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上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 吉川 正人; 梨山 勇; Frank, T.*; Pensl, G.*; 鈴木 良一*; 大平 俊行*; et al.
Journal of Applied Physics, 87(9), p.4119 - 4125, 2000/05
被引用回数:12 パーセンタイル:49.18(Physics, Applied)陽電子(単色)消滅法を用いて110/cmの200keV-リン(P)注入した6H-SiCの注入層を調べた。注入は室温、800または1200で行った。室温注入では表層の注入層はアモルファス化、注入層の深部は複空孔がおもに残留していることがわかった。注入後、1700までの熱処理を行ったところ、空孔型の欠陥のアニール挙動が熱処理の温度領域によって五つに分けられた。また、800、1200注入では注入層はアモルファス化はしないが、表層に大きな空孔クラスター残留層、深部には表層に比べサイズの小さな空孔クラスターが残留することがわかった。これらの試料を1700まで熱処理すると、800注入試料の残留欠陥サイズが最も小さく、続いて1200注入試料、最も残留欠陥サイズが大きかったのが室温注入試料となり、注入後同じ温度での熱処理を行っても注入温度によって残留欠陥サイズが異なることがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 吉川 正人; 児島 一聡; 岡田 漱平; 梨山 勇; 阿部 功二*; 谷川 庄一郎*; Frank, T.*; et al.
Materials Science Forum, 338-342, p.857 - 860, 2000/00
シリコンカーバイドSiC中のイオン注入不純物の電気的活性化と結晶性の回復の関係を調べた。不純物としてはリンを用いて、高温イオン注入により6H-SiCへ導入した。注入温度は室温から1200Cの範囲として、リン濃度は510/cmとした。注入温度と電子濃度の関係を調べたところ800Cで注入した試料が最も電子濃度が高いことがわかった。陽電子消滅法により注入層の欠陥の注入後熱処理による回復を調べたところ、800C注入した試料の空孔型欠陥のサイズがほかのものに比べ小さく結晶性が良いことがわかった。したがって高濃度のイオン注入の場合は、800C程度の高温注入を行うことで、不純物の活性化率を向上させられると判断できる。
伊藤 久義; 河裾 厚男; 大島 武; 吉川 正人; 梨山 勇; 岡田 漱平; 谷川 庄一郎*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
電子技術総合研究所彙報, 62(10-11), p.23 - 29, 1999/00
立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)における点欠陥評価のため、化学気相成長(CVD)で作製した3C-SiC単結晶に1MeV電子線を照射し、陽電子消滅線のドップラー広がり測定及び陽電子寿命測定を行った。さらにESR測定も実施し、陽電子消滅測定結果との相関を調べた。この結果、電子線照射により3C-SiC中に負に帯電したSi単一空孔Vが形成され、このVが主要な陽電子捕獲中心として働くことが判明した。また、3C-SiCバルクでの陽電子拡散長として184nm、陽電子寿命として140psが得られた。さらに、Vの捕獲陽電子の寿命は188ps、比捕獲速度は6.010sであると決定できた。これらの数値は、陽電子消滅による欠陥評価を行う上で不可欠なパラメータであり、今後のSiCにおける欠陥研究に有用である。
大島 武; 伊藤 久義; 上殿 明良*; 鈴木 良一*; 石田 夕起*; 高橋 徹夫*; 吉川 正人; 児島 一聡; 大平 俊行*; 梨山 勇; et al.
