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北村 徳隆*; Wimmer, K.*; 宮城 宇志*; Poves, A.*; 清水 則孝*; Tostevin, J. A.*; Bader, V. M.*; Bancroft, C.*; Barofsky, D.*; Baugher, T.*; et al.
Physical Review C, 105(3), p.034318_1 - 034318_17, 2022/03
被引用回数:2 パーセンタイル:49.92(Physics, Nuclear)Mgは中性子魔法数20が消滅する中性子過剰核のモデルケースとして有名な原子核であるが、約1MeVという低い励起エネルギーにある励起状態の性質が未だに謎に包まれているなど、その構造は未解明な点が多い。この原子核の励起構造を解明するため、米国国立超伝導サイクロトロン研究所にてMgからの1中性子ノックアウト、Siからの2陽子ノックアウト反応でMgの励起状態を生成し、そこからの脱励起ガンマ線の測定によってその準位構造を得た。得られた約20本のエネルギー準位を殻模型計算による理論と比較した。低い励起状態の存在を再現する計算によって予言されていた強い生成強度をもった状態は存在せず、その状態がない古い理論の方が全体的な傾向をよく再現した。その結果、励起状態の謎は依然、解明されずに残ることとなった。
北村 徳隆*; Wimmer, K.*; Poves, A.*; 清水 則孝*; Tostevin, J. A.*; Bader, V. M.*; Bancroft, C.*; Barofsky, D.*; Baugher, T.*; Bazin, D.*; et al.
Physics Letters B, 822, p.136682_1 - 136682_7, 2021/11
被引用回数:6 パーセンタイル:70.39(Astronomy & Astrophysics)ミシガン州立大学の国立超伝導サイクロトロン研究所にて、中性子過剰核Mgの励起状態をMgからの1中性子ノックアウト反応およびSiからの2陽子ノックアウト反応によって生成し、そこからの脱励起ガンマ線をGRETINA検出器を用いて観測した。Mgは中性子魔法数20が消失していることが古くから知られている原子核であるが、10年ほど前に理論予想よりもはるかに低い励起エネルギーに状態が出現することがわかり、その核構造は完全には解明されていない。この実験で得られた生成断面積を理論計算と比較したところ、状態の位置を再現する最近の理論計算で予言される、励起エネルギー2MeV以下の大きな断面積は実験では得られず、状態の位置を再現しない古い理論計算に近い断面積分布となることがわかった。この結果から、Mgの低い状態の謎は未だに残されたままとなった。
北村 徳隆*; Wimmer, K.*; 清水 則孝*; Bader, V. M.*; Bancroft, C.*; Barofsky, D.*; Baugher, T.*; Bazin, D.*; Berryman, J. S.*; Bildstein, V.*; et al.
Physical Review C, 102(5), p.054318_1 - 054318_13, 2020/11
被引用回数:4 パーセンタイル:44.35(Physics, Nuclear)Mgは中性子数20の魔法数が消滅する原子核としてよく知られているMgの2中性子少ない系であり、魔法数消滅のメカニズムを解明する重要な情報を与える原子核である。この研究では、ミシガン州立大学のサイクロトロンを用いてMgからの中性子ノックアウト反応によってMgを生成し、そのガンマ線分光から構造を探求した。変形の小さなバンドと変形の大きなバンドの他に負パリティ状態と見られるエネルギー準位が得られ、それらの分光学的因子が導かれた。その結果を大規模殻模型計算と比較したところ、エネルギー準位はよく再現するものの、分光学的因子の一部に不一致があり、より正確な記述という観点からは理論に課題があることがわかった。
仁宮 一章*; 表 小百合*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成*; 清水 宣明*
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 115, 2014/03
In simultaneous saccharification and fermentation of biomass, pretreatment using ionic liquid has received a lot of attention in recent years. A enormous quantities of wastewater become a problem in washing from ionic liquid-pretreated biomass because ionic liquid is highly poisonous. In this study, simultaneous saccharification and fermentation from ionic liquid-pretreated biomass was carried out using ionic liquid-tolerant yeast that was obtained from the mutant population prepared by irradiation with carbon ion beams (220 MeV C, 100 Gy). By using the ionic liquid-tolerant yeast strain, we could simplify the washing procedure of ionic liquid-pretreated biomass prior to the simultaneous saccharification and fermentation.
仁宮 一章*; 野村 知世*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成; 清水 宣明*
JAEA-Review 2012-046, JAEA Takasaki Annual Report 2011, P. 108, 2013/01
By using immunocytochemistry and fluorescence-activated cell sorter (FACS), yeast population highly expressing cellulase on the cell surface was enriched from the mutant population prepared by irradiation with carbon ion beams (220 MeV C, 100 Gy). Enzymatic activity of the enriched clones was quantified in vitro by a conventional biochemical method. Repeated FACS after irradiation with carbon ion beams was effective for selecting yeast population of interest.
