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居田 克巳*; 坂本 宜照; 吉沼 幹朗*; 竹永 秀信; 永岡 賢一*; 林 伸彦; 大山 直幸; 長壁 正樹*; 横山 雅之*; 舟場 久芳*; et al.
Nuclear Fusion, 49(9), p.095024_1 - 095024_9, 2009/09
被引用回数:31 パーセンタイル:73.73(Physics, Fluids & Plasmas)LHDヘリオトロン装置とJT-60Uトカマク装置におけるイオン系内部輸送障壁形成と不純物輸送のダイナミックスの比較について分析した。特に、両装置においてイオン温度等を測定する荷電交換分光装置の高性能化が行われ、次のような新しい知見を得ることができた。まず、内部輸送障壁の形成位置について、JT-60Uでは形成位置が外側へ拡大しつつ局在化するが、LHDではターゲットプラズマに依存して内側あるいは外側に移動する。また、不純物輸送に関しては、JT-60Uでは内向きの対流があるのに対して、LHDでは外向きの対流によって不純物ホールが形成されることを明らかにした。LHDにおいて観測された外向きの対流は、新古典理論の予想と相反しており、今後さらなる分析を行う予定である。
本島 修*; 山田 弘司*; 小森 彰夫*; 大藪 修義*; 武藤 敬*; 金子 修*; 川端 一男*; 三戸 利行*; 居田 克巳*; 今川 信作*; et al.
Nuclear Fusion, 47(10), p.S668 - S676, 2007/10
被引用回数:34 パーセンタイル:73.51(Physics, Fluids & Plasmas)大型ヘリカル装置(LHD)では、加熱パワーの増大及び粒子の排気/供給能力の向上に加え、革新的な運転シナリオの発見により、無電流ヘリオトロンプラズマの性能を改善することに成功した。その結果、特に、高密度,長時間運転,高ベータに関して運転領域を拡大することに成功した。LHDにおける多様な研究の結果、無電流ヘリオトロンプラズマの特長が明らかになった。特に、ローカルアイランドダイバータによる排気とペレット入射によるプラズマ中心部への粒子供給を組合せることにより内部拡散障壁(IDB)を形成し、510mという超高密度のプラズマが得られた。4.5%の体積平均ベータ値や、54分間の放電時間(総入力エネルギー: 1.6GJ、平均入力パワー: 490kW)を達成することにも成功した。本論文では、IDB, 高ベータプラズマ, 長時間運転に関する最近2年間の成果を概括する。
本島 修*; 山田 弘司*; 小森 彰夫*; 大藪 修義*; 金子 修*; 川端 一男*; 三戸 利行*; 武藤 敬*; 居田 克巳*; 今川 信作*; et al.
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 12 Pages, 2007/03
大型ヘリカル装置(LHD)では、加熱パワーの増大及び粒子の排気/供給能力の向上と併せ、無電流ヘリオトロンプラズマの革新的な運転シナリオの開発を行った。その結果、高密度,長時間運転,高ベータに関して運転領域を拡大することに成功した。LHDにおける多様な研究の結果、無電流ヘリオトロンプラズマの特長が明らかになった。特に、ローカルアイランドダイバータによる排気とペレット入射によるプラズマ中心部への粒子供給を組合せることにより内部拡散障壁(IDB)を形成し、mという超高密度のプラズマが得られた。この結果は魅力的な超高密度核融合炉へ道を開くものである。また、4.5%の体積平均ベータ値や、54分間(総入力エネルギー: 1.6GJ,平均パワー: 490kW)の放電維持時間を得ることにも成功した。本論文では、IDB,高ベータプラズマ,長時間運転に関する最近2年間の成果を概括する。
朝倉 伸幸; 加藤 隆子*; 仲野 友英; 高村 秀一*; 田辺 哲朗*; 飯尾 俊二*; 中島 徳嘉*; 小野 靖*; 小関 隆久; 武智 学; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 82(7), p.448 - 450, 2006/07
2006年の1月から4月にかけて開催されたITPA(国際トカマク物理活動)の7つのトピカル物理グループ(「スクレイプオフ層及びダイバータ物理」,「MHD」,「周辺及びペデスタルの物理」,「定常運転」,「計測」,「輸送物理」,「閉じ込めデータベースとモデリング」)の会合に関する報告である。7つの会合を合わせて、原子力機構から担当委員12名が参加するとともに、委員外4名が発表を行った。磁場リップル低減のためのフェライト鋼装着後のプラズマ性能の向上等のJT-60の実験結果が報告された。
坂本 宜照; 東井 和夫*; 福田 武司*; 福山 淳*; 藤田 隆明; 小川 雄一*; 滝塚 知典; 竹永 秀信; 矢木 雅敏*; 山田 弘司*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 82(2), p.109 - 110, 2006/02
