Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
菱木 繁臣; Reshanov, S. A.*; 大島 武; 伊藤 久義; Pensl, G.*
Materials Science Forum, 600-603, p.703 - 706, 2009/00
被引用回数:1 パーセンタイル:46.61(Materials Science, Ceramics)炭化ケイ素(SiC)半導体は優れた耐放射線性を有するため、高い線量下での動作が期待できるが、これまで数MGyといった高線量域までの照射効果を調べた報告はあまりない。そこで今回、n型六方晶(6H)SiCを用いたnチャンネル金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を作製し、数MGyまでの線照射による特性評価を行った。MOSFETのチャンネルに流れるキャリアについてHall効果測定からHall移動度,キャリア移動度を評価した結果、MGy級の線照射により界面準位が減少しそれに伴いチャンネル移動度が増加することが明らかとなった。
菱木 繁臣; 岩本 直也; 大島 武; 伊藤 久義; 児島 一聡*; 河野 勝泰*
Materials Science Forum, 600-603, p.707 - 710, 2009/00
炭化ケイ素(SiC)半導体は優れた耐放射線性を有するため高い線量下での動作が期待できる。これまでn型六方晶(6H)SiCを用いたnチャンネル金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の線照射による特性変化がゲート酸化膜作製後の熱処理により異なることを明らかにしている。このようにMOSFETの放射線耐性は作製手法によって影響されるため、素子作製プロセスと特性変化の関係を明らかにすることが重要となる。今回、異なる注入後熱処理により基板表面の荒さ(RMS)が0.67nmと1.36nmとなったnチャンネル6H-SiC MOSFETを作製し、線照射による電気特性の変化を調べた。その結果、基板表面の荒れが大きなMOSFETは1MGy程度でチャンネル移動度が減少するのに対し、荒れの小さなものは3MGyまでチャンネル移動度の減少がなく、耐放射線性に優れていることが明らかとなった。
岩本 直也; 小野田 忍; 菱木 繁臣; 大島 武; 村上 允*; 中野 逸夫*; 河野 勝泰*
Materials Science Forum, 600-603(Part 2), p.1043 - 1046, 2009/00
炭化ケイ素(SiC)半導体を用いた耐放射線性の粒子検出器の開発の一環として、SiCエピ膜上に作製したnpダイオードの電荷収集効率(CCE)の電子線照射による低下を調べた。室温にてエネルギー1MeVの電子線を最大610/cm照射した。CCEの評価は酸素15MeVマイクロビームを用いたイオン誘起過渡電流(TIBIC)評価により行った。評価の結果、電子線未照射試料では93%という非常に高いCCEを観測し、110/cmの電子線照射後もCCEの低下は観測されなかった。しかし、それ以上の線量ではCCEの低下が観測され、510/cmの電子線照射によりCCEは約65%となった。ダイオードへ印加する逆方向電圧とCCEの関係を解析することでダイオード中の少数キャリア(電子)の拡散長を見積もったところ、未照射では2.5mであった拡散長が電子線照射により徐々に低下し、その結果としてCCEが低下することが判明した。
小野田 忍; 大島 武; 平尾 敏雄; 菱木 繁臣; 岩本 直也; 児島 一聡*; 河野 勝泰*
Materials Science Forum, 600-603, p.1039 - 1042, 2009/00
炭化ケイ素(SiC)半導体のイオン照射効果を明らかにするため、15MeV-O及び260MeV-Neマイクロビームを使用して六方晶(6H)SiC npダイオード中で発生する過渡電流の電圧依存性を調べた。双方のイオンについて、印加電圧の増加とともに、ピーク値が増加し、立上り及び立下り時間が減少する結果を得た。ピーク値の増加と立上り及び立下り時間の減少が補償することから、電荷収集効率(CCE:Charge Collection Efficiency)の電圧依存性はないことがわかった。15MeV-Oと比較して260MeV-NeによるCCEは非常に小さいことがわかった。この違いは線エネルギー付与(LET:Linear Energy Transfar)及び飛程の違いに由来するものと考えられる。15MeV-OのLETが7.29MeVcm/mgであるのに対し、260MeV-NeのLETが2.95MeVcm/mgと低いため、CCEが小さくなったと考えられる。さらに、15MeV-Oの飛程が空乏層よりも短いのに対し、260MeV-Neの飛程は空乏層よりも長い。そのため、260MeV-Neでは、入射エネルギーの一部しかダイオード中に付与されず、CCEが小さくなる。このように、過渡電流及びCCEのエネルギー依存性をマイクロビーム照射実験から明らかにした。
小野田 忍; 大島 武; 平尾 敏雄; 三島 健太; 菱木 繁臣; 岩本 直也; 児島 一聡*; 河野 勝泰*
IEEE Transactions on Nuclear Science, 54(6), p.1953 - 1960, 2007/12
被引用回数:21 パーセンタイル:78.65(Engineering, Electrical & Electronic)In order to investigate the influence of displacement damage or change collection in Sic diode, the charge generated in 6H-SiC np diodes by 15 MeV O ions was measured using the TIBIC (Transient Ion Beam Induced Current) system before and after -ray irradiations. The measured CCE (Collected Charge Efficiency) and the diffusion length reduce with increasing the equivalent displacement damage dose which is estimated using Non Ionizing Energy Loss (NIEL). It was found that the degradation of the diffusion length for p-type 6H-SiC is proportional to the square of the displacement damage dose, and this relationship is the same as that reported for n-type SiC and p-type GaAs.