電子技術総合研究所彙報, 62(10-11), p.469 - 476, 1999/00
イオン注入により立方晶炭化ケイ素(3C-SiC)中に発生する欠陥と熱処理による欠陥の回復を電子スピン共鳴(ESR)、陽電子消滅測定(PAS)及びフォトルミネッセンス測定(PL)により調べた。3C-SiCへ200keV-Al及びNを110 110/cmのドーズ量で室温から1200までの温度で注入した。注入後の熱処理はAr中で1400まで行った。ESR及びPL測定の結果、800以上の高温注入を行うことで照射欠陥を著しく低減できることがわかった。また、室温注入試料中の空孔型欠陥の熱処理による振る舞いをPAS測定により調べた。その結果、1400までの熱処理温度領域が空孔型欠陥の複合化、クラスタ化といった5つの領域に分けられることがわかった。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇
Journal of Applied Physics, 86(10), p.5392 - 5398, 1999/00
被引用回数:10 パーセンタイル:45.92(Physics, Applied)酸素または窒素注入した6H-SiC中の注入後及び熱処理後の空孔型欠陥について単色エネルギーを用いた陽電子消滅法を用いて調べた。イオン注入量は、110,110/cm(室温)とし、注入後の熱処理は、1400まで行った。注入後に残留する欠陥はおもに複空孔と同等の大きさの空孔型欠陥であり、その後の熱処理によって空孔欠陥が拡散及び結合し、1000での熱処理では空孔クラスターが生成されることがわかった。さらに高温の熱処理を行うと、110注入については、酸素、窒素注入試料ともに1400の熱処理後には欠陥が消滅し注入層が回復することが明らかとなった。110注入については、1400の熱処理を行っても空孔型の欠陥が残留して、注入層が完全には回復しないことが明らかになった。また、酸素注入と窒素注入を比べると、酸素注入試料では、酸素-空孔の複合欠陥が生成されることで、空孔型欠陥サイズの増大が抑制されることがわかった。
上殿 明良*; 森 和照*; 森下 憲雄; 伊藤 久義; 谷川 庄一郎*; 藤井 知*; 鹿田 真一*
Journal of Physics; Condensed Matter, 11(25), p.4925 - 4934, 1999/00
被引用回数:12 パーセンタイル:57.01(Physics, Condensed Matter)電子線照射ダイヤモンド中の欠陥のアニール挙動を陽電子消滅法を用いて調べた。IIa型ダイヤモンドについては、3MeV電子線照射(照射量110/cm)により形成される主たる空孔型欠陥は電気的に中性な単一空孔Vであることを見いだした。Vによる陽電子の捕獲速度は600C程度のアニールにより減少するが、空孔型欠陥自体は900Cアニール後も残存することがわかった。これは、V欠陥構造がアニールにより変化することで説明できる。また、Ib型ダイヤモンドでは、照射により負に帯電した単一空孔がおもに形成されることが判明した。この試料を650Cでアニールすると窒素-空孔ペア(N-V)が形成される。このN-Vの陽電子寿命は単一空孔に捕獲された陽電子の寿命より短いことから、N-V欠陥の電子密度が高い、つまり負に帯電していることが示唆される。
上殿 明良*; 藤井 知*; 森下 憲雄; 伊藤 久義; 谷川 庄一郎*; 鹿田 真一*
Journal of Physics; Condensed Matter, 11(20), p.4109 - 4122, 1999/00
被引用回数:9 パーセンタイル:48.84(Physics, Condensed Matter)合成及び天然ダイヤモンドにおける空孔型欠陥を陽電子消滅法により調べた。IIa型合成ダイヤモンドにおける陽電子寿命は、観測温度範囲20K~290Kの間でほぼ一定値98.7psを示した。この値はダイヤモンドバルクでの陽電子寿命に相当する。Ib型ダイヤモンドでは、IIa型と比較し、陽電子の寿命が長く、Sパラメータが小さいことがわかった。この結果は、Ib型試料に存在する置換型窒素原子が、その周囲に空隙を伴い、陽電子がその空隙で消滅することで説明できる。これらの合成ダイヤモンドに電子線照射を行うと、単一空孔がおもに形成されることを見いだした。一方、天然のIIa,IIb型ダイヤモンドでは、照射により空孔クラスター(空孔数5~7程度)が形成されることがわかった。また、天然IIb型試料では、空孔クラスターがアクセプター不純物(ホウ素)に対して補償中心として働くことが示唆された。
