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加藤 春實*
JNC TJ7410 2003-003, 83 Pages, 2003/03
東濃鉱山02SE-04号孔において深部岩盤における初期応力測定プローブの原位置適用試験を実施した。本試験を実施するにあたって,新たにワイヤラインタイプのプローブ運搬・切り離し装置を開発した。しかしながら5深度で実施した試験は天然き裂のために正常な解放ひずみは測定できなかったものの,深部岩盤を対象とした応力解放法による初期応力測定の作業効率を格段に高めることができた。
加藤 春實*
JNC TJ7400 2003-001, 44 Pages, 2003/03
岩石コアを用いた初期応力測定手法の一つであるDSCA(Differential Strain Curve Analysis)法を、DH-2孔の10深度から採取した岩石コアに適用し、瑞浪超深地層研究所建設予定地付近の岩石の力学的異方性の程度およびその要因となるマイクロクラックの3次元的分布特性を定量的に評価した。得られた知見をまとめると以下のようである。(1)DH-2孔から採取された土岐花崗岩の固有線圧縮率の異方性の大きさは10%から27%であった。ただし、異方性の大きさとは、固有線圧縮率の最大値と最小値の差の全平均値に対する比である。(2)クラック密度に関するパラメータ, (/, およびマイクロクラックの量は、深度200mから370m付近まで深度とともに増加した。(3)(/)から最小主値を基準として求めた初期応力比は、ばらつきはあるが/は 1.43.1、また/は1.21.9の範囲に分布した。(4)クラックパラメータ, (/およびの最大主値の走向はN-SからNW-SE方向に分布する傾向が認められた。これは、正馬様用地内から採取された岩石コアのマイクロクラックの分布傾向とおおむね一致した。(5) と((/)の最大主値の鉛直方向からの傾きは、深度300mよりも浅いところから採取された試料では60度以上傾斜しているが、深度300mよりも深い深度から採取された試料では60度よりも小さかった。このことから、深度200mから深度300mは逆断層型か横ずれ断層型、深度300mよりも深い深度は正断層型に近い初期応力環境であることが予想された。これらの知見は、瑞浪超深地層研究所計画における岩盤力学モデルを構築する際の基礎的な情報となる。
加藤 春實*
JNC TJ7400 2002-008, 53 Pages, 2002/03
核燃料サイクル開発機構東濃地科学センターでは、地層化学研究の一環として、地下深部岩盤の3次元初期応力測定法の開発を平成8年度より実施しており、これまでに深度1000m対応の応力解放法による深部岩盤における初期応力測定プローブを開発した。本研では、サイクル機構が開発した深部岩盤における初期応力測定プローブを測定孔孔底に運搬し、孔底にて切り離す装置(以下プローブ運搬・切離し装置と呼ぶ)を設計・製作した。次に、初期応力測定プローブと製作したプローブ運搬・切離し装置とを組み合わせ、東濃地科学センター東濃鉱山坑内、北延NATM坑道に掘削したHQボーリング孔の深度13.5m、18.2mおよび19.4mにおいて原位置適用試験を実施した。プローブ運搬・切離し装置は設計どおりに作動し、鉛直ボーリング孔におけるオーバーコアリングは成功した。最後に、繰返し載荷試験によって当該岩盤と接着剤の力学特性を調査するととともに、オーバーコアリングによって測定した解放ひずみから、初期応力を評価した。
加藤 春實*
JNC TJ7400 2002-006, 48 Pages, 2002/03