小野田 忍; 大島 武; 平尾 敏雄; 三島 健太; 菱木 繁臣; 岩本 直也; 河野 勝泰*
IEEE Transactions on Nuclear Science, 54(6), p.2706 - 2713, 2007/12
被引用回数:17 パーセンタイル:72.94(Engineering, Electrical & Electronic)高エネルギー物理学における粒子検出器開発の観点から軽イオン等が半導体素子に入射した時の電荷収集効率(CCE:Charge Collection Efficiency)に関する研究が盛んに行われている中、われわれは、材料開発で使用する加速器用の粒子検出器、さらには宇宙でのシングルイベント効果の理解にも重要となる重イオンが半導体素子に入射した時のCCEに関する研究を進めた。その結果、既存の理論モデル(Gunnモデル)によって重イオンが半導体素子に誘起するCCEの電圧依存性を説明できないことがわかった。本研究では、重イオンにより誘起された電子及び正孔がオージェ過程を経て再結合する可能性を半導体デバイスシミュレータ(TCAD:Technology Computer Aided Design)により検討した。その結果、オージェ再結合によりCCEが低下することを明らかにし、その係数がおよそ610cm/sであることを示した。
大島 武; 菱木 繁臣*; 岩本 直也; Reshanov, S. A.*; Pensl, G.*; 児島 一聡*; 河野 勝泰*
Proceedings of the 26th Symposium on Materials Science and Engineering, Research Center of Ion Beam Technology Hosei University, p.31 - 34, 2007/12
耐放射線性SiC半導体素子の開発の一環として、MGyという高線量域までの線照射によるSiC金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の特性変化を調べた。p型エピタキシャル六方晶(6H)-SiC上にn-channel MOSFETを作製し、線照射(室温,無バイアス状態)を行った。ドレイン電流-ドレイン電圧特性の直線領域からチャンネル移動度を見積もったところ、ソース,ドレイン領域作製の際のイオン注入後の熱処理時にカーボン被膜にて表面を保護した試料では、照射前の値が55cm/Vsであるのに対し、被覆なしは45cm/Vsと小さな値を示した。原子間力顕微鏡によりこれらの試料表面粗さ(R)を調べたところ、被覆有りが0.67nm、被覆なしが1.36nmであった。このことから、エピ膜表面荒れが原因で発生した界面準位によりカーボン被覆なし熱処理試料では有りに比べてチャンネル移動度が小さくなったと考えられる。次に、線照射後を比較すると、両者とも1MGyまでは変化は見られないが、それ以上の照射により、カーボン被覆なしはチャンネル移動度が低下するのに対し、被覆有りで熱処理を行ったものは、わずかではあるがチャンネル移動度が上昇することが見いだされ、3MGy照射後には65cm/Vsとなることが明らかとなった。
岩本 直也; 大島 武; 小野田 忍; 菱木 繁臣*; 村上 允; 中野 逸夫*; 河野 勝泰*
Proceedings of the 26th Symposium on Materials Science and Engineering, Research Center of Ion Beam Technology Hosei University, p.27 - 30, 2007/12
SiCダイオードは、高い耐放射線性を有する粒子検出器として有望視されている。検出器の実用化には、粒子検出特性の放射線による影響を明らかにすることが重要であることから、本研究では、電子線照射により6H-SiC npダイオードに放射線損傷を導入し、重粒子の入射に対する電荷収集効率(CCE; Charge Collection Efficiency)を評価した。電子線照射前のCCEの飽和値は93であり、電子線のフルエンスが110cm以下では、変化は見られなかった。一方、フルエンスが110cm以上ではCCEの低下が観測された。特に610cmではCCEは高バイアス領域において飽和しなかった。これらピーク値及びCCEの低下は、電子線照射によりダイオード中に再結合中心となる欠陥の密度が増大し、生成された電荷の寿命が収集時間よりも短くなったためと考えられる。電子線照射によってSiCダイオードの電荷収集効率に放射線劣化が見られるものの、依然として入射粒子の検出が可能であることが判明した。
大島 武; 佐藤 隆博; 及川 将一; 小野田 忍; 菱木 繁臣; 平尾 敏雄; 神谷 富裕; 横山 琢郎*; 坂本 愛理*; 田中 礼三郎*; et al.
