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Lee, K. K.*; Laird, J. S.*; 大島 武; 小野田 忍; 平尾 敏雄; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 645-648, p.1013 - 1016, 2010/04
六方晶(6H)炭化ケイ素(SiC)の電界効果トランジスタ(MOSFET)に対して重イオンを照射した際、ドレイン,ソース、及び背面電極において発生する過渡電流を計測した。その結果を、半導体デバイスシミュレータ(TCAD)を用いて解析した結果、MOSFETが動作していないOFF状態であっても、動作状態であっても、MOSFETのソース-ウェル-ドレインからなる寄生バイポーラトランジスタが原因となる両極性の過渡電流が発生することがわかった。
Laird, J. S.*; 小野田 忍; 平尾 敏雄; Edmonds, L.*; 大島 武
IEEE Transactions on Nuclear Science, 54(6), p.2384 - 2393, 2007/12
被引用回数:8 パーセンタイル:50.48(Engineering, Electrical & Electronic)集束レーザービーム及び集束イオンビームを高速GaAs --フォトダイオードに照射し、その際にデバイス中に誘起される高注入キャリアの挙動を過渡電流により調べた。また、高速Si --フォトダイオードに対しても同様の実験を行った。レーザーとさまざまなエネルギーのイオンを利用し、異なる密度のイオントラックをデバイス中に形成することで、イオントラック密度と過渡電流の関係を調べた。その結果、光を吸収する領域であるエピタキシャル層が厚いSiフォトダイオードと異なり、光吸収層が薄いIII-V族半導体フォトダイオードは、過渡電流の遅延を引き起こす空間電荷効果の影響が小さくなることがわかった。このことから、エピタキシャル層の薄いデバイスでは、厚いデバイスと比較して、イオントラック構造が過渡電流に及ぼす影響が相対的に小さくなると結論できる。
小野田 忍; 平尾 敏雄; Laird, J. S.*; 三島 健太; 河野 勝泰*; 伊藤 久義
IEEE Transactions on Nuclear Science, 53(6), p.3731 - 3737, 2006/12
被引用回数:16 パーセンタイル:71.93(Engineering, Electrical & Electronic)宇宙環境に存在する数十MeV数百GeVの高エネルギー重イオンが半導体素子に誘起するシングルイベント(SE)効果の発生機構を調べるためには、微細な高エネルギーイオンビームを半導体素子の任意の領域に照射する技術が必要となる。そのため、百MeV級の重イオンのビーム径を絞って任意の位置に照射し、その際発生するSE過渡電流の強度をマッピングすることができるTIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)システムを開発し、数十から数百mの感受領域を持つ半導体素子に対してTIBICイメージを実測した。その結果、エネルギーが高くなるに従いSE過渡電流の波高が高くなることがわかった。重イオンが半導体中に誘起する電子・正孔分布(プラズマトラック)の計算を実施し、シノプシス製TCAD10を用いてデバイスシミュレーションした結果、エネルギーが高くなるほどプラズマ密度が低くなり、また、低密度であるほどプラズマ中のキャリア拡散が速くなるため、キャリアが高速で収集されSE過渡電流の波高が高くなることが明らかとなった。
Laird, J. S.*; 小野田 忍; 平尾 敏雄; 伊藤 久義; Becker, H.*; Johnston, A.*
IEEE Transactions on Nuclear Science, 53(6), p.3786 - 3793, 2006/12
被引用回数:10 パーセンタイル:56.33(Engineering, Electrical & Electronic)はじき出し損傷及びトータルドーズ効果がSiアバランシェフォトダイオードの過渡応答に及ぼす影響をピコ秒パルスレーザーシステムを用いて評価した。はじき出し損傷は重イオンを使用し、トータルドーズ効果は線を使用して導入した。100kGy(Si)の線照射を行う前後に過渡応答特性及びゲインを評価した結果、有意な差異が見られなかった。また、電圧負荷を加えた状態及び電圧負荷を加えない状態で線照射を行った。その結果、前者の方が後者と比較してリーク電流が数桁も増加することが明らかとなった。その原因としては、フィールド酸化膜の界面準位が原因であると考えられる。さらに、重イオンによりはじき出し損傷を導入した試料についても同様の計測を行った結果、線照射と同様にアバランシェフォトダイオードの過渡応答に変化が見られなかった。以上のことから、100kGy(Si)までの放射線線量までは本研究で使用したSiアバランシェフォトダイオードは耐放射線性を有することが明らかとなった。
