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論文

避難退域時検査効率化に向けた車両用ゲートモニタの新たな測定手法の開発

平岡 大和; 川崎 晃平*; 木村 仁宣; 齊藤 将大; 江嵜 巌*; 亀田 周二*; 外川 織彦

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 25(3), p.111 - 121, 2026/08

避難退域時検査における車両検査の効率化を図るため、可搬型ゲートモニタでタイヤ側面とワイパー部を同時検査する手法の開発を進めている。本研究では、タイヤとワイパー部のいずれが汚染しているかを判別する手法として、検出器を地面近くに水平・垂直に配置するL字型の測定構成を設計した。このL字測定法による判別手法をモンテカルロシミュレーションで評価した結果、点線源がタイヤ・ワイパー部のいずれにあるかにより、水平・垂直の検出器で得られる計数値の大小関係に差異が生じることが示された。この関係から汚染箇所を特定する判別手法を検討し、ゲートモニタ(千代田テクノル製「ガンマ・ポール」)による測定でL字測定法の有効性を検証した。その結果、タイヤ汚染を模擬した実験では30回全てでタイヤを正しく特定でき、ワイパー部汚染を模擬した実験では30回中29回でワイパー部を正しく特定できた。

論文

放射線監視用連続モニタの特性が原子力緊急時における測定値へ与える影響

佐藤 俊; 外間 智規*; 三上 智; 高橋 史明

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 25(3), p.93 - 105, 2026/08

放射線監視用連続モニタ(連続モニタ)の測定値は、原子力緊急時における空間線量率分布の把握や防護措置の判断に活用されるが、測定地上高、測定装置の種別、測定値の単位といった特性は様々である。本研究では、日本全国に設置された1,692か所の連続モニタを対象に、特性に関する調査を実施した。さらに、これらの特性が測定値に及ぼす影響について、軽水炉事故を想定した放射性核種の分布条件下で数値シミュレーションにより定量的に評価した。加えて、福島第一原子力発電所事故時の実測データとの比較により、解析モデルの妥当性を検証した。その結果、原子力緊急時の防護措置判断の基準である1m高さの周辺線量当量率を指標とした場合、連続モニタの採用している単位や地上高の違いによる測定値の変動は概ね0.7$$sim$$1.1倍の範囲内に収まることを明らかにした。本成果は、原子力緊急時における連続モニタの測定値の活用および今後の緊急時モニタリングに対して、有用な知見を提供するものである。

報告書

令和6年度緊急時対応技術適用のためのバックグラウンド航空機モニタリング及び無人航空機による放射線モニタリングに係る技術開発(受託研究)

普天間 章; 越智 康太郎; 佐々木 美雪; 中間 茂雄; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 眞田 幸尚; et al.

JAEA-Technology 2025-015, 171 Pages, 2026/03

JAEA-Technology-2025-015.pdf:11.43MB

2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う津波により、東京電力福島第一原子力発電所事故が発生し、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後から、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手段として、有人ヘリコプター等による航空機モニタリングが活用されてきた。日本原子力研究開発機構は原子力規制庁からの受託事業として、緊急時モニタリングの迅速化に向け、発電所周辺のバックグラウンド線量率や地形、管制空域等の情報整備を進めている。令和6年度は、島根原子力発電所周辺で航空機モニタリングを実施し、線量率マップ等を作成し、地上測定値や他機関データと比較して妥当性を確認した。原子力総合防災訓練では、有人ヘリコプターに加え無人航空機を用いた訓練フライトを実施し、搭載方法やリアルタイム通信、迅速なマッピングの有効性を確認した。さらに、無人機データ収集システムの整備を進め、リアルタイム解析やマルチプラットフォームでの運用を検証し、改良課題を抽出した。マルチコプターの操作講習も実施し、運用技術の向上を図った。加えて、米国、フランス、韓国、カナダと合同環境放射線モニタリングを行い、各国の測定技術や運用体制に関する知見を得るとともに、国際的な情報共有の重要性を確認した。本報告書は、これら令和6年度の受託研究で得られた成果と技術的課題を取りまとめ、今後の緊急時モニタリング技術の高度化に資する知見を提供するものである。

