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喜多村 茜; 佐藤 隆博; 江夏 昌志; 神谷 富裕; 小林 知洋*
no journal, ,
耐薬品性が高く微細加工の困難なテフロン表面に、イオンマイクロビームを用いてマイクロメートルオーダーの高さを持つ円錐状突起物を形成し、その形状変化過程の解析を行った。高さのある円錐状突起物の形成は、パターン形状が円となるように螺旋状にプロトンビーム描画を行った場合に限定された。これは、試料内部から表面が隆起したためであることがわかった。また描画速度を変化させることで、最も高い円錐構造を形成できる速度には最適値が存在することもわかった。さらに、正方形内を螺旋状に描画することで四角錐の作製も可能であった。これら隆起構造の形成過程には、入射されたプロトンビームによる試料内部の温度上昇と分解ガスの発生による体積膨張が起因し、螺旋状描画がそれらの相互作用を最も強める方法であることを示した。
大図 章; 呉田 昌俊; 瀬谷 道夫; 春山 満夫; 高瀬 操; 倉田 典孝; 曽山 和彦; 中村 龍也
no journal, ,
He-3ガスを用いた比例計数管は、中性子計測の標準的な検出器であり、原子力分野はもとよりさまざまな産業及び基礎科学分野でも数多くかつ広範囲に使用されている。しかしながら、現在世界的なHe-3ガスの深刻な供給不足を背景にHe-3ガスを用いない代替中性子検出器が盛んに開発されている。これまで、B-10又はLi-6を用いたさまざまなタイプの代替検出器が開発されているが、われわれは、He-3型検出器と同等の性能が得られると期待される固体シンチレータ(ZnS/ B-10酸化物)を用いた代替検出器を開発している。その構造は、検出器の管内に設置された固体シンチレータから発生する蛍光を検出器の両端部に設置された二つの光電子増倍管(PMT)で検出して中性子を検出するものである。このタイプの検出器の検出効率は、おもに固体シンチレータの中性子との反応確率とシンチレータ上のある位置で発生した光のPMTまでの導光特性で決定される。今回、その導光特性をシミュレーションによって評価したので、その結果について報告する。
濱本 悟*; 山口 憲司; 北條 喜一
no journal, ,
原子力機構では、超高真空下でのスパッタエッチング(SE)を併用したイオンビームスパッタ蒸着法を用い、Si(100)基板上に高配向した-FeSi
薄膜を得ている。しかし、薄膜の構造とSi基板処理条件との関係に関しては、まだ十分に明らかになっていない。本研究では、Ne
イオンによるSi基板の表面処理を行い、高配向性
-FeSi
薄膜を得るのに適した条件を探索した。実験の結果、本研究で試したすべての処理条件で清浄な表面であることを示すSi(100)-2
1構造が反射高速電子線回折(RHEED)により観察された。一方、X線回折の結果から、SE条件3keV, 3.7
10
cm
のとき、高い配向性を有する
単相膜が得られることがわかった。その他の条件で処理した試料は、
(001)や
(220)/(202)面等からのピークが観測されることから、照射量を増やすことでこれら面方向への成長が抑制されたと考えられる。
小松原 彰*; 寺地 徳之*; 堀 匡寛*; 熊谷 国憲*; 田村 崇人*; 大島 武; 小野田 忍; 山本 卓; Muller, C.*; Naydenov, B.*; et al.
