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岩元 洋介; 福田 光宏*; 坂本 幸夫; 民井 淳*; 畑中 吉治*; 高久 圭二*; 永山 啓一*; 浅井 弘彰*; 杉本 憲治*; 梨山 勇*
Nuclear Technology, 173(2), p.210 - 217, 2011/02
被引用回数:27 パーセンタイル:89.17(Nuclear Science & Technology)大阪大学核物理研究センター(RCNP)の392MeV陽子による6.5cm厚さのタングステンターゲットでの核破砕反応を利用した30度白色中性子ビームラインが、1MeVから300MeVの中性子エネルギー領域における半導体シングルイベント効果(SEE)の試験を行う場として特徴づけられた。飛行時間法により得られた中性子スペクトルは、宇宙線起因の中性子の地表面におけるエネルギースペクトルとよく似ていること、RCNPの中性子強度は地表面の中性子強度の約1.510
倍であることがわかった。また、300MeV以下の中性子強度とスペクトルは、米国ロスアラモス国立研究所の武器中性子研究施設(WNR)におけるそれとほぼ同じであり、PHITSコードによる中性子強度に関する計算結果はファクター2以内で一致した。RCNPのパルスあたりの中性子密度は、WNRのそれの約500倍ほど小さいが、シングルイベントの一時電流のパイルアップ確率や多重ビット反転の失敗を減少させることができることから、RCNPの中性子ビームは、SEEテストに関して実用的な時間枠の中で意義のある結果を得るのに適している。
平尾 敏雄; 伊藤 久義; 岡田 漱平; 梨山 勇*
Radiation Physics and Chemistry, 60(4-5), p.269 - 272, 2001/03
被引用回数:5 パーセンタイル:39.66(Chemistry, Physical)半導体素子に高エネルギーを持ったイオンが入射した時、そのイオンの飛跡に沿って生じる高密度電離によってアップセット、ラッチアップと呼ばれるシングルイベント現象が引き起こされる。現在これらの現象を解明し、シングルイベント耐性強化への指針を得るために、重イオンマイクロビームを用いて半導体に誘起されるシングルイベント過渡電流の評価を行っている。照射試料としてはガリウム砒素ショットキーダイオードを用い、炭素及びシリコンイオンを照射した際に発生するシングルイベント過渡電流波形を計測した。その結果、発生する電荷量は理論値より1.2~3倍高く、ファネリングによる電荷収集が顕著であることが確認できた。またガリウム砒素試料で得られた収集電荷量は、シリコンダイオードの約半分の低い値が得られた。一方、イオン損傷については、シリコンダイオードと比較し、同じ照射量でもガリウム砒素ダイオードの過渡電流波形の低下は著しく、損傷の度合いは2倍程度大きいことが示唆された。得られた結果に基づき、ガリウム砒素素子とシリコン素子のシングルイベント現象の相違について議論する。
大島 武; 安部 功二*; 伊藤 久義; 吉川 正人; 児島 一聡; 梨山 勇*; 岡田 漱平
Applied Physics A, 71(2), p.141 - 145, 2000/10
炭化ケイ素(SiC)への局所的不純物導入技術の確立のために、六方晶SiCにリン(P)の高温イオン注入を行い、注入量(P濃度: 110
~5
10
/cm
)、注入温度(室温~1200
)とキャリア(電子)濃度の関係を調べた。P濃度が1
10
/cm
の場合は、電子濃度は注入後の1400
熱処理により全試料で同程度となり、注入温度に依存しない。P濃度が7
10
/cm
では、注入温度が高いほど電子濃度が高まる。さらに高濃度の5
10
/cm
では、800
注入試料の電子濃度が最大となった。高濃度注入の場合、室温注入では結晶の損傷が大きく、高温での熱処理後も結晶が回復しないのに対し、高温注入では欠陥の発生が抑制されるので損傷の度合いが小さく、熱処理により結晶が回復して、結果的に電子濃度が高まると考えられる。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 吉川 正人; 梨山 勇; Frank, T.*; Pensl, G.*; 鈴木 良一*; 大平 俊行*; et al.
