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池之上 翼; 川村 英之; 上平 雄基
Journal of Nuclear Science and Technology, 11 Pages, 2022/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所から仮想的に放出された溶存放射性核種の海洋拡散について、長期海洋再解析データを用いて数値シミュレーションを実施した。シミュレーション結果に基づいて統計的に解析を行い、海洋における溶存放射性核種の挙動の特徴と傾向を評価した。福島沿岸海域の放出地点における表層流の南北成分と黒潮続流は、それぞれ福島沿岸海域の表層における放射性核種の南北方向の輸送と沖合の表層における放射性核種の東方向の輸送に大きく影響した。沿岸から沖合にかけての表層における運動エネルギーが大きいと表層における放射性核種の拡散範囲が大きくなる傾向があった。夏季(7-9月)には、福島沿岸海域での表層における放射性核種の南向き輸送によって黒潮続流に取り込まれる放射性核種の頻度の増加と表層における運動エネルギーが大きいことにより、表層における放射性核種の拡散範囲が大きくなった。冬季(1-3月)には、福島沿岸海域での表層における放射性核種の北向き輸送によって黒潮続流に取り込まれる放射性核種の頻度の減少と表面運動エネルギーが小さいことにより、表層における放射性核種の拡散範囲が小さくなった。
乙坂 重嘉*; 上平 雄基; 池之上 翼; 川村 英之
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(4), p.409 - 423, 2022/04
被引用回数:2 パーセンタイル:51.67(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所(FDNPP)の事故後、様々な観点から多くの海洋観測、シミュレーションによる事故起源放射性核種の動態研究が行われた。事故由来の放射性核種の海洋への輸送過程には、(1)海洋への直接排出、(2)大気を経由した海洋への沈着、(3)陸面に沈着した後の河川からの流入がある。主要な事故由来放射性核種の一つであるCs-137(Cs)の場合、事故直後の海洋への供給量(8-21PBq)のほとんどが(1)と(2)のプロセスによるものと推定されている。海底に蓄積された
Csの量は、海洋に運ばれた量の約1%(0.2PBq)に過ぎないが、沿岸部の堆積物に長期間残留し、徐々に海水や海底付近の生態系に移行すると考えられる。
上平 雄基; 内山 雄介*; 川村 英之; 小林 卓也; 乙坂 重嘉*
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106724_1 - 106724_16, 2021/11
被引用回数:5 パーセンタイル:56.91(Environmental Sciences)放射性核種の海水及び海底堆積物間の移行を考慮した3次元海洋拡散モデルを開発した。福島沿岸の海底堆積物中のCs-137の再解析を行い、福島第一原子力発電所事故に由来する溶存態Cs-137の海底堆積物への移行メカニズムを調べた。モデルと観測データの比較により、モデルが海洋構造と海水および海底堆積物中のCs-137濃度を十分に再現できることが示された。また、事故後の福島沿岸の堆積物中のCs-137分布は、原発からのCs-137直接海洋放出の影響が顕著であった2011年6月までに、主に溶存相からの吸着により形成されたことが示された。
門脇 正尚; 古野 朗子; 永井 晴康; 川村 英之; 寺田 宏明; 都築 克紀; El-Asaad, H.
Journal of Environmental Radioactivity, 237, p.106704_1 - 106704_18, 2021/10
被引用回数:1 パーセンタイル:13.23(Environmental Sciences)本研究では、局所規模の大気拡散シミュレーションと観測から推定した福島第一原子力発電所(1F)事故のCsのソースタームの、大規模の大気拡散に対する妥当性を確認することを目的として、大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBを用いた半球スケールの大気拡散シミュレーションと海洋拡散モデルSEA-GEARN-FDMを用いた海洋拡散シミュレーションを実施した。大気拡散シミュレーションの結果は、観測値の
Csの大気中濃度を一部過大評価したものの、全体として観測値を良好に再現した。また、海洋拡散シミュレーション結果は、北太平洋で観測された
Csの海水中濃度を過小評価した。本研究では、大気拡散シミュレーションから得られた
Cs沈着量を海洋拡散シミュレーションで用いており、
Csの海水中濃度の過小評価は海洋へ沈着した
Csが少なかったことが原因だと示された。大気拡散シミュレーションに用いた降水の再現性を向上させることで、
Csの大気中濃度の過大評価と海水中濃度の過小評価をそれぞれ改善することができると考えられ、本研究で検証されたソースタームは、1F事故による
Csの局所規模の大気拡散シミュレーションと大規模の大気拡散シミュレーションの両方で有効であることが示された。
奥村 拓馬*; 東 俊行*; Bennet, D. A.*; Caradonna, P.*; Chiu, I. H.*; Doriese, W. B.*; Durkin, M. S.*; Fowler, J. W.*; Gard, J. D.*; 橋本 直; et al.
