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角谷 正友*; 隅田 真人*; 浅井 祐哉*; 田村 亮*; 上殿 明良*; 吉越 章隆
Journal of Physical Chemistry C, 124(46), p.25282 - 25290, 2020/11
被引用回数:11 パーセンタイル:49.84(Chemistry, Physical)O分子ビームによるGaN表面[極性Ga面(+c), N面(-c)および無極性(100)()面]の初期酸化をリアルタイム放射光X線光電子分光法およびDFT分子動力学計算によって調べた。三重項Oが+c面のブリッジ位置において解離または化学吸着し、N終端-c面では、O分子は解離化学吸着のみであることが分かった。面では、Oの解離吸着が支配的であるが、極性表面に吸着したO分子の結合長および角度が異なることが分かった。スピンと極性を考慮した計算モデルが金属酸化物とGaNのデバイス界面の理解に有用であることが分かった。
伊藤 賢志*; 岡 壽崇*; 小林 慶規*; 白井 泰治*; 和田 健一郎*; 松本 昌高*; 藤浪 真紀*; 平出 哲也; 誉田 義英*; 細見 博之*; et al.
Materials Science Forum, 607, p.248 - 250, 2009/00
現在までに陽電子消滅寿命測定(PAL)の標準化が行われたことはない。標準がないと各々の研究室データの比較における信頼性の欠如に繋がる。そこで標準化への第一歩として、金属,高分子,シリカガラスの3種類の試料において合意した測定、及び解析手法で測定を行い、研究室間において比較を行った。金属試料では1寿命成分、それ以外では3寿命成分で解析を行った。陽電子寿命、及びオルソーポジトロニウム寿命に関して、研究室間における測定結果の違いが起こる原因について考察した。その結果、研究室ごとに使用している検出器の形状,配置などが異なり、コンプトン散乱された低エネルギーの線がもう一方の検出器に入ることで寿命スペクトル上にゆがみができるためと考えられた。検出器間に薄い金属板を挿入することで、各研究室間の違いが低減されることを確認した。
伊藤 賢志*; 岡 壽崇*; 小林 慶規*; 白井 泰治*; 和田 健一郎*; 松本 昌高*; 藤浪 真紀*; 平出 哲也; 誉田 義英*; 細見 博之*; et al.
Journal of Applied Physics, 104(2), p.026102_1 - 026102_3, 2008/07
被引用回数:48 パーセンタイル:83.42(Physics, Applied)同一の溶融石英とポリカーボネートを試料に用い、陽電子消滅寿命測定及び解析を12の研究室において実施し、その比較を行った。各研究室で得られた陽電子寿命のばらつきは、測定方法と解析方法を統一することで、過去に報告されている、何も制約を与えずに行われた試験結果に比較して、小さくできることがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 江龍 修*; Lee, K. K.; 安部 功二*; 伊藤 久義; 中嶋 賢志郎*
Materials Science Forum, 433-436, p.633 - 636, 2003/08
6方晶炭化ケイ素(6H-SiC)へボロンの注入を行い、注入後熱処理による結晶性の回復とボロンの拡散の関係を調べた。結晶性に関しては陽電子消滅法を用い空孔型欠陥を、ボロン拡散については二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて調べた。その結果、800から1000の熱処理により空孔型欠陥がクラスター化すること、1100以上の熱処理により空孔クラスターのサイズの減少が生じること、1500以上の熱処理で空孔型欠陥は観測限界以下になり結晶性が回復することが分かった。一方、ボロン拡散に関しては、1300以下では観測されず、1400以上の熱処理で、表面拡散が観測された。このことより、ボロン拡散は空孔型欠陥の拡散や移動とは直接関係ないことが見い出された。陽電子消滅の詳細な解析を行ったところ、1500で空孔型欠陥は観測されないが、陽電子の拡散長は未注入試料に比べ短いことが分かった。この結果は、空孔型欠陥はないものの、格子間元素等の散乱体が依然存在することを意味する。このことより、ボロン拡散は、格子間元素とボロンの交換によるkick-out機構で発生することが示唆される。
