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論文

Preparation and crystallization of perdeuterated T4 phage lysozyme for neutron diffraction

廣本 武史; 安達 基泰; 柴崎 千枝; Schrader, T. E.*; Ostermann, A.*; 黒木 良太

JPS Conference Proceedings (Internet), 8, p.033003_1 - 033003_6, 2015/09

T4ファージリゾチーム(T4L)は、大腸菌の細胞壁を構成するムラミルペプチドを加水分解し、溶菌を引き起こす酵素である。野生型T4Lは、加水分解後の生成物のアノマー構造を逆転する酵素であるが、26番目のThr残基を部位特異的にHis残基に置換したT26H変異型T4Lは、加水分解生成物のアノマー構造を保持する酵素に変換されるのみならず、高い糖転移活性を獲得する。そこで、変異型酵素に導入したHis残基の糖転移反応における役割と隣接する酸性残基(Asp20)との関係を中性子構造解析によって明らかにするため、T26H変異型T4Lの完全重水素化とその大型結晶作製を試みた。完全重水素化タンパク質(d-T26H)は、一般的な大腸菌発現ベクターを用い、完全重水素化培地で組換え大腸菌を培養後、過剰発現させることによって調製した。精製試料を用いて、タンパク質濃度と沈殿剤濃度を変化させたスクリーニングを実施し、約0.12mm$$^{3}$$の結晶を取得した。本結晶をミュンヘン工科大学の研究用原子炉(FRM II)において極低温下(100K)での予備的中性子回折実験を実施した結果、2.8${AA}$分解能を超える回折点の観測に成功した。

論文

Structural basis for acceptor-substrate recognition of UDP-glucose: anthocyanidin 3-${it O}$-glucosyltransferase from ${it Clitoria ternatea}$

廣本 武史; 本庄 栄二郎*; 野田 尚信*; 玉田 太郎; 数馬 恒平*; 鈴木 正彦*; Blaber, M.; 黒木 良太

Protein Science, 24(3), p.395 - 407, 2015/03

 被引用回数:54 パーセンタイル:87.75(Biochemistry & Molecular Biology)

チョウマメの花弁に含まれるUDP-glucose: anthocyanidin 3-${it O}$-glucosyltransferase(UGT78K6)は、UDP-glucoseを糖供与体とし、青色色素の基本骨格をなすデルフィニジンへの糖転移を触媒する酵素である。本酵素は、「フラボノール」に類似した化学構造を有するにもかかわらず、デルフィニジンなど「アントシアニジン」特異的な糖転移活性を示す。その糖受容体認識に関わる構造基盤を明らかにするため、UGT78K6単独の立体構造ならびに各糖受容体(アントシアニジンに分類されるデルフィニジンとペチュニジン、またフラボノールの一種であるケンフェロール)が結合した複合体の立体構造をX線結晶構造解析により決定した。今回の研究で見出された糖受容体の結合様式は、これまでに報告されている類似の糖転移酵素(赤ブドウ由来${it Vv}$GT1)とケンフェロールとの結合様式とは全く異なるものであり、発色の異なる糖受容体「アントシアニジン」と「フラボノール」をどのように識別しているのか、その分子メカニズムの解明を可能とした。今後、得られた構造情報を基に糖受容体との相互作用部位を改変することにより、色味の異なる色素化合物の合成あるいは医薬品候補分子の合成を可能にするものと期待される。

論文

生体分子の中性子単結晶回析,3; タンパク質中性子結晶構造解析の実例と応用

安達 基泰; 新井 栄揮; 廣本 武史; 黒木 良太

波紋, 24(1), p.45 - 49, 2014/02

中性子回折を使った蛋白質の構造解析は、生体高分子の構造と機能の関係を理解する上においてますます重要になっている。原子力機構の研究用原子炉およびパルス中性子施設に設置した中性子回折計の近年の発達したことによって、水和水と生体高分子の水素原子を観察することが可能となり、化学反応の機構を解明するための重要な知見が得られるようになった。ここでは、生体高分子の中性子結晶構造解析のための、試料調製、結晶成長、構造解析と得られる情報の利用について例を挙げ概説する。

論文

Crystal structure of UDP-glucose:anthocyanidin 3-${it O}$-glucosyltransferase from ${it Clitoria ternatea}$

廣本 武史; 本庄 栄二郎*; 玉田 太郎; 野田 尚信*; 数馬 恒平*; 鈴木 正彦*; 黒木 良太

Journal of Synchrotron Radiation, 20(6), p.894 - 898, 2013/11

 被引用回数:36 パーセンタイル:86.65(Instruments & Instrumentation)