論文

緊急時モニタリング検討委員会の活動報告,2; 移行期・長期モニタリング

三上 智; 斎藤 公明; 外間 智規; 他9名*

保健物理(インターネット), 60(4), p.275 - 303, 2025/12

本稿は保健物理学会緊急時モニタリング委員会の活動の中から移行期・長期モニタリングに関する検討成果をまとめたものである。国際的にも原子力事故後の長期モニタリングの実績はごく少なく、福島事故後の経験は稀有な教訓を提供している。委員会では福島における空間線量率等の大規模モニタリング、食品モニタリング及び個人モニタリングに関して詳細なレビューを行った。現在、福島事故の教訓に基づき、原子力事故後の移行期・長期モニタリングに関する公式な枠組みの構築が必要な時期にさしかかっている。集約した情報と専門家による議論に基づき、最後に移行期・長期モニタリングの目標、活動範囲、ロジスティクス等に関する委員会としての提言をまとめている。

論文

Decontamination effectiveness for wiping vehicle in screening during a nuclear emergency

平岡 大和; 真辺 健太郎; 廣内 淳; 高原 省五

Proceedings of Asian Symposium on Risk Assessment and Management 2025 (ASRAM 2025) (Internet), p.487 - 494, 2025/08

Evacuation by private vehicle is a basic evacuation strategy during a nuclear emergency in Japan. When vehicles are evacuated from the contaminated areas, screening is conducted to inspect for radioactive contamination. If the radioactive contamination of vehicles exceeds criteria, decontamination is performed by wiping with wet waste cloths. Therefore, insights into the effectiveness of wet cloth wiping are necessary to conduct decontamination in an optimized manner. However, detailed information on the effectiveness of wiping each component of a vehicle by wet waste cloths is not sufficient. The present study simulated cesium contamination deposited on vehicle surfaces during a nuclear accident and experimentally assessed the effectiveness of wet cloth wiping for decontaminating newly manufactured vehicle components (windshield, hood panel, and aluminum alloy). The results showed that the decontamination factor (DF) for the windshield was approximately 8 to 26, while the DF for the hood panel was more than 32 and that for the aluminum alloy was more than 31. Furthermore, it was observed that decontamination effectiveness did not change after the second wiping.

報告書

令和5年度緊急時対応技術適用のためのバックグラウンド航空機モニタリング及び無人航空機による放射線モニタリングに係る技術開発(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 中間 茂雄; 佐々木 美雪; 越智 康太郎; 澤幡 義郎*; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; et al.

JAEA-Technology 2024-022, 170 Pages, 2025/03

JAEA-Technology-2024-022.pdf:15.09MB

2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波が原因で、東京電力福島第一原子力発電所事故が発生し、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後から、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手段として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。日本原子力研究開発機構は、原子力規制庁からの受託事業として、本モニタリング技術を原子力施設等の事故時における緊急時モニタリングに活用し、モニタリング結果を迅速に提供するため、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、管制空域等の情報を事前に整備している。令和5年度の受託事業では以下について実施した。九州電力(株)川内原子力発電所の周辺について航空機モニタリングを実施し、バックグラウンド放射線量及び管制区域等の情報を整備した。緊急時における航空機モニタリングの実効性向上に資するため、原子力総合防災訓練において航空機モニタリングを実施するとともに、国内初となる原子力防災訓練での無人機の訓練フライトを実施した。無人航空機による放射線モニタリングの技術開発を進め、緊急時モニタリングに必要とされる要件を満たす無人航空機を選定し、その飛行性能を調査した。本報告書は、これら令和5年度の受託研究において得られた結果及び抽出された技術的課題についてまとめたものであり、今後の緊急時対応技術向上に資する知見を提供する。

報告書

令和4年度緊急時対応技術適用のためのバックグラウンド航空機モニタリング及び無人航空機による放射線モニタリングに係る技術開発(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 佐々木 美雪; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 圷 雄一郎*; 新井 仁規*; et al.

