Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
宮原 直哉; 三輪 周平; Goullo, M.*; 井元 純平; 堀口 直樹; 佐藤 勇*; 逢坂 正彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(12), p.1287 - 1296, 2020/12
被引用回数:4 パーセンタイル:58.08(Nuclear Science & Technology)主にガス状ヨウ素の生成メカニズムに着目して原子炉冷却系におけるCsIの移行挙動を明らかにするため、温度勾配管を用いたCsIの移行再現実験を実施し、沈着物及び浮遊物の詳細分析を行った。その結果、ガス状ヨウ素が高温領域におけるCs-I-O-H反応体系の気相反応により生成し、速度論の効果によって化学形態を大きく変化させずに下流の低温領域に移行すること、凝縮したCsIの化学反応、すなわち、CsCrO
化合物が生成する壁面への沈着CsIとステンレス鋼の化学反応、またはエアロゾルとなったCsIと水蒸気との化学反応により、ガス状ヨウ素が生成することを明らかにした。
田中 康介; 佐藤 勇*; 大西 貴士; 石川 高史; 廣沢 孝志; 勝山 幸三; 清野 裕; 大野 修司; 浜田 広次; 所 大志郎*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 536, p.152119_1 - 152119_8, 2020/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)照射済高速炉MOX燃料の加熱試験(2773K, 2973K及び3173K)により放出したFP等が沈着したサンプリングパーツにおける核種分析結果に基づき、高速炉MOX燃料からのFP等の放出挙動を評価した。その結果、FP核種の放出速度は、従来の軽水炉燃料で得られている知見と同等または低い値となる傾向を示した。また、燃料組成については、先行研究結果で得られた軽水炉燃料におけるデータのばらつきの範囲内にあることがわかった。
宮原 直哉; 三輪 周平; 堀口 直樹; 佐藤 勇*; 逢坂 正彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(2), p.228 - 240, 2019/02
被引用回数:7 パーセンタイル:70.89(Nuclear Science & Technology)軽水炉シビアアクシデント時のソースターム評価における核分裂生成物(FP)化学挙動評価モデルを高度化するため、FP化学データベース「ECUME」の初版を構築した。ECUMEには、代表的な事故シーケンスにおける主要な化学反応と、その実効的な化学反応速度定数を実装する計画である。初版においては、300-3000Kの温度領域におけるCs-I-B-Mo-O-H系の主要化学種に対し、それらの生成に係る化学反応の速度定数を文献調査または第一原理に基づく理論計算によって整備した。構築した化学反応データセットを用いた解析の一例として化学反応解析を実施した結果、1000Kにおいて有意な化学反応速度の効果が見られた。また、平衡に至った後の化学組成を化学平衡計算の結果と比較したところ、代表的なCs-I-B-Mo-O-H系化学種に対して良く整合する結果が得られた。これらの結果から、構築したデータセットは、速度論の考慮が必要なシビアアクシデント時のCs-I-B-Mo-O-H系FP化学挙動評価のために有用であるとの結論を得た。
安楽 総太郎; 松原 勇武*; 森本 和也*; 佐藤 努*
粘土科学, 55(2), p.17 - 30, 2017/00
放射性廃棄物処分場の高pH環境下で生成が予想される主要な鉱物であるブルーサイトとLDHが、それぞれ違うサイトにおいて確認された。LDHの生成が確認されたサイトでは、ブルーサイトに関しても過飽和であったが、その生成は確認されなかった。つまり、一定のAl濃度が溶存している環境では、Mgの消費先として、LDHがブルーサイトよりも優先的であるということが明らかとなった。これは、陰イオン交換能をもつLDHの生成する条件が広がることを意味するため、処分評価上重要な知見である。また、生成したLDH相の陰イオン交換サイトを設定することで、各種陰イオンの層間へのインターカレーションを計算した。その結果、Siの選択係数が非常に高いことが必要になることから、その消費先としては、溶液組成から過飽和であることが確認されたMgとSiの非晶質な鉱物であるMSHの生成の可能性も示唆された。カルシウム炭酸塩の生成に関しては、アラゴナイトの生成が支配的であったため、本研究においては、カルサイトの生成を除外した平衡モデルによりその生成量を予測したが、概ね良い一致を示した。カルサイト生成がMgの濃度により速度論的に抑制されているのであれば、上述のLDHとブルーサイト、さらにはMSHの生成によるMgの消費の記載がより正確になることで、Mg濃度をパラメーターとしてカルサイトとアラゴナイトを含めたカルシウム炭酸塩の生成を速度論的に表現することが可能と考えられる。
静川 裕太; 関尾 佳弘; 佐藤 勇*; 前田 宏治
Proceedings of 54th Annual Meeting of Hot Laboratories and Remote Handling (HOTLAB 2017) (Internet), 5 Pages, 2017/00
本研究では、福島第一原子力発電所(1F)事故時における使用済燃料プールへの海水投入事象を踏まえて、燃料集合体部材のすきま腐食が発生する可能性の有無を調査するため、BWR炉心材料として使用されている304Lステンレス鋼を用いた電気化学腐食試験を塩水条件下において実施した。特にSUS304Lのすきま構造部を有する上部端栓部に注目し、基礎データを取得するため、簡易的な構造であるSUS304Lの板状すきま試験片に対し腐食すきま再不動態化電位測定を行った。その結果、SFP内の水質条件として含まれる温度80Cかつ塩化物イオン濃度2500ppm以上または温度50
