロセスは高速であり、分子動力学法による計算シミュレーションは有効な研究手法である。具体的には、高エネルギー粒子を照射したCeO
単結晶について、粒子の軌跡に沿って高密度のエネルギーが付与される初期条件を想定して、数pico秒の間に結晶構造がどのように変化するのかを分子動力学法による計算シミュレーションにより調べた。付与されたエネルギーが、蛍石型結晶中の原子の運動エネルギーに変換され、sub-pico秒の間に(エネルギーを付与した領域が)アモルファス化し、さらに数pico秒後には結晶性が急速に回復するふるまいが、CeO
について観測された。動径分布関数の時間依存性解析を行い、いったん短距離秩序の消失した状態(アモルファス状態)が、さらに時間が進み数pico秒後には急速に結晶回復する挙動が、動径分布関数のピークの復元の観点からも確認できた。UO
の動径分布関数変化と比較すると、UO
よりもCeO
の方が回復の度合いが高いことが示唆された。
篠嶋 妥*; 長田 卓也*; 石川 法人; 岩瀬 彰宏*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 314, p.195 - 201, 2013/11
被引用回数:5 パーセンタイル:36.92(Instruments & Instrumentation)高エネルギーイオン照射による単結晶ウラン酸化物における結晶構造変化について、分子動力学法によって計算シミュレーションを行った。具体的には、一つのイオンが試料内を通過して試料に高密度のエネルギーが付与されることによって最終的に結晶構造がどう変化するかを調べるために、高密度のエネルギーを試料中心部のナノメートル半径の柱状領域だけに付与し、その時点から数psecまでの試料全体の結晶構造の変化を調べた。sub-psecの時間範囲においては、エネルギーを付与した領域だけでなく周りの原子まで運動エネルギーが分配され、比較的大きい柱状領域内の結晶構造が崩れて非晶質になった。さらに数psecまで時間が進むと、非晶質だった領域の周辺部から結晶性が急速に回復し、最終的には狭い領域が結晶性の乱れた領域として残るということが分かった。ウラン副格子はほぼ完全に回復し、酸素副格子だけが結晶性の乱れた状態として残ることもわかった。付与したエネルギー付与密度と、最終的に残る結晶性の乱れた柱状領域の寸法との関係が、定性的には熱スパイクモデルで予測される関数系と一致することがわかった。
川村 英之; 小林 卓也; 古野 朗子; 印 貞治*; 石川 洋一*; 中山 智治*; 島 茂樹*; 淡路 敏之*
Reports of Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University, (143), p.111 - 117, 2012/09
2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により、周辺環境へ放射性核種が放出された。日本原子力研究開発機構では、事故当時からこれらの放射性核種が海洋環境へ与える影響を評価するため、海洋中放射性核種移行モデルと海洋大循環モデルを用いて数値シミュレーションを行ってきた。本研究では、事故後の約2か月間における放射性核種の移行を当時の海況場と関連させて解析を行った。その結果、おもに3月中旬に大気中へ放出された放射性核種は日本の東方向の太平洋の海表面に沈着し、それらが黒潮続流や海洋中規模渦等の海流により移行されたことが示唆される。また、福島第一原子力発電所から海洋中へ直接放出された放射性核種は、おもに沿岸に沿って南下し、その後は黒潮続流により拡散されながら東に輸送されたと考えられる。
坂本 健作; 清水 大志; 鶴岡 卓哉*; 根本 俊行*; 石川 直太*
JAEA-Testing 2011-005, 88 Pages, 2011/11
日本原子力研究開発機構では、計算科学を活用した原子力の研究開発を加速するため、平成22年3月に旧システム(総理論演算性能15.3Tflops)を刷新し、国内最大規模となる総理論演算性能200Tflopsの大規模Linuxクラスタシステム(PRIMERGY BX900)と、総理論演算性能12Tflopsの次世代計算機プロトタイプ機(FX1)等からなるスーパーコンピュータシステム一式を導入、これらの運用を開始した。BX900は旺盛な計算需要に応えること、FX1は次世代スーパーコンピュータ(京コンピュータ)の利用に向けた原子力アプリケーションのチューニング環境を提供することを目的としている。本稿では、このスーパーコンピュータシステムの基本性能の評価結果について報告する。
川村 英之; 小林 卓也; 古野 朗子; 印 貞治*; 石川 洋一*; 中山 智治*; 島 茂樹*; 淡路 敏之*
Journal of Nuclear Science and Technology, 48(11), p.1349 - 1356, 2011/11
被引用回数:191 パーセンタイル:99.76(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所の事故により海洋中へ放出されたIと
Csの移行を数値シミュレーションにより計算した。計算結果は、海洋モニタリングで得られた観測点における放射性核種の時系列と良い一致を示した。また、4月上旬に北茨城市沖で採取されたコウナゴ内で検出された高濃度の
Iは大気から海洋表面へ沈着した
Iが原因であることが示唆された。さらに、太平洋の日本の東海域における放射性核種の濃度分布を計算し、3月中旬に大気中へ放出された放射性核種の海表面への沈着の影響が大きいことを示唆した。
小林 卓也; 印 貞治*; 石川 洋一*; 川村 英之; 中山 智治*; 島 茂樹*; 淡路 敏之*; 外川 織彦
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 2, p.682 - 687, 2011/10
青森県六ヶ所村に立地する使用済燃料再処理施設は、近い将来に稼動する。再処理施設の通常運転時には、放射性廃液が海洋放出口から計画的に沿岸域に放出される。放出された放射性核種は、海洋中を物理・化学・生物過程を経て移行する。そのため再処理施設から沿岸海洋へ通常放出される放射性核種の移行挙動を理解することは、環境安全の観点からも重要である。そこで、海洋大循環モデルと海洋中放射性物質移行モデルから構成される六ヶ所海域における放射性核種の移行挙動を予測する計算システムを開発した。海洋大循環モデルは、4次元データ同化手法と3段のネスティング手法を用いるために高速の計算機環境が必要である。海洋中放射性物質移行モデルには、溶存態と懸濁態との吸脱着過程を取り扱う吸脱着モデルと、鉛直重力噴流モデルをコード化した。適用計算として2007年の海況場を再現し、仮想的な放射性物質の拡散実験を実施した。
茶竹 俊行*; 佐崎 元*; 亀甲 龍彦*; 藤原 悟; 石川 卓哉*; 松本 治*; 森本 幸生*
Crystal Growth & Design, 10(3), p.1090 - 1095, 2010/03
被引用回数:4 パーセンタイル:47.60(Chemistry, Multidisciplinary)温度上昇により二本鎖DNAから一本鎖DNAへの転移が起こる熱的可逆過程を用いたDNA結晶化技術を提案した。DNA8量体(dCGCGCG)結晶の溶解度及びその融解点と二本鎖DNAから一本鎖DNAへの転移過程の関係を調べた結果、この転移過程が溶解度上昇を引き起こすことが明らかとなった。この温度による溶解度制御技術を用いることにより、少量のDNAから良質の単結晶が生成できることが示された。簡単に適用可能なこの方法は、高価な装置を用いることなく結晶の溶解度を制御できるという点で、従来の蒸気拡散法より優れている。