阿部 浩之; 内田 裕久*; 東 順人*; 上殿 明良*; Chen, Z. Q.*; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.224 - 227, 2003/05
被引用回数:21 パーセンタイル:78.32(Instruments & Instrumentation)パラジウム(Pd)は水素の吸放出反応により超高純度水素精製として利用されてきた。本研究ではこのPdの水素吸放出過程について、従来よりその応答性が良くなるように、イオン照射による表面改質についての研究を行った。イオン照射技術は表面改質としては良く知られている技術であり、Pdに対してその水素吸収能の向上を試みた。照射イオンは H, He, Arを用い、イオンビームエネルギー30350keV、照射量は0110/cmまで行った。その結果、イオン照射したPdは未照射に比べ、数倍吸収速度が向上した。この効果は、イオン入射エネルギーに依存することから、イオン照射により生成される欠陥の深さ方向の欠陥密度との関係によるものと考えられる。Pd表面層に生成された欠陥層は水素化物の核形成や成長に寄与し、水素吸収速度を高めていると推測できる。
大島 武; 上殿 明良*; 阿部 浩之; Chen, Z. Q.*; 伊藤 久義; 吉川 正人; 安部 功二*; 江龍 修*; 中嶋 賢志郎*
Physica B; Condensed Matter, 308-310, p.652 - 655, 2001/12
被引用回数:6 パーセンタイル:37.46(Physics, Condensed Matter)六方晶シリコンカーバイド(6H-SiC)へアルミニウム(Al)及び炭素(C)の共注入を行い、注入後及び熱処理後に残留する空孔型欠陥を陽電子消滅法により調べた。Al注入(濃度:2E18/cm3)は室温で、炭素注入(濃度:1E18/cm3)は室温または800で行った。その結果、両試料ともに注入後に残留する空孔型欠陥は主に複空孔(VsiVc)であること,1000での熱処理により表面層の空孔欠陥はクラスター化するが、深部の欠陥はクラスター化が抑制されること,さらに1000以上の熱処理では空孔欠陥サイズは減少し、1400熱処理により結晶性が回復することがわかった。また、Al単独注入試料中の空孔欠陥においても同様な振る舞いが観測され、共注入による欠陥の特異な振る舞いは見出されなかった。一方、電気特性の結果、共注入試料の電子濃度の方がAl単独注入より高く、共注入の効果が見られた。上記より、共注入ではサイトコンペティション効果によりAlの活性化率が向上するというわれわれのモデルの妥当性が裏づけられた。
阿部 浩之; 上殿 明良*; 内田 裕久*; 小松 淳*; 岡田 漱平; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 363-365, p.156 - 158, 2001/05
パラジウム(Pd)の水素吸蔵能を向上させることは実用上非常に重要である。われわれは、イオン照射による材料改質の検討の一環として、照射欠陥と水素吸蔵特性との関係を調べた。Pd板(サイズ: 10100.1mm)にプロトン照射(エネルギー: 100keV,ドーズ量: 最大110/cm)を行い、形成される欠陥を低速陽電子ビームを用いた消滅線エネルギードップラー拡がり測定により評価した。この結果、照射によるS-パラメータの増加が観測され、Pd表面層(厚さ400nm)における空孔クラスターの形成が確認された。また、照射及び未照射試料の水素吸蔵速度及び最大吸蔵量を比較した結果、照射により最大吸蔵濃度は変化しないが、吸蔵速度は低下することがわかった。これは、Pdバルク内への水素原子侵入に対する空孔クラスターのブロッキング効果で説明できる。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 吉川 正人; 梨山 勇; Frank, T.*; Pensl, G.*; 鈴木 良一*; 大平 俊行*; et al.