鈴木 良一*; 大平 俊平*; 上殿 明良*; Y.K.Cho*; 吉田 貞史*; 石田 夕起*; 大島 武; 伊藤 久義; 千脇 光国*; 三角 智久*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(8), p.4636 - 4643, 1998/08
被引用回数:28 パーセンタイル:74.37(Physics, Applied)電子リニアックを用いた高強度低速場陽子ビームラインの陽電子減速系の改善のため、種々の減速材料の陽電子再放出特性を調べた。W,SiC,GaN,SrTiO,水素終端Siの陽電子再放出率を調べた結果、一次減速材としてはW,二次減速材としてはn型SiCが最適であることが示唆された。W減速材の照射劣化機構を明らかにするために陽電子消滅測定、オージェ電子分光測定を行った結果、照射により生成される空孔クラスターと表面の炭素不純物が劣化要因であることが判明した。また劣化したW減速材の再生には、酸素中900C熱処理が有効であることが解った。さらに、W表面の酸素はポジトロニウム形成を抑制し、陽電子の再放出率を増加させることを見い出した。
上殿 明良*; 大島 武; 伊藤 久義; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(5A), p.2422 - 2429, 1998/05
被引用回数:13 パーセンタイル:53.51(Physics, Applied)単エネルギー陽電子を用いて、200keVでリン注入を行った6H-SiC中の空孔型欠陥を調べた。室温注入後に結晶に導入された空孔型欠陥のサイズはおもに二重空孔であった。注入試料を等時アニールすることで、熱処理と欠陥(結晶の回復)の関係を調べた。その結果、200C-700Cでは、単一空孔が移動し、結合することで空孔サイズが大きくなる。700C-1000Cでは、さらに大きな空孔クラスタになることがわかった。1000C-1300Cでは、空孔欠陥のサイズは減少し結晶が回復していくことがわかった。また、110/cm注入した試料は、室温での注入後は、注入層アモルファス化していること、その後1500Cまで熱処理を行っても、空孔型欠陥は消滅せず、結晶が回復しないことがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 安部 功二*; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 谷川 庄一郎*; 梨山 勇
Applied Physics A, 67(4), p.407 - 412, 1998/00
被引用回数:26 パーセンタイル:72.51(Materials Science, Multidisciplinary)6H-SiCへリンイオン注入を行い、発生する欠陥と注入後熱処理により、それらの欠陥がどのように変化するかを陽電子消滅法を用いて調べた。また、ホール係数測定を行い結晶の回復と電気特性の関係も調べた。さらに、ホール係数の温度依存性より、リンのイオン化エネルギーを見積もった。陽電子消滅法により、注入後は主に複空孔が欠陥として存在し、その後の熱処理により空孔サイズは増大し700C以上で空孔クラスターが形成されるが、1000C以上ではサイズの減少が始まり、1400Cでは結晶はほぼ回復することが分かった。結晶の回復にともない電子濃度が増加し、リンが活性化することが分かった。また、リンのイオン化エネルギーは、75MeV、105MeVと見積もられた。この値は、SiC中の代表的なドナーであるチッ素とほぼ同じであり、リンのドナーとしての有用性も確かめることができた。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 阿部 功二*; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 青木 康; 谷川 庄一郎*; 吉川 正人; 三角 智久*; et al.