MIU-4号孔の10深度から採取した岩石コアを用い,初期応力測定手法の一つであるDSCA(Differential Strain Curve Analysis)法を適用した室内試験を実施し,既にMIU-1号孔およびMIU-2号孔のコアで実施している同試験の結果との比較により,断層生成に起因する岩盤力学特性への影響を評価した。(1)クラックバラメータ(/l)Iは,深度300mおよび550m以下の月吉断層下部で低下した。このようなクラック密度の分布傾向は,AN-1号孔およびMIU-2号孔の深度300mで水平初期応力が低下し,MIU-3号孔の月吉断層下部で初期応力が大幅に低下する傾向および正馬様用地西側領域の水平応力が深度600m付近から低応力側へのシフトするとうい水圧破砕試験の結果と対応するようにみえる。(2)(/l)Iの最大主値の方向はN-SからNW-SE方向に分布していることから,MIU-4号孔が掘削された土岐花崗岩の最大初期応力の方向はN-SからNW-SE方向であると考えられた。この方向は,正馬様用地西側で実施された水圧破砕法による初期応力測定結果と比較的調和的である。(3)正馬様用地東側のMIU-4号孔の岩石試料を用いたDSCA試験の結果からは,深度の増加に伴う初期応力環境の系統的な変化は認められなかった。(4)MIU-1号孔から採取された試料のOIの最大主値の方向はN-SからNW-SE方向に分布し,本DSCA試験から推定されたMIU-4号孔の最大初期応力の方向と類似していた。(5)MIU-1号孔のDSCA試験から推定される初期応力環境は,試料の採取深度に関わらずほぼ逆断層型であった。このことは水圧破砕試験から決定された正馬様用地西側の初期応力環境が深度600m以下で横ずれ断層型か正断層型であるという事実と整合しなかった。
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JNC TJ7440 2001-013, 803 Pages, 2001/03
広域地下水流動研究の一環として岐阜県瑞浪市日吉町にて、DH-13号孔(孔長1015.05m)を清水掘削した。掘削工事は、主としてワイヤーライン工法を用いた。調査試験は深部地質環境の把握を目的に、岩盤の地質学的,地球物理的,水理学的および地化学データ取得のために、以下の調査を実施した。1.岩芯の採取・記載・室内試験2.物理検層(一般検層,フローメータ検層)3.ボアホールテレビ計測4.水理試験(透水試験・揚水試験,シミュレーション解析)これらの調査を行った結果、以下のことが明らかになった。・本孔では、40.90mabh(meter along borehole)以浅では深第三紀の堆積岩が分布する。同以深では、主として中粒花崗岩である土岐花崗岩が分布する。同岩は、岩盤状況から、1つの堆積岩部,5つの割れ目帯または断層帯および3つの健岩部に区分される。92.50mabh100.08mabhの断層は、緑泥石と白色粘土(絹雲母主体)で充填される。割れ目発達ゾーンでは、岩石に緑泥石化,粘土化および炭酸塩鉱物化が認められる。・物理検層では、低比抵抗帯,低速度帯および高間隙率帯の分布は、断裂帯の分布と良く対応している。フローメータ検層では孔底付近で流速変化が認められた。・92.50mabh100.08mabhの断層は走向が北西南東で東傾斜である。上盤側では、走向が北東南西、南西傾斜の割れ目が卓越する。更に深部の割れ目の走向・傾斜に概して集中度が低いが、東西系で南傾斜の割れ目の集中がみられるようになる。・水理試験では計測した5点のうち、堆積岩上部の高角度の割れ目がある箇所で実施した1点では10-6m/sec程度、花崗岩上部の強風化帯で実施した1点で10-9m/sec程度の透水係数を示した。更に 下方の、花崗岩内で実施した3点では、いずれも10-610-7m/sec程度の比較的高い透水係数を示した。・掘削リターン水は、花崗岩中でK+が増加する傾向が認められた。水理試験中の揚水は、3区間ともHCO3-型が卓越する傾向がみられた。
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JNC TJ7440 2001-012, 843 Pages, 2001/03