no journal, ,
ダイヤモンド中に発光中心を作製することで、量子計算及び量子通信などに応用することができる。本研究では、ダイヤモンドへシリコン(Si)イオンを格子状に照射することで、シリコン-空孔(Si-V)センターを作製し、SiVセンターの生成収率と位置精度の制御性について検討した。生成収率の測定のため、格子状に照射したSiイオンの数を各格子点あたり、2から1000個で変化させた。共焦点顕微鏡を用いて、SiVセンターの水平方向及び深さ方向の空間分布を測定した。観察の結果、SiVが規則的に格子状に生成されていることがわかった。しかし、1格子点あたり100個の場合、明瞭な格子状パターンを観測することができなかったことから、生成収率が1%以下であることが推定された。
村田 耕司*; 松浦 秀治*; 小野田 忍; 大島 武
no journal, ,
アルミニウムを添加した炭化ケイ素(Silicon Carbide: SiC)に電子線を照射することで移動度が減少する機構を明らかにするため、ホール係数測定により求めた移動度と計算値を比較した。計算では、イオン化不純物散乱、中性不純物散乱、有極性光学フォノン散乱、無極性光学フォノン散乱、音響フォノン散乱を考慮し、マティーソンの法則を用いて移動度を求めた。比較の結果、イオン化及び中性不純物散乱、有極性光学フォノン散乱は移動度に寄与しないことがわかった。一方、音響フォノン散乱及び無極性光学フォノン散乱は移動度に大きく寄与していることがわかった。電子線の照射量が増加するに従い、音響フォノン散乱及び無極性光学フォノン散乱による影響が大きくなり、移動度が減少していくことがわかった。さらに、音響フォノン散乱の方が無極性光学フォノン散乱に比べて、移動度の減少により大きな影響を及ぼしていることも明らかとなった。
中村 徹哉*; 今泉 充*; 佐藤 真一郎; 大島 武
no journal, ,
宇宙用太陽電池は宇宙線による出力特性の劣化を考慮しなければならないが、現在主流となっている多接合太陽電池は構造が複雑であることから、劣化予測を正確に行うのは困難である。今回、2つのサブセル(InGaPトップセルとGaAsボトムセル)を直列に接合したInGaP/GaAs二接合太陽電池の各サブセルでの電流・電圧特性を、エレクトロルミネセンス法及びバイアス光法を用いて調べ、放射線照射による各サブセルでの劣化特性を個々に抽出する手法を開発した。そこで、二接合太陽電池に3MeV陽子線を照射し、cm
まで照射したときの各サブセルの劣化特性を回路シミュレータを用いて再現し、これによって得られた各サブセルにおける劣化パラメータから
cm
まで照射したときの最大電力を予測したところ、実験値とよく一致した。このことから、本手法によって多接合太陽電池の放射線劣化を予測可能であることが示された。
今泉 充*; 高本 達也*; 大島 武
no journal, ,
宇宙用太陽電池の開発状況をレビューする。現在はInGaP/GaAs/Ge構造を有する三接合太陽電池が宇宙用の主流であるが、この太陽電池では、InGaPトップセルがサブセル中で最も耐放射線性に優れるため、InGaPトップセルが電流律速となるように設計されている。これにより実用被曝量(10MeV陽子で照射量10/cm
)で電流出力はほとんど劣化しない。一方、この三接合太陽電池の厚さは約150
mであるが、実効的に発電に寄与しているのは表面側のInGaP/GaAsの二接合部分で、その厚さは約10
mである。そこで、この三接合太陽電池からGeサブセル(基板)を取り除いた超軽量高効率薄膜二接合太陽電池の開発を進めている。薄膜二接合太陽電池は、そのままでは取扱いが困難であるため、セルアレイをフィルムでラミネートしシート状とした製品「Space Solar Sheet」の開発に成功した。これを従来の太陽電池パネルの代替とすれば、軽量化に加えてその柔軟性によるクラックの低減や薄さによる収納容積の削減が実現される。さらに、この薄膜二接合太陽電池は現状の三接合太陽電池よりも耐放射線性に優れることも確認されている。
岩本 直也; Johnson, B. C.; 大島 武; 星乃 紀博*; 土田 秀一*
no journal, ,