仁宮 一章*; 曽田 裕司*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成; 清水 宣明*
JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 111, 2012/01
By using immunocytochemistry and fluorescence-activated cell sorter (FACS), yeast population highly expressing cellulase on the cell surface was enriched from the mutant population prepared by irradiation with carbon ion beams (220 MeV C, 100 Gy). Repeated FACS after irradiation with carbon ion beams was effective for selecting yeast population of interest.
仁宮 一章*; 曽田 裕司*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成; 清水 宣明*
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 78, 2011/01
セルロース糖化酵素であるセルラーゼを発現する酵母を用いた"セルロースからの直接エタノール発酵生産"では、酵母のセルラーゼ発現量がバイオエタノール生産コストを下げるための律速段階の1つと言われている。本研究では、セルラーゼ高発現酵母を育種するために、イオンビームで突然変異を誘発した細胞表層に発現したセルラーゼの酵素量を蛍光免疫染色で蛍光強度に置き換えることにより、fluorescence-activated cell sorter(FACS)を用いて、セルラーゼ高発現株を蛍光強度の高い細胞集団としてhigh-throughputに分取することを目的とした。試験の結果、イオンビームによる変異誘発とFACS選抜を行った酵母のセルラーゼ活性を、親株と比較した結果、選抜された酵母集団のセルラーゼ活性は親株の3.25倍向上していることがわかった。
清水 宣明*; 大上 厚志*; 大槻 貴博*; 森 隆久*; 山口 華代*; 中村 孝子*; 和田 成一*; 小林 泰彦; 星野 洪郎*
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 105, 2007/02
In this study, we show that heavy ion irradiation at low doses has enhancing effects on the susceptibility of NP-2/CD4/CCR5 cells to HIV-1. This enhancing effect was specifically detected when the cells were irradiated with heavy ion but not with UV-C and X-ray. Enhancement of HIV-1 infection may be accomplished by up-regulation of viral incorporation into the cells or reverse-transcription of the viral genomic RNA. Thus, heavy-ion irradiation will be a useful tool to analyze the mechanism of HIV-1 infection in human cells.
二宮 博正; 狐崎 晶雄; 清水 正亜; 栗山 正明; JT-60チーム; 木村 晴行; 川島 寿人; 都筑 和泰; 佐藤 正泰; 伊世井 宣明; et al.
Fusion Science and Technology, 42(1), p.7 - 31, 2002/07
被引用回数:13 パーセンタイル:27.27(Nuclear Science & Technology)先進定常トカマク運転に必要な高い総合性能を維持する科学的基盤を確立するため、JT-60Uは改善閉じ込めモードの運転制御シナリオの最適化を進め、各種のプラズマ性能を向上してきた。この結果、定常トカマク炉に向けた顕著な成果を得た。これらの成果の詳細を報告する。JFT-2Mでは、高性能プラズマの開発と核融合炉で採用が予定されている構造材料開発のための先進的研究と基礎的な研究を進めている。真空容器外側に設置したフェライト鋼により、トロイダル磁場リップルが減少することが示された。真空容器内の20%の領域にフェライト鋼を設置しても、プラズマ性能への影響は見られなかった。TRIAM-1Mの結果についても報告する。
星野 洪郎*; 清水 宣明*; 大上 厚志*; 田中 淳*; Saha, M. N.*; 品川 雅彦*; 大槻 貴博*; Hoque, A.*; 森 隆久*; 和田 成一*; et al.