Physical Review Letters, 127(5), p.053001_1 - 053001_7, 2021/07
被引用回数:3 パーセンタイル:56.25(Physics, Multidisciplinary)超伝導遷移エッジ型センサーマイクロカロリメーターを用いて、鉄のミュー原子から放出される電子X線を観測した。FWHMでの5.2eVのエネルギー分解能により、電子特性
および
X線の非対称の広いプロファイルを約6keVの超衛星線
線とともに観察することができた。このスペクトルは、電子のサイドフィードを伴う、負ミュオンと
殻電子による核電荷の時間依存スクリーニングを反映している。シミュレーションによると、このデータは電子
殻および
殻の正孔生成と、ミュオンカスケードプロセス中のそれらの時間発展を明確に示している。
川村 英之; 広瀬 直毅*; 中山 智治*; 伊藤 集通
JAEA-Data/Code 2021-004, 34 Pages, 2021/05
日本原子力研究開発機構は1999年10月から2008年1月の期間中、津軽海峡を航行するフェリーに設置した超音波流速計を使用して、当該海域における海流調査を実施した。津軽海峡における海流の特徴を把握することは、周辺に立地する原子力施設から放出される放射性物質の海洋拡散を予測する上で重要なことである。さらに、津軽暖流のメカニズムを解明することは、海洋学の観点からも非常に興味深いことである。本調査で整備した海流のデータセットは日毎のデータファイルから構成されており、各データファイルには表層から底層までの流速の東西・南北成分が記録されている。データが欠損している期間があるが、データセットには1999年10月から2008年1月まで合計2,211日分のデータファイルが格納されている。本報では、ユーザーが適切にデータセットを解析するために必要な情報を記載している。第1章では、海流調査の背景と目的を述べる。第2章では、超音波流速計を使用した調査方法について説明する。第3章では、データファイルのレコード形式とデータ取得率について説明するとともに、解析結果の一例を示す。最後に、第4章で本報の結論を述べる。
小林 卓也; 川村 英之; 上平 雄基
日本原子力学会誌ATOMO, 62(11), p.635 - 639, 2020/11
原子力事故により海洋へ放出される放射性物質の移行過程を予測することは、近年原子力施設の立地が進む東アジア諸国の周辺海域において重要なことである。原子力機構は、放射性物質の海洋拡散モデルを基盤とした緊急時海洋環境放射能評価システムを開発した。本システムは、海象予測オンラインデータを活用して、東アジア諸国の周辺海域における放射性物質の海洋拡散を迅速に予測するものである。これまでに、システムで実行される海洋拡散予測の精度を定量的に評価するとともに、アンサンブル予測手法を導入することで予測精度が向上することを示した。さらに、領域海洋モデリングシステムを用いて沿岸域を対象とした高分解能モデルを導入する等、システムの高度化を継続している。
川村 英之; 上平 雄基; 小林 卓也
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(4), p.472 - 485, 2020/04
被引用回数:2 パーセンタイル:26.98(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究開発機構は、原子力施設等から放出される放射性核種の日本近海における海洋拡散を予測するため、緊急時海洋環境放射能評価システムを開発した。本研究の目的は、これまでに蓄積した海況の予測データと再解析データを使用して、緊急時海洋環境放射能評価システムの予測精度を検証することである。再解析データは、データ同化により最適化されたものであり、過去の事象を解析するのに信頼性が高いため、再解析データを入力した海洋拡散シミュレーションの結果を真値と仮定した。予測精度の検証は、福島第一原子力発電所から放出されるセシウム137を想定した海洋拡散シミュレーションにより行った。複数の海洋拡散シミュレーションを実行することで統計的に予測精度を検証し、予測期間毎に変化する予測精度を定量的に評価した。さらに、アンサンブル予測を適用することで、予測精度を向上させることに成功した。
上平 雄基; 川村 英之; 小林 卓也; 内山 雄介*