広域地下水流動研究の一環として岐阜県土岐市肥田町下肥田字沖長にて、DH-12号孔(孔長715.82m)を清水掘削した。掘削工事は、主としてワイヤ-ライン工法を用いた。調査試験は深部地質環境の把握を目的に、岩盤の地質学的,地球物理的,水理学的および地化学的データ取得のために、以下の調査を実施した。1.岩芯の採取・記載・室内試験2.物理検層(一般検層、フローメータ検層)3.ボアホールテレビ計測4.水理試験(透水試験・揚水試験、シュミレーション)これらの調査を行った結果、以下のことが明らかになった。・本孔では主として、168.82mabh(meter along borehole)以浅が新第三紀の堆積岩類、同以深では、中粒花崗岩を主体とする土岐花崗岩が分布する。土岐花崗岩では、436mabh以浅で割れ目が多く、断層帯や割れ目帯が分布する。436MABH以深で健岩部となるが、健岩部は小規模で、597.9mabhの断層の下盤側で再び割れ目が増加する。断層帯と割れ目帯では岩石に緑泥石化や炭酸塩鉱物化などが認められる。・物理検層では、低比抵抗、低速度、高間隙率帯の分布が、岩盤ゾーン区分による断層帯と割れ目帯の分布と良く対応している。フローメータ検層では、195mabh付近で大きな流速変化が認められた。・割れ目の走向および傾斜から本孔の割れ目は、走向が北西南東で南西傾斜のものと、走向が北北西南南東で東北東傾斜のものが多い。後者は約330400mabhに卓越し、急傾斜をなす傾向がある。・水理試験では、計測した6点のうち土岐夾炭累層基底部で10-8m/sec程度の透水性を示した。花崗岩内の残り5点では10-510-6m/sec程度の比較的高い透水性を示した。・花崗岩内の掘削中に、NaCl型の湧水がみられた。水理試験中の揚水も、Cl-とNa+が多く、No.4(348.89mabh387.18mabh区間)でその特徴が顕著に認められた。
加藤 春實*
JNC TJ7430 2001-001, 60 Pages, 2001/03
核燃料サイクル開発機構は、東濃鉱山領域を例として、東濃鉱山敷地内の地表から掘削されたボーリング孔において初期応力測定を行ない、三次元的な初期応力状態の評価方法について研究を実施している。本調査ではその一環として00SE-03孔を利用して水圧破砕試験をおこない、初期応力(水平面内の最大および最小主応力値および最大主応力の方位)と深度の関係を深度233.6mから263.9mの区間で測定した。そして、今回実施された00SE-03の孔の結果と、これまでに99SE-02孔、TM-1孔、TM-2孔および98SE-01孔において 行われた水圧破砕試験の結果とを比較検討した。得られた知見をまとめると次の通りである。(1)00SE-03孔の深度233.6mから263.9mまでの初期応力環境はSHShSv+の逆断層型である。(2)00SE-03孔の深度233.6mから深度238.5mの区間における最大主応力の方向はN70Eであるが、249.9mから下部の最大主応力の方位はN30Wを中心に分布しており、当該地域における地殻水平ひずみの最大圧縮方向と調和的である。(3)00SE-03孔で測定された初期応力状態は、孔口の接近している99SE-02孔の土岐花崗岩における測定結果とおおむね一致し、これら2本のボーリング孔の周辺の初期応力状態はほぼ同じであると考えられた。(4)不整合面以下の土岐花崗岩に限定して東濃鉱山敷地内の初期応力状態を概観すると、月吉断層上盤の土岐花崗岩内部のSHとShは下盤の値よりも大きく、最大主応力の方位は上盤の方が下盤よりも西側に分布しているという特徴が見いだされた。
加藤 春實*
JNC TJ7430 2000-005, 78 Pages, 2000/03