JAEA-Technology 2023-026, 161 Pages, 2024/03

JAEA-Technology-2023-026.pdf:14.66MB

2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。本モニタリング技術を原子力施設等の事故時における緊急時モニタリングに活用し、モニタリング結果を迅速に提供するために、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、管制空域等の情報を事前に整備している。令和4年度は関西電力(株)美浜発電所並びに日本原子力発電(株)敦賀発電所及び四国電力(株)伊方発電所の周辺について航空機モニタリングを実施し、バックグランド放射線量及び管制区域等の情報を整備した。さらに、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングの代替技術として期待されている無人航空機によるモニタリングの技術開発を進めた。本報告書は、それらの結果及び抽出された技術的課題についてまとめたものである。

報告書

原子力防災を中心とした専門用語に関する和英対訳の調査と提案

外川 織彦; 奥野 浩

JAEA-Review 2023-043, 94 Pages, 2024/03

JAEA-Review-2023-043.pdf:1.53MB

日本語で記載された原子力防災分野の文書を英語に翻訳するために、災害対策基本法、原子力災害対策特別措置法及び原子力の安全に関する条約について、日本語と英語の対訳を調査した。調査結果を統合し、統一的な英対訳を選択した。この結果として、原子力防災分野における専門 用語の和英対訳表を作成し、提案した。

報告書

原子力災害時における避難退域時検査と除染基準に関する調査と考察

外川 織彦; 外間 智規; 平岡 大和; 齊藤 将大

JAEA-Research 2023-011, 78 Pages, 2024/03

JAEA-Research-2023-011.pdf:2.09MB

原子力災害時に大気へ放射性物質が放出された場合には、住民等の被ばくを低減するための防護措置として、自家用車やバス等の車両を利用して避難や一時移転が実施される。避難等を実施した住民等や使用した車両の汚染状況を確認することを目的として、原子力災害対策重点区域の境界周辺から避難所までの経路途中において避難退域時検査が行われる。その際に、我が国では表面汚染密度の測定によるOIL4=40,000cpmという値が除染を講じる基準として用いられる。しかし、この値が設定された経緯や導出方法については、系統的かつ詳細な記述や説明は公式文書には見受けられず、また原子力防災の専門家でさえも全体に亘って詳細に説明できる人はほとんどいないことを認識した。本報告書では、我が国の避難退域時検査における除染の基準として用いられるOIL4を科学的・技術的に説明するために、その導出方法を調査・推定するとともに、それらの結果について検討と考察を行うことを目的とした。この目的を達成するために、我が国における除染基準を設定する上での根拠を示すとともに、被ばく経路毎の線量基準に対応した表面汚染密度限度を導出する方法を調査・推定した。さらに、我が国におけるOIL4の位置付けと特徴、OIL4の改定時における留意点という観点から、OIL4に関する考察と提言を行った。

報告書

原子力災害時における車両の汚染状況と除染措置に関する調査と検討

外川 織彦; 外間 智規; 平岡 大和

JAEA-Review 2023-013, 48 Pages, 2023/08

JAEA-Review-2023-013.pdf:2.11MB

原子力災害時に大気へ放射性物質が放出された場合には、住民等の被ばくを低減するための防護措置として、自家用車やバス等の車両を利用して避難や一時移転が実施される。避難等を実施した住民等の汚染状況を確認するため避難退域時検査が行われるが、その迅速性を損なわないことが重要である。現状の検査では、車両の指定箇所検査をワイパー部とタイヤ側面で実施し、要員によるGMサーベイメータ等の表面汚染検査用測定器で検査することを基本としている。また、車両の迅速かつ効率的な検査実施のため、可搬型車両用ゲート型モニタの活用も計画されているところである。本報告書では、迅速かつ効率的な避難退域時検査に資するため、原子力災害時における車両の汚染状況と除染措置に関する調査を実施した。利用可能な関連文献や情報はごく少数であったが、当該文献等に記載された調査結果を目的に応じて抽出して整理するとともに、避難退域時検査の迅速かつ効率的な運用という観点からその調査結果について検討を行った。