no journal, ,
重粒子線やX線で照射されたレトロウイルス保持細胞では、ウイルスの感染・増殖過程に影響が表れる可能性がある。HIV-1の受容体を発現させたCD4陽性ヒトglioma由来細胞(NP-2/CD4/コレセプター細胞)に重粒子線を照射し、HIV-1に対する感染感受性の変化を観察した。
田中 淳*; 大上 厚志*; 清水 宣明*; 和田 成一*; 小林 泰彦; 星野 洪郎*
no journal, ,
UV, X線及び熱中性子は、マウス内在性C型レトロウイルスを誘発するが、ヒト内在性レトロウイルスの誘導は報告されていない。われわれは、標的細胞としてヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)に感染させたヒト神経膠腫細胞クローンを用い、ヒト細胞の重イオン照射による内在性又は潜伏感染したヒトレトロウイルスの誘導について調べた。HTLV-Iは、成人T細胞性白血病の原因レトロウイルスであり、脊椎障害/熱帯性痙性不全対麻痺症に関連している。HTLV-Iは感染した後、潜伏状態に入る。このとき、HTLV-IのmRNAの発現レベルは低いので、抗原は間接免疫蛍光抗体法(IFA)の検出レベル以下である。HTLV-Iに潜伏感染したヒト神経膠腫細胞クローンに、さまざまな線量のCイオンビームを照射した。照射5日後にmRNAと抗原の発現を調べた。抗原の発現はIFAによって調べた。Cイオンビーム照射の結果、全体のmRNA発現に変化はなかったが、抗原の発現が増加したことがIFAによって検出された。重イオンビーム照射は、潜伏感染したヒトレトロウイルスの誘導を導くことがわかった。
清水 宣明*; 大上 厚志*; 大槻 貴博*; 森 隆久*; 山口 華代*; 中村 孝子*; 和田 成一*; 小林 泰彦; 星野 洪郎*
no journal, ,
受容体CD4や補助受容体CCR5, CXCR4を介したヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の細胞侵入機構はまだ十分に解明されていない。われわれは重イオン照射を用いHIV-1感染機構を解明する。C8166/CCR5とNP-2/CD4/CCR5にCイオンビーム, UV, X線を照射した。CCR5, CD4, CXCR4の発現を流動細胞計測法で検出した。両細胞へのHIV-1の感染性を間接免疫蛍光抗体法(IFA)やウエスタンブロットで検出した。細胞増殖や形態変化を顕微鏡で観察した。CCR5, CD4, CXCR4の発現レベルはCイオン, UV, X線に著しい影響を受けた。Cイオン照射は細胞増殖を強く抑制し、巨細胞形成を促した。C8166/CCR5とNP-2/CD/CCR5へのHIV-1の感染性は、Cイオン照射では数倍に増加したが、UVとX線では変化が弱かった。重イオン照射はCD4とCCR5が介するHIV-1感染過程を促す。重イオン照射により誘導される現象は、HIV-1侵入機構に関与すると考えられ、重イオン照射はHIV-1の侵入にかかわる新規な因子を同定する有用な手段になると期待できる。
大上 厚志*; 清水 宣明*; 田中 淳*; 大槻 貴博*; 品川 雅彦*; 森 隆久*; Saha, M. N.*; Ariful, H. S.*; Islam, S.*; 中村 孝子*; et al.
no journal, ,
ヒトグリオーマ由来NP-2細胞に重粒子線を照射すると、巨大化・扁平化した細胞の出現や細胞質内の顕著な顆粒蓄積が見られた。このような形態変化は、老化細胞の特徴として知られている。そこで、さらに幾つかの老化マーカーを調べると、すべてに陽性の結果が得られた。また、5-bromodeoxyuridineの取り込み試験を行うと、ほとんどのSA--Gal陽性細胞は、DNA複製を停止していた。これらの結果は、重粒子線を照射したNP-2細胞に増殖停止を伴う老化様形質が誘導されてきたことを強く示唆している。一般的に、細胞老化にはテロメア短縮を伴うreplicative senesecenceと、伴わないstress-induced premature senescence(SIPS)に分類されている。本実験においてSouthern blotting解析により、SA--Gal陽性細胞における平均テロメア長に変化が認められなかったことから、後者のタイプ(SIPS)の細胞老化であることが示唆された。これまでに、老化細胞は、酸化ストレスの高い状態にあることが報告されているが、本実験の老化様形質を示す細胞も高い酸化ストレスの状態にあることが明らかとなった。また、細胞老化における増殖停止にp53が重要な働きをしていることが知られている。しかし、本実験に用いたグリオーマ由来細胞株は、変異型のp53を持っているために、p53非依存性メカニズムにより、老化様形質が誘導されたものと推測された。
星野 洪郎*; 清水 宣明*; 大上 厚志*; 田中 淳*; Saha, M. N.*; 品川 雅彦*; 大槻 貴博*; 森 隆久*; Ariful, H. S.*; Salequl, I. S.*; et al.