2005年の秋季に、国際トカマク物理活動に関する4つの会合が開催された。「輸送物理」,「閉じ込めデータベースとモデリング」,「周辺及びペデスタルの物理」の3会合は、サンクトペテルブルグのHotel Moscowにて「Hモード及び輸送障壁に関するIAEA技術会合」に引き続いて行われ、グループ間の合同会合も多数開かれた。日本の参加者は16名に上った。「定常運転」の会合は、サンディエゴのGeneral Atomic社で行われた。次回会合は、「輸送物理」と「閉じ込めデータベースとモデリング」が合同で2006年4月2427日に米国のプリンストンプラズマ物理研究所で、「周辺及びペデスタルの物理」が4月1012日に米国のマサチューセッツ工科大学で、「定常運転」は4月1013日に日本原子力研究開発機構で開催の予定である。
坂本 宜照; 東井 和夫*; 福田 武司*; 福山 淳*; 藤田 隆明; 小川 雄一*; 滝塚 知典; 竹永 秀信; 矢木 雅敏*; 山田 弘司*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 81(8), p.626 - 627, 2005/08
2005年の春季に、ITPAに関する上記4つの会合が開催された。「輸送物理」,「閉じ込めデータベースとモデリング」,「周辺及びペデスタルの物理」の3会合は、京都大学(福山研究室主催)にて同時に開催され、トピカルグループ間の合同会合も多数開かれた。日本の参加者は約50名に上った。冒頭の全グループ合同会合では、伊藤(核融合研)が乱流輸送理論研究の新展開について報告した。また、韓国からは1名が参加し、韓国における核融合研究の最新成果について報告した。「定常運転」の会合は、「ITERにむけたECRH物理と技術」に関する第3回IAEAテクニカル・ミーティング(2005年5月24日、イタリア、コモ)に引き続き行われた。次回会合は、上3グループは10月36日にロシアのサンクトペテルブルグで、「定常運転」グループは11月に米国のサンディエゴで開催の予定。
河野 康則; 川端 一男*; 草間 義紀; 笹尾 真実子*; 杉江 達夫; 間瀬 淳*; 朝倉 伸幸; 加藤 隆子*; 高村 秀一*; 田辺 哲朗*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 81(2), p.128 - 130, 2005/02
2004年の秋季に、ITPA(国際トカマク物理活動)に関する7つの会合が開催された。「計測」グループ会合は10月に中国で行われたが、その他の6つのグループ(スクレイプオフ層及びダイバータ物理,輸送物理,閉じ込めデータベースとモデリング,定常運転,MHD・ディスラプション・制御,周辺及びペデスタルの物理)会合は第20回IAEA核融合エネルギー会議(2004年11月1日6日,ポルトガル,ヴィラモウラ)の翌週にリスボンのリスボン工科大学に集中して開かれた。調整委員会議長の提案で開催された全体会合をはじめ、トピカルグループの合同会合も多数開かれ、国際装置間比較実験の結果報告と活発な議論が行われた。ITPA及び国際装置間比較実験へ日本側から多くの継続した寄与が望まれることから、本会合では初めて核融合フォーラムから滞在費・旅費の補助が大学及び研究機関の研究者9名に対し行われ、各グループの重要課題の解決及び国際研究活動の進展に貢献した。2005年の会合予定も併せて示した。
森 英喜; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 小野田 忍; 伊藤 久義
JAERI-Review 2002-035, TIARA Annual Report 2001, p.14 - 16, 2002/11
高集積メモリデバイスへのイオン1個の入射により時多数のメモリ情報が同時に反転するマルチプルビットアップセットの発生機構解明を目的として、イオンの入射角度が誘起電荷の伝搬に及ぼす影響を調べた。試験試料として、不純物濃度が51015cmのn型シリコン基板上に接合面積が100m2mの金電極を4mの間隔で3本配置したショットキーダイオードを作製した。試料への照射は18MeVの酸素イオンを使用した。各電極での誘起電荷の測定はTIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)システムを使用し、イオン入射角度は0°(垂直入射)から45°,印加電圧は0Vから5Vの範囲で変化させた。この結果、イオンが入射した時に発生するシングルイベント過渡電流波形のピーク値は入射角度の増加に伴い高くなること,電荷収集量は入射角度の逆余弦に比例することがわかった。また、発表会ではイオン照射位置を変えた時の各電極での過渡電流波形の変化についても報告する。
松田 秀雄*; 大村 一郎*; 崎山 陽子*; 浦野 聡*; 家坂 進*; 大橋 弘通*; 平尾 敏雄; 阿部 浩之; 伊藤 久義; 森 英喜; et al.
