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Son, N. T.*; 梅田 享英*; 磯谷 順一*; Gali, A.*; Bockstedte, M.*; Magnusson, B.*; Ellison, A.*; 森下 憲雄; 大島 武; 伊藤 久義; et al.
Materials Science Forum, 527-529, p.527 - 530, 2006/00
電子常磁性共鳴(EPR)を用いて六方晶炭化ケイ素(4H-, 6H-SiC)中の欠陥センターであるP6/P7の構造同定を行った。試料はn型,p型の4H-及び6H-SiC及び高品質半絶縁4H-SiCを用いた。室温または850Cでの3MeV電子線照射(210110/cm)によりP6/P7センターを導入した。低温(8K及び77K)でのC及びSiの超微細相互作用を調べた結果、P6及びP7センターは、それぞれ、結晶のC軸に垂直または平行なシリコン空孔(V)と炭素空孔(V)の複空孔(V-V)であると決定できた。
Laube, M.*; Pensl, G.*; Lee, K. K.; 大島 武
Materials Science Forum, 457-460, p.1381 - 1384, 2004/10
六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)上に作製した金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のチャンネル内の電気特性とゲート酸化膜作製方法の関係をHall測定により調べた。その結果、水蒸気酸化により作製したMOSFETに比べ、乾燥酸素及び酸化後アルゴン中アニール処理したMOSFETの方がトランジスタ特性から見積もったキャリア移動度が高いにもかかわらず、Hall測定より見積もったキャリアの移動度は両者ともに60cm/Vsと同程度であることが明らかとなった。さらに、しきい値電圧の温度依存性から界面準位の発生量を見積もったところ、水蒸気酸化したMOSFETの方が2倍多く発生していることが見いだされた。このことより、チャンネルに流れるキャリアの真の移動度は酸化膜作製方法によらず同じであるが、界面準位の発生によりキャリアがトラップされるためにトランジスタ特性により求めたキャリア移動度が小さく見積もられることが明らかとなった。
水落 憲和*; 山崎 聡*; 瀧澤 春喜; 森下 憲雄; 大島 武; 伊藤 久義; 磯谷 順一*
Physical Review B, 68(16), p.165206_1 - 165206_11, 2003/10
被引用回数:41 パーセンタイル:82.86(Materials Science, Multidisciplinary)4H-及び6H-SiC中の負に帯電した孤立シリコン空孔(V)を電子常磁性共鳴(EPR)によって調べた。空孔型の欠陥は、室温での3MeV電子線照射により結晶へ導入した。また、照射後、アルゴン中300Cで熱処理することでC起因の孤立空孔を消滅させた。Cの超微細相互作用より得られるEPRシグナルを解析した結果、VはSiC中のヘキサゴナルサイト及びキュービックサイトに存在するV(I)とV(II)があることが判明した。さらに、Cの超微細相互作用シグナルの角度依存性を詳細に調べた結果、Vに近接するC原子の配置は通常のテトラヘドラルではなく、ゆがんだ(C)対称であることが判明した。
Lee, K. K.; 大島 武; Saint, A.*; 神谷 富裕; Jamieson, D. N.*; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210, p.489 - 494, 2003/09
被引用回数:21 パーセンタイル:78.43(Instruments & Instrumentation)プロトン,アルファ線,炭素イオンマイクロビームを10から10ion/cm照射した六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)ショットキーダイオードのイオン誘起電荷収集(IBICC)の効率を調べることで耐放射線性に関する知見を得た。2MeVアルファ線マイクロビーム照射の結果、基板がn型,p型によらず類似する劣化挙動を示した。また、IBICCの減少量を非イオン化エネルギー損失(NIEL)を用いて解析したところ良い一致を示した。さらに、プロトン照射試料についてイオンルミネッセンス(IL),紫外フォトルミネッセンス(UV-PL)測定を行ったところ、2.32eVの準位が観測された。
Lee, K. K.; 大島 武; 伊藤 久義
Proceedings of 5th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Applications, p.73 - 76, 2002/10