no journal, ,
重粒子線照射によるがん治療では、X線照射には見られない優れた治療効果が報告されているが、多くの実験系では各種放射線の生物学的効果には著明な差が認められていない。しかし、重粒子線照射により、細胞形質の特異的変化が起きていることが予想されるため、ウイルス感受性を主な指標として以下の解析を行った。(1)重粒子線照射によりヒト培養細胞のヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に対する感受性が亢進した。このような現象は、ほかの放射線の照射では見られなかった。そのメカニズムを明らかにするため遺伝子発現の変化について解析した。NF-Bの増加が見られ、Ku-80, PARPなどの発現は低下した。(2)レトロトランスポゾンの一種LINEはヒトゲノムの17%を占め、レトロウイルス様の構造をしている。重粒子線照射によりその転移が促進されるか、検出できる細胞系を樹立し検討した。各種放射線による照射で、LINEのレトロポジション(転移)が増加したが、その頻度には大きな差は認めなかった。(3)放射線抵抗性細菌の遺伝子をヒト細胞に導入し発現細胞を分離した。PprA蛋白質は細胞内で特異的な局在を示し、遺伝子導入細胞では放射線照射に軽度に抵抗性となった。
大槻 貴博*; 大上 厚志*; 田中 淳*; Salequl, I. S.*; 清水 宣明*; 和田 成一*; 浜田 信行*; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 星野 洪郎*
no journal, ,
重粒子線照射を利用してヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の感染に必要な新たな細胞因子を同定するために、HIV-1感染を簡便に検出するためのヒト細胞株の作成を試み、さらに重粒子線照射によりHIV-1感受性が変化した変異細胞の分離を試みた。ヒトグリオーマ由来で、CD4及びCCR5を発現させたNP-2細胞に、HIV-1 long terminal repeat(LTR)で発現が制御されるGFP遺伝子を導入、HIV-1感染前にGFPの発現が低く、感染後、GFPの発現が誘導されるN4R5/GFP細胞を分離した。この細胞に重粒子線,紫外線,X線の照射,DNA損傷薬剤等の処理を行い、GFP発現への影響を検討した。4NQOやtrichostatin Aの処理、紫外線照射で高頻度に、MNNG, cisplatinやTNF-の処理、重粒子線照射では低頻度に、GFPの発現が誘導された。X線照射あるいは5-AzaC処理ではGFP陽性細胞を検出できなかった。重粒子線照射により効率は低いが潜伏HIVの再活性化を促進する可能性が示唆された。
仁宮 一章*; 曽田 裕司*; 清水 宣明*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成
no journal, ,
セルロース糖化酵素であるセルラーゼを発現する酵母を用いた「セルロースからの直接エタノール発酵生産」では、酵母のセルラーゼ発現量がバイオエタノール生産コストを下げるための律速段階の1つと言われている。本研究では、セルラーゼ高発現酵母を育種するために、イオンビームで突然変異を誘発した細胞表層に発現したセルラーゼの酵素量を蛍光免疫染色で蛍光強度に置き換えることにより、fluorescence-activated cell sorter(FACS)を用いて、セルラーゼ高発現株を蛍光強度の高い細胞集団としてhigh-throughputに分取することを目的とした。試験の結果、イオンビームによる変異誘発とFACS選抜を行った酵母のセルラーゼ活性を、親株と比較した結果、選抜された酵母集団のセルラーゼ活性は親株の3.25倍向上していることがわかった。
仁宮 一章*; 曽田 裕司*; 清水 宣明*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成
no journal, ,
セルラーゼ高発現酵母を育種するために、細胞表層に発現したセルラーゼの酵素量を蛍光免疫染色で蛍光強度に置き換えることにより、fluorescence-activated cell sorter(FACS)を用いて、セルラーゼ高発現株を蛍光強度の高い細胞集団としてhigh-throughputに分取することを試みてきた。今回はFACSによる選抜を繰り返した効果について報告する。実験の結果、親株に対して「イオンビーム照射による変異導入」と「FACSによるP4領域の細胞集団の選抜を」を繰り返し行う選抜操作によって、セルラーゼ高発現酵母の選抜が可能であることがわかった。
仁宮 一章*; 野村 知世*; 清水 宣明*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成
no journal, ,
セルラーゼ高発現酵母を育種するために、イオンビームによって突然変異を導入した酵母の細胞表層に発現したセルラーゼの酵素量を蛍光免疫染色で蛍光強度に置き換えることにより、fluorescence-activated cell sorter (FACS)を用いて、セルラーゼ高発現株を蛍光強度の高い細胞集団としてhigh-throughputに分取することを試みてきた。今回、濃縮を繰り返した後、クローンの単離及び得られた酵母クローンについての酵素活性を測定した。その結果、親株のMT8-1III株(WT)のセルラーゼ活性が3.510 U/OD unitであったのに対し、最も活性が高かったクローンは9.110 U/OD unitと約2.6倍の活性であった。
仁宮 一章*; 表 小百合*; 清水 宣明*; 佐藤 勝也; 鳴海 一成*
no journal, ,
近年、木質系バイオマスを、常圧・温和な条件で溶解し、セルロースを非結晶化させる「イオン液体」を用いた糖化前処理が注目されている。しかし、バイオマス前処理に使用されるイオン液体は、一般的に毒性が高いため、前処理バイオマスからイオン液体を洗浄する際に生じる大量の洗浄廃液が問題となっている。そこで本研究では、イオン液体に耐性を示す変異酵母株をイオンビーム照射変異集団から選抜し、イオン液体で前処理したバイオマスについて異なる洗浄回数のものを用意し、同時糖化発酵試験を行った。その結果、イオン液体耐性酵母を用いることにより、エタノール収率を減少することなくイオン液体前処理後のバイオマスの洗浄回数を低減し、廃液量を削減できることが示唆された。