JAERI-Review 2002-035, TIARA Annual Report 2001, p.11 - 13, 2002/11
高電圧電力半導体素子の宇宙線による破壊メカニズムを解明し、高性能化及び高信頼性化のための素子設計に資することを目的に、各種素子の実使用電圧での破壊確率をプロトン照射を行って評価した。電圧印加中の試験素子にプロトンを照射することにより、素子が突然絶縁破壊し、実環境での宇宙線による破壊と極似な現象を確認することができた。さらに、破壊確率が照射エネルギーに依存しており、電界増加に対する破壊確率上昇の傾きは、自然界宇宙線での破壊確率や中性子による破壊確率と同傾向であった。これより、プロトン照射により自然界宇宙線による破壊を模擬できたと考えられる。さらに、重イオン照射で取得した破壊箇所の特異性と発生電荷量のデータから破壊メカニズムを議論する。
小野田 忍; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜; 阿部 浩之; 伊藤 久義
JAERI-Review 2002-035, TIARA Annual Report 2001, p.3 - 4, 2002/11
100MeV級の高エネルギー粒子を用いてシングルイベント現象の発生機構を探るため、AVFサイクロトロンで加速したイオンビームをマイクロメータで微小化し、半導体素子に照射して発生する微弱過渡電流の計測を行った。試料としてトップシリコン層厚が3.5mのn/p型 SOI(Silicon on insulator)ダイオードを用い、320MeVのKrイオンを照射した。その結果、過渡電流波形の立ち下がり時間160ps、ピーク電流630A、収集電荷量として1.10.1pCが得られた。この収集電荷量はトップシリコン層で発生する電荷量の計算値と良く一致しており、トップシリコン層の下に設けた埋め込み酸化膜により電荷の収集が抑制されていることがわかった。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜; 小野田 忍; 若狭 剛史; 山川 猛; 阿部 浩之; 伊藤 久義
Proceedings of 5th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Applications, p.161 - 166, 2002/10
日本原子力研究所のTIARA施設を利用して行っているシングルイベント現象の研究について報告する。われわれは、集束型マイクロビーム及びコリメート型マイクロビームをSi, GaAs, InGaAsダイオードに照射し、発生したシングルイベント過渡電流を測定している。非常に高速な現象であるシングルイベント過渡電流を測定するために、40GHz及び3GHzのオシロスコープを用いた測定システムを構築した。本報ではこれらのシステムを用いて測定したSOIダイオードの過渡電流波形, サイクロトロンからの高エネルギーイオンによるSOIダイオードの過渡電流波形, イオン損傷の影響等の典型的な事例及び解析結果を示した。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍*; 森 英喜*; 伊藤 久義
Proceedings of 5th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Applications, p.155 - 160, 2002/10
近年の情報化社会の急速な発展に伴って、高速応答光デバイスの需要が高まってきている。特に、InGaAsに代表されるIII-V族化合物半導体素子は、その高速応答性から非常に注目されている。これらの半導体素子を宇宙環境で使用する際、宇宙放射線による高速応答特性の劣化することは深刻な問題である。われわれは、代表的な宇宙放射線の1つである電子線をInGaAs素子に照射し、その高速応答特性の劣化を調べた。2MeV電子線の照射量が1E15/cmを超えると、高速応答特性が急激に劣化することがわかった。高速応答特性の劣化原因は、半導体素子中のキャリア移動度及び電界強度の劣化で説明することができた。
鎌田 裕; 藤田 隆明; 石田 真一; 菊池 満; 井手 俊介; 滝塚 知典; 白井 浩; 小出 芳彦; 福田 武司; 細金 延幸; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.185 - 254, 2002/09