六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)エピタキシャル基板上にnチャンネル及びpチャンネルの金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を作製し、線照射効果を調べた。照射は室温で行い、電気特性の変化を調べた。その結果、nチャンネルMOSFETは200Mrad(SiO)まで、pチャンネルMOSFETは10Mrad(SiO)まで特性の変化は見られず、優れた耐放射線性を示した。sub-thershold特性を解析することで、線照射により発生する酸化膜中固定電荷,界面準位を見積もった。その結果、nチャンネルに比べpチャンネルの方が、これらの欠陥が多量に発生することが明かとなり、この結果としてpチャンネルの方が早く特性劣化が生ずると帰結できた。
Lee, K. K.; 大島 武; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 389-393, p.1097 - 1100, 2002/05
ゲート酸化膜を水素燃焼酸化で作製したnチャンネル及びpチャンネルエンハンスメント型6H-SiC 金属-酸化膜-半導体 電界効果トランジスタ(MOSFET)特性の線照射による変化を調べた。線照射は室温にて8.8kGy(SiO)/hで行った。ドレイン電流(I)-ドレイン電圧(V)特性の直線領域よりチャンネル移動度を、ドレイン電流(I)-ゲート電圧(V)特性よりしきい値電圧を求めた。チャンネル移動度は、nチャンネルMOSFETでは1MGy(SiO)照射後も未照射と同等の値が得られ優れた耐放射線性が確認された。pチャンネルでは40kGy程度の照射によりチャンネル移動度が一時増加し、その後減少するという振る舞いを示した。これは、照射により発生した界面準位の電荷が未照射時に存在する界面準位の電荷を見かけ上補償したためと考えられる。しきい値電圧に関しては、nチャンネルでは照射による変動が0.5V程度と安定した値であったが、pチャンネルでは照射量の増加とともに負電圧方向へシフトし、1MGy照射により5V以上の変化を示した。
土方 泰斗*; 矢口 裕之*; 吉川 正人; 吉田 貞史*
Materials Science Forum, 389-393, p.1033 - 1036, 2002/05
六回周期六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)基板上に成長させた酸化膜とSiC界面の酸化後アニーリングによる構造変化を調べた。6H-SiC基板を12001時間ドライ酸化した試料,12001時間ドライ酸化した後1200アルゴン中で1時間アニーリングした試料,1200 1時間ドライ酸化した後1200アルゴン中で1時間アニーリングした試料をさらに950で1時間水蒸気雰囲気でアニーリングした試料を作製した。これら試料をMOS構造に成型し、CV特性を測定して界面準位量を測定した。また、同じ試料の表面酸化膜をフッ酸溶液を用いて斜めにエッチングし、酸化膜と6H-SiC基板界面近傍に存在する炭素とその関連の化合物量を、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定して、CV特性から得られる界面準位量との相関を調べた。その結果、炭素関連の化合物(C-O,C)と界面準位との間に強い相関が認められた。
大島 武; 伊藤 久義; 吉川 正人
Journal of Applied Physics, 90(6), p.3038 - 3041, 2001/09
被引用回数:43 パーセンタイル:81.56(Physics, Applied)ゲート酸化膜を700で水素処理して電気特性を向上させたエンハンスメント型nチャンネル6H-SiC MOSFETへ線照射を行い、界面準位の発生量とチャンネル移動度の関係を調べた。その結果、線照射量の増加とともに界面準位発生量が増加するが、発生量はシリコン(Si)MOSFETに比べ100分の1程度であった。チャンネル移動度は30kGy照射までほとんど変化せず、その後減少して、500kGy照射後には初期値(52cm2/Vs)の50%となった。Siでは10kGy照射でチャンネル移動度が初期値の50%となることから、チャンネル移動度の変化からもSiC MOSFETの優れた耐放射線性が確認された。また、SiCとSiのいずれのMOSFETでも界面準位発生量の増加とともにチャンネル移動度が減少する傾向が得られた。これは、SiC MOSFETにおいてもSiと同様にMOS界面で発生する欠陥によりキャリアが散乱されチャンネル移動度が低下することを示唆している。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 吉川 正人; 梨山 勇; Frank, T.*; Pensl, G.*; 鈴木 良一*; 大平 俊行*; et al.