土岐花崗岩体の深度1000mまでの初期応力状態、岩盤物性およびそれらの相関関係を把握するために、正馬様用地内のMIU-3孔の深度122mから988mにおいて10深度での水圧破砕試験を実施するとともに、水圧破砕試験を実施した深度の近傍から天然き裂を含まないコアを選定し、弾性波速度測定を実施した。さらに、正馬様用地内MIU-3孔、MIU-2孔およびAN-1孔で実施した水圧破砕試験の結果を総合的に比較し、正馬様用地内の土岐花崗岩における初期応力状態について検討した。得られた知見をまとめると次のようである。(1)MIU-3孔の応力環境は深度の増加とともに変化し、地表から深度500mまではSHShSvの逆断層型、深度600mから1000mまではSvSHShの正断層型である。(2)MIU-3孔の水平面内の最大主応力SHの方位は深度200mから1000mまでほぼNW-SE方向を中心に分布し、当該地域の発震機構解析の結果および測地結果から導かれる広域的な水平最大主応力の方向とほぼ一致する。(3)MIU-3孔から採取された岩石試験片の水平面内のP波速度の速度異方性(Vpmax./Vpmin.-1)(%)は、深度847.00mよりも浅い深度のコアで11.129.4%、深度847.00m以下で1.79.2%となり、深度に対して不連続な分布傾向を示した。(4)コアの水平面内において弾性波速度が最小値をとる方位は、水圧破砕試験によって決定された水平面内の最大主応力の方位と比較的良い一致を示した。このことから、コアリングのとき少なくとも水平面内の最大圧縮応力の方向にコアが最も大きく膨張し、この最大圧縮応力の方向と垂直な方向にマイクロクラックが開口および伸長したと推定された。(5)AN-1孔、MIU-2孔およびMIU-3孔における水圧破砕試験によって測定された水平面内の主応力分布には、深度500mから600mを境にして初期応力の環境
加藤 春実*
JNC TJ7430 2000-001, 89 Pages, 2000/03
核燃料サイクル開発機構は、東濃鉱山領域を例として、東濃鉱山敷地内の地表から掘削されたボーリング孔において初期応力測定を行ない、三次元的な初期応力状態の評価方法について研究を実施している。本調査ではその一環として99SE-02孔において水圧破砕法による初期応力測定を実施した。そして、今回実施された99SE-02孔の結果と、TM-1孔、TM-2孔および98SE-01孔でこれまでに行なわれた水圧破砕試験の結果とを総合的に比較検討した。得られた知見をまとめると次の通りである。(1)99SE-02孔におけるShの大きさは、上部の新第三紀堆積層と下部の基盤花崗岩との不整合面を境にして不連続的に増大し、一方、SHの深度に対する全体的な増加傾向はほぼ線形であった。(2)99SE-02孔における水平面内の最大主応力の方位は、岩盤の種類、月吉断層および不整合面などの地質構造にかかわらず全体としてN30Wを中心に分布しており、当該地域における地殻水平ひずみの最大圧縮方向と調和的であった。(3)99SE-02孔における応力環境は地表から深度127.0mまでの新第三紀堆積層でSHSv≒Shの遷移型、152.7mの不整合面よりも下部の土岐花崗岩でSHShSvの逆断層型であった。(4)東濃鉱山の99SE-02孔、98SE-01孔、TM-1孔およびTM-2孔における初期応力の大きさは、軟らかい新第三紀の堆積層で小さく、硬い基盤花崗岩で大きい。これは変形特性の異なる不均質な地質構造が初期応力の不連続的な分布として現れたと考えられる。(5)月吉断層を貫く99SE-02孔、TM-1孔およびTM-2孔における水平面内の最大主応力の方位は、断層の影響を受けていないようにみえ、これは断層充填物の剛性が周辺岩盤のそれと大きく違わないためであると推定される。(6)4本のボーリング孔の位置は60m130m程度しか離れていないが、測定された最大主応力の方向の分布傾向は個々のボーリング孔で異なっていた。これは、各ボーリ
加藤 春實*
JNC TJ7400 2000-005, 20 Pages, 2000/02
今年度は、深部岩盤における初期応力測定用プローブの測定システムのうち、ひずみゲージセルと耐圧容器の製作を行ない、ひずみゲージセルの耐圧性能試験を実施した。本報告書では、ひずみゲージセルの製作手順について詳細に説明し、静水圧下で行なったひずみゲージセルの耐圧性能試験の結果について述べた。各載荷試験における圧力-ひずみ曲線は極めて弾性的で良い再現性を示した。また、ゲージセルに温度ゲージを埋設すると、ゲージセルの変形によって温度ゲージの電気抵抗が変化するために、ゲージセルの温度を正しく測定できないことが示された。