Journal of Applied Physics, 87(9), p.4119 - 4125, 2000/05
被引用回数:12 パーセンタイル:49.77(Physics, Applied)陽電子(単色)消滅法を用いて110
/cm
の200keV-リン(P
)注入した6H-SiCの注入層を調べた。注入は室温、800
または1200
で行った。室温注入では表層の注入層はアモルファス化、注入層の深部は複空孔がおもに残留していることがわかった。注入後、1700
までの熱処理を行ったところ、空孔型の欠陥のアニール挙動が熱処理の温度領域によって五つに分けられた。また、800
、1200
注入では注入層はアモルファス化はしないが、表層に大きな空孔クラスター残留層、深部には表層に比べサイズの小さな空孔クラスターが残留することがわかった。これらの試料を1700
まで熱処理すると、800
注入試料の残留欠陥サイズが最も小さく、続いて1200
注入試料、最も残留欠陥サイズが大きかったのが室温注入試料となり、注入後同じ温度での熱処理を行っても注入温度によって残留欠陥サイズが異なることがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 吉川 正人; 児島 一聡; 岡田 漱平; 梨山 勇; 阿部 功二*; 谷川 庄一郎*; Frank, T.*; et al.
Materials Science Forum, 338-342, p.857 - 860, 2000/00
シリコンカーバイドSiC中のイオン注入不純物の電気的活性化と結晶性の回復の関係を調べた。不純物としてはリンを用いて、高温イオン注入により6H-SiCへ導入した。注入温度は室温から1200Cの範囲として、リン濃度は5
10
/cm
とした。注入温度と電子濃度の関係を調べたところ800
Cで注入した試料が最も電子濃度が高いことがわかった。陽電子消滅法により注入層の欠陥の注入後熱処理による回復を調べたところ、800
C注入した試料の空孔型欠陥のサイズがほかのものに比べ小さく結晶性が良いことがわかった。したがって高濃度のイオン注入の場合は、800
C程度の高温注入を行うことで、不純物の活性化率を向上させられると判断できる。
大島 武; 吉川 正人; 伊藤 久義; 児島 一聡; 岡田 漱平; 梨山 勇
Materials Science Forum, 338-342, p.1299 - 1302, 2000/00
6H-SiC半導体を用いた金属-酸化膜-半導体(MOS)トランジスタでは、チャンネル移動度の向上が実用化への課題となっている。そこでゲート酸化膜作製後に水蒸気中で酸化膜を熱処理することで、チャンネル移動度へ与える効果を調べた。その結果、800C~850
Cでの水蒸気中熱処理により、チャンネル移動度が45cm
/V・Sに上昇することが明らかになった(処理なしの場合35~40cm
/V・S)。
川面 澄*; 竹島 直樹*; 寺澤 昇久*; 青木 康; 山本 春也; 梨山 勇; 鳴海 一雅; 楢本 洋
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.188 - 190, 1999/10
MeV/uの軽イオン及び重イオンをNi, NiO, Cu, CuOに照射して、放出されるLX線の微細構造を調べ、内殻電子の励起過程及び外殻電子の内殻空孔への脱励起過程に対する化学結合効果の影響を調べた。得られたLX線スペクトルはイオン種によって異なり、重イオンの多重電離による衛星線及び超衛星線によるスペクトルの変化が観測された。また、L, L
X線スペクトルは明らかに標的に依存する違いが見いだされた。これは、最外殻の3d電子が遷移に関与するために大きな化学結合結果が現れる結果だと考えられる。
川面 澄*; 竹島 直樹*; 寺澤 昇久*; 青木 康*; 山本 春也; 梨山 勇; 鳴海 一雅; 楢本 洋
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.188 - 190, 1999/10
MeV領域のH
,
He
,
C
イオンをCu, CuO, Ni, NiOに入射して、内殻多重電離過程で誘起されるX線スペクトルの精密測定を行い以下の結論を得た。(1)Cu原子からのLX線の測定では、たとえばターゲットがCuとCuOとの場合に、L
線, L
線のエネルギー領域で顕著な違いが見られた(2.5MeV
He
入射の場合)が、定量的評価が必要。(2)入射イオンの原子番号が増すと、エネルギー/核子をそろえた場合でも、特性X線のほかにいわゆる衛星線の発生によりスペクトルが複雑化する。そこで多重電離過程を利用した化学シフトの研究では、ターゲットとの組合せを考慮した入射イオンの選択が重要になる。
大島 武; 伊藤 久義; 上殿 明良*; 鈴木 良一*; 石田 夕起*; 高橋 徹夫*; 吉川 正人; 児島 一聡; 大平 俊行*; 梨山 勇; et al.