Journal of Applied Physics, 87(9), p.4119 - 4125, 2000/05
被引用回数:12 パーセンタイル:49.24(Physics, Applied)陽電子(単色)消滅法を用いて110/cmの200keV-リン(P)注入した6H-SiCの注入層を調べた。注入は室温、800または1200で行った。室温注入では表層の注入層はアモルファス化、注入層の深部は複空孔がおもに残留していることがわかった。注入後、1700までの熱処理を行ったところ、空孔型の欠陥のアニール挙動が熱処理の温度領域によって五つに分けられた。また、800、1200注入では注入層はアモルファス化はしないが、表層に大きな空孔クラスター残留層、深部には表層に比べサイズの小さな空孔クラスターが残留することがわかった。これらの試料を1700まで熱処理すると、800注入試料の残留欠陥サイズが最も小さく、続いて1200注入試料、最も残留欠陥サイズが大きかったのが室温注入試料となり、注入後同じ温度での熱処理を行っても注入温度によって残留欠陥サイズが異なることがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 吉川 正人; 児島 一聡; 岡田 漱平; 梨山 勇; 阿部 功二*; 谷川 庄一郎*; Frank, T.*; et al.
Materials Science Forum, 338-342, p.857 - 860, 2000/00
シリコンカーバイドSiC中のイオン注入不純物の電気的活性化と結晶性の回復の関係を調べた。不純物としてはリンを用いて、高温イオン注入により6H-SiCへ導入した。注入温度は室温から1200Cの範囲として、リン濃度は510/cmとした。注入温度と電子濃度の関係を調べたところ800Cで注入した試料が最も電子濃度が高いことがわかった。陽電子消滅法により注入層の欠陥の注入後熱処理による回復を調べたところ、800C注入した試料の空孔型欠陥のサイズがほかのものに比べ小さく結晶性が良いことがわかった。したがって高濃度のイオン注入の場合は、800C程度の高温注入を行うことで、不純物の活性化率を向上させられると判断できる。
大島 武; 吉川 正人; 伊藤 久義; 児島 一聡; 岡田 漱平; 梨山 勇
Materials Science Forum, 338-342, p.1299 - 1302, 2000/00
6H-SiC半導体を用いた金属-酸化膜-半導体(MOS)トランジスタでは、チャンネル移動度の向上が実用化への課題となっている。そこでゲート酸化膜作製後に水蒸気中で酸化膜を熱処理することで、チャンネル移動度へ与える効果を調べた。その結果、800C~850Cでの水蒸気中熱処理により、チャンネル移動度が45cm/V・Sに上昇することが明らかになった(処理なしの場合35~40cm/V・S)。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇
Journal of Applied Physics, 86(10), p.5392 - 5398, 1999/00
被引用回数:10 パーセンタイル:45.95(Physics, Applied)酸素または窒素注入した6H-SiC中の注入後及び熱処理後の空孔型欠陥について単色エネルギーを用いた陽電子消滅法を用いて調べた。イオン注入量は、110,110/cm(室温)とし、注入後の熱処理は、1400まで行った。注入後に残留する欠陥はおもに複空孔と同等の大きさの空孔型欠陥であり、その後の熱処理によって空孔欠陥が拡散及び結合し、1000での熱処理では空孔クラスターが生成されることがわかった。さらに高温の熱処理を行うと、110注入については、酸素、窒素注入試料ともに1400の熱処理後には欠陥が消滅し注入層が回復することが明らかとなった。110注入については、1400の熱処理を行っても空孔型の欠陥が残留して、注入層が完全には回復しないことが明らかになった。また、酸素注入と窒素注入を比べると、酸素注入試料では、酸素-空孔の複合欠陥が生成されることで、空孔型欠陥サイズの増大が抑制されることがわかった。
大島 武; 吉川 正人; 伊藤 久義; 青木 康; 梨山 勇
Mater. Sci. Eng. B, 61-62, p.480 - 484, 1999/00