チョウマメの花弁には、テルナチンと呼ばれるポリアシル化アントシアニンが含まれている。その生合成の最初の段階を担うのがUDP-グルコース:アントシアニジン3-${it O}$-グルコシルトランスフェラーゼ(${it Ct}$3GT-A)であり、UDP-グルコースを糖供与体とし、糖受容体であるアントシアニジン類への糖転移反応を触媒する。ここでは${it Ct}$3GT-Aの構造機能相関を明らかにするため、${it Ct}$3GT-Aの大腸菌組換え体を調製し、その立体構造をX線結晶構造解析により1.85${AA}$分解能で決定した。その全体構造は、2つのRossmann-like $$beta$$/$$alpha$$/$$beta$$ドメインから成るGT-Bフォールドを有しており、また2つのドメイン間に形成されたクレフトには、糖供与体(UDP-Glc)および糖受容体を結合するキャビティが存在していた。既に報告されている赤ブドウ由来フラボノイド3-${it O}$-グリコシルトランスフェラーゼ(${it Vv}$GT1)との構造比較より、糖受容体であるケンフェロールの結合に関与するアミノ酸残基が${it Ct}$3GT-Aにおいて有意に置換されていることが明らかとなった。これらの知見は、両酵素の糖受容体特異性の差別化を理解する上で重要と考えられる。

口頭

Crystal structure of UDP-glucose: anthocyanidin 3-${it O}$- glucosyltransferase from ${it Clitoria ternatea}$

廣本 武史; 本庄 栄二郎*; 玉田 太郎; 黒木 良太

no journal, , 

UDP-glucose: anthocyanidin 3-${it O}$-glucosyltransferase from ${it Clitoria ternatea}$ (${it Ct}$3GT-A; AB185904) is an enzyme that catalyses glucosyl transfer from UDP-glucose to anthocyanidins such as delphinidin, which is the first step of ternatin biosynthesis (Kogawa ${it et al}$., 2007). The recombinant wild-type enzyme was expressed in ${it E. coli}$ cells, purified to homogeneity and crystallized. The X-ray diffraction data set was collected at PF-BL6A using a crystal with a size of 0.05 $$times$$ 0.05 $$times$$ 0.5 mm, which belongs to the space group ${it P}$2$$_{1}$$ with cell dimensions of ${it a}$ = 50.2 ${AA}$, ${it b}$ = 55.2 ${AA}$, ${it c}$ = 86.2 ${AA}$ and $$beta$$ = 105.1 $$^{circ}$$. The initial phase was solved by MR using the coordinates of a homologous glucosyltransferase ${it Vv}$GT1 from ${it Vitis vinifera}$ (PDB ID: 2C1Z) as a search model. The overall structure of ${it Ct}$3GT-A shows a typical GT-B fold comprising two Rossmann-like $$beta$$/$$alpha$$/$$beta$$ domains. The putative binding sites for UDP-glucose and delphinidin are located in a deep cleft between the N- and C-terminal domains. Structural homology searches by Dali server indicated that ${it Ct}$3GT-A is similar to the other plant glucosyltransferases ${it Vv}$GT1 and UGT78G1 from ${it Medicago truncatula}$ with the RMS deviations of 1.9 ${AA}$ (for 432 C$$alpha$$ atoms) and 2.0 ${AA}$ (for 437 C$$alpha$$ atoms), respectively.

口頭

完全重水素化T4ファージリゾチームの結晶大型化と中性子回折実験

廣本 武史; 安達 基泰; 柴崎 千枝; 黒木 良太

no journal, , 

T4ファージリゾチーム(T4L)は、大腸菌の細胞壁を構成するムラミルペプチドを加水分解し、溶菌を引き起こす酵素である。野生型T4Lは、加水分解後の生成物のアノマー構造を逆転する酵素であるが、26番目のThr残基を部位特異的にHis残基に置換したT26H変異型酵素は、加水分解生成物のアノマー構造を保持する酵素に変換されるのみならず、高い糖転移活性を獲得する。一般に糖加水分解酵素では、酸性残基の2つのカルボン酸がそれぞれ酸および塩基触媒として関与するが、T26H変異型酵素ではカルボン酸の代わりにヒスチジン側鎖が反応に関与する。そこで、変異型酵素に導入したHis残基の糖転移反応における役割と隣接する酸性残基(Asp20)との関係を中性子構造解析によって明らかにするため、野生型およびT26H変異型T4Lの完全重水素化とその大型結晶作製を試みたので報告する。それぞれの完全重水素化タンパク質は、一般的な大腸菌発現ベクター(pET-24a)を用い、完全重水素化培地で組換え大腸菌を培養後、過剰発現させることによって調製した。取得した試料を用いて、タンパク質濃度と沈殿剤濃度を変化させたスクリーニングを実施し、約0.1mm$$^{3}$$の結晶を取得した。本結晶をミュンヘン工科大学(FRM-II)において極低温下(100K)での予備的中性子回折実験を実施した結果、小型の結晶ではあるが2.5${AA}$分解能を超える回折点の観測に成功した。