電子技術総合研究所彙報, 62(10-11), p.469 - 476, 1999/00
イオン注入により立方晶炭化ケイ素(3C-SiC)中に発生する欠陥と熱処理による欠陥の回復を電子スピン共鳴(ESR)、陽電子消滅測定(PAS)及びフォトルミネッセンス測定(PL)により調べた。3C-SiCへ200keV-Al及びN
を1
10
1
10
/cm
のドーズ量で室温から1200
までの温度で注入した。注入後の熱処理はAr中で1400
まで行った。ESR及びPL測定の結果、800
以上の高温注入を行うことで照射欠陥を著しく低減できることがわかった。また、室温注入試料中の空孔型欠陥の熱処理による振る舞いをPAS測定により調べた。その結果、1400
までの熱処理温度領域が空孔型欠陥の複合化、クラスタ化といった5つの領域に分けられることがわかった。
伊藤 久義; 河裾 厚男; 大島 武; 吉川 正人; 梨山 勇; 岡田 漱平; 谷川 庄一郎*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
電子技術総合研究所彙報, 62(10-11), p.23 - 29, 1999/00
立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)における点欠陥評価のため、化学気相成長(CVD)で作製した3C-SiC単結晶に1MeV電子線を照射し、陽電子消滅線のドップラー広がり測定及び陽電子寿命測定を行った。さらにESR測定も実施し、陽電子消滅測定結果との相関を調べた。この結果、電子線照射により3C-SiC中に負に帯電したSi単一空孔V
が形成され、このV
が主要な陽電子捕獲中心として働くことが判明した。また、3C-SiCバルクでの陽電子拡散長として184nm、陽電子寿命として140psが得られた。さらに、V
の捕獲陽電子の寿命は188ps、比捕獲速度は6.0
10
s
であると決定できた。これらの数値は、陽電子消滅による欠陥評価を行う上で不可欠なパラメータであり、今後のSiCにおける欠陥研究に有用である。
Wu, Z. P.*; 宮下 敦巳; 山本 春也; 阿部 弘亨; 梨山 勇; 鳴海 一雅; 楢本 洋
Journal of Applied Physics, 86(9), p.5311 - 5313, 1999/00
被引用回数:57 パーセンタイル:88.3(Physics, Applied)金属バナジウム上に金属モリブデンの細片を貼り付けたターゲットをソースとして用いたレーザーアブレーション法によって、モリブデンドープVO薄膜を作製した。薄膜特性は精密X線回折、X線ロッキングカーブ測定、RBSチャネリング測定によって評価した。ロッキングカーブでのピーク幅はFWHMの値で最良0.0074
と基板に用いたサファイア(0001)単結晶の値(=0.0042
)と近い値を取っており、また、チャネリング測定における
の値も5%と良く、軸方向の整合性が非常に良く取れており単結晶ライクな成長をしていることがわかる。モリブデンが置換位置に入っていることはRBSチャネリング測定によって確かめられた。金属-半導体相転移前後での電気伝導率の特性変化はおもに半導体領域における伝導特性によっており、モリブデンドープによる金属特性の変化はあまり見られない。ドープによって半導体領域での活性エネルギーは減少し電気伝導度は上がる。その結果、ドープ量の増加により金属-半導体相転移前後での特性変化は減少する。1.5%のモリブデンドープによって相転移温度を30
にまで引き下げることができた。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇
Journal of Applied Physics, 86(10), p.5392 - 5398, 1999/00
被引用回数:10 パーセンタイル:46.43(Physics, Applied)酸素または窒素注入した6H-SiC中の注入後及び熱処理後の空孔型欠陥について単色エネルギーを用いた陽電子消滅法を用いて調べた。イオン注入量は、110
,1
10
/cm
(室温)とし、注入後の熱処理は、1400
まで行った。注入後に残留する欠陥はおもに複空孔と同等の大きさの空孔型欠陥であり、その後の熱処理によって空孔欠陥が拡散及び結合し、1000
での熱処理では空孔クラスターが生成されることがわかった。さらに高温の熱処理を行うと、1
10
注入については、酸素、窒素注入試料ともに1400