Laird, J. S.*; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 伊藤 久義; Johnston, A.*
IEEE Transactions on Nuclear Science, 53(6), p.3312 - 3320, 2006/12
被引用回数:15 パーセンタイル:69.58(Engineering, Electrical & Electronic)ピコ秒の単一パルスレーザー(788nm)及び単一イオンが誘起するシングルイベント過渡電流の比較を行った。パルスレーザーを用いてイオンを模擬することが可能となれば、実験時間の短縮や実験費用の削減に繋がる。実験に使用したパルスレーザー及びイオンのビーム径はおよそ1mとした。実験とデバイスシミュレータにより求めた過渡電流を比較した結果、アンバイポーラ拡散が起因となって発生する電流については、パルスレーザーでイオンを模擬することができないことが明らかとなった。しかしながら、アンバイポーラ拡散の後に発生するドリフト電流成分については、パルスレーザーでイオンを模擬することができることが明らかとなった。
Laird, J. S.*; 小野田 忍; 平尾 敏雄; Becker, H.*; Johnston, A.*; 伊藤 久義
Proceedings of 7th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-7), p.37 - 40, 2006/10
はじき出し損傷及びトータルドーズ効果が低電圧駆動型シリコンアバランシェフォトダイオード(Si APD: Silicon Avalanche Photodiode)に及ぼす影響を電流-電圧計測システム及びピコ秒パルスレーザーシステムを用いて評価した。本研究では、100kGyまでの線照射を行うことでトータルドーズ効果を、重イオン照射を行うことではじき出し損傷効果を導入した。照射後にリーク電流及びゲインの過渡応答を測定した。その結果、トータルドーズ効果によりリーク電流が増加することがわかった。しかしながら、ゲインには有意な差が現われなかった。これまで、はじき出し損傷効果よりもトータルドーズ効果によりSi APDの特性が劣化すると言われていた。しかしながら、本研究で使用したAPDは、その静特性(リーク電流)に照射劣化が見られるものの、APDを使用するうえで最も重要なゲインについては、100kGyまでの照射に耐えられることが明らかとなった。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 伊藤 久義
IEEE Transactions on Nuclear Science, 52(5), p.1504 - 1512, 2005/10
被引用回数:7 パーセンタイル:44.26(Engineering, Electrical & Electronic)シングルイベント効果は、宇宙環境に存在する高エネルギーイオンが誘起する高密度の電子正孔対が原因となって引き起こされる。それゆえ、シングルイベント効果の発生機構解明には、高密度の電子正孔対の挙動を明らかにすることが求められる。電子正孔対の密度が非常に高い場合、空間電荷(SC)効果が現れる。本研究では、SC効果を明らかにするために、高エネルギーイオン及びパルスレーザをGaAs MSM(Metal Schottky Metal)光検出器に照射し、シングルイベント過渡電流を計測した。測定の結果、イオン照射がレーザ照射と比較してSC効果が大きいことが判明した。これは、イオンとレーザが生成するプラズマ柱の構造(電荷密度の空間分布)が異なることに由来すると考えられる。デバイスシミュレータによる計算及び実験結果から、SC効果によってシングルイベント過渡電流の波形形状が大きく影響を受けることが明らかになった。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 伊藤 久義
Journal of Applied Physics, 98(1), p.013530_1 - 013530_14, 2005/07
被引用回数:46 パーセンタイル:80.63(Physics, Applied)放射線環境で使用される高速光検出器に高エネルギーイオンが入射すると、信号に雑音が入り、情報伝達に支障が発生する。このようなシングルイベント現象は、高エネルギーイオンで誘起する高密度の電子・正孔対(プラズマ)の動的挙動と密接に関連する。本研究では、Si pinフォトダイオードにMeV級重イオンを照射し、発生する電子・正孔プラズマの動的挙動を調べ、その過渡応答特性を評価した。実験には複数のイオン種を使用し、その飛程が等しくなるようにエネルギーを調整して照射を行い、過渡応答特性のプラズマ密度依存性を解析した。その結果、過渡応答特性は次の3つのフェーズに分類できることを見いだした。すなわち(a)素子固有の周波数帯域でキャリアの移動が制限される領域,(b)キャリアがアンバイポーラ両極性拡散によって広がる領域,(c)キャリアが空乏層領域の電界によりドリフト運動する領域。