口頭

ブレビバチルスによる超好熱古細菌由来セルラーゼ(EGPf)の分泌発現におけるHis-Tagの効果

清水 瑠美; 廣本 武史; 安達 基泰; 黒木 良太; 片岡 未有*; 石川 一彦*

no journal, , 

中性子によるタンパク質の結晶構造解析においては、中性子ビーム強度が低いことから、X線結晶構造解析で用いられる結晶試料よりも格段に大きな体積(数mm$$^{3}$$)の結晶試料が必要である。そして、結晶の大型化には、多くのタンパク質試料が必要となる。中性子構造解析を目指した試料作製技術の高度化の一環として、ブレビバチルスによる様々なタンパク質の大量分泌生産を検討している。その一つの例として、超好熱古細菌由来のセルラーゼ(EGPf)の大量分泌発現に成功したので報告する。

口頭

Preparation of large-volume crystals for structure analysis of human casein kinase-2 by neutron crystallography

柴崎 千枝; 安達 基泰; 廣本 武史; 清水 瑠美; 黒木 良太

no journal, , 

細胞に広く存在するセリン/スレオニンキナーゼであるカゼインキナーゼII(CK2)は、2つの$$alpha$$サブユニットと2つの$$beta$$サブユニットからなる4量体構造を有しており、細胞周期の進行や細胞の生存・増殖に関与することが知られている。CK2$$alpha$$の生物学的機能を理解するために、我々は、中性子結晶構造解析を用いて、CK2$$alpha$$の水素原子や水和水の情報を含む蛋白質構造を明らかにすることを目指している。大腸菌にて過剰発現させたCK2$$alpha$$をカラムクロマトグラフィーによって精製し、得た蛋白質を用いて大型結晶の作製を試みた。大型結晶の作製にはマクロシーディング法を用い、40mg/mLの蛋白質溶液と同量の沈殿剤溶液(25mM Tris-HCl(pH8.5)、0.85M硫酸アンモニウム、1mM DTTおよび5%アセトニトリル)を混ぜた後、種結晶を添加した。その後、リザーバー溶液の硫酸アンモニウムの濃度を数日間かけて1.2Mまで上昇させた。その結果、子結晶の形成が抑えられ、最終的に約2mm$$^{3}$$の大型単結晶を得ることができた。取得した結晶を中性子実験と同一の条件(重水および重水素化試薬を用いて作製した結晶保存溶液)で透析し、X線回折実験を行った。その結果、100Kで1.1${AA}$の分解能の回折像を得ることができた。今後、作製した大型結晶を用いて中性子回折実験を実施し、CK2の詳細な構造解析を実施する予定である。

口頭

チョウマメ由来UDP-グルコース:アントシアニジン3-${it O}$-グルコシル基転移酵素における糖受容体基質の認識機構

廣本 武史; 本庄 栄二郎*; 玉田 太郎; 黒木 良太; 野田 尚信*; 数馬 恒平*; 鈴木 正彦*

no journal, , 

UDP-グルコース:アントシアニジン3-${it O}$-グルコシル転移酵素(UGT78K6)は、アントシアニン色素の基本骨格をなすアントシアニジン類への糖転移を触媒する酵素で、チョウマメの青色の花弁に含まれるポリアシル化アントシアニン(テルナチン)の生合成の初期段階を担っている。また本酵素は、類似の分子構造を有するにも拘わらず、フラボノール類に対して著しく低い糖転移活性を示すことが知られている。そこで、糖受容体基質の認識に関わる構造基盤を明らかにするため、UGT78K6に各糖受容体基質(アントシアニジンに分類されるデルフィニジンとペチュニジン、またフラボノールの一種であるケンフェロール)が結合した酵素-基質複合体の立体構造を、X線結晶構造解析により、それぞれ2.6${AA}$, 2.7${AA}$, 1.8${AA}$の分解能で決定した。これは、アントシアニジンが酵素に結合した状態を観測した初めての例である。本解析で見出された各糖受容体基質の結合様式は、これまでに報告されている類似の糖転移酵素(赤ブドウ由来${it Vv}$GT1)とは全く異なるものであり、異なる発色を担うアントシアニジンとフラボノールをどのように識別しているのか、その分子メカニズムの解明を可能とした。