Mater. Sci. Forum, 264-268, p.745 - 748, 1998/00
イオン注入により発生する照射欠陥とその熱アニールによる回復についての情報を得るために、陽電子消滅測定を行った。試料はCVC法により作成した立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)を用い、イオン注入は室温で、200keV-Nを110/cm行った。注入後の熱アニール処理は~1400Cまで行い、それぞれの温度でアルゴン中で20分間行った。陽電子消滅測定の結果、室温~1000Cまでは空孔型欠陥のサイズが増加し、空孔クラスターを形成するが、1000C以上では空孔型欠陥のサイズは減少し、1200C以上では消滅していくことが分かった。また、照射によりダメージを受けた領域の回復は結晶の奥の方から始まり、アニール温度の上昇に従って表面へ移動してくることも明らかになった。
伊藤 久義; 大島 武; 青木 康; 安部 功二*; 吉川 正人; 梨山 勇; 奥村 元*; 吉田 貞史*; 上殿 明良*; 谷川 庄一郎*
Journal of Applied Physics, 82(11), p.5339 - 5347, 1997/12
被引用回数:13 パーセンタイル:57.40(Physics, Applied)室温から1200Cの広い温度範囲での窒素(N)及びアルミニウム(Al)のイオン注入により立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)半導体に導入される欠陥を電子スピン共鳴(ESR)、光励起発光分析(PL)、陽電子消滅(PAS)法を用いて評価した。高温注入は常磁性欠陥を減少させ注入層の結晶性を改善すると同時に、空孔クラスターの形成を誘起することが明らかになった。これらの結果は高温注入時における点欠陥の移動と結合反応によって説明することができる。さらに高温注入による欠陥の形成と消失挙動は注入温度、注入量、注入イオン種に依存することが見い出された。また、高温注入により3C-SiCに導入された欠陥のアニール挙動をESR,PL,PASを用いて調べるとともに、ホール測定、二次イオン質量分析により注入不純物のアニールによる電気的活性化や深さ方向濃度分布変化についての知見を得た。
上殿 明良*; 伊藤 久義; 大島 武; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 36(11), p.6650 - 6660, 1997/11
被引用回数:16 パーセンタイル:63.22(Physics, Applied)立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)へチッ素(200keV)及びアルミニウム(200keV)のイオン注入を行い、発生する欠陥を単エネルギー陽電子を用いて調べた。また、注入された3C-SiCを熱アニールすることで、欠陥がどのように振舞うかも調べた。その結果、室温注入後はおもにシリコン単一空孔と炭素空孔が結合した、ダイバーカンシーが発生することがわかった。また、それらの空孔欠陥はその後の熱処理でサイズが大きくなり、1000C付近のアニールでは空孔クラスターを形成すること、またさらに高温でアニールするとクラスターは分解し始めることがわかった。これらの振舞いは、これまで調べた炭素空孔、シリコン空孔の熱アニールの振舞いで説明できた。また、ダメージ層の回復は結晶の深部より始まり、アニール温度の上昇とともに表面の方へ向かってくることも明らかになった。
伊藤 久義; 上殿 明良*; 大島 武; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 谷川 庄一郎*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
Applied Physics A, 65(3), p.315 - 323, 1997/00
被引用回数:16 パーセンタイル:63.22(Materials Science, Multidisciplinary)立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)半導体に200keVの加速エネルギーで窒素(N)及びアルミニウムイオン(Al)を注入温度範囲:室温~1200C、注入範囲:10~10/cmでイオン注入し、生成される欠陥を単色陽電子ビームを用いた陽電子消滅測定法を用いて調べた。消滅線エネルギースペクトルのドップラー広がりを解析した結果、高温注入により3C-SiC中に空孔クラスターが形成されることが明らかになった。空孔クラスターのサイズは注入量及び注入温度を上昇させると増大することを見いだした。高温注入による空孔のクラスター化については、注入時の空孔の結合反応によって説明できる。注入試料を1400Cでアニールしたところ、低注入(10/cm)試料は形成された空孔型欠陥は除去できるが、高注入(10/cm)では空孔クラスターが残存することがわかった。陽電子拡散長の解析より、アニールにより陽電子散乱中心が形成されることがわかった。
伊藤 久義; 河裾 厚男; 大島 武; 吉川 正人; 梨山 勇; 谷川 庄一郎*; 三沢 俊司*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
Physica Status Solidi (A), 162, p.173 - 198, 1997/00
被引用回数:132 パーセンタイル:97.83(Materials Science, Multidisciplinary)立方晶炭化ケイ素(3C-SiC)半導体における点欠陥の構造及びアニール挙動を明確にするために、化学気相成長法によりSi上にエピタキシャル成長させて作製した3C-SiC単結晶試料に1MeV電子線並びに2MeV陽子線等の高速粒子を照射し、照射試料の電子スピン共鳴(ESR)、光励起発光(PL)、陽電子消滅(PAS)測定を行った。この結果、Si単一空孔、C単一空孔/空孔-格子間原子対等の複数の3C-SiC固有の欠陥構造の同定に成功するとともに、それらのアニール挙動を明らかにした。さらに、これらの点欠陥が3C-SiCの電気特性や光学特性に与える影響を、ホール測定及びPL測定結果を基に議論するとともに、現在までに報告された研究結果とも対比して論術する。