大島 武; 佐藤 隆博; 及川 将一*; 山川 猛; 小野田 忍; 若狭 剛史; Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 神谷 富裕; 伊藤 久義; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 541(1-2), p.236 - 240, 2005/04
被引用回数:9 パーセンタイル:55.39(Instruments & Instrumentation)炭化ケイ素(SiC)半導体を用いた放射線粒子検出器開発の一環として、SiC pnダイオードにイオンが入射した時に発生する電荷の収集挙動を調べた。実験はTIARAのタンデム加速器に接続するマイクロビームラインにて、15MeV酸素イオンを用いて行った。シングルイオンヒットによるイオンビーム誘起過渡電流(TIBIC)を測定したところ、SiC pnダイオードへの印加電圧の増加に従い過渡電流波形のピーク強度が大きくなること及び収集時間が短くなることが見いだされた。さらに、過渡電流を積算することで収集電荷を見積もった結果、印加電圧が低く空乏層がイオンの飛程より短い場合は、ファネリング効果によって空乏層より深い領域で発生した電荷が収集されることが判明した。また、空乏層長がイオンの飛程より長くなる印加電圧150Vでは、ほぼ100%の電荷収集効率となり、SiC pnダイオードが粒子検出器として応用可能であることが確認された。
小野田 忍; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 岡本 毅*; 小泉 義春*; 神谷 富裕
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 231(1-4), p.497 - 501, 2005/04
被引用回数:3 パーセンタイル:30.03(Instruments & Instrumentation)シングルイオン照準照射技術と微弱電流時間分解能計測技術を組合せた、イオンビーム誘起過渡電流(TIBIC:Transient Ion Beam Induced Current)計測システムは、シングルイベント効果を調べるためのツールとして非常に優れており、このシステムを用いて光通信SiPINフォトダイオードのシングルイベント耐性の評価研究を行った。TIARAのタンデム加速器で加速した重イオンを、イオン種,エネルギー,入射角を変えてフォトダイオードに照射し、ダイオード内に発生する過渡電流を系統的に調べ、電荷伝搬挙動のイオン種,エネルギー,入射角度依存性並びにダイオードへの印加電圧依存性を明らかにした。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 若狭 剛史; 山川 猛; 阿部 浩之; 大山 英典*; 神谷 富裕
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.14 - 16, 2004/11
アバランシェフォトダイオードのような光通信用素子は近年人工衛星に搭載されるようになってきており、その放射線耐性の評価が強く求められている。高エネルギー荷電粒子がSiフォトダイオードに入射すると、アバランシェ破壊が引き起こされるとの報告がなされた。本研究では、光通信素子のシングルイベント効果を明らかにするため、2.5GHzのInPアバランシェフォトダイオードに高エネルギーイオンを入射し、その時に発生する電荷収集の過渡過程と入射位置依存性を調べた。その結果、印加電圧が-35V付近になると急激な電荷収集が行われることや、エッジ近傍でスパイクの大きい過渡電流が流れることがわかった。本研究会では、イオン入射位置とアバランシェ効果による電荷収集について議論する。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 小野田 忍; 若狭 剛史; 伊藤 久義
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.187 - 189, 2004/10
荷電粒子が半導体中を通過する際、シングルイベント効果と呼ばれる電離作用による過渡電流パルスの発生はよく知られている。われわれはシングルイベント発生機構の解明とモデル構築を行う研究の一環として、短時間で発生する過渡電流波形の測定を実施し、入射イオンと発生電荷量との関係等のデータの蓄積を図っている。本研究では、GaAsショットキーダイオードを試料とし、イオンで発生する損傷が過渡電流の伝搬に及ぼす影響を明らかにするため、入射イオンの増加に伴う過渡電流波形の低下を系統的に調べ、損傷の効果について議論する。
大島 武; 佐藤 隆博; 及川 将一*; 山川 猛; 小野田 忍; 若狭 剛史; Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 神谷 富裕; 伊藤 久義; et al.