加藤 春實*
JNC TJ7400 99-014, 200 Pages, 1999/07
土岐花崗岩体の深度1000mまでの初期応力状態、岩盤物性およびそれらの相関関係を把握するために、正馬様用地内のMIU-2孔の深度138.2mから878.1mにおいて20回の水圧破砕試験を実施するとともに、水圧破砕試験を実施した深度の近傍から天然き裂を含まないコアを選定し、物理試験および力学試験を実施した。これらの試験から得られた知見をまとめると次のようである。(1)水圧破砕試験によって測定されたMIU-2孔における初期応力の環境は深度の増加とともに変化し、地表から深度200mまではSHShSvの逆断層型、深度200mから500mまではSHSv≒Shの遷移型、そして550mから900mまではSHSvShの横ずれ断層型である。(2)SHの方位は深度200mから900mまでほぼNW-SE方向を中心に分布し、当該地域の発震機構解析の結果および測地結果から導かれる広域的な水平最大主応力の方向とほぼ一致する。(3)MIU-2孔から採取された岩石試験片の軸方向の弾性波速度VpおよびVs、コア軸と直交する平面内の弾性波速度、動的ヤング率、低応力における接線ヤング率E0、一軸圧縮強度Scおよびせん断強度は、いずれも深度250m付近から360mまで増加してから550m付近でいったん減少した。そして深度760m付近までふたたび増加してから1000mにかけて減少した。(4)大気圧下におけるボーリングコアの鉛直方向および水平面内の弾性波速度分布を測定し、配向性のマイクロクラックが水平面内よりも鉛直面内でよく発達しているものが多いことを明らかにした。また、深度452.5mから採取されたコアを50面体に整形し、25測線の弾性波速度を測定した。3次元的な弾性波速度分布は、土岐花崗岩がほぼ横等方性体に近いことを示していた。(5)静的ポアソン比、動的ポアソン比および(Vpmax./Vpmin.-1)で定義される速度異方性という岩石物性値と、水圧破砕試験で測定した初期応力との間には類似した分布傾向が認められた。これらの岩石物性値の深度分布を支配する主要な因子は、岩石に含
加藤 春實*
JNC TJ7400 99-004, 400 Pages, 1999/03
東濃鉱山の300m300m深度200m程度の領域における初期応力状態を把握するために、98SE-01孔において水圧破砕法による初期応力測定を実施した。そして、今回実施された98SE-01孔の結果と、TM-1孔およびTM-2孔でこれまでに行なわれた水圧破砕試験の結果とを総合的に比較検討した。得られた知見をまとめると次の通りである。(1)98SE-01孔におけるShおよびShの大きさは、上部の堆積層と下部の基盤花崗岩との不整合面を境に不連続的に増大した。(2)98SE-01孔における水平面内の最大主応力の方位は、堆積層でNE-SW方向、そして基盤花崗岩でほぼNW-SE方向であり、不整合面を境に約90度回転している。(3)98SE-01孔における応力環境は不整合面よりも上部の堆積中でShSv≒Sh+の遷移型、下部の花崗岩中でSHShSvの逆断層型である。(4)東濃鉱山の98SE-01孔、TM-1孔およびTM-2孔における初期応力の大きさは、軟らかい新第三紀の堆積層で小さく、硬い基盤花崗岩で大きい。これは変形特性の異なる不均質な地質構造が地質構造が初期応力の不連続な分布として表れたと考えられる。(5)月吉断層を貫くTM-1孔およびTM-2孔における水平面内の最大主応力の方位は、断層の影響を受けていないようにみえ、これは断層充填物の剛性が周辺岩盤のそれと大きく違わないためであると推定される。(6)3本のボアホールはほぼ130m間隔に配置されているが、測定された最大主応力の方向の分布は個々のボアホールで異なっていた。これは、各ボアホールで測定された初期応力状態が広域的な応力場ではなく、地質構造などの影響を受けた局所的な応力場を反映しているためでないかと推定された。
加藤 春實*
JNC TJ7420 99-013, 200 Pages, 1998/12