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(8), p.752 - 763, 2019/08
被引用回数:6 パーセンタイル:64.85(Nuclear Science & Technology)STEAMERにROMSによるダウンスケーリングシステムを導入し、海況場及び原子力施設から放出された放射性物質の濃度分布の詳細な予報値が計算可能となるシステムを構築した。構築したシステムを用いて2016年1月寒冷期の福島県沖のサブメソスケール現象及び潮汐が流動構造、濃度分布に与える影響を評価した。その結果、解析領域での寒冷期の濃度分散、三次元的な物質混合にはサブメソスケール現象による寄与が大きいことが示唆された。潮汐は水平の混合を抑制する一方で鉛直混合を強化し、結果として潮汐非考慮では見られなかった放出口近傍沿岸に張り付いた濃度分布を形成していた。潮汐による寄与はサブメソスケール現象に比べて小さいが、濃度希釈過程に影響を及ぼすことが示唆された。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
JAEA-Conf 2018-002, p.103 - 106, 2019/02
福島第一原子力発電所(1F)事故起因の放射性物質の海洋中での動態解明を行うことを目的に、西部北太平洋における3地点でIの鉛直分布を明らかにした。3地点とも1F事故起因とみられる
Iは混合層内に存在していた。また最も南側の観測点では水深370m-470mに1F事故起因とみられる
Iによる極大層が存在していた。溶存酸素濃度及び周辺海域の流速を考慮すると、この極大層は、別の海域の表層に存在していた
Iが速い下降流によって、水深370m-470mに到達したと考えられる。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
Marine Chemistry, 204, p.163 - 171, 2018/08
被引用回数:2 パーセンタイル:13.34(Chemistry, Multidisciplinary)福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の深さ方向への移行を調べる事を目的に、親潮,黒潮、及びそれらの混合海域においてヨウ素129(I)の鉛直分布を明らかにした。福島第一原子力発電所起因の
Iは親潮及び混合海域においては表層で、黒潮海域においては亜表層で観測された。親潮及び混合海域で観測された
I/
Csは福島第一原子力発電所の原子炉内のそれより高いことが明らかとなった。高い
I/
Csは、(1)事故時に放射性ヨウ素は放射性セシウムより放出されやすかった、(2)汚染地域から
Iが再放出され、大気経由で沈着した、(3)放射性セシウムが除去された汚染水が観測地点に到達した可能性が示唆された。また亜表層で観測された福島第一原子力発電所起因の
Iは黒潮続流の蛇行によって運び込まれたと考えられる。、
上平 雄基; 内山 雄介*; 川村 英之; 小林 卓也; 古野 朗子
Journal of Geophysical Research; Oceans (Internet), 123(4), p.2808 - 2828, 2018/04
被引用回数:19 パーセンタイル:81.38(Oceanography)本研究では、ダウンスケーリングによる沿岸域の高解像度モデルを導入した高度な海洋拡散予測システムを用いて、福島第一原子力発電所事故に適用し、水平スケールが数キロメートルのサブメソスケールの海象に伴うCsの海洋中移行過程を解析した。その結果、事故直後に福島県沖で発達していたサブメソスケール渦に伴う鉛直循環流によって
Csが中深層に活発に輸送されていた。また、これらのサブメソスケール渦はシア不安定と傾圧不安定との相乗的な効果によって強化されていた可能性がスペクトル解析から示された。
川村 英之; 古野 朗子; 小林 卓也; 印 貞治*; 中山 智治*; 石川 洋一*; 宮澤 康正*; 碓氷 典久*
Journal of Environmental Radioactivity, 180, p.36 - 58, 2017/12