被引用回数:23 パーセンタイル:72.93(Materials Science, Multidisciplinary)シリコンカーバイド(SiC)デバイスの線照射効果を調べるために6H-SiCを用いて金属-酸化膜-半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)を作製した。作製したMOSFETへ線照射を行い、ゲート酸化膜中に発生する固定電荷と界面準位の量を、サブスレッショールド領域の電流-電圧特性の変化から見積もった。特に今回は、水素燃焼酸化とドライ酸化の2つの方法によりゲート酸化膜を作製することで、酸化膜の作製方法と固定電荷、界面準位の発生量の関係を調べた。その結果、固定電荷については酸化膜作製方法の違いによる差はみられなかったが、界面準位に関しては、水素燃焼酸化により作製したMOSFETの方が、ドライ酸化により作製したものより発生量が少なく耐放射線性に優れていることがわかった。
大島 武; 吉川 正人; 伊藤 久義; 青木 康; 梨山 勇
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2, 37(8B), p.L1002 - L1004, 1998/08
被引用回数:15 パーセンタイル:57.71(Physics, Applied)高温(1200C)でチッ素注入することで作製した、6H-SiCのnチャンネルエンハンスト型金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)へ、線を照射し、ゲート酸化膜中に発生する界面準位と固定電荷を見積った。線は室温で1MR/hで行い、ザブスレッシュホールド領域でのドレイン電流のゲート電圧依存性の変化より、界面準位及び固定電荷を見積った。その結果、70kGy照射後に発生した、界面準位は510/cm、固定電荷は310/cmであった。この値はSiでのMOSFETで報告されている値にくらべ、界面準位では数十分の一、固定電荷では3分の一程度であり、SiC MOSFETが優れた耐放射線性を示すことが明らかになった。
上殿 明良*; 大島 武; 伊藤 久義; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(5A), p.2422 - 2429, 1998/05
被引用回数:13 パーセンタイル:53.56(Physics, Applied)単エネルギー陽電子を用いて、200keVでリン注入を行った6H-SiC中の空孔型欠陥を調べた。室温注入後に結晶に導入された空孔型欠陥のサイズはおもに二重空孔であった。注入試料を等時アニールすることで、熱処理と欠陥(結晶の回復)の関係を調べた。その結果、200C-700Cでは、単一空孔が移動し、結合することで空孔サイズが大きくなる。700C-1000Cでは、さらに大きな空孔クラスタになることがわかった。1000C-1300Cでは、空孔欠陥のサイズは減少し結晶が回復していくことがわかった。また、110/cm注入した試料は、室温での注入後は、注入層アモルファス化していること、その後1500Cまで熱処理を行っても、空孔型欠陥は消滅せず、結晶が回復しないことがわかった。
吉川 正人; 大島 武; 伊藤 久義; 梨山 勇; 高橋 芳宏*; 大西 一功*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
電子情報通信学会論文誌,C-II, 81(1), p.140 - 150, 1998/01
宇宙環境で使用される半導体素子には、高温での素子動作ばかりでなく強い耐放射線性が要求される。今回我々は、広いバンドギャップを持つ6H-SiCを用いて作製したMOS構造素子の線照射効果を調べた。また酸化膜中の電荷分布の照射による変化も併せて調べ、線照射効果のメカニズムを追求した。その結果、酸化膜中に存在する正及び負の電荷が、線照射により増大するが、その量は酸化膜を作製する6H-SiCの面方位に強く依存することが分かった。線照射した6H-SiC MOS構造のC-V特性の横方向シフトは、酸化膜中の正と負の電荷の発生量と発生位置に依存するため、Si MOS構造のような照射による一定の規則性は存在しないことがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 安部 功二*; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 谷川 庄一郎*; 梨山 勇