Materials Science Forum, 556-557, p.913 - 916, 2007/00
被引用回数:4 パーセンタイル:76.38(Materials Science, Ceramics)炭化ケイ素(SiC)を耐放射線性の粒子検出器へ応用する研究の一環として、六方晶SiC(6H-SiC)npダイオード中に金(Au)イオンが入射したときの電荷収集効率(CCE)を調べた。試料には、p型エピタキシャル膜上にリン注入によりn層を作製したnpダイオードを用い、12MeV-Auイオン入射によるイオン誘起過渡電流(TIBIC)測定を行った。TIBICシグナルを時間積分することで収集電荷量を求めたところ0.10pCであった。一方、Auイオン入射により発生する電荷量を見積もったところ0.195pCと求められ、CCEが約50%であることが明らかとなった。イオン入射によりSiC中に発生する電子-正孔対の濃度を計算したところ、CCEが100%となる酸素やシリコンイオン入射の場合に比べ約二桁高濃度であることが見いだされた。このことより、Auイオン入射では非常に高濃度の電子-正孔対(プラズマ)が発生するためにプラズマ中で電子-正孔対が再結合してしまい、その結果、CCEが低下することが推測される。
神野 郁夫*; 菱木 繁臣*; 杉浦 修*; Xiang, R.*; 中村 龍也; 片桐 政樹
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 568(1), p.416 - 420, 2006/11
被引用回数:17 パーセンタイル:73.73(Instruments & Instrumentation)開発研究を進めているInSb半導体を用いた放射線検出器について、線,線及び中性子に対する検出特性とInSbの基本特性についての研究状況を報告した。ショットキーバリア型InSb検出器について4.2Kから40Kまで温度を変化させて、5.5MeVの線のエネルギースペクトルを測定した結果、40Kでもピークとして検出可能であることが確認できた。PN接合型InSb検出器を用いて、線検出を試みた結果、ピークにはならないが60keVの線を検出できることを確認した。以上の研究結果をベースに今後InSb半導体放射線検出器の特性改善を進める。
小野田 忍; 大島 武; 平尾 敏雄; 菱木 繁臣; 三島 健太; 岩本 直也; 神谷 富裕; 河野 勝泰*
Proceedings of 7th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-7), p.115 - 118, 2006/10
耐放射線性素子への期待が大きい六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)pn接合ダイオードに対して、MeV級のイオンを照射し、誘起されるシングルイベント過渡電流(Single Event Transient Current: SETC)を測定することによって、その電荷収集挙動を調べた。さらに、電荷収集過程を明らかにするため、デバイスシミュレータ(Technology Computer Aided Design: TCAD)を使用してシミュレーションを行った。さまざまな物理モデルを比較・検討することによって、SiC中のSETCをシミュレーションするために最適な物理モデルを検討した結果、移動度モデルが重要であり、移動度の不純物依存性、キャリア散乱、高電界効果、異方性等を考慮してシミュレーションを行うことで精度が向上することを見いだした。
岩本 直也; 大島 武; 佐藤 隆博; 及川 将一*; 小野田 忍; 菱木 繁臣; 平尾 敏雄; 神谷 富裕; 横山 琢郎*; 坂本 愛理*; et al.