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.177 - 180, 2004/10
炭化ケイ素半導体(SiC)を用いた耐放射線性検出器開発のために、15MeV酸素マイクロビームが入射することでSiC pnダイオード中に誘起される過渡電流を調べた。SiC pnダイオードは、p型六方晶(6H)SiCエピタキシャル基板に高温(800C)リンイオン注入後アルゴン中で1650C,3分間の熱処理をすることでn層を形成し、作製した。過渡電流は原研高崎TIARAタンデム加速器に接続された単一イオン入射過渡イオンビーム誘起電流(TIBIC)システムにて評価を行った。その結果、印加電圧の増加とともに過渡電流シグナルのピークが高くなり、かつ収集時間が短くなることが観測された。この結果は、印加電圧の増加とともに電界強度が強く、空乏層長が伸びることで説明できる。過渡電流シグナルを積分することで収集電荷を見積もったところ、印加電圧の増加とともに収集効率が上昇し、100V以上では100%の収集効率であることが確認できた。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 小野田 忍; 芝田 利彦*; 若狭 剛史; 山川 猛; 阿部 浩之; 高橋 芳浩*; 大西 一功*; 伊藤 久義
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.105 - 109, 2004/10
SOI半導体素子のシングルイベント耐性を検証するため、SOIの代わりに構造の単純なMOSキャパシタを用い、シングルイベント過渡電流波形の測定を実施した。得られた過渡電流波形を積分して求めた収集電荷量とシュミレーションを用いて計算した収集電荷量の比較から、過渡電流が変位電流に起因することを突き止めた。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 若狭 剛史; 山川 猛; 阿部 浩之; 神谷 富裕; 伊藤 久義
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.125 - 129, 2004/10
人工衛星に搭載されているオプトエレクトロニックデバイスの一種であるフォトダイオードで発生するシングルイベント効果の発生機構を解明するために、イオン及びレーザ照射を行いシングルイベント過渡応答を調べた。Si PINフォトダイオードで発生する過渡電流は、両極性及び極性の2つの期間に分類できることがわかった。前者は空間電荷(SC)効果が原因であると判明した。さらに、デバイスシミュレータを利用した計算より、過渡電流は電子及び正孔の誘導電流及び変位電流の総和で表されることが明らかになった。一方、GaAs MSMフォトダイオードで発生する過渡電流はSi PINフォトダイオードと比較して、SC効果の持続時間が短い結果が得られた。この違いは、素子構造が異なることによって、MSMはPINフォトダイオードと比較して、デバイス中に付与されるエネルギーが小さいこと、及び表面効果が大きいこと等が原因であると考えられる。
小野田 忍; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 若狭 剛史; 山川 猛; 岡本 毅*; 小泉 義春*; 神谷 富裕; 伊藤 久義
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.173 - 176, 2004/10
近年、高エネルギー陽子がフォトダイオード中で誘起するビットエラーに関心が高まっている。高エネルギー陽子がフォトダイオード中を通過するとき、弾性散乱や核反応によって副次的に高エネルギー荷電粒子が放出される。例えば、シリコンの結晶に陽子が入射すると、最大数十MeVのエネルギーを持ったHe, C, N, O, F, Ne, Na, Mg, Al, Si, P等の荷電粒子が生成される。これらの荷電粒子は半導体素子中でエネルギーを失い、高密度の電子正孔対を生成する。その結果、シングルイベント過渡電流が発生し、ビットエラーが引き起こされる。このような背景から、荷電粒子による過渡電流を調べることが重要な案件であると考えられている。本実験では、TIARAのタンデム加速器からのさまざまなエネルギーを持つC, N, O及びSiイオンが誘起する過渡電流を測定した。実験結果から、さまざまな条件下でのパラメータ取得を行うことができた。また、測定結果とモデル計算による結果を比較し、PINフォトダイオードで発生する過渡電流について議論した。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍*; 神谷 富裕
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 219-220, p.1015 - 1021, 2004/06