Applied Physics A, 67(4), p.407 - 412, 1998/00
被引用回数:26 パーセンタイル:72.54(Materials Science, Multidisciplinary)6H-SiCへリンイオン注入を行い、発生する欠陥と注入後熱処理により、それらの欠陥がどのように変化するかを陽電子消滅法を用いて調べた。また、ホール係数測定を行い結晶の回復と電気特性の関係も調べた。さらに、ホール係数の温度依存性より、リンのイオン化エネルギーを見積もった。陽電子消滅法により、注入後は主に複空孔が欠陥として存在し、その後の熱処理により空孔サイズは増大し700C以上で空孔クラスターが形成されるが、1000C以上ではサイズの減少が始まり、1400Cでは結晶はほぼ回復することが分かった。結晶の回復にともない電子濃度が増加し、リンが活性化することが分かった。また、リンのイオン化エネルギーは、75MeV、105MeVと見積もられた。この値は、SiC中の代表的なドナーであるチッ素とほぼ同じであり、リンのドナーとしての有用性も確かめることができた。
吉川 正人; 大島 武; 伊藤 久義; 梨山 勇; 高橋 芳浩*; 大西 一功*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
Electronics and Communication in Japan., Part2, 81(10), p.37 - 47, 1998/00
宇宙環境や原子炉近傍で使用される半導体素子には、高温雰囲気での安定な動作ばかりでなく、強い耐放射線性が要求される。今回SiC半導体材料の中でも最も一般的な6H-SiCを用いて半導体素子の基礎構造であるMOS構造を作製し、その電気特性の吸収線量依存性を調べるとともに、その吸収線量依存性のメカニズムを酸化膜中固定電荷の深さ方向分布を用いて追求した。その結果シリコン面上のMOS構造のC-V特性の線照射による変化は、Si MOS構造のそれと類似しているが、カーボン面上のその変化は、大きく異なることがわかった。酸化膜中固定電荷の深さ方向分布を用いてこの結果を調べたところ、C-V特性の横方向シフトが酸化膜中に存在する正及び負の電荷の量と位置の変化により生じていることが分かった。
D.Cha*; 伊藤 久義; 森下 憲雄; 河裾 厚男; 大島 武; 渡辺 祐平; J.Ko*; K.Lee*; 梨山 勇
Mater. Sci. Forum, 264-268, p.615 - 618, 1998/00
六方晶シリコンカーバイド(6H-SiC)の照射欠陥を調べるために、P型6H-SiCへ3MeV電子線を110e/cm照射した。欠陥に関する情報を得るために4K~室温の電子スピン共鳴測定を行った。測定の結果PA、PB、PC、PD及びPEの照射欠陥に起因する5つのシグナルを観測した。PA、PBについては、4K~室温の広い範囲で、PCは4K~20K、PDとPEは~10Kで観測された。それらのシグナルの磁場vs試料の角度依存性を調べたところ、PAシグナルはシリコンの単一空孔に由来するシグナルであることが分かった。またPB~PEのシグナルは他のn型6H-SiCや3C-SiCの照射欠陥では見られないシグナルであり、P型特有のものであることがわかった。
安部 功二*; 大島 武; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 岩見 基弘*
Mater. Sci. Forum, 264-268, p.721 - 724, 1998/00
六方晶シリコンカーバイド(6H-SiC)中のリン不純物の挙動を明らかにするためにリンイオンの高温イオン注入を行った。また、イオン注入の最適条件を調べる目的で、注入温度とリン不純物の電気活性化の関係についても調べた。リン注入は、注入層のリン分布を均一にする目的で、80~200keVの間で4つのエネルギーを用いて行った。注入後の熱アニールは、アルゴン中で20分間行った。注入温度とリンの電気的活性化の関係は、室温~1000C注入では、大きな差はないが、1200C注入の場合は、注入後熱アニールを行わなくても、リンが電気的に活性化しn型伝導を示すことがわかった。また1200C以上の熱アニール処理を行った時も、室温~1000C注入した試料に比べ、1200C注入試料はより多くのリンが電気的に活性化することも明らかにした。ホール係数測定の温度依存性から、リンドナーのイオン化エネルギーを見積もったところ、85、135MeVとなった。