半導体のバンドギャップ中に存在する欠陥準位を評価し制御することは、半導体デバイスの開発において必要不可欠である。ところが、従来の欠陥評価手法では、低ドープの半導体中の欠陥準位を検出することが難しいという欠点がある。本研究では、アルファ粒子を用いることでこの問題を解決し、低ドープ半導体中の欠陥準位の検出を試みた。試料は、次世代のパワーデバイスの材料として期待されているn型4H-SiCである。ドーピング濃度は10cm
以下であり、従来の評価手法では欠陥を検出することが非常に難しい。このSiC上にダイオードを作製し、一部のダイオードには意図的に欠陥準位を導入するために電子線照射と熱処理を行った。これらのダイオードに逆バイアス電圧を印加した状態で5.5MeVのアルファ粒子を入射させ、電荷収集特性を測定した。試料の温度を変化させながら測定した電荷収集特性に対して、Rate Window解析を行ったところ、電子線照射と熱処理を行ったダイオードには、約0.5eVの活性化エネルギーを有する欠陥準位が検出された。
加道 雅孝
no journal, ,
これまで開発を進めてきたレーザープラズマ軟X線顕微鏡に位相差顕微鏡や蛍光顕微鏡を組合せることにより、同一細胞のマルチカラーイメージングを実現した。細胞をX線感光材として用いるPMMAフォトレジスト上に直接培養し、専用に開発したステンレス製の試料ホルダー中に封入し、位相差顕微鏡,蛍光顕微鏡,軟X線顕微鏡による観察を実施した。細胞はあらかじめDAPI,マイトトラッカー,ファロイジン等の蛍光標識を施すことにより、さまざまな細胞内小器官を複数の顕微法で直接比較を行った。各種顕微鏡で同一細胞を観察した場合、顕微鏡によって見え方が異なることがわかった。蛍光顕微鏡像では、用いた蛍光標識によって特異的な細胞内器官が可視化された。具体的には、細胞核内のクロマチン,ミトコンドリア,細胞骨格(アクチンフィラメント)が選択的に可視化されることがわかった。これらの像と軟X線顕微鏡像を比較することにより、軟X線顕微鏡で捉えた細胞内構造とさまざまな細胞内小器官との照合が可能であることがわかった。
濱本 悟*; 山口 憲司; 北條 喜一
no journal, ,
超高真空下でのスパッタエッチング(SE)を併用したイオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法を用い、Si(100)基板上に高配向した-FeSi
薄膜を得た。しかし、薄膜の構造とシリコン(Si)基板表面条件との関係に関しては、まだ十分に明らかになっていない。本研究では、Ne
イオンによるSE法を用いてSi基板表面処理を行い、その成膜への影響を調べた。その結果、Si基板表面のエッチング条件(加速電圧,照射量)を最適化することにより、
(100)面以外の結晶成長膜を制御し、高配向膜を得る条件を見いだした。
本橋 健次*; 齋藤 勇一; 宮脇 信正
no journal, ,
近年、ガラスキャピラリーを透過するMeVエネルギーイオンビームに対して、ガラス表面近傍原子との小角散乱やチャージアップに起因すると考えられる集束効果が発見された。われわれは、同様の現象をMeVエネルギーイオンビームの偏向に応用することを考え、曲率を持つガラス面上に小角で入射した際のイオンの散乱について研究を行っている。今回、曲率半径175mmの光学用ガラス凸レンズと凹レンズを1.2mmの間隔で対向させて、湾曲した経路(経路長:約20mm)を作製した。そこに2MeVの炭素イオンビームを入射し、その入射ビーム軸に対する経路の角度を入射口を中心に回転させることにより変えて、ビームの透過率を測定する実験を行った。その結果、幾何学的にはビームが透過できない角度(10)のときでも電流透過率が約10%になることを確認した。これにより、曲面ガラスを利用したビーム偏向の可能性が示された。
神農 宗徹*; 寺岡 有殿; 高岡 毅*; 岡田 隆太; 岩井 優太郎*; 吉越 章隆; 米田 忠弘*
no journal, ,
Al(111)表面に超音速窒素分子線を照射すると並進運動エネルギー1.8eVをしきい値として直接窒化反応が起こる。また、反応温度に大きく依存したインキュベーション時間が存在し、反応温度によりできる膜の成分に大きな違いがあることもわかっている。そこで、今回は反応温度を300Kから473Kの範囲で50度おきに設定し、成膜した薄膜を最高773Kまで加熱し、薄膜の熱変性を調べた。作製した薄膜は、成膜時の反応温度より高温になると変化が顕著になり、NとN