Journal of Applied Physics, 87(9), p.4119 - 4125, 2000/05
被引用回数:12 パーセンタイル:49.18(Physics, Applied)陽電子(単色)消滅法を用いて110/cmの200keV-リン(P)注入した6H-SiCの注入層を調べた。注入は室温、800または1200で行った。室温注入では表層の注入層はアモルファス化、注入層の深部は複空孔がおもに残留していることがわかった。注入後、1700までの熱処理を行ったところ、空孔型の欠陥のアニール挙動が熱処理の温度領域によって五つに分けられた。また、800、1200注入では注入層はアモルファス化はしないが、表層に大きな空孔クラスター残留層、深部には表層に比べサイズの小さな空孔クラスターが残留することがわかった。これらの試料を1700まで熱処理すると、800注入試料の残留欠陥サイズが最も小さく、続いて1200注入試料、最も残留欠陥サイズが大きかったのが室温注入試料となり、注入後同じ温度での熱処理を行っても注入温度によって残留欠陥サイズが異なることがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 吉川 正人; 児島 一聡; 岡田 漱平; 梨山 勇; 阿部 功二*; 谷川 庄一郎*; Frank, T.*; et al.
Materials Science Forum, 338-342, p.857 - 860, 2000/00
シリコンカーバイドSiC中のイオン注入不純物の電気的活性化と結晶性の回復の関係を調べた。不純物としてはリンを用いて、高温イオン注入により6H-SiCへ導入した。注入温度は室温から1200Cの範囲として、リン濃度は510/cmとした。注入温度と電子濃度の関係を調べたところ800Cで注入した試料が最も電子濃度が高いことがわかった。陽電子消滅法により注入層の欠陥の注入後熱処理による回復を調べたところ、800C注入した試料の空孔型欠陥のサイズがほかのものに比べ小さく結晶性が良いことがわかった。したがって高濃度のイオン注入の場合は、800C程度の高温注入を行うことで、不純物の活性化率を向上させられると判断できる。
大島 武; 伊藤 久義; 上殿 明良*; 鈴木 良一*; 石田 夕起*; 高橋 徹夫*; 吉川 正人; 児島 一聡; 大平 俊行*; 梨山 勇; et al.
電子技術総合研究所彙報, 62(10-11), p.469 - 476, 1999/00
イオン注入により立方晶炭化ケイ素(3C-SiC)中に発生する欠陥と熱処理による欠陥の回復を電子スピン共鳴(ESR)、陽電子消滅測定(PAS)及びフォトルミネッセンス測定(PL)により調べた。3C-SiCへ200keV-Al及びNを110 110/cmのドーズ量で室温から1200までの温度で注入した。注入後の熱処理はAr中で1400まで行った。ESR及びPL測定の結果、800以上の高温注入を行うことで照射欠陥を著しく低減できることがわかった。また、室温注入試料中の空孔型欠陥の熱処理による振る舞いをPAS測定により調べた。その結果、1400までの熱処理温度領域が空孔型欠陥の複合化、クラスタ化といった5つの領域に分けられることがわかった。
上殿 明良*; 谷川 庄一郎*; 大島 武; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇
Journal of Applied Physics, 86(10), p.5392 - 5398, 1999/00
被引用回数:10 パーセンタイル:45.92(Physics, Applied)酸素または窒素注入した6H-SiC中の注入後及び熱処理後の空孔型欠陥について単色エネルギーを用いた陽電子消滅法を用いて調べた。イオン注入量は、110,110/cm(室温)とし、注入後の熱処理は、1400まで行った。注入後に残留する欠陥はおもに複空孔と同等の大きさの空孔型欠陥であり、その後の熱処理によって空孔欠陥が拡散及び結合し、1000での熱処理では空孔クラスターが生成されることがわかった。さらに高温の熱処理を行うと、110注入については、酸素、窒素注入試料ともに1400の熱処理後には欠陥が消滅し注入層が回復することが明らかとなった。110注入については、1400の熱処理を行っても空孔型の欠陥が残留して、注入層が完全には回復しないことが明らかになった。また、酸素注入と窒素注入を比べると、酸素注入試料では、酸素-空孔の複合欠陥が生成されることで、空孔型欠陥サイズの増大が抑制されることがわかった。
上殿 明良*; 森 和照*; 森下 憲雄; 伊藤 久義; 谷川 庄一郎*; 藤井 知*; 鹿田 真一*
Journal of Physics; Condensed Matter, 11(25), p.4925 - 4934, 1999/00
