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馬場 祐治; 下山 巖
Photon Factory Activity Report 2016, 2 Pages, 2017/00
土壌中におけるストロンチウム(Sr)の吸着状態を明らかにするため、層状酸化物(雲母)に吸着した非放射性Srの化学結合状態をX線光電子分光法(XPS)およびX線吸収端微細構造法(XANES)により調べた。放射性Sr-90の原子数は極めて少ないので、超微量のSrの測定を行うため、X線の全反射条件下でXPS, XANESを測定した。全反射XPSでは、1cm当たり300ベクレルのSr-90に相当する150ピコグラムまでのSrの測定が可能であった。XPSで測定したSr2p軌道のエネルギーは、吸着量の減少とともに低エネルギー側にシフトした。またXANESスペクトルにおけるSr2p Sr4d共鳴ピークのエネルギーも、吸着量の減少とともに低エネルギー側にシフトした。これらのエネルギーシフトを、点電荷モデルにより解析した結果、Srと雲母表面の化学結合は、極微量になるほどイオン結合性が強くなることを明らかにした。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.
Surface and Interface Analysis, 38(4), p.352 - 356, 2006/04
被引用回数:3 パーセンタイル:7.04(Chemistry, Physical)部分電子収量(PEY)法と光刺激イオン脱離(PSID)法とを組合せた新しいX線吸収端微細構造(NEXAFS)分光法の開発を行った。その開発された検出器を用いてFイオン照射により表面修飾を施したグラファイト最表面における結合配向を調べた。PEY法により測定されたフッ素1s内殻励起準位の角度依存NEXAFSスペクトルには大きな偏光角度依存は認められなかった。それに対し、飛行時間質量分析法によりFイオンを検出し、その収量を縦軸とするNEXAFSスペクトルを得た。Fイオン収量スペクトルは吸収スペクトルと異なり=C-Fサイトに由来する*(C-F)励起において強度増強された。またそのピークのみピーク面積が顕著に偏光角度に依存した。イオン脱離と二次電子放出のそれぞれの観測深さを見積もり考察を行った。イオン収量XAFSは表面敏感であり、電子収量XAFSはバルク敏感であると結論した。またHイオンやFイオンの収量XAFSスペクトルも表面構造や解離・脱離過程に関して有用な知見を与えることもわかった。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Wu, G.*; 北島 義典*
Surface Science, 593(1-3), p.310 - 317, 2005/11
被引用回数:2 パーセンタイル:11.24(Chemistry, Physical)回転型飛行時間質量分析装置(R-TOF-MS)を用いて、分子固体表面最上層で起こる結合解離と脱離過程における分子配向効果を研究した。凝縮塩化ベンゼンの質量スペクトル,電子収量法,イオン収量法による高分解能NEXAFSスペクトルの偏光角度依存性を報告する。凝集分子ではCl 2s*共鳴励起でClイオン収量が増加する現象に関して顕著な配向効果が観測された。下層による緩和に表面上の分子の結合方向が大きく影響を受けることから、この配向効果には電荷中性化緩和が重要な役割を果たしている。*共鳴励起では偏光依存性を全く示さなかった。このことから離れた原子を内殻励起しても「遠い」結合には直接解離が起こらず、おもに2次電子により解離が引き起こされるものと考察する。
池浦 広美*; 関口 哲弘; 馬場 祐治; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*
Surface Science, 593(1-3), p.303 - 309, 2005/11
被引用回数:5 パーセンタイル:25.49(Chemistry, Physical)われわれが近年開発した脱離イオン種をプローブとする(XAFS)分光法の基礎データ拡充のため、ホルムアミド分子の凝縮系試料の実験を行った。分子内のC, N, O元素におけるXAFS測定が可能でありC-H, N-H結合を区別して最表面の配向構造分析することが可能であることが示された。さまざまなX線励起エネルギー,生成物種,励起偏光角度について測定した飛行時間質量スペクトルから生成物が放出される際の初期運動エネルギーを求め、イオン脱離機構を調べた。運動エネルギーは発生メカニズム(直接解離/間接解離機構)を大きく反映すること、また多成分存在することが示された。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.*; Uddin, M. N.*
Journal of Physics; Condensed Matter, 17(36), p.5453 - 5466, 2005/09
被引用回数:1 パーセンタイル:5.93(Physics, Condensed Matter)ハロゲン置換,NCO-基置換した有機シリコン化合物について、その凝集試料のSi K吸収端近傍におけるX線吸収スペクトル(NEXAFS)測定とその偏光依存性測定を行い、その電子状態及び分子配向性、特に配向性が発生する機構を明らかにした。凝集表面において分子間の双極子-双極子相互作用により反平行配置を取りやすく、それが系全体の平均配向として現れること、正四面体型分子に近い構造の場合ほど最密充填構造をとり水平配向度が高くなる傾向があるなどのことが明らかとなった。また、スペクトルの蒸着速度依存性測定から動力学的要因によっても分子軸配向が影響を受けることを明らかにした。