Proceedings of 7th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-7), p.185 - 188, 2006/10
六方晶炭化ケイ素(6H-SiC) npダイオードに12MeVの金イオンを照射し、ダイオードの電荷収集効率をイオンビーム励起過渡電流(TIBIC)によって評価した。酸素(O)及びシリコン(Si)イオンの照射では電荷収集効率(CCE)は100%であったが、金イオンでは約50%であった。イオン入射によって6H-SiC npダイオードで発生した電子-正孔対の濃度をKobetich & Katz(KK)モデルを使って評価すると、電子-正孔対の濃度は入射イオンの原子番号が大きくなると増加することが明らかとなった。したがって、金イオンを入射した6H-SiC npダイオードにおけるCCEの減少は、高濃度の電子-正孔対内での電子と正孔の再結合に起因することが示唆される。
菱木 繁臣; 大島 武; 岩本 直也; 河野 勝泰*; 伊藤 久義
Proceedings of 7th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-7), p.173 - 176, 2006/10
六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)エピタキシャル膜上にpチャンネル6H-SiC金属-酸化膜-半導体(MOSFET)を作製し、線を8.70, 4.35, 0.87kGy/hourの線量率で照射し、電気特性の変化を調べた。m線の線量率が8.70, 0.87kGy/hourと4.35kGy/hourの場合ではしきい値電圧の変化量は異なり、その原因として界面準位の発生量が異なることが見いだされた。一方、線照射による酸化膜中の固定電荷の発生量に違いは観測されなかった。また、線照射試料のアニーリング効果を調べた結果、界面準位はアニーリング温度の増加とともに減少し350C付近でほぼ消失するが、酸化膜中の固定電荷密度は変化しないことがわかった。
中村 龍也; 片桐 政樹; 荒殿 保幸; 神野 郁夫*; 菱木 繁臣*; 杉浦 修*; 村瀬 徳博*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 529(1-3), p.399 - 401, 2004/08
被引用回数:1 パーセンタイル:10.17(Instruments & Instrumentation)液体ヘリウム3を中性子コンバータとしInSb半導体検出素子で二次粒子を検出する低温中性子検出器を開発した。本低温検出器では液体状態にあるヘリウム3を中性子コンバータとして用いることで中性子とヘリウム3との核反応の結果生じた二次粒子飛程が100ミクロン以下となるため高位置分解能が期待される。また、液体ヘリウム3ではコンバータ厚さを容易に均一制御できることから検出効率の空間一様性にも優れることが予想される。試作した中性子検出器を1.6Kにて動作させ中性子検出特性試験を行い、本検出器が中性子を安定に検出することを確認し、高い位置分解能,高い効率一様性,薄い検出厚さ等を有する低温中性子検出器の実現可能性を検証することができた。
中村 龍也; 片桐 政樹; 荒殿 保幸; 神野 郁夫*; 菱木 繁臣*; 杉浦 修*; 村瀬 徳博*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 520(1-3), p.76 - 79, 2004/03
被引用回数:8 パーセンタイル:48.24(Instruments & Instrumentation)InSb半導体検出素子と高密度ヘリウム3ガスとからなる低温中性子検出器を開発し、その中性子検出性能を評価した。ヘリウム3ガスを中性子コンバータとする中性子検出器では、チャンバー内に封入されるヘリウム3ガスの密度が高い程、位置分解能等の検出器性能が向上する。しかしながら、チャンバー内に封入可能なガス圧はその機械的強度により制限されること、また、高ガス圧下ではガス増幅率が低減するため良好な信号対雑音比で信号を読み出すことが困難となる、といった問題があった。そこでわれわれは4.2Kの低温環境を利用することで10気圧程度のガス圧においても常温,数100気圧に相当するガス密度を実現し、かつ、中性子捕獲反応の結果生成される二次粒子を低温動作可能なInSb半導体素子で直接検出することによりそれらの問題の解決を図った。4.2K,12.5気圧で動作させた試作低温中性子検出器によりその中性子検出特性試験を行い、低温,高ガス圧下においても本検出器は中性子を安定に検出できることを確認し、高い位置分解能,高い効率一様性,薄い検出厚さ等を有する低温中性子検出器としての実現性を検証することができた。
神野 郁夫*; 菱木 繁臣*; 村上 治子*; 杉浦 修*; 村瀬 徳博*; 中村 龍也; 片桐 政樹