被引用回数:34 パーセンタイル:48.48(Nuclear Science & Technology)JT-60及びJT-60Uは、ITER及び定常トカマク炉実現へ向けた物理基盤を構築することを目的として、炉心級プラズマにおける高総合性能の実証とその維持を目指した運転概念の最適化を行って来た。等価核融合エネルギー増倍率(=1.25)や核融合積(=1.5E21 m-3skeV)の達成に加えて、高い総合性能(高閉じ込め&高ベータ&高自発電流割合&完全非誘導電流駆動)を実証した。これらは、内部及び周辺部に輸送障壁を持つ高ポロイダルベータHモード及び負磁気シアモードで得られた。最適化の鍵は分布及び形状制御である。多様な内部輸送障壁の発見に代表されるように、JT-60/JT-60U研究はプラズマ諸量の空間分布の自由度と制限を強調して来た。各閉じ込めモードの閉じ込め研究に加えて、輸送及び安定性等によって支配されるコア部及び周辺ペデスタル部のパラメータ相関を明らかにした。これらの研究により、高閉じ込めモードのITERへの適合性を実証するとともに残された研究課題を明らかにした。
森 英喜*; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 小野田 忍*; Lee, K. K.; 阿部 浩之; 伊藤 久義; 岡本 毅*; 小泉 義晴*
JNC TN7200 2001-001, p.55 - 57, 2002/01
宇宙環境で使用される集積回路素子では、1個のイオン入射で多数のメモリ内容が同時に反転するマルチブルアップセット(MBU)現象の発生が大きな問題となっている。このMBU発生パターンは、入射粒子の角度に依存することが実験で示されている。われわれはこの入射角度依存性究明を目的として、高崎研タンデム加速器に接続されている重イオンマイクロビームのシングルイオンヒット装置とTIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)システムを用い、入射イオン1個でpn接合ダイオードに誘起される過渡電流波形の計測を行った。その結果、イオンの入射角度の増加に伴いダイオード電極に収集される電荷量が増加することさらにその増加が1/cosに比例することを見いだした。
小野田 忍; 平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜; 岡本 毅*; 小泉 義晴*; 伊藤 久義
Proceedings of 6th European Conference on Radiation and its Effects on Components and System (RADECS 2001) (CD-ROM), 5 Pages, 2002/00
pinフォトダイオードの放射線劣化を電子線と線照射で比較した。照射には1MeV電子線(照射量: 2.6E13cmから1.3E15cm)と線(照射量:0.083Mradから71Mrad)を用いた。電子線及び線とも照射量増加に伴い検出ピーク波長の位置が低波長側へシフトし、かつ強度が低下することを確認できた。また、このシフトを非イオン化エネルギー損失(NIEL)の式を用いて解析した結果、少数キャリア拡散長の損傷係数として7.0E-9g/KeVcmが得られ、電子線,線照射によるダイオード特性の劣化は、ともにNIELの概念で説明できる。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 森 英喜; 伊藤 久義
Proceedings of 6th European Conference on Radiation and its Effects on Components and System (RADECS 2001) (CD-ROM), 7 Pages, 2002/00
15MeV酸素イオンによりシリコンエピpn接合ダイオードに誘起される過渡電流の観測を80Kから300Kの温度範囲で行った。照射時温度80Kでは300K(室温)と比較した場合、過渡電流波形のピーク高さは約2.5倍,立下り時間は約1ns短くなっていることがわかった。一方、収集電荷量は温度によらずほぼ一定である結果が得られた。また、TCADシュミレーションにわれわれ独自の温度効果モデルを取り入れることで実験で得られた過渡電流の温度依存性を再現できることが確認できた。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜; 小野田 忍; 伊藤 久義
Proceedings of 6th European Conference on Radiation and its Effects on Components and System (RADECS 2001) (CD-ROM), 5 Pages, 2002/00