小西 啓之; 山下 正人*; 内田 仁*; 水木 純一郎
Proceedings of 16th International Corrosion Congress (CD-ROM), 6 Pages, 2005/09
耐候性鋼保護性さび層の構造的特徴と合金元素及び塩化物イオンとの関係を明らかにするために、塩化物環境下で大気暴露した純鉄、Fe-Cr及びFe-Ni合金の表面さび層のXANESを放射光を用いて測定した。Cl K吸収端XANES測定からこれらのさび層がアカガネアイト以外の塩化物を含むことがわかったが、その塩化物の特定には至っていない。Fe K吸収端XANES測定からこれらのさび層がゲーサイト,アカガネアイト,レピドクロサイト及びマグネタイトを主成分とすることがわかった。特にFe-Ni合金のさび層中のアカガネアイトの成分比はFe-Cr合金と比べて相対的に多い。またFe-Cr合金さび層のCr K吸収端XANESスペクトルはCr添加量に依存してわずかに変化するが、Fe-Ni合金さび層のNi K吸収端XANESにはそのような傾向は見られず、Ni添加量のある範囲においてNi周辺の局所構造は変化しないことがわかる。
Nath, K. G.; 下山 巖; 関口 哲弘; 馬場 祐治
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 144-147, p.323 - 326, 2005/06
被引用回数:5 パーセンタイル:27.17(Spectroscopy)放射光を使った光電子分光法とX線吸収分光法を用い、ポリジメチルシランポリマー{PDMS, [Si(CH)]}の電子状態と分子配向に対するレーザー加熱による効果を調べた。試料は高配向焼結グラファイト基板上にPDMS粉末を担持したものである。Si 1s励起のX線光電子分光測定及びSi-1s X線吸収端微細構造(NEXAFS)測定ともにアニーリングにより電子状態変化が起こるという結果が得られた。さらに角度依存NEXAFS測定を行った。その結果、アニーリング前には分子鎖はランダム配向であったのに対し、アニーリングにより生成した薄膜には強いSi-Si分子鎖配向が生じるという現象が見いだされた。
小西 啓之; 山下 正人*; 内田 仁*; 水木 純一郎
Materials Transactions, 46(2), p.329 - 336, 2005/02
被引用回数:30 パーセンタイル:81.12(Materials Science, Multidisciplinary)少量のクロムを含む従来型耐候性鋼の耐食性は、塩分飛来環境下では著しく減少する。そのため合金元素としてニッケルを添加した耐候性鋼が、塩分飛来環境下での使用に耐える新型鋼材として注目される。このような耐候性鋼の保護性さび層の構造を知る手がかりとして、宮古島で大気暴露した鉄,鉄ニッケル合金,鉄クロム合金の各試料片の表面に生成したさび層の分析を放射光を用いたCl K-XANES, Fe K-XANESによって行った。Fe K-XANESスペクトルをパターンフィッティング解析することで、さび層の主要構成成分であるゲーサイト,アカガネイト,レピドクロサイト,マグネタイトの組成比を求めることができた。いずれのさび試料についても最も組成比の高い成分はアカガネイトであり、しかもFe-Ni合金のさび中のアカガネイト組成比はFe-Cr合金さび中のそれよりも高い結果となった。一般にアカガネイトは鋼材の腐食をより進行させるということを考えると、塩分環境でより耐食性が高いはずのFe-Ni合金でさび中のアカガネイト量が多いことは意外である。両者のさび中のアカガネイトが質的に異なるものであり、Fe-Ni合金さび中のアカガネイトは腐食の進行に関与しないと考えられる。一方、さび層のCl K-XANESスペクトルは人工育成アカガネイトのそれと極めてよく似ているが、主吸収ピークの立ち上がりにアカガネイトのスペクトルにはないショルダーピークが見られることから、さび層はアカガネイト以外にも何らかの塩化物を含んでいる。幾つかの参照用塩化物試料とスペクトルを比較したが、さび中の塩化物を特定するには至っていない。しかしこのことはClが直接CrやNiなどの添加合金元素と結合していないこと、したがって金属塩化物を生成することにより添加合金元素の耐食性に関する役割を阻害するものではないことがわかる。ショルダーピークは合金元素の添加量がそれぞれある値より低いときにのみ現れており、この塩化物の生成プロセスと鋼材の腐食率との間に関連性があると考えられる。
小西 啓之; 山下 正人*; 内田 仁*; 水木 純一郎
Materials Transactions, 45(12), p.3356 - 3359, 2004/12
被引用回数:10 パーセンタイル:52.71(Materials Science, Multidisciplinary)耐候性鋼中の添加合金元素であるNiやCr、環境中の腐食イオンであるClが耐候性鋼の耐食性に及ぼす働きを調べるために、飛来塩分量の多い試験場で大気暴露した純Fe,Fe-Ni合金,Fe-Cr合金から表面さび層を採取し、そのCl K吸収端XANESを放射光を用いて測定した。二元合金表面のさびのXANESスペクトルには吸収端近傍にショルダーピークが現れる。現時点でこのピークに対応した塩化物は特定できていない。そのピーク強度は暴露試験材中の合金元素の種類と量に依存するが、ピーク位置は一定であった。このことからさび中のClイオンは添加合金元素と直接結合しているのではないことがわかった。