論文

Dependency of the source term estimation method for radionuclides released into the atmosphere on the available environmental monitoring data and its applicability to real-time source term estimation

寺田 宏明; 永井 晴康; 門脇 正尚; 都築 克紀

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.980 - 1001, 2023/08

 被引用回数:9 パーセンタイル:79.11(Nuclear Science & Technology)

原子力事故により大気放出された放射性核種の放出源情報と環境中時間空間分布の再構築手法の確立が緊急時対応に必要である。そこで、大気拡散シミュレーションと環境モニタリングデータを用いたベイズ推定に基づく放出源情報推定手法の様々な環境モニタリングデータの利用可能性に対する依存性を調査した。さらに、事故直後に実施するリアルタイム推定への本手法の適用性を調査した。様々な環境モニタリングデータの組み合わせに対する福島第一原子力発電所(1F)事故の放出源情報推定結果の感度解析から、正確な放出源情報推定には高い時間空間分解能のデータの利用と大気中濃度と地表沈着量の両方のデータの利用が有効であることが示された。また、1F事故時の環境モニタリングデータ取得状況に適用された仮想的なリアルタイム推定実験により、本手法は、地表汚染の概況の早期把握とおおよその事故規模の評価に必要な放出源情報を推定可能であることが明らかとなった。環境モニタリングデータの即時オンライン取得と、計算出力データベース蓄積のための大気拡散計算の運用システムが整備されれば、本手法により放出源情報の準リアルタイム推定が可能となる。

報告書

令和3年度緊急時対応技術適用のためのバックグラウンド航空機モニタリング(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 佐々木 美雪; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 圷 雄一郎*; 外間 智規; et al.

JAEA-Technology 2022-028, 127 Pages, 2023/02

JAEA-Technology-2022-028.pdf:15.21MB

2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より放射性核種の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。本モニタリング技術を原子力施設等の事故時における緊急時モニタリングに活用し、モニタリング結果を迅速に提供するために、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、管制空域等の情報を事前に整備している。令和3年度は大飯発電所並びに高浜発電所周辺について航空機モニタリングを実施し、バックグランド放射線量及び管制区域等の情報を整備した。さらに、本モニタリングの代替技術として期待されている無人飛行機による、原子力災害を想定した運用技術開発を進めた。本報告書は、それらの結果及び抽出された技術的課題についてまとめたものである。

報告書

原子力施設の環境影響評価における観測・測定とモデル推定の役割及び相互の関係性に関する検討

外川 織彦; 大倉 毅史; 木村 仁宣

JAEA-Review 2022-049, 76 Pages, 2023/01

JAEA-Review-2022-049.pdf:3.74MB

原子力施設の建設前及び操業開始後には、平常運転時及び事故時に対する環境影響評価が行われる。これらは、周辺住民の安全の確認と安心の醸成を図ることを主たる目的としている。環境影響評価には、施設周辺の環境モニタリング等による観測・測定と計算モデルによるモデル推定が用いられ、状況や必要性などに応じてそれらのどちらか、あるいは両方を併用して実施される。本報告書では、原子力施設の環境影響評価において利用される観測・測定とモデル推定について、青森県六ヶ所村再処理施設を主たる例として、まず各々の方法、役割と長短、相互の関係性を調査する。次に、観測・測定データとモデル推定結果の代表的な用途例を示し、使用に際しての留意点などを検討する。最後に、観測・測定とモデル推定の高度化や両者の融合という今後の方向性を記述する。

論文

Ten years since the Fukushima Daiichi NPP disaster; What's important when protecting the population from a multifaceted technological disaster