が減少しN
が増加する傾向であった。これは、1配位や4配位に比べ3配位が安定であることを示している。また、反応温度300Kの薄膜は623K以上の昇温で1配位と4配位に加え、3配位も減少し、2配位が急増した。これは、反応温度300Kでは、作製した薄膜に比較的多くN
とN
が比較的多く含まれていたため、膜が脆弱であったためであると考えている。
岡田 隆太; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 神農 宗徹*; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
no journal, ,
Geを用いた電界効果トランジスタの実現には、その酸化膜の制御が不可欠である。本研究の目的は、超音速酸素分子線によってGe酸化膜の酸化状態を制御することである。われわれは、高い並進運動エネルギーを持つ超音速酸素分子線によってGe(111)表面を室温酸化することで、Ge成分を形成できることを明らかにしている。これは、酸化を誘起する酸素分子の並進運動エネルギーを制御することで、Ge(111)表面室温酸化膜の酸化状態を制御できることを示唆している。本実験では、広範囲の並進運動エネルギーの酸素分子によって十分に酸化されたGe酸化膜を放射光XPSによって分析した。飽和酸化膜のGe 3dスペクトルの比較から、Ge
成分の形成はエネルギー閾値を境に活性化吸着が起きることが原因であることを明らかにした。この結果は、Ge(111)表面上の酸化膜の制御するうえで重要な基礎的知見を与える。
吉越 章隆; 岡田 隆太; 寺岡 有殿; 神農 宗徹*; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
no journal, ,
Geを用いた電界効果トランジスタ等のデバイスを実用化するためには、Ge酸化膜の制御が不可欠である。Ge酸化膜の制御を行うには、酸化を誘起する酸素分子の反応ダイナミクスを詳細に理解する必要がある。本研究では、酸化反応ダイナミクスにとって重要な初期吸着確率に注目した。本実験では、Ge(100)室温表面酸化における酸素分子の並進エネルギーの変化に伴う、初期吸着確率の変化を放射光XPSによって観測した。実験の結果、超音速酸素分子線による酸化は、バックフィリング酸化よりも初期吸着確率が小さいことが明らかとなった。これは、酸素分子のトラッピング確率の減少に起因すると考えられる。一方、超音速酸素分子線の並進運動エネルギーが増加すると初期吸着確率が大きくなることから、活性化吸着が誘起されていることが明らかとなった。この結果は、Ge(100)表面上の酸化反応ダイナミクスを理解するうえで重要な基礎的知見を与える。
安田 良; 片桐 政樹*; 中村 龍也; 酒井 卓郎; 野島 健大; 飯倉 寛
no journal, ,
カメラシステムを用いた中性子イメージングにおいて、中性子を可視光に変換するシンチレータ検出器は、画像のコントラストや空間分解能を決定する重要な機器である。近年、原子力機構で開発されたB
O
/ZnS(Ag)シンチレータは、従来に比べて高検出効率・高空間分解能が期待できるイメージング検出器である。本研究では、このB
O
/ZnS(Ag)シンチレータの発光強度に及ぼす粉末粒度や厚さの影響をTRIMコード及び中性子ビーム実験により調べた。TRIMコードからは、粉末粒度が小さくなるとともに、蛍光強度が大きくなる結果が得られた。一方、実験では、粒度3.2
mのシンチレータに比べて粒度5.8
mの方が高い輝度が得られ、計算結果とは異なる結果となった。本稿では、この計算結果と実験結果との相違について論じている。
錦野 将元; 石野 雅彦; Faenov, A.*; 田中 桃子; Pikuz, T.; Starikov, S. V.*; Vladimir, V.*; Norman, G.*; Fortov, V.*; Skobelev, I.*; et al.