馬場 祐治; 佐々木 貞吉; 山本 博之
Physical Review B, 49(1), p.709 - 711, 1994/01
被引用回数:47 パーセンタイル:86.30(Materials Science, Multidisciplinary)放射光により、SiOのSi 1s軌道電子を励起した際に発生するSi KLLオージェ電子スペクトルを測定し、以下の結果を得た。1)Si 1sから伝導帯への共鳴励起により発生するオージェ電子(共鳴オージェ電子)は、Si 1s軌道電子のイオン化により生じるオージェ電子(ノーマルオージェ電子)に比べ1~8eV運動エネルギーが高い。2)共鳴オージェ電子の運動エネルギーは、照射する放射光のエネルギーに比例して高エネルギー側にシフトする。これらの結果は、励起された電子がオージェ遷移の間、スペクテーター電子として伝導帯内に留まり、Si 2P軌道から放出されるオージェ電子と相互作用することを示している。このような共鳴オージェ電子のエネルギーシフトは、内殻正孔の遮蔽効果の大きい半導体(Si,SiC)では観測されないことから、バンドギャップの大きい絶縁体(誘電体)特有の現象と考えられる。
馬場 祐治; 山本 博之; 佐々木 貞吉
Surface Science, 307-309, p.896 - 900, 1994/00
被引用回数:29 パーセンタイル:83.24(Chemistry, Physical)固体シリコン化合物(Si単結晶、SiO、SiC)にSi1s近傍の放射光を照射し、内殻軌道から外殻の非占軌道への共鳴励起に伴うオージェ電子スペクトルを測定した。SiOから放出されるSiKLLオージェピークは、放射光のエネルギーがSi1sSi3p共鳴吸収近くになると、終状態が+2価のノーマルオージェ電子と、終状態が+1価の共鳴オージェ電子の2本に分裂することを見出した。共鳴オージェ電子のピーク位置は、照射する放射光のエネルギー増加に比例して高エネルギー側にシフトする。一方、Si単結晶、SiCでは共鳴吸収近くの励起エネルギーにおいてもオージェピークの分裂は認められなかった。このような共鳴オージェ過程の差異について、非占軌道のエネルギー分布や価電子による内殻正孔のエネルギー緩和過程等との関連において議論した。
馬場 祐治; 山本 博之; 佐々木 貞吉
Physical Review B, 48(15), p.10972 - 10977, 1993/10
被引用回数:25 パーセンタイル:77.07(Materials Science, Multidisciplinary)X線吸収端微細構造法(XANES法)により、非化学量論組成をもつSiO(0x2)およびSiN(0x4/3)の伝導帯を構成する非占有軌道の電子構造解析を行った。SiOではSi 2p吸収端のXANESスペクトルはx≧0.2においてSiOに類似しており、O 1s吸収端のスペクトル構造はxの値に存在しない。このことからSiO層はシリコンに4個の酸素が配位したSiO層とSi層がアイランド構造をとり、その伝導帯は主としてSiOの軌道成分から成り立つことがわかった。一方、SiNではSi 2p3s(a)共鳴吸収ピークは、xの増加により、徐々に高エネルギー側にシフトするとともに、x1.0においてN 1s吸収端領域にN 1sから原子状のN 2p軌道への遷移(ダングリングボードに相当)による鋭い共鳴吸収が認められた。これらの事実よりSiNではシリコンに窒素原子がランダムに配位する構造をとることが明らかとなった。
馬場 祐治; 山本 博之; 佐々木 貞吉
表面科学, 14(5), p.260 - 264, 1993/00
非化学量論組成をもつSiO(0≦x≦2)及びSiN(0≦x≦4/3)の伝導帯領域の電子構造を、放射光をプローブとするX線吸収端微細構造法(XANES)により調べた。SiOではSi2P吸収端近傍のXANESスペクトルはSiOに類似した構造を示し、中間組成をもつSiO等による共鳴吸収ピークは認められなかった。これはSiO層がSi及びSiOのislandの混合層から成り、その伝導帯はSiOの軌道成分から構成されていることを示唆している。一方、SiNのSi2P領域のXANESスペクトルは、xの値により漸次変化する。またx1.0においてNIS吸収端のXANESスペクトルには窒素原子のダングリングボンドに起因する鋭い吸収が観測された。これらのことからSiN層はSiO層と異なり、Si原子にN原子がランダムに配位する構造をとることが明らかとなった。
蓬田 匠; 東 晃太朗*; 河村 直己*; 北辻 章浩; 高橋 嘉夫*
no journal, ,
層状ケイ酸塩鉱物である黒雲母は、ウラン(U)鉱山などにおいてUのホスト相であることが知られているが、そのU濃集のメカニズムについては不明な点が多い。本研究では、黒雲母へのU濃集における風化の影響を調べるため、層間のカリウムを抽出する模擬的な風化処理を行った黒雲母にUを吸着させ、Uの化学種を調べた。その結果、層間のカリウム抽出率が高くなるほどUの還元種の割合が高くなり、黒雲母の風化によって発達した劈開でUの還元が生じていることを明らかにした。