Cかつ塩化物イオン濃度2500ppm以上の条件において、すきま再不動態化電位
は自然浸漬電位
よりも卑となることから、すきま腐食が発生する可能性があることがわかった。
下村 祐介; 羽成 章*; 佐藤 勇*; 北村 了一
JAEA-Technology 2015-062, 47 Pages, 2016/03
廃棄物管理施設を規制するための新しい基準(新規制基準; 平成25年12月18日施行)を受けて、日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターの廃棄物管理施設における森林火災の及ぼす影響評価を行った。はじめに森林火災の延焼シナリオを想定し、現地調査、森林火災評価モデル等から、森林火災の強度を評価した。森林火災の強度の評価に用いたモデルは、Rothermelの拡大方程式及びCanadian Forest Fire Behavior Prediction (FBP) Systemである。輻射熱による施設への影響評価を行い、想定した森林火災に対する施設外壁の温度変化を試算した。施設外壁温度は最大160C程度と評価され、一般にコンクリートの強度に影響がないとされている許容温度(200
C)には達しない事を明らかにした。さらに、防火帯突破確率を試算し、約20%程度であった。本報告書は、廃棄物管理施設における森林火災の及ぼす影響評価を通して、新規制基準における森林火災に対する評価の一例を示すものである。
坂内 仁; 佐藤 勇*; 堂野前 寧; 北村 了一
JAEA-Technology 2015-059, 352 Pages, 2016/03
大洗研究開発センターの各施設から発生する線量の高い固体廃棄物の減容処理を行うため、固体廃棄物減容処理施設(OWTF: Oarai Waste Reduction Treatment Facility、建設中)では、インキャン式高周波誘導加熱方式によりセル内遠隔操作にて放射性固体廃棄物を減容および安定化処理する計画である。本報告書では、OWTFの運転に向け、焼却処理および溶融処理の処理条件の設定に資するデータ取得の目的で実施した確証試験の結果をまとめた。確証試験では、OWTFで処理する放射性廃棄物の封入形態、材質および物品等を模擬した模擬廃棄物を用いた。
高井 俊秀; 佐藤 勇*; 山下 真一郎; 古川 智弘
JAEA-Technology 2015-043, 56 Pages, 2016/02
ソースターム評価手法の高度化及び福島第一原子力発電所廃止措置に係る研究開発として、シビアアクシデント時に溶融燃料から放出される核分裂生成物(FP)の移行モデルの改良・高度化への適用に向けて、FPの化学挙動解明に向けた基礎基盤研究が実施されている。本研究では、FP移行モデルの改良に向けて必要となる、(1)放出直後からエアロゾル化するまでのFPの化学的な挙動や、(2)その後の化学挙動に影響を与えうるエアロゾル形状等の物理的パラメータの評価に適用可能な測定技術について調査するとともに、有望と考えられた分析手法については試計測により適用可能性を調べた。その結果、FP蒸気種及びエアロゾルの化学形の評価については、ラマン分光法が有望であり、室温同様、500Cに加熱した状態でも化学形の識別が可能であることが確認された。また、エアロゾルの化学形については、高温X線回折法も活用可能であることが確認された。一方、エアロゾルの物理的パラメータの評価については、カスケードインパクタで採取した試料を、透過型電子顕微鏡、エネルギー分散型X線分光法を用いて、観察・分析することが有望であることが確認された。
岡根 哲夫; 小畠 雅明; 佐藤 勇*; 小林 啓介*; 逢坂 正彦; 山上 浩志
Nuclear Engineering and Design, 297, p.251 - 256, 2016/02
被引用回数:2 パーセンタイル:21.88(Nuclear Science & Technology)Transport behavior of CsI in the heating test, which simulated a BWR severe accident, was investigated by hard X-ray photoelectron spectroscopy (HAXPES) with an emphasis on the chemical effect of boron vapors. CsI deposited on metal tube at temperatures ranging from 150C to 750
C was reacted with vapor/aerosol B
O
, and the chemical form of reaction products on the sample surface was examined from the HAXPES spectra of core levels, e.g., Ni 2p, Cs 3d and I 3d levels, and valence band. For the samples at
300
C, while the chemical form of major product on the sample surface without an exposure to B
O
was suggested to be CsI from the HAXPES spectra, an intensity ratio of Cs/I was dramatically reduced at the sample surface after the reaction with B
O
. The results suggest the possibility of significant decomposition of deposited CsI induced by the chemical reaction with B
O
at specific temperatures.