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 520(1-3), p.93 - 95, 2004/03
被引用回数:2 パーセンタイル:17.95(Instruments & Instrumentation)p型InSbを母材としてショットキー及びpn接合型低温放射線検出器を製作した。ショットキー型、及びpn接合型検出器では、77K、115K以下の温度において放射線検出器として動作することを確認した。本論文では各検出素子の製作方法、Amからのアルファ線照射によるパルス波高分布測定結果、信号パルス立ち上がり時間解析結果について述べる。
中村 龍也; 片桐 政樹; 荒殿 保幸; 神野 郁夫*; 菱木 繁臣*; 杉浦 修*; 村瀬 徳博*
Review of Scientific Instruments, 75(2), p.340 - 344, 2004/02
被引用回数:6 パーセンタイル:35.28(Instruments & Instrumentation)数10ミクロン以下の位置分解能と数ナノ秒の時間分解能を持つ中性子検出器として、InSb半導体素子と超臨界ヘリウム3ガスとからなる低温中性子検出器を提案し試作検出器によりその検出原理を確認した。従来のヘリウム3ガスを使用した中性子検出器において数10ミクロンの高い位置分解能を得るには100気圧を超えるガスを封入する必要がある。そのような条件下では、十分なガスゲインが得られないこと、また、チャンバの機械的制限を受ける等の問題があった。われわれは、4.2Kという低温環境を積極的に利用することで常温100気圧以上に相当するヘリウム3ガス密度を数気圧のガス圧で実現し、かつ、低温下で高速に動作するInSb半導体検出素子で中性子捕獲反応により生じるプロトン,トリトンを直接検出しその解決を図った。本検出手法によると4.2K, 10気圧程度のヘリウム3ガス圧下で数10ミクロン以下の位置分解能と数ナノ秒の時間分解能も期待される。試作検出器を用いて4.2K, 1.6気圧以下のガス圧において中性子検出性能を評価した結果、中性子を検出できること,現状で約80nsecの時間分解能を持つことなどを確認した。
菱木 繁臣*; 神野 郁夫*; 杉浦 修*; 村瀬 徳博*; 中村 龍也; 片桐 政樹
Radiation Detectors and Their Uses, p.113 - 117, 2003/00
InSb半導体検出器は従来のGe半導体検出器と比較して2倍以上のエネルギー分解能,7倍以上の検出効率等が期待されている放射線検出器である。これまでInSb半導体素子としては人為的にドーパントを添加しn型、あるいはp型である基板を使用してきたが、今回われわれは不純物の量を極めて抑えた非不純物添加単結晶InSb基板(undoped InSb)を用いてSchottky型半導体放射線検出素子を製作しその放射線検出特性を4.2Kから115Kまでの温度範囲において評価した。製作した検出器は全ての測定温度において整流性を示し、アルファ線を検出することを確認した。また、信号出力の立ち上がり時間が4.2-70Kまでの範囲においてほぼ一定の約350nsecを示し、従来のp型InSb半導体素子のそれと比較して20倍程度改善することを確認した。
Sudjadi, U.; 岩本 直也; 菱木 繁臣; 大島 武; 河野 勝泰*
no journal, ,
六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)エピタキシャル膜上にニッケルを蒸着して作製したショットキーダイオードに線を照射し、電気特性の変化を調べた。その結果、線照射により飽和電流密度が単調に減少することが観測された。また、漏れ電流は35kGyの照射によりからA/に減少し、35kGy以上では飽和することが見いだされた。これらのことから線照射によりショットキー障壁が変化したことが推測される。
菱木 繁臣; 古結 義崇*; 神野 郁夫*; 山名 元*
no journal, ,
従来のSiやGe放射線検出器よりも、高エネルギー分解能・高検出効率でX線や線の測定が可能なInSb放射線検出器の開発を行っている。これまで市販の不純物を添加していないInSbウエハーを用いて製作したSchottky検出器では線のエネルギーピークの測定に成功しているものの、空乏層が薄いため線の全吸収ピークである光電ピークを得ることができない。空乏層を厚くするためには低キャリア濃度で高比抵抗値のInSbウエハーを必要とする。市販品よりも高品質のInSbを得るため、垂直ブリッジマン法で結晶育成を行った。純度の異なる原材料を用いてInSbの結晶育成を試みた結果、高純度材料を用いて再結晶したInSbインゴットの中央部分で市販品に比べ低キャリア濃度で高比抵抗値を有する高品質InSbウエハーが得られた。また、Hall係数の温度依存性を解析することで、InSbに残留する不純物がZnとAsであることが推測された。