被引用回数:7 パーセンタイル:44.46(Instruments & Instrumentation)高エネルギーイオンは半導体素子中でエネルギーを失い、高密度の電子-正孔対を生成する。生成された電荷は、半導体素子中の電界によって電極に収集され外部回路へ電流信号として取り出される。電荷が高密度に生成されるとそれ自身によって空間の電位勾配が減じ、電荷の移動度が小さくなることを予測した。このことを確認するために、本研究では、Si pinフォトダイオードに、酸素及び炭素の2種類のイオンを照射し、生成される電子-正孔密度が異なる場合の、空間電荷効果及び移動度の違いを議論する。われわれはこの過程のモデル化を試み、この実験結果と3次元シュミレータ(TCAD)による計算とを比較したので報告する。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 伊藤 久義
IEEE Transactions on Nuclear Science, 50(6, Part1), p.2003 - 2010, 2003/12
被引用回数:10 パーセンタイル:55.81(Engineering, Electrical & Electronic)高速pin型フォトダイオードは、将来の大容量光通信に不可欠な素子として注目されており、その宇宙適用性を判断するために放射線劣化とシングルイベントの関係を評価する必要性がある。われわれは、1.5GHzの帯域を有するシリコンpinダイオードに電子線を照射し、その劣化挙動を重イオンによるシングルイベント過渡電流から調べた。この結果、25Mradまでの電子線照射では電流波形の変化は見られないが、それ以上では急激な波高値の増加が見られ、照射量と収集される電荷量との相関を得ることができた。さらのその変化量が未照射時と比較して約60%であることも得られた。本会議では、得られた結果の詳細と劣化メカニズムについて言及する。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 神谷 富裕
Proceedings of 3rd IEEE/LEOS International Conference on Numerical Simulation of Semiconductor Optoelectronic Devices (NUSOD '03), 2 Pages, 2003/10
放射線環境場での高速通信及び光通信用光デバイスにおける重大な問題は、宇宙環境に存在する高エネルギー粒子によって生じる放射線損傷である。この影響を調べるために電子線加速器と重イオンマイクロビームを用いた照射実験を行った。実験では、評価試料であるシリコンP-I-N光デバイスに電子線を約1E15/cm照射し照射損傷を導入したうえで、重イオンマイクロビームを照射し発生するシングルイベント過渡電流を測定した。なお過渡電流の測定は照射中の温度を300175Kまで変化させTIBICにて行った。その結果、イオン入射に伴う欠陥の増加により増幅率が減少することがわかり、さらにこの減少が周波数帯域の低下にも影響を及ぼすことを見いだした。さらに欠陥の回復と照射中の温度との関係を調べた結果、回復率は、照射中の温度が高温照射でなく低音照射時に顕著であることがわかりその原因をTCADを用いたシミュレーションにより検証した。本ワークショップではこれらの結果について発表し、議論する。
神谷 富裕; 及川 将一*; 大島 武; 平尾 敏雄; Lee, K. K.; 小野田 忍*; Laird, J. S.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210, p.206 - 210, 2003/09
被引用回数:1 パーセンタイル:12.37(Instruments & Instrumentation)原研高崎の重イオンマイクロビーム・シングルイオンヒットシステムでは、宇宙空間における半導体素子のシングルイベント効果(SEU)の研究を目的として、微小半導体素子におけるシングルイオン誘起過渡電流特性の評価が行われている。このような測定では、微小領域に繰り返し入射される高エネルギー重イオンによる物質の照射損傷の影響が問題となる。しかし、入射イオンの個数を制御し、照射損傷の領域をmレベルで限定できるシングルイオンヒット技術により、シングルイオン入射により生成された電荷がいかなる空間的広がりにおいて収集されるかを知ることも可能である。実験では試験素子である炭化珪素P型PNダイオードの径1mの領域に12MeV Niイオンを1個ずつ連続して照射し、過渡電流波形を計測した。その結果、シングルイオンの入射毎に連続してパルス波高及び収集電荷量が減衰するのが観測された。これはこの領域への1イオン入射による全ての電荷収集過程がそれまでの入射によって蓄積された照射損傷の影響を全て受けているためであると考えられる。これにより電荷収集過程は、横方向には1mあるいはそれ以上の広がりをもつことが予測される。今回はこの現象と、イオンの飛程及び素子の空亡層の厚みとの関係について考察する。