田中 康介; 佐藤 勇; 廣沢 孝志; 黒崎 健*; 牟田 浩明*; 山中 伸介*
Journal of Nuclear Science and Technology, 52(10), p.1285 - 1289, 2015/10
被引用回数:2 パーセンタイル:19.3(Nuclear Science & Technology)BaPuAm
)O
を調製し、ペロブスカイト型結晶構造を確認するとともに、音速測定により弾性率及びデバイ温度を求めた。また、熱伝導率を評価し、マトリクスと比較してきわめて小さい値を示すことがわかった。熱伝導率とデバイ温度の関係から、Ba系ペロブスカイト化合物の熱伝導率は原子間結合力の大きさで説明できることを明らかにした。
佐藤 勇; 田中 康介; 小山 真一; 松島 健一*; 松永 純治*; 平井 睦*; 遠藤 寛*; 羽賀 一男*
Energy Procedia, 82, p.86 - 91, 2015/07
被引用回数:2 パーセンタイル:19.3(Nuclear Science & Technology)高速炉シビアアクシデントの加熱条件を模擬した実験が照射燃料を用いて、これまでに行われている。本研究では、照射燃料に含まれている核分裂生成物(FP)の化学形を熱化学的平衡計算で評価した。温度2773Kと2993Kでは、Cs, I, Te, Sb, Pd及びAgのほとんどは気体状の成分でである。CsとSbは温度勾配管(TGT)で検出されているが、その化学形としては元素状Cs, CsI, CsMoO
, CsO及び元素状Sb, SbO, SbTeと推測される。実験結果と計算結果を比較すると、CsIは熱化学的に振る舞い、TGTで捕捉されるが、一方で、元素状Csは微粒子状で移動する傾向にある。気相のFPの移動挙動は、熱化学的のみならず、粒子動力学にも従うものと考えられる。
佐藤 勇; 大西 貴士; 田中 康介; 岩崎 真歩; 小山 真一
Journal of Nuclear Materials, 461, p.22 - 28, 2015/06
沈着したCsIに対するホウ素の影響を確かめるために基礎的な試験を実施した。CsIを1323Kで蒸発させ、1023Kから423Kの温度に保持されたサンプリングパーツへ沈着させた。引き続き、1973KでBO
を蒸発させ、沈着したCsIに作用させた。加熱試験後、サンプリングパーツをアルカリ溶液に浸漬させ、浸漬液に対してICP-MS分析を行った。その結果、850K以上に保持されているサンプリングパーツに沈着しているCsIはB
O
によって引き剥がされていることがわかった。この挙動について熱力学的に議論し、シビアアクシデント時におけるCs/I/B化学を検討した。
佐藤 勇; 大西 貴士; 田中 康介; 岩崎 真歩; 小山 真一
Journal of Nuclear Materials, 461, p.22 - 28, 2015/06
被引用回数:8 パーセンタイル:59.96(Materials Science, Multidisciplinary)シビアアクシデント時のCsとIの放出・移行挙動におけるBの影響を評価するために、沈着したCs/I化合物と蒸気/エアロゾルのB化合物の間の相互作用における基礎的な試験を実施した。Cs/I化合物及びB化合物としてそれぞれCsIとBO
が使用された。温度423Kから1023Kに保持された温度勾配管(TGT)に沈着したCsIに蒸気/エアロゾルCsIがB
O
と反応させ、これによりCs/I沈着プロファイルがどのように変化するかを観察した。結果として、蒸気/エアロゾルCsIとB
O
は温度830Kから920Kに沈着したCsIの一部をはぎ取り、CsBO
とI
が生成したものと考えられる。加えて、ガス状I
は温度530K-740Kの部分で再沈着したが、CsBO
は沈着せず、サンプリング管とフィルタを通り抜けている可能性がある。これは、BはCsのキャリアにCsBO
として影響し、Csをより温度の低い領域に移行させることを示していると考えられる。
佐藤 勇; 前田 宏治; 須藤 光雄; 逢坂 正彦; 臼杵 俊之; 小山 真一
Journal of Nuclear Science and Technology, 52(4), p.580 - 587, 2015/04