土岐花崗岩体の深度1000mまでの初期応力状態、岩盤物性およびそれらの相関関係を把握するために、正馬様用地内のAN-1孔の深度49mから991mにおいて20回の水圧破砕試験を実施するとともに、水圧破砕試験を実施した深度の近傍から天然き裂を含まないコアを選定し、物理試験、力学試験および熱特性試験を実施した。これらの試験から得られた知見をまとめると次のようである。(1)水圧破砕法によって決定されたAN-1孔における初期応力の環境は深度の増加とともに変化し、地表から深度350mまではSHShSvの還移型、そして700mから1000mまではSHSvShの横ずれ断層型である。(2)SHの方位は地表から深度300m付近まではN-S方向であるが、深度300mを境にしてSHの方位は反時計まわりに約45回転する。深度300mまでのSHの方位は月吉断層の走向にほぼ垂直であり、深度300mから1000mまでの方位は当該地域の地震の発震機構に関するデータおよび測地学的な地表のひずみ変化測定のデータから推定される広域的な最大水平主応力の方位と一致する。(3)岩石試験片の空隙率の深度に対する分布傾向は含水比のそれと一致し、これら2つの特性値の細かな増減傾向と弾性波速度Vpおよび低応力下における接線ヤング率E0の増減傾向との間には負の相関がある。カサ比重および見かけ比重は深度250m以下でほぼ一定の値を示した。(4)力学試験から求めた一軸圧縮強度Sc、引張強度St、割線ヤング率Es、接線ヤング率E50、ポアソン比およびせん断強度Ssの深度分布は、すべて地表から深度700m付近までほぼ線形に増加し、700mから1000mにかけてほぼ一定のままであるか、あるいは減少する傾向を示した。(5)岩石試験片の熱伝導率および比熱の採取深度に対する分布傾向は、いずれも弾性波速度Vpおよび低応力における接線ヤング率E0の増減傾向と調和的であった。
加藤 春實*
PNC TJ7401 98-002, 41 Pages, 1998/03
超深地層研究所計画においては、地表から掘削した1000mの試錐孔を掘削し、初期応力測定を実施し、地表から地下深部までの3次元初期応力状態を把握する予定である。しかしながら、国内・国外ともに深度1000m程度の3次元初期応力を測定した実績が少なく、信頼性も高いとは言えない。本調査では、現在、最も信頼性が高いと言われている応力解放法に関して、文献等により測定機器・システムの開発に関する調査をおこなった。特に、地下1000mの深度まで適用できるSSPB3軸セルとDDGSついて詳しく調査をおこない、深度1000mに適用できる新しい大深度オーバーコアリングシステムを開発するための検討をおこなった。最後に、土岐花崗岩のボーリングコアと直交する平面内の弾性波速度の異方性に関する調査をおこなった。4本のボーリングコアはAN-1孔の深度198.31004.8mから採取された。いずれのコアも顕著な弾性速度の異方性を示し、配向性マイクロクラックの存在を示唆していた。したがって、土岐花崗岩にDSCA(Differential Strain Curve Analysis)法を適用すれば初期応力に関する情報が得られると予測された。
加藤 春實*
PNC TJ7401 98-001, 100 Pages, 1998/03
東濃鉱山の300m300m深度200m程度の領域における初期応力状態を把握するために、TM-2孔において水圧破砕法による初期応力測定を実施した。ボアホールの直径は孔口から深度165mにわたって拡大していたので、ボアホールの直径に適合するように直径の異なる3種類のゴムパッカーが用いられた。水圧破砕試験は、堆積岩、風化花崗岩および花崗岩を含む32mから185mまでの深度で合計11回おこなわれた。すべての測定深度においてSrShSH+となり、TM-2孔における初期応力の環境は逆断層型である。水平面内の主応力および最大せん断応力の大きさは、堆積層および風化花崗岩で小さく、下部の花崗岩で大きかった。誘起された縦き裂の方位から決定された水平面内の最大主応力SHの平均方位はN22 Wである。この方位は逆断層である月吉断層の走向とほぼ垂直である。すなわち、水圧破砕法によって決定された初期応力の環境と方位はこの断層の生成時の応力状態と整合性がある。