被引用回数:12 パーセンタイル:57.01(Physics, Condensed Matter)電子線照射ダイヤモンド中の欠陥のアニール挙動を陽電子消滅法を用いて調べた。IIa型ダイヤモンドについては、3MeV電子線照射(照射量110/cm)により形成される主たる空孔型欠陥は電気的に中性な単一空孔Vであることを見いだした。Vによる陽電子の捕獲速度は600C程度のアニールにより減少するが、空孔型欠陥自体は900Cアニール後も残存することがわかった。これは、V欠陥構造がアニールにより変化することで説明できる。また、Ib型ダイヤモンドでは、照射により負に帯電した単一空孔がおもに形成されることが判明した。この試料を650Cでアニールすると窒素-空孔ペア(N-V)が形成される。このN-Vの陽電子寿命は単一空孔に捕獲された陽電子の寿命より短いことから、N-V欠陥の電子密度が高い、つまり負に帯電していることが示唆される。
上殿 明良*; 藤井 知*; 森下 憲雄; 伊藤 久義; 谷川 庄一郎*; 鹿田 真一*
Journal of Physics; Condensed Matter, 11(20), p.4109 - 4122, 1999/00
被引用回数:9 パーセンタイル:48.84(Physics, Condensed Matter)合成及び天然ダイヤモンドにおける空孔型欠陥を陽電子消滅法により調べた。IIa型合成ダイヤモンドにおける陽電子寿命は、観測温度範囲20K~290Kの間でほぼ一定値98.7psを示した。この値はダイヤモンドバルクでの陽電子寿命に相当する。Ib型ダイヤモンドでは、IIa型と比較し、陽電子の寿命が長く、Sパラメータが小さいことがわかった。この結果は、Ib型試料に存在する置換型窒素原子が、その周囲に空隙を伴い、陽電子がその空隙で消滅することで説明できる。これらの合成ダイヤモンドに電子線照射を行うと、単一空孔がおもに形成されることを見いだした。一方、天然のIIa,IIb型ダイヤモンドでは、照射により空孔クラスター(空孔数5~7程度)が形成されることがわかった。また、天然IIb型試料では、空孔クラスターがアクセプター不純物(ホウ素)に対して補償中心として働くことが示唆された。
鈴木 良一*; 大平 俊平*; 上殿 明良*; Y.K.Cho*; 吉田 貞史*; 石田 夕起*; 大島 武; 伊藤 久義; 千脇 光国*; 三角 智久*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(8), p.4636 - 4643, 1998/08
被引用回数:28 パーセンタイル:74.37(Physics, Applied)電子リニアックを用いた高強度低速場陽子ビームラインの陽電子減速系の改善のため、種々の減速材料の陽電子再放出特性を調べた。W,SiC,GaN,SrTiO,水素終端Siの陽電子再放出率を調べた結果、一次減速材としてはW,二次減速材としてはn型SiCが最適であることが示唆された。W減速材の照射劣化機構を明らかにするために陽電子消滅測定、オージェ電子分光測定を行った結果、照射により生成される空孔クラスターと表面の炭素不純物が劣化要因であることが判明した。また劣化したW減速材の再生には、酸素中900C熱処理が有効であることが解った。さらに、W表面の酸素はポジトロニウム形成を抑制し、陽電子の再放出率を増加させることを見い出した。
上殿 明良*; 大島 武; 伊藤 久義; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(5A), p.2422 - 2429, 1998/05
被引用回数:13 パーセンタイル:53.51(Physics, Applied)単エネルギー陽電子を用いて、200keVでリン注入を行った6H-SiC中の空孔型欠陥を調べた。室温注入後に結晶に導入された空孔型欠陥のサイズはおもに二重空孔であった。注入試料を等時アニールすることで、熱処理と欠陥(結晶の回復)の関係を調べた。その結果、200C-700Cでは、単一空孔が移動し、結合することで空孔サイズが大きくなる。700C-1000Cでは、さらに大きな空孔クラスタになることがわかった。1000C-1300Cでは、空孔欠陥のサイズは減少し結晶が回復していくことがわかった。また、110/cm注入した試料は、室温での注入後は、注入層アモルファス化していること、その後1500Cまで熱処理を行っても、空孔型欠陥は消滅せず、結晶が回復しないことがわかった。
大島 武; 上殿 明良*; 安部 功二*; 伊藤 久義; 青木 康; 吉川 正人; 谷川 庄一郎*; 梨山 勇
Applied Physics A, 67(4), p.407 - 412, 1998/00