Callen-Kovtunova, J.*; 本間 俊充

International Journal of Disaster Risk Reduction (Internet), 70, p.102746_1 - 102746_10, 2022/02

 被引用回数:4 パーセンタイル:18.88(Geosciences, Multidisciplinary)

本論文は、福島第一原子力発電所事故で確認された原子力発電所事故による緊急事態の公衆防護に関する主要な教訓を提示している。事故前の緊急事態の取り決め、緊急事態時に何が起こったか、そして得られた教訓を記述している。論文では、線量予測モデルの失敗、防護措置を考慮すべき範囲など予め準備すべき重要な課題について強調している。また、特に病院や高齢者施設からの弱者の安全な避難の取り決めの必要性など過去に見過ごされたてきた教訓も提示した。

報告書

令和2年度緊急時対応技術適用のためのバックグラウンド航空機モニタリング(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 佐々木 美雪; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 佐藤 一彦*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 菊池 陽*; et al.

JAEA-Technology 2021-020, 138 Pages, 2021/11

JAEA-Technology-2021-020.pdf:17.11MB

2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より放射性核種の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。本モニタリング技術を原子力施設等の事故時における緊急時モニタリングに活用し、モニタリング結果を迅速に提供するために、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、管制空域等の情報を事前に整備している。令和2年度は美浜発電所並びに敦賀発電所および近畿大学原子力研究所並びに京都大学複合原子力科学研究所における研究用原子炉の周辺について航空機モニタリングを実施し、バックグランド放射線量および管制区域等の情報を整備した。さらに、本モニタリングの代替技術として期待されている無人飛行機による、原子力災害を想定した運用技術開発を進めた。本報告書は、それらの結果および実施によって抽出された技術的課題についてまとめたものである。

報告書

原子力防災における大気拡散モデルの利用に関する考察

外川 織彦; 大倉 毅史; 木村 仁宣; 永井 晴康

JAEA-Review 2021-021, 61 Pages, 2021/11

JAEA-Review-2021-021.pdf:3.72MB

東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を契機として、原子力防災への大気拡散モデルの利用について、様々な状況とレベルで論争は続いた。しかし、計算モデルによる予測は原子力災害対策に使用可能かどうかといった二者択一の極端な議論が多く、緊急時対応の科学的検証に基づいて丁寧に議論されてきたとは言い難かった。一方、日本原子力研究開発機構(原子力機構)内外には、大気拡散モデルやその解析結果の潜在的利用希望者が少なからず存在することが分かったが、複数の種類がある大気拡散モデルについて、その目的と用途に応じた使い分けに関して理解不足と誤解があることが見受けられた。本報告書では、原子力防災に利用される大気拡散モデルについて、原子力機構で開発または使用されているモデルを中心として、モデルの概要や計算手法等を比較するとともに、それらのモデルを利用した解析例を記述した。これにより、原子力機構内外における大気拡散モデルの潜在的利用希望者に対して、今後の検討や活動に参考となることを目的とした。

報告書

安全研究・防災支援部門が実施する今後の安全研究の方向性(令和3年度版)

安全研究・防災支援部門 企画調整室

JAEA-Review 2021-019, 58 Pages, 2021/11

JAEA-Review-2021-019.pdf:2.26MB

第4期中長期目標の指示を受けて日本原子力研究開発機構は第4期中長期計画を新たに策定し、これに従って令和4年度から業務を進めることになる。これを受けて、安全研究・防災支援部門では、「原子力安全の継続的改善及び原子力防災の実効性向上」に貢献する安全研究の戦略の見直しを検討するとともに、これに基づく中長期的な安全研究の進め方を議論した。この際、部門における今後の人材育成及び研究能力維持の観点で、シニア・中堅研究者の有する知識及び技術を若手研究者に継承する方策についても議論した。検討した戦略の見直し案では、(1)原子力安全に関わる情勢を踏まえた重要度やニーズを意識した課題対応型研究と、今後の規制動向や新技術の導入を見据えた先進・先導的研究の双方を効率的かつ効果的に展開すること、(2)リスク情報等を活用した合理性の高い安全確保及び規制のための方策を積極的に提案するなど、社会への実装を目指して質の高い研究成果を創出すること、(3)新たな研究課題への取組を通して安全研究・防災支援分野における人材育成及び技術基盤維持を図ることを柱として掲げている。本報告書は、中長期的な安全研究の戦略及びこれを受けた研究計画に関する検討の結果についてとりまとめたものである。