加藤 春實*
PNC TJ7401 97-001, 297 Pages, 1997/03
平成7年に超深層研究所の建設計画が発表された。この施設を建設する前の設計段階において、初期応力状態に関する情報は地下空洞の合理的な設計をおこなう上で必要不可欠である。この情報はまた、地下空洞を掘削してからの支保工法と岩盤の補強方法を推定するための基礎的なデータとなる。したがって、立坑および坑道を掘削する前に立坑の掘削予定地点で調査ボーリングをおこない、地下1000mまでの初期応力状態を測定する必要がある。このようにして決定された3次元初期応力状態は岩盤の力学モデルを構築するために用いられ、そこから得られる知見は将来の設計・施工に活用されるのできわめて重要である。しかしながら、初期応力測定に関する経験と情報は限られているのが現状である。本報告書は、大深度ボアホールあるいはそこから採取されたボーリングコアを利用する種々の実用的な測定方法を詳細に調査し、深部岩盤での初期応力測定を実施するための基礎的な情報を得ることを目的とする。すなわち、1991年以降の国内の文献および1985年以降に出版された国外の文献から、大深度ボアホールあるいはそこから採取されたコアを用いて深部岩盤の初期応力測定を実施した例について述べた文献を検索し、それらに記述されているかを分析し、応力を決定するときに初期応力に関して導入される過程について検討した。次に、測定の対象となる岩盤のスケールに応じて測定データのサンプリングサイズと方法を変えなければならないことについて述べ、最後に1000m程度のボーリングをおこなう場合の初期応力測定の実施に関する提案をおこなった。
同和工営*
PNC TJ6401 94-001, 78 Pages, 1994/03
本報告書は、岐阜県土岐市東濃鉱山内KNA-2孔から地下水を採取し、その化学分析とバクテリア調査を実施した結果をまとめたものである。調査地は岐阜県南東部に位置し、堆積岩中に掘削された坑内の試錐孔である。調査試料は、この試錐孔において深度約120mから自噴している地下水を、Arガス流送中の簡易グローブバック内で採取した。採取した地下水は、水温18.3でpH9.1のアルカリ性であった。溶存化学成分は測定結果より、陽イオンがNa+(44.2)Ca2+(2.97)K+(0.36)Mg2+(0.06)、陰イオンがHCO3-(93)CO32-(7)Cl-(0.86)SO42-(N.D.)の順でそれぞれ高濃度であった。(数値の単位はmg/l)。また一般的な微生物の環境因子となるTOC、T-N、T-Pはそれぞれ0.19mgC/l、0.078mgN/l、0.005mgp/lと低濃度であった。バクテリア調査の結果から、全菌数は1.6105cells/ml、生菌の鉄酸化細菌(Thiobacillus ferrooxidans)、メタン生成細菌、亜硝酸細菌、硝酸細菌及び脱窒細菌は不検出、硫酸塩還元細菌は5.010-1MPN/mlと各々計数された。脱窒細菌についてはアンモニア、亜硝酸及び硝酸態窒素の不足が、メタン生成細菌については電子供与体の不足が制限因子として示唆された。このように試料の嫌気条件が整っている割には、調査対象とした嫌気性細菌の現存量は微少であった。一般細菌の分析では、一般細菌が3.0100CFU/mlと計数されたが、大腸菌群数、嫌気性菌数、芽胞形亜硫酸還元嫌気性菌数、腸球菌数、緑膿菌数、放線菌数及びカビ数は不検出であった。
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PNC TJ6401 93-001, 2 Pages, 1993/03