被引用回数:11 パーセンタイル:40.52(Environmental Sciences)本研究では、単一の海洋拡散モデルと複数の海洋大循環モデルを使用して、福島第一原子力発電所事故起因のセシウム137の海洋拡散相互比較シミュレーションを実施した。シミュレーション結果は、福島県沿岸、日本沖合及び外洋で観測されたセシウム137濃度を比較的良好に再現していることが確認された。セシウム137は事故後数か月間は沿岸を南北方向に拡散し、その後、黒潮や黒潮続流により沖合へ拡散されたことが、福島県沿岸、日本沖合及び外洋を対象とした海洋拡散相互比較シミュレーションにより共通して示唆された。事故から1年間のセシウム137の海洋中存在量を定量化することにより、セシウム137が活発に福島県沿岸及び日本沖合から外洋へ拡散し、同時に海洋の浅い層から深い層へ拡散したことが示唆された。
小林 卓也; 川村 英之; 藤井 克治*; 上平 雄基
Journal of Nuclear Science and Technology, 54(5), p.609 - 616, 2017/05
被引用回数:10 パーセンタイル:74.16(Nuclear Science & Technology)東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性物質は、北太平洋、特に本州北東部の沿岸海域に深刻な海洋汚染を引き起こした。このようなシビアアクシデントにより海洋に放出される放射性物質の海洋中移行を調べるために、日本原子力研究開発機構は日本周辺海域における放射性物質濃度を予測する緊急時海洋環境放射能評価システム(STEAMER)を開発した。STEAMERを緊急時環境線量情報予測システム(世界版)WSPEEDI-IIと結合して用いることで、大気および海洋環境中における正確な放射能汚染予測が可能となる。本論文では、STEAMERに海洋データの入力として用いる2種類の3次元海流場、海洋中放射性物質拡散モデル、モデルの適用例、そしてSTEAMERの機能について記述した。
上平 雄基; 川村 英之; 小林 卓也; 内山 雄介*
土木学会論文集,B2(海岸工学)(インターネット), 72(2), p.I_451 - I_456, 2016/11
福島第一原子力発電所事故を教訓として、緊急時に放射性核種の海洋拡散を予測するシステムの必要性が高まっている。日本原子力研究開発機構(JAEA)では海洋拡散予測システムの開発を行ってきたが、本研究ではダウンスケーリングによる沿岸域の高解像度モデルを導入することで、システムを高度化することを目的とした。さらに、本システムを福島第一原子力発電所事故に適用することで、これまで再現することが困難であった水平スケールが数キロメートルのサブメソスケールの海象に伴うCsの海洋中移行過程を解析し、システムの検証を行った。その結果、シミュレーションによる流速場は人工衛星で観測された時空間変動をよく捉えつつ、高解像度化に伴うフロントや渦の強化を表現できていること、及び、沿岸域、中深層での
Cs濃度分布の再現性の向上が確認された。また、事故から約3か月間、福島県沖海域では海面冷却や前線不安定に伴うサブメソスケールの渦が卓越し、それらの渦により強化された下降流により、
Csが中深層に活発に輸送されていた可能性が示唆された。
川村 英之; 小林 卓也; 古野 朗子; 碓氷 典久*; 蒲地 政文*
Journal of Environmental Radioactivity, 136, p.64 - 75, 2014/10
被引用回数:22 パーセンタイル:57.56(Environmental Sciences)2011年3月に起こった福島第一原子力発電所の事故に起因する放射性セシウムが北太平洋に与える影響を評価するため、長期間の海洋拡散シミュレーションを行った。放射性セシウムの海洋への放出量は海洋モニタリングデータから見積もり、大気から海表面への沈着量は大気拡散シミュレーションにより計算した。放射性セシウムに汚染された主要海域は事故から1 年後には西経170を通過して、北太平洋の中心海域にまで広がったと示唆された。事故から2.5年後には、北太平洋のほとんどの海域で
Cs濃度は事故以前の値にまで希釈されたと示唆された。
川村 英之; 小林 卓也; 西川 史朗*; 石川 洋一*; 碓氷 典久*; 蒲地 政文*; 麻生 紀子*; 田中 裕介*; 淡路 敏之*
Global Environmental Research (Internet), 18(1), p.81 - 96, 2014/09