被引用回数:6 パーセンタイル:49.32(Nuclear Science & Technology)乾燥したコンクリート、乾燥したモルタル及びエポキシ塗料中へのCsのような放射性核種の浸透挙動を照射済燃料から抽出した核分裂生成物を含む溶液を用いて観察し、放射性核種の浸透速さや深さに関する基礎的な知見を得た。放射性核種は、エポキシ塗料へほとんど浸透しなかった。放射性核種溶液は、数十日でコンクリートやモルタル材料に数ミリメートルの深さで浸透した。コンクリートやモルタル材料の表面近くで観察される浸透挙動は、水溶液を膨潤したコンクリート、ベントナイトやセメント材料のような媒質における核種の拡散と酷似したものであった。
佐藤 勇; 三輪 周平; 田中 康介; 中島 邦久; 廣沢 孝志; 岩崎 真歩; 大西 貴士; 逢坂 正彦; 高井 俊秀; 天谷 政樹; et al.
Proceedings of 2014 Water Reactor Fuel Performance Meeting/ Top Fuel / LWR Fuel Performance Meeting (WRFPM 2014) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2014/09
シビアアクシデントに関する新たな研究計画を遂行し、BWRシステムにおけるFP放出及び移行挙動の評価を行う。この計画の目的は、CsとIに焦点を絞ったFP化学に関する実験データベースを用いて、FP放出・移行モデルの改良を行うことにある。この計画では、CsとIの化学という観点で制御棒材料であるBCに含まれているBの影響に注目した。モデル改良に用いられる実験データベースは、BWRの雰囲気をシミュレーションした幅広い酸素分圧及び水蒸気分圧用に新たに用意した試験機を用いて得られる結果から構成される予定である。これらの実験的研究・分析の準備状況が紹介される。加えて、一部の試験が実行に移され、こちらで想定した移行過程のひとつでCsとI移行に対するBの化学的影響を確認することができた。ここでは、Cs化合物とB蒸気またはエアロゾルの反応が生じていると考えられる。すなわち、この実験では析出したCsIに対するBの剥ぎ取り効果が観察された。
前田 宏治; 佐々木 新治; 熊井 美咲; 佐藤 勇; 須藤 光雄; 逢坂 正彦; 後藤 哲夫*; 酒井 仁志*; 千金良 貴之*; 村田 裕俊*
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(7-8), p.1006 - 1023, 2014/07
被引用回数:13 パーセンタイル:73.19(Nuclear Science & Technology)2011年3月11日の東日本大震災を受けた福島第一発電所の原子炉建屋内は、引き続いて生じたシビアアクシデントのため高放射性物質が、原子炉建屋内に高濃度で残留している。原子炉の廃止措置を進めるためには、作業員の被ばく低減のための建屋内除染が重要である。このため、原子炉建屋1から3号機で採取した18サンプルについて、汚染性状の把握コンクリートへの汚染浸透の有無を確認することを目的とした詳細な核種分析等を実施した。また2号機のサンプルについて簡便なホット除染を行うことにより、残留する汚染の性状調査および除去可能な除染技術の検討を行った。この結果、サンプルの塗膜近傍に残留していた汚染の97%(固着性汚染)が除去され、塗膜への浸透汚染ではないことが明らかとなった。
田中 康介; 三輪 周平; 佐藤 勇; 廣沢 孝志; 関根 伸一; 逢坂 正彦; 大林 弘; 小山 真一
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(7-8), p.876 - 885, 2014/07
被引用回数:5 パーセンタイル:39.65(Nuclear Science & Technology)シビアアクシデント進展解析コードの高度化を目的として、化学形及び燃料と被覆管、制御棒等との高温化学反応に着目した破損燃料からの核分裂生成物及びアクチニドの放出挙動評価のための研究が開始された。本研究の一環として、核分裂生成物の放出挙動におよぼす燃料と被覆管との高温化学反応の影響を評価することを目的として、溶融被覆管と照射済MOX燃料が反応する体系での核分裂生成物の放出試験を実施した。