口頭

完全重水素化T4ファージリゾチームの中性子構造解析

清水 瑠美; 廣本 武史; 安達 基泰; 柴崎 千枝; 黒木 良太

no journal, , 

T4ファージリゾチーム(T4L)は、大腸菌の細胞壁を構成するムラミルペプチドを加水分解し、溶菌を引き起こす酵素である。野生型T4Lは、加水分解後の生成物のアノマー構造を逆転する酵素であるが、26番目のThr残基を部位特異的にHis残基に置換したT26H変異型酵素は、加水分解生成物のアノマー構造を保持する酵素に変換されるのみならず、高い糖転移活性を獲得する。一般に糖加水分解酵素では、酸性残基の2つのカルボン酸がそれぞれ酸塩基触媒として機能するが、T26H変異型酵素ではカルボン酸の代わりにヒスチジン側鎖が反応に関与する。そこで、変異型酵素に導入したHis残基の糖転移反応における役割と隣接する酸性残基(Asp20)との関係を中性子構造解析により明らかにするため、T26H変異型T4Lの完全重水素化とその大型結晶作製を試みた。タンパク質試料は、一般的な大腸菌発現ベクター(pET-24a)を用い、完全重水素化培地で組換え大腸菌を培養後、過剰発現させることによって調製した。取得した試料を用いて、タンパク質濃度と沈殿剤濃度を変化させたスクリーニングを実施し、約0.9mm$$^{3}$$の結晶を取得した。米国オークリッジ国立研究所の研究用原子炉(HFIR)に設置されたイメージングプレート単結晶回折計(IMAGINE)を用いた室温での中性子回折実験の結果、2.1${AA}$分解能の回折強度データを完全性79.8%で収集することに成功した。

口頭

完全重水素化T4ファージリゾチームの中性子構造解析

廣本 武史; 清水 瑠美; 安達 基泰; 柴崎 千枝; 黒木 良太

no journal, , 

T4ファージリゾチーム(T4L)は、大腸菌の細胞壁を構成するムラミルペプチドを加水分解し、溶菌を引き起こす酵素である。26番目のThr残基をHis残基に置換したT26H変異型酵素は、加水分解生成物のアノマー構造を保持する酵素に変換されるのみならず、高い糖転移活性を獲得する。一般に糖加水分解酵素では、酸性残基の2つのカルボン酸がそれぞれ酸塩基触媒として機能するが、T26H変異型酵素ではカルボン酸の代わりに同じ位置を占めるヒスチジン側鎖が反応に関与すると考えられている。そこで変異型酵素に導入したHis残基の糖転移反応における役割と隣接する酸性残基(Asp20)との関係を中性子構造解析により明らかにするため、T26H変異型T4Lの完全重水素化とその大型結晶作製を試みた。タンパク質試料は、一般的な大腸菌発現ベクター(pET-24a)を用い、完全重水素化培地で組換え大腸菌を培養後、過剰発現させることによって調製した。精製試料を用い、約0.9mm$$^{3}$$の結晶を作製した。米国オークリッジ国立研究所の研究用原子炉(HFIR)に設置されたイメージングプレート単結晶回折計(IMAGINE)を用い、室温での中性子回折実験を実施した結果、2.1${AA}$分解能の回折強度データを完全性79.8%で収集することに成功した。現在、同一結晶より収集した1.7${AA}$分解能のX線データを併用し、分子モデルの同時精密化を進めている。