本報告書は、岩手県釜石鉱山KG-1孔から地下水を採取し、その化学分析とバクテリア調査を実施した結果をまとめたものである。調査地は岩手県南西部に位置し、栗橋花崗閃緑岩中に掘削された試錐孔(深度約800m)である。調査試料は、この試錐孔において深度約738mの地下水を、採水器HGP-10を利用し連続的に汲み上げArガス流送中の簡易グローブバッグ内で採取した(採水量約70ml/min)。採取した地下水は、水温11.6度CでpH10.2のアルカリ性であった。溶存化学成分は、測定結果より、陽イオンはNa/SUP+(11.10)Ca/SUP2+(3.7)K/SUP+(1.42)Mg/SUP2+(0.17)、陰イオンはHCO/SUB3/SUP-(6.56)CO/SUB3/SUP2-(4.55)SO/SUB4/SUP2-(2.6)Cl/SUP-(2.5)の順でそれぞれ高濃度となった(数値の単位はmg/l)。またTOCは12.8mg/lで比較的高い濃度で検出された。バクテリア調査の結果から、全菌数は1.0x10/SUP5/cells/ml、生菌の鉄酸化細菌(Thiobacillus ferrooxidans)は不検出(1.0x10/SUP-2/MPN/ml)、硫酸塩還元細菌は0.8x10/SUPo/MPN/ml、メタン生成細菌は0.4x10/SUPo/MPN/mlと各々計数された。全菌数の計数値の割には硫酸塩還元細菌とメタン生成細菌の現存量が少ないと考えられる。硫酸塩還元細菌については、特に本調査地下水の水温とpHがこの細菌の生息環境から大きく外れていることが、増殖制限因子として挙げられる。別途本調査地下水から分離した硫酸塩還元細菌は、Desulfovibrio sp.と同定された。
加藤 春實*
JNC TJ7420 2005-112, 77 Pages, 1993/03
地下深部の初期応力分布を定量的に把握することは,岩盤の力学的挙動を把握するうえで欠かすことができない。岩盤の初期応力測定法としては,応力解放法,水圧破砕法,応力補償法,ボーリングコアを用いる手法などが行われている。このうち,水圧破砕法は地表から掘削された大深度ボアホールのある区間をパッカーにより密閉し,この密閉区間に水を圧入してボアホール壁面を引張応力によって破壊させ,き裂を岩盤内に進展させるものである。この方法は応力解放法とは異なりオーバーコアリングを必要とせず,接近点から相当深いところにも適用できる点で他の測定方法に勝る長所を有している。しかも,応力測定のための水圧破砕試験は小規模のき裂を造成するだけなので,原位置においても比較的簡単な装置で済む。また,破壊条件を観測方程式として用いるので,応力評価に弾性定数を必要とせず,直接に応力を測定できる。本調査は,東濃鉱山内に掘削された試錐孔TM-1を利用して水圧破砕試験を行い,初期応力測定の重要項目である応力(水平面内最大主応力値,最小主応力値および主応力方向)の深度勾配を深さ200mにわたって測定することを目的とする。
山本 弘視*; 松嶋 栄治*; 四元 俊郎*
JNC TJ7400 2005-059, 279 Pages, 1991/08
近年の研究から,微生物は極限の環境状態でも生存が可能なことが明らかにされており,廃棄物の地層処分の条件下においても,微生物が地下構造物の健全性に影響を及ぼす可能性のあることが示唆されている。そこで本調査研究では,廃棄物の地層処分に関わる地質環境などの適正を評価するための調査に資することを目的に,地下深部におけるバクテリアの存在に関するデータの取得と文献調査を実施した。実験では,4つの調査場所から深部地下水試料を採取し,地下構造物の腐食に関係すると考えられている鉄酸化バクテリアと硫酸塩還元菌の存在を,9K培地と改変Postgate培地を用いた培養で調査した。その結果,採水操作での汚染が軽減されていたと考えられる2試料で硫酸塩還元菌の存在が確認された。
同和工営*
JNC TJ6420 2000-004, 67 Pages, 1987/04
人形峠夜次鉱床の成因を究明するために特に地価深部の基盤構造解明上必要な地殻応力測定を実施する。また、本測定は現在事業所で進められている地質構造試錐孔NKS-1を利用する。また、調査に先立ち、142145m間の断層帯にセメントミルクを注入し調査に支障のないように保孔する。