の熱処理後には欠陥が消滅し注入層が回復することが明らかとなった。1
10
注入については、1400
の熱処理を行っても空孔型の欠陥が残留して、注入層が完全には回復しないことが明らかになった。また、酸素注入と窒素注入を比べると、酸素注入試料では、酸素-空孔の複合欠陥が生成されることで、空孔型欠陥サイズの増大が抑制されることがわかった。
大島 武; 吉川 正人; 伊藤 久義; 青木 康; 梨山 勇
Mater. Sci. Eng. B, 61-62, p.480 - 484, 1999/00
被引用回数:22 パーセンタイル:73.33(Materials Science, Multidisciplinary)シリコンカーバイド(SiC)デバイスの線照射効果を調べるために6H-SiCを用いて金属-酸化膜-半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)を作製した。作製したMOSFETへ
線照射を行い、ゲート酸化膜中に発生する固定電荷と界面準位の量を、サブスレッショールド領域の電流-電圧特性の変化から見積もった。特に今回は、水素燃焼酸化とドライ酸化の2つの方法によりゲート酸化膜を作製することで、酸化膜の作製方法と固定電荷、界面準位の発生量の関係を調べた。その結果、固定電荷については酸化膜作製方法の違いによる差はみられなかったが、界面準位に関しては、水素燃焼酸化により作製したMOSFETの方が、ドライ酸化により作製したものより発生量が少なく耐放射線性に優れていることがわかった。
平尾 敏雄; 浜野 毅*; 酒井 卓郎; 梨山 勇
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 158(1-4), p.260 - 263, 1999/00
被引用回数:9 パーセンタイル:57.83(Instruments & Instrumentation)従来よりSOI素子構造は、上層シリコン層が薄いためにイオンの入射によって発生する電荷の収集が少ないなどの理由によりシングルシベント耐性に強く耐シングルイベント素子として注目されている。本内容は炭素と酸素の重イオンマイクロビームを、トップシリコン層が5.7mのSOI試料に入射して収集電荷を求めた。その結果SOI構造を持つ試料では、イオンの飛程がトップシリコン層以上であっても収集される電荷は、トップシリコン層の幅に依存するとの結果が得られた。このことは、トップシリコン層の幅を制御することでシングルイベント効果を低減できるとの見通しを立てることができた。本講演ではこれらの実験結果と高帯域測定手法について報告を行う。
西堂 雅博; 福田 光宏; 荒川 和夫; 田島 訓; 須永 博美; 四本 圭一; 神谷 富裕; 田中 隆一; 平尾 敏雄; 梨山 勇; et al.
Proceedings of 1999 IEEE Nuclear and Space Radiation Effects Conference, p.117 - 122, 1999/00
宇宙用半導体デバイスとして、高機能の民生部品を使用する方針が、開発期間の短縮、費用の節約という観点から採用され、以前にも増して放射線耐性試験を効率的、効果的に行うことが、重要となってきた。本報告では、トータルドーズ効果、シングルイベント効果等の試験を実施している日本の照射施設を紹介するとともに、これらの試験を効率的及び効果的に行うための技術開発、例えば、異なるLETイオンを短時間に変えることのできるカクテルビーム加速技術、シングルイベント効果の機構を解明するためのマイクロビーム形成技術及びシングルイオンヒット技術等について言及する。
大島 武; 吉川 正人; 伊藤 久義; 青木 康; 梨山 勇
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2, 37(8B), p.L1002 - L1004, 1998/08
被引用回数:14 パーセンタイル:56.24(Physics, Applied)高温(1200C)でチッ素注入することで作製した、6H-SiCのnチャンネルエンハンスト型金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)へ、
線を照射し、ゲート酸化膜中に発生する界面準位と固定電荷を見積った。