口頭

中性子結晶構造解析を目指したカゼインキナーゼIIの大型結晶作製

柴崎 千枝; 安達 基泰; 廣本 武史; 清水 瑠美; 黒木 良太

no journal, , 

カゼインキナーゼ(CK2)は、その過剰な発現と、発癌や癌転移との関係が指摘されていることから、創薬標的タンパク質の一つとなっている。我々は、CK2の中性子結晶構造解析によって、阻害剤開発に有効な水素・水和構造に関する立体構造的知見を得ることを目的として、大型結晶作製と予備的中性子回折実験を実施した。大腸菌にて過剰発現させたCK2a(触媒サブユニットのみ)をカラムクロマトグラフィーによって精製し、大型結晶の作製を試みた。CK2の阻害剤であるEmodinとCX-4945との複合体試料について、約40mg/mLに濃縮したタンパク質試料に種結晶を加えることによって、約2mm$$^{3}$$の大型結晶を得ることができた。取得した結晶を、重水および重水素化試薬を用いて作製した溶液に対して透析処理した後、ミュンヘン工科大学の研究用原子炉(FRM-II)に設置の中性子回折計(BioDIFF)を用いて、予備的中性子回折実験を実施した。結晶を100Kに冷却し、約30分間照射した結果、阻害剤非結合型、Emodin複合体、CX-4945複合体についてそれぞれ、1.9, 2.0, 1.8${AA}$の分解能を示す回折点の観測に成功した。

口頭

JRR-3冷中性子ビームラインへのタンパク質単結晶中性子回折装置設置の検討

栗原 和男*; 田村 格良; 平野 優*; 廣本 武史*; 玉田 太郎*

no journal, , 

膜タンパク質やタンパク質複合体などの立体構造に基づいたタンパク質間相互作用の解明は現代の生命科学において重要な研究領域である。これらのタンパク質は分子量が大きく、得られる結晶の格子長も大きいことから、これらの結晶のブラッグ反射分離には冷中性子が適している。JRR-3はビームホールに3本の冷中性子ビームラインを有し、高強度化のため中性子導管のスーパーミラー化がこれまで進められてきた。そこで、試料結晶の格子長に応じて波長可変な機構を導入した回折装置のJRR-3冷中性子ビームラインでの設置の検討を行った。単結晶回折では有効利用可能な角度分散は限定されるため、検討装置が利用する角度分散の利得成分を求めなければならない。そこで、高強度化後のC1-3ビームポートを設置位置と想定し、McStasを用いて角度分散が$$pm$$0.5度以内の中性子ビームの輸送計算を行い、得られた中性子束スペクトルから冷中性子の領域で利得が得られることが分かった。本発表では、さらに炉室中性子束との比較、単色化した中性子による試料位置での中性子束を計算し、本回折装置の測定性能を評価する。

口頭

タンパク質単結晶中性子回折装置BIX-3,4の高性能化への取り組み

栗原 和男*; 平野 優*; 廣本 武史*; 田村 格良; 玉田 太郎*

no journal, , 

生体高分子を測定対象とするBIX-3, BIX-4(JRR-3炉室設置)は、これまでに21つの構造を中性子結晶回折法により明らかにしている。装置を高性能化することで試料対象や測定可能領域を広げることができれば、量子生命分野への適応も含めた今後の発展が大きく期待できる。そこで、(1)測定可能な回折データ分解能d$$_{min}$$の高分解能化を実施するとともに、(2)長波長中性子ビームラインを利用した高分子量タンパク質を測定可能にする回折装置設置の検討を進めている。(1)BIX-3,4ではモノクロメータをSi(111)結晶からSi(311)結晶に変更することで、より短波長な単色中性子を得て高分解能化を実現した(BIX-3,4: d$$_{min}$$=0.8, 0.7$AA)$。(2)バックグラウンドの低いビームホールにあるJRR-3冷中性子ビームラインの高強度化が進められていることから、BIX-3,4の片方をビームホールに移設することを検討している。検討装置が利用する長波長ビーム内の角度分散の利得成分を計算機シミュレーションし、高分子量タンパク質に対する検討装置の測定性能を評価している。本発表では、これまでの高性能化の実施・評価結果を報告する。

口頭

タンパク質用中性子回折装置BIX-3,4の高性能化

栗原 和男*; 平野 優*; 廣本 武史*; 田村 格良; 玉田 太郎*

no journal, , 

タンパク質などの生体高分子を測定対象とするBIX-3, BIX-4(JRR-3炉室設置)は、直接観察された水素原子や水和水の構造情報から、タンパク質の機能発現に必須なプロトン化状態の決定や低障壁水素結合の生体高分子における初めての観察などの成果を上げてきた。この中性子を用いた構造機能研究は、回折装置を高性能化することで試料対象や回折データ測定可能領域を広げることができれば、今後の発展が大きく期待できる。(1)BIX-3,4のモノクロメータはSi(111)結晶で、装置の分解能はそれぞれ${it d}$ $$_{min}$$ = 1.5${AA}$, 1.4${AA}$である。モノクロメータをSi(311)結晶に変更し、短波長中性子を得て、装置仕様分解能としてサブ${AA}$レベルまでの高分解能化を実現した。(2)近年、JRR-3ビームホールの冷中性子ビームラインが高強度化されている。長波長ビームは大型の単位格子を持つ結晶からの反射の分離に有利なため、BIX-3,4の一方のビームホール移設を検討しており、得られる中性子強度利得および反射分離能について計算機シミュレーション等から性能評価を行っている。本発表では、これまでの高性能化の実施・評価結果を報告する。