2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波により東北地方から北太平洋へ流出した洋上漂流物に関して、北太平洋における分布を再現・予報するため、漂流シミュレーションを実施した。その結果、洋上漂流物は最初は黒潮続流と西風により主に東に流されながら、海洋の渦と大気擾乱により南北方向にも広がったと示唆された。浮遊性の高い洋上漂流物は、海流よりも海上風の影響をより強く受けて北太平洋上に広がり、2011年の秋頃には北アメリカ大陸西岸に到着したと考えられる。北アメリカ大陸周辺の洋上漂流物は大気圧の季節変動の影響を受けて広がったことが示唆された。また、予報シミュレーションにより、北アメリカ大陸からフィリピン諸島にかけて、洋上漂流物が帯状に広がることが予報された。
川村 英之; 小林 卓也; 古野 朗子; 碓氷 典久*; 蒲地 政文*; 西川 史朗*; 石川 洋一*
Proceedings of 19th Pacific Basin Nuclear Conference (PBNC 2014) (USB Flash Drive), 7 Pages, 2014/08
福島第一原子力発電所から放出された放射性セシウムの濃度を明らかにするため、2011年3月から2013年9月における北太平洋の海洋拡散シミュレーションを行った。一般的に、放射性セシウムの海洋拡散シミュレーションでは、海流のような海況データが濃度分布に大きな影響を与える。本研究では、2種類の独立した海況データを使用して海洋拡散シミュレーションを行った。その結果、福島第一原子力発電所事故から約2年後には北太平洋におけるCs濃度は事故前のバックグラウンドレベル以下になったことが2つの海洋拡散シミュレーションから示唆された。また、海洋拡散シミュレーションの相互比較から、黒潮続流域の中規模渦が海表面における放射性セシウム濃度を効果的に希釈したことが示唆された。さらに、中規模渦に伴う強い下降流が放射性セシウムを中層に輸送したことが示唆され、この現象は将来の北太平洋における放射性セシウム濃度を評価する上で重要なことだと考えられる。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
Biogeosciences, 10(6), p.3839 - 3847, 2013/06
被引用回数:22 パーセンタイル:57.99(Ecology)福島第一原子力発電所事故により環境中にさまざまな放射性物質が放出された。事故起因のIの影響を評価することを目的に事故前後における海水中の
I濃度を測定した。事故前の
I濃度の結果から北太平洋の北緯36度から44度における濃度分布は緯度の減少とともに減少している傾向を示した。事故後の海水中の
I濃度は最大値で73倍、平均値で約8倍上昇していることが明らかとなった。また鉛直分布の結果から水深1000mまでの事故起因
Iのインベントリーは(1.8-9.9)
10
atoms/m
であった。海水中の
I測定結果から海産生物摂取による内部被ばく量を見積もったところ、事故起因の
Iによる被ばく量は極めて小さいと考えられる。
小林 卓也; 永井 晴康; 茅野 政道; 川村 英之
Journal of Nuclear Science and Technology, 50(3), p.255 - 264, 2013/03
被引用回数:131 パーセンタイル:99.74(Nuclear Science & Technology)東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い大気放出されたIと
Csの放出量について、太平洋の海水中
Cs濃度と大気海洋拡散シミュレーションを用いて既往の研究による推定値の妥当性検証を行うとともに再推定を実施した。
Csと
Csの放出量が同じであると仮定し、既往の研究による放出量を用いて
Csの海水表層濃度を計算し、観測値と比較した。再推定した放出量を用いた計算結果は、観測値に対する過小評価を低減させた。その結果、再推定した放出量は既往の研究による放出量よりも大きい値となった。加えて、
Iの放出量も
Csとの放射能比を用いて再推定した。結果として、2011年3月12日5時から3月20日0時までに大気へ放出された
Iと
Csの総放出量の推定値は、それぞれ約2.0
10
と1.3
10
Bqとなった。