no journal, ,
近年、軟X線から硬X線領域における加速器ベースのX線自由電子レーザー開発が国内外で急速に進展している。プラズマ軟X線レーザーでは通常のレーザーと同様に特定の準位間で反転分布を生成することでコヒーレント光を発生する。このようなコヒーレントX線源開発研究において時間的にも空間的にも高コヒーレンスで繰り返し発生が可能な軟X線レーザーが開発され、応用研究が開始されている。軟X線は可視光よりも高密度プラズマに対する透過力が高いことから、プラズマ研究用のプローブ光源としての利用が主な用途であったが、近年では、可視光よりも波長が短く、かつ硬X線よりも物質に対する浸入深さが小さいという特徴を活かして、物質表面の精密計測の光源として利用されるようになり、また軟X線レーザーによる微細加工に関して、アルミニウムや金等の金属表面に軟X線レーザーを照射し、X線レーザーアブレーションによって生成される表面微細構造研究を展開している。軟X線レーザーアブレーション生成や生成されたナノメートルスケールの微細構造について講演を行う。また、同様に軟X線レーザーを生物細胞に照射したときに生じる放射線生物影響についても述べる。
喜多村 茜; 佐藤 隆博; 江夏 昌志; 神谷 富裕; 小林 知洋*
no journal, ,
MeV級のイオンマイクロビーム後のkeV級のイオンビーム照射により、耐薬品性が高く微細加工の困難なテフロン表面に、パターニングされた微細突起状表面の作製を行った。試料内部の密度を低下させるような条件でプロトンビーム描画を行い、その後に未照射のテフロン部分が突起状となるよう窒素分子イオンのスキャン照射を行うと、突起状表面の中に、直線と曲線により構成された描画パターンを平滑な表面として浮き上がらせることができた。これは、プロトンビームにより密度の低下した部分がその後の窒素分子イオンの照射中に試料温度が上昇したことによって溶融したためである。本研究では、この表面を作製するため、各ビームの照射条件とこの条件を用いて得られる表面形状をSEM観察により明らかにした。
原本 直樹*; 猪俣 州哉*; 三本菅 正太*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 吹留 博一*; 末光 眞希*
no journal, ,
3C-SiC(111)/Si(111)基板上では6H-SiC(0001)基板上と同様にグラフェンが形成されるが、品質は6H-SiC基板上のグラフェンと比較すると不十分である。3C-SiC薄膜の膜質は微傾斜Si基板を使用したステップフロー成長法でよくなることがわかっている。そこで、今回、微傾斜Si(111)基板上のSiC薄膜の質向上、及び、形成後のグラフェンの品質を調べた。モノメチルシランを用いたガスソース分子線エピタキシー法により微傾斜Si(111)基板上にSiC(111)薄膜を成膜した。成膜後の3C-SiC(111)/Si(111)off-axisはXRD測定により減少することから結晶性が向上することが明らかになった。その薄膜の熱改質によりSiC(111)/Si(111)薄膜上にグラフェンを形成した。ラマンスペクトルから、高品質なグラフェンが形成されていることがわかった。
横山 有太; 山崎 竜也; 朝岡 秀人
no journal, ,
Si(110)清浄表面は162構造という特異な長周期1次元再構成構造を有し、印加方向を制御した直流電流通電加熱によりシングルドメイン化が可能である。このシングルドメイン構造は16
2構造の相転移温度(約1000K)以下では熱的に安定である。しかし本研究では、室温でGe原子を少量蒸着した後、約900Kで長時間通電加熱を行うことで、16
2構造がダブルドメイン化するとともに、主にドメイン境界部分にナノクラスターが形成されることを見いだした。Geの格子定数はSiよりも約4%大きいため、Geがクラスター化した部分では歪が生じる。この歪を解消するため、Si(110)表面がダブルドメイン化したと考えられる。このように非常に少量の吸着物により表面形状が変化することは興味深いことであり、今後の新規ナノ構造作製に役立てることができると考えられる。
前川 雅樹; 河裾 厚男
no journal, ,
陽電子マイクロビームを試料面内で走査することにより空孔型欠陥の二次元分布を測定できる装置の開発を行ってきた。一方で、電子ビーム誘起電流法を用いると、半導体中の欠陥分布を可視化できる。そこで、この二種類の測定を同時に行うことにより、空孔型欠陥と電気的に活性な欠陥との関連を調べるシステムを開発した。実際に、局所的にイオン注入を行って格子欠陥を導入したシリコン試料を作製し、システムの動作検証を行った。その結果、イオン注入領域において格子欠陥での陽電子消滅を示すSパラメータが上昇し、同時に、欠陥の存在を示す電子ビーム誘起電流の減少が見られた。このように陽電子消滅測定と電子ビーム誘起電流測定を同時に行うことにより、電子ビーム誘起電流コントラストの増大を引き起こすような電気的に活性な欠陥が、空孔型欠陥であるかどうかを判別できることが確認された。