臼杵 俊之; 佐藤 勇; 須藤 光雄; 前田 宏治; 逢坂 正彦; 小山 真一; 所 大志郎*; 関岡 健*; 石ヶ森 俊夫*
JAEA-Testing 2014-001, 29 Pages, 2014/05
福島第一原子力発電所の原子炉建屋内における床材・壁材の汚染性状把握に関する基礎データを得るため、放射性核種を含む溶液を用いた浸透試験を実施した。照射済燃料から調製した放射性核種含有溶液を、エポキシ系塗料試料、乾燥しているコンクリート試料およびモルタル試料に塗布し、研磨および放射線測定を繰り返し、深さ方向の線量率プロファイルを取得した。エポキシ系塗料試料に関しては、放射性核種は浸透せず、深さ0.4mm以内にとどまっていることが確認された。コンクリート試料に関しては、放射性核種の浸透が確認され、本試験条件においては、約2mmの研磨で線量率がバックグラウンドまで低減することが確認され、乾燥状態のコンクリートまたはモルタルに対する溶液を介した放射性物質の浸透挙動は、表面近傍においては定量的に膨潤状態の同媒体に対するイオンの移行挙動と大きく変わらないことを示した。
前田 宏治; 佐々木 新治; 熊井 美咲; 佐藤 勇; 須藤 光雄; 逢坂 正彦
JAEA-Research 2013-025, 123 Pages, 2014/01
福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた研究開発課題「2--1建屋内の遠隔除染技術の開発」のなかで、1号機から3号機の原子炉建屋において採取したサンプルについて性状把握(遊離性,固着性,浸透汚染)を目的とした現地分析が実施された後、日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターにある照射燃料集合体試験施設(FMF)へ代表的なサンプルを輸送し、汚染の広がりや汚染の浸透を把握するための詳細分析をFMF及び照射燃料試験施設(AGF)で実施した。特に、床コンクリート保護用のエポキシ塗膜とコンクリート内部について主な汚染源となっているセシウムの浸透状況を調査した。サンプルの詳細分析の結果、2号機原子炉建屋の汚染状況が1, 3号機のものと異なること、床コンクリートの上面を保護するエポキシ塗膜がコンクリートへの汚染の浸透を抑制すること、床コンクリート表面を保護する塗膜に1mm以下の局所的な汚染の侵入があることがわかった。
田中 康介; 三輪 周平; 佐藤 勇; 廣沢 孝志; 関根 伸一; 関 崇行*; 所 大志郎*; 大林 弘; 小山 真一
JAEA-Research 2013-022, 62 Pages, 2014/01
原子力安全研究及び東京電力福島第一原子力発電所14号機の廃炉措置に向けた研究開発におけるニーズを踏まえ、シビアアクシデント進展解析コードの高度化を目的として、化学形及び燃料と被覆管、制御棒等との高温化学反応に着目した破損燃料からの核分裂生成物及びアクチニドの放出挙動評価のための研究が開始された。本研究の一環として、核分裂生成物の放出挙動に及ぼす燃料と被覆管との高温化学反応の影響を評価するための加熱試験手法を確立するとともに、核分裂生成物放出に関するデータの取得を目的として、溶融被覆管と照射済MOX燃料が反応する体系での核分裂生成物の放出試験を実施した。ジルコニアるつぼを用いて、溶融ジルカロイと照射済MOX燃料を最高温度2100
Cまで加熱して反応させる試験を実施し、核分裂生成物であるCsの放出速度を評価した。また、放出挙動評価に資する基礎データ取得の一環として、加熱後試料の組織観察や元素分布測定等を行った。試験結果を先行研究の結果と比較・検討した結果、本試験手法を用いることにより、溶融被覆管と照射済燃料が反応する体系における核分裂生成物の放出試験が実施できることを確認した。また、FP放出の基礎データに加え、溶融被覆管と照射済燃料との反応挙動及び反応時におけるUとPu及びFPの随伴性に関する基礎データを得た。