口頭

Neutron diffractometer for protein crystallography at cold neutron beam line of JRR-3

栗原 和男*; 田村 格良; 平野 優*; 廣本 武史*; 河野 史明*; 玉田 太郎*

no journal, , 

The elucidation of the protein-protein interaction, especially among membrane proteins and protein complexes, is one of the most important research fields in life science. Such proteins have large molecular weights, and the lattice lengths of their crystals have large values. Cold neutrons contribute to improve the difficulty in separating Bragg peaks from those crystals. A diffractometer, to be installed at the cold neutron beamline, will be equipped a feature to choose a wavelength appropriate for data collection. As the effectively usable angular divergence is limited for the single crystal diffraction method, neutron beam within the divergence of 1.0 degree at the cold beamline was simulated by the McStas program. From the calculation the peak wavelength of the spectrum at C1-3 beam port was shifted from 0.4 nm to 0.29 nm, and the gain was one order of magnitude at the wavelength of 0.29 nm by the upgrading. The performance of the diffractometer will be discussed.

口頭

タンパク質単結晶用中性子回折装置BIX-3, BIX-4の高度化

栗原 和男*; 平野 優*; 廣本 武史*; 河野 史明*; 田村 格良; 玉田 太郎*

no journal, , 

タンパク質などの生体高分子を測定対象とするBIX-3,BIX-4(2021年7月に供用を再開したJRR-3炉室設置)は、タンパク質の機能発現に必須なプロトン化状態の決定や低障壁水素結合の生体高分子における初めての観察などの成果を上げてきた。装置の高度化により試料対象を広げることができれば、普遍的な手法としての今後の発展が大きく期待できる。(1)BIX-3,4ではモノクロメータ(遮蔽体内に格納)として弾性湾曲したSi(111)結晶を用いている(BIX-3,4: $$d_{min}$$=1.5, 1.4$AA)$。BIX-3において、モノクロメータを遠隔操作で短波長用Si(311)結晶に切替可能なユニットに換装し、このユニットの作動を確認した。これにより、装置仕様の分解能をサブオングストロームレベルまで随時拡大可能なシステムを実現した。(2)BIX-3,4の片方をビームホールに移設し、測定可能対象が拡大となる、格子長が最大160オングストロームの試料単結晶も測定可能とする冷中性子回折装置を検討している。現在、得られる中性子強度利得および反射分離能についてMcStasシミュレーション等から性能評価を進めている。本発表では以上の高度化の実施・評価結果を報告する。

口頭

タンパク質結晶用中性子回折装置BIX-3, BIX-4の高度化

栗原 和男*; 平野 優*; 廣本 武史*; 河野 史明*; 田村 格良; 玉田 太郎*

no journal, , 

量子科学技術研究開発機構が保有する中性子回折装置BIX-3, BIX-4(JRR-3炉室内設置)は、水素原子や水和水を直接観察した構造情報から、タンパク質の機能発現に必須なプロトン化状態の観察などで成果を上げてきた。さらに本装置を高度化することで、試料対象やデータ測定可能領域を広げ、より普遍的な手法としての今後の発展が期待できる。BIX-3では、装置仕様分解能をサブオングストロームまで随時拡大可能とするため、従来の弾性湾曲Si(111)結晶に加えて短波長用Si(311)結晶(d-min=0.81$AA)$に遠隔で切替可能な二段式モノクロメータに換装した。本機能を用いて、高電位鉄イオンタンパク質(HiPIP)結晶から世界最高となる0.9オングストローム分解能の中性子回折データセット取得に成功した。BIX-4はJRR-3ビームホール・冷中性子ビームラインのC1-3ビームポートに2023年度運転開始までに移設・改造し、各格子長が最大160オングストロームの試料結晶も測定可能な装置とする計画である。これにより、測定対象を既報のX線結晶構造数の約3/4までに拡張することを目指す。本発表では上記の高度化の結果・評価等について報告する。

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