シングルイベント発生機構の解明を目的として、TIARA照射施設のタンデム加速器に設けられている重イオンマイクロビームを用い、重イオン入射により半導体に発生する電荷の伝搬挙動を調べている。この研究の一環として、シリコンpn接合ダイオード及びSOIダイオードに15MeVの炭素及び酸素イオンを照射し、発生するシングルイベント過渡電流を計測した。イオンで誘起される電荷の空乏層内での収集(ドリフト成分)と空乏層外での収集(ドリフト及びファネリング成分)とを比較した結果、ドリフト成分による収集時間は空乏層外での収集時間の半分であることを見出した。SOIダイオードにおいては、収集電荷がトップシリコンの厚さに依存することなどを明らかにしシングルイベントの機構解明に要する基礎データを蓄積した。さらに、イオン入射角度及び照射試料温度と収集電荷との関係,電荷収集に寄与する電荷移動時間に関する最近の成果を報告する。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 森 英喜*; 小野田 忍*; 神谷 富裕; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 181(1-4), p.87 - 94, 2001/07
被引用回数:65 パーセンタイル:96.67(Instruments & Instrumentation)半導体デバイスに高エネルギー荷電粒子が入射すると、シングルイベント現象と呼ばれるデータ反転や故障が発生する。われわれは、シングルイベント発生の機構解明を目的として、入射イオン1個で半導体中に誘起される電荷の伝搬挙動を明らかにするため、イオンマイクロビームを用いた計測技術TIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)、レーザを用いた計測技術TLBIC(Transient Laser Beam Induced Current)、並びに専用のデータ収集システムを新たに開発した。本報告では、開発した計測技術の概要に加え、TIBICシステムを用いて取得した15MeV炭素及び酸素イオン照射時のシリコンダイオード、ガリウム砒素ダイオード及びシリコントランジスタ(MOSFET)におけるシングルイベント過渡電流波形と電荷収集マッピングデータについても紹介する。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍*; 森 英喜*; 伊藤 久義
Solid State Phenomena Vol.78-79, p.401 - 406, 2001/07
われわれはシングルイベント発生の機構を解析し耐シングルイベント素子開発の指針となるデータを蓄積し、シミュレーション解析を実施している。さらに、入射イオン1個で半導体中に誘起される電荷の伝搬挙動を明らかにするために、イオンマイクロビームとレーザを用いた新たなデータ収集システムを開発をした。本国際会議では、開発した計測技術の概要に加え、TIBIC(Transient Ion Beam Induced Current)システムを用いて取得した15MeV酸素イオン照射時のシリコンダイオードに対するシングルイベント過渡電流波形の温度の影響、さらにガリウム砒素ダイオード及びMOSFETにおけるシングルイベント過渡電流波形と電荷収集マッピングデータ、レーザを用いて得られたシリコンダイオードの接合部マッピング等について紹介し、議論を行う。
平尾 敏雄; Laird, J. S.; 森 英喜*; 小野田 忍*; 伊藤 久義
Solid State Phenomena Vol.78-79, p.395 - 400, 2001/07
シングルイベント発生機構の解明を目的として、TIARA照射施設のタンデム加速器に設けられている重イオンマイクロビームを用い、重イオン入射により半導体に発生する電荷の伝搬挙動を調べている。この研究の一環として、われわれはイオン1個で誘起される電流波形を観測できる新たな測定システムを開発し、これを用いて、SOI構造を備えたダイオードに15MeVのエネルギーの酸素イオンを照射し、発生する過渡電流波形を計測した。伝導型の異なる基板(p,n)で作製したダイオードで測定を行った結果、正孔の方が電子と比較して収集時間が約2倍長いことが確認された。さらに、発生電荷量は印加電圧の増加により飽和する傾向が得られた。この結果は、高電界領域でのキャリアのドリフト速度の飽和に起因すると考えられる。