線は室温で1MR/hで行い、ザブスレッシュホールド領域でのドレイン電流のゲート電圧依存性の変化より、界面準位及び固定電荷を見積った。その結果、70kGy照射後に発生した、界面準位は5
10
/cm
、固定電荷は3
10
/cm
であった。この値はSiでのMOSFETで報告されている値にくらべ、界面準位では数十分の一、固定電荷では3分の一程度であり、SiC MOSFETが優れた耐放射線性を示すことが明らかになった。
伊藤 久義; 大島 武; 吉川 正人; 梨山 勇; T.Troffer*; G.Pensl*
Ionics, 24, p.45 - 52, 1998/07
イオン注入を利用した炭化珪素(SiC)半導体の電気伝導制御技術の開発を目的に、六方晶SiC単結晶にドナー不純物としてリン(P)、アクセプター不純物としてアルミニウム(Al)、ホウ素(B)のイオン注入を実施し、注入層の電気特性の評価を行った。注入P原子の電気的活性化に対する注入温度依存性を注入P濃度を変化させて調べた結果、低抵抗層形成に要する高濃度ドーピングには高温注入が有効であることを見い出した。またAlまたはBに加えてCまたはSiの共注入を行い、電気特性変化を調べた結果、C共注入によりP型電気特性を改善できることが明らかになった。さらに、高温窒素(N)イオン注入を用いてnチャンネルエンハンスメント型MOSFET(金属・酸化膜・半導体電界効果トランジスタ)を試作した
上殿 明良*; 大島 武; 伊藤 久義; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(5A), p.2422 - 2429, 1998/05
被引用回数:13 パーセンタイル:53.97(Physics, Applied)単エネルギー陽電子を用いて、200keVでリン注入を行った6H-SiC中の空孔型欠陥を調べた。室温注入後に結晶に導入された空孔型欠陥のサイズはおもに二重空孔であった。注入試料を等時アニールすることで、熱処理と欠陥(結晶の回復)の関係を調べた。その結果、200C-700
Cでは、単一空孔が移動し、結合することで空孔サイズが大きくなる。700
C-1000
Cでは、さらに大きな空孔クラスタになることがわかった。1000
C-1300
Cでは、空孔欠陥のサイズは減少し結晶が回復していくことがわかった。また、1
10
/cm
注入した試料は、室温での注入後は、注入層アモルファス化していること、その後1500
Cまで熱処理を行っても、空孔型欠陥は消滅せず、結晶が回復しないことがわかった。
平尾 敏雄; 塩野 登*; 穴山 汎*; 梨山 勇; 松田 純夫*; 根本 規生*; 大西 一功*
SDM97-194, p.57 - 63, 1998/02
半導体素子に高エネルギーを持ったイオンが入射した時に、そのイオンの飛跡に沿って電荷が発生することは、良く知られている。宇宙環境で使用される半導体素子の放射線の影響の一つとして、シングルイベント現象があり、その発生原因として、イオンの入射に伴い発生した電荷が注目されている。我々は、シングルイベント現象のメカニズムの解明を目指し、重イオンマイクロビームを用いて入射イオンと収集される電荷量との関係を求める実験を行っている。今回は、耐放射線性素子として注目されているSOI(Silicon on Insulator)素子に、炭素及び酸素の重イオンマイクロビームを入射して、シングルイベント過渡電流の測定を行い、収集される電荷量を求めた。本発表では、これらの結果について報告を行う。
吉川 正人; 大島 武; 伊藤 久義; 梨山 勇; 高橋 芳宏*; 大西 一功*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
電子情報通信学会論文誌,C-II, 81(1), p.140 - 150, 1998/01
宇宙環境で使用される半導体素子には、高温での素子動作ばかりでなく強い耐放射線性が要求される。今回我々は、広いバンドギャップを持つ6H-SiCを用いて作製したMOS構造素子の線照射効果を調べた。また酸化膜中の電荷分布の照射による変化も併せて調べ、
線照射効果のメカニズムを追求した。その結果、酸化膜中に存在する正及び負の電荷が、
線照射により増大するが、その量は酸化膜を作製する6H-SiCの面方位に強く依存することが分かった。
線照射した6H-SiC MOS構造のC-V特性の横方向シフトは、酸化膜中の正と負の電荷の発生量と発生位置に依存するため、Si MOS構造のような照射による一定の規則性は存在しないことがわかった。