論文

Early emergency responses of the Japan Atomic Energy Agency against the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station Accident in 2011

奥野 浩; 佐藤 宗平; 川上 剛; 山本 一也; 田中 忠夫

Journal of Radiation Protection and Research, 46(2), p.66 - 79, 2021/06

東京電力福島第一原子力発電所の事故は、最大級の地震とそれに伴う津波により、原子力発電所周辺の住民の避難を誘発した被害の典型的なものであった。本論文は、東京電力福島第一原子力発電所の敷地外緊急事態に対する日本原子力研究開発機構(JAEA)の原子力緊急時支援・訓練センター(NEAT)の初期対応についてまとめたものである。本論文では、東京電力福島第一原子力発電所に関連した2011年以前のNEATの緊急時対応活動、2011年3月11日のNEATの状況、東京電力福島第一原子力発電所の事故を含むオフサイト緊急事態への早期対応について論じた。また、複雑な災害の問題点についても論じた。

報告書

原子力緊急時における公衆の被ばく線量評価に関する調査と検討

橋本 周; 木名瀬 栄; 宗像 雅広; 村山 卓; 高橋 聖; 高田 千恵; 岡本 明子; 早川 剛; 助川 正人; 久米 伸英*; et al.

JAEA-Review 2020-071, 53 Pages, 2021/03

JAEA-Review-2020-071.pdf:2.72MB

原子力機構は、災害対策基本法及び武力攻撃事態対処法に基づく指定公共機関として、原子力災害や放射線緊急事態が発生した場合には、災害対応に当たる国や地方公共団体の要請に応じて人的・技術的支援を行う。防災基本計画及び原子力災害対策マニュアルでは、原子力機構は原子力緊急時において公衆の被ばく線量の推計・把握を支援することが要求されている。しかし、その支援について、基本方策,調査対象,調査方法,実施体制等について具体的かつ詳細には検討されていない。本報告では、公衆の緊急時被ばく線量の推計・把握に関する技術的支援について、原子力緊急時支援・研修センター内に設置された「緊急時の線量評価検討WG」において調査・考察した結果を報告することにより、国や地方公共団体、及び原子力機構内における今後の具体的かつ詳細な検討及び活動に貢献することを目的とする。

報告書

令和元年度緊急時対応技術適用のためのバックグラウンド航空機モニタリング(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 佐藤 一彦*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 菊池 陽*; 石崎 梓; et al.

JAEA-Technology 2020-019, 128 Pages, 2021/02

JAEA-Technology-2020-019.pdf:15.75MB

2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より放射性核種の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。本モニタリング技術を原子力施設等の事故時における緊急時モニタリングに活用し、モニタリング結果を迅速に提供するために、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、管制区域等の情報を事前に整備している。また、緊急時モニタリングの実効性向上に資するために原子力総合防災訓練に参画し、緊急時航空機モニタリングを実施している。令和元年度は東通原子力発電所並びに六ヶ所再処理工場および志賀原子力発電所周辺について航空機モニタリングを実施し、バックグランド放射線量及びを管制区域等の情報を整備した。また、原子力総合防災訓練の一環として、中国電力島根原子力発電所周辺において緊急時航空機モニタリングを実施した。さらに、本モニタリングの代替技術として期待されている無人飛行機による、原子力災害を想定した運用技術開発に着手した。本報告書は、それらの結果および実施によって抽出された技術的課題についてまとめたものである。

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