被引用回数:26 パーセンタイル:72.51(Materials Science, Multidisciplinary)6H-SiCへリンイオン注入を行い、発生する欠陥と注入後熱処理により、それらの欠陥がどのように変化するかを陽電子消滅法を用いて調べた。また、ホール係数測定を行い結晶の回復と電気特性の関係も調べた。さらに、ホール係数の温度依存性より、リンのイオン化エネルギーを見積もった。陽電子消滅法により、注入後は主に複空孔が欠陥として存在し、その後の熱処理により空孔サイズは増大し700C以上で空孔クラスターが形成されるが、1000C以上ではサイズの減少が始まり、1400Cでは結晶はほぼ回復することが分かった。結晶の回復にともない電子濃度が増加し、リンが活性化することが分かった。また、リンのイオン化エネルギーは、75MeV、105MeVと見積もられた。この値は、SiC中の代表的なドナーであるチッ素とほぼ同じであり、リンのドナーとしての有用性も確かめることができた。
大島 武; 上殿 明良*; 伊藤 久義; 阿部 功二*; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 青木 康; 谷川 庄一郎*; 吉川 正人; 三角 智久*; et al.
Mater. Sci. Forum, 264-268, p.745 - 748, 1998/00
イオン注入により発生する照射欠陥とその熱アニールによる回復についての情報を得るために、陽電子消滅測定を行った。試料はCVC法により作成した立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)を用い、イオン注入は室温で、200keV-Nを110/cm行った。注入後の熱アニール処理は~1400Cまで行い、それぞれの温度でアルゴン中で20分間行った。陽電子消滅測定の結果、室温~1000Cまでは空孔型欠陥のサイズが増加し、空孔クラスターを形成するが、1000C以上では空孔型欠陥のサイズは減少し、1200C以上では消滅していくことが分かった。また、照射によりダメージを受けた領域の回復は結晶の奥の方から始まり、アニール温度の上昇に従って表面へ移動してくることも明らかになった。
伊藤 久義; 大島 武; 青木 康; 安部 功二*; 吉川 正人; 梨山 勇; 奥村 元*; 吉田 貞史*; 上殿 明良*; 谷川 庄一郎*
Journal of Applied Physics, 82(11), p.5339 - 5347, 1997/12
被引用回数:13 パーセンタイル:57.40(Physics, Applied)室温から1200Cの広い温度範囲での窒素(N)及びアルミニウム(Al)のイオン注入により立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)半導体に導入される欠陥を電子スピン共鳴(ESR)、光励起発光分析(PL)、陽電子消滅(PAS)法を用いて評価した。高温注入は常磁性欠陥を減少させ注入層の結晶性を改善すると同時に、空孔クラスターの形成を誘起することが明らかになった。これらの結果は高温注入時における点欠陥の移動と結合反応によって説明することができる。さらに高温注入による欠陥の形成と消失挙動は注入温度、注入量、注入イオン種に依存することが見い出された。また、高温注入により3C-SiCに導入された欠陥のアニール挙動をESR,PL,PASを用いて調べるとともに、ホール測定、二次イオン質量分析により注入不純物のアニールによる電気的活性化や深さ方向濃度分布変化についての知見を得た。
上殿 明良*; 伊藤 久義; 大島 武; 鈴木 良一*; 大平 俊平*; 谷川 庄一郎*; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 三角 智久*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 36(11), p.6650 - 6660, 1997/11
被引用回数:16 パーセンタイル:63.22(Physics, Applied)立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)へチッ素(200keV)及びアルミニウム(200keV)のイオン注入を行い、発生する欠陥を単エネルギー陽電子を用いて調べた。また、注入された3C-SiCを熱アニールすることで、欠陥がどのように振舞うかも調べた。その結果、室温注入後はおもにシリコン単一空孔と炭素空孔が結合した、ダイバーカンシーが発生することがわかった。また、それらの空孔欠陥はその後の熱処理でサイズが大きくなり、1000C付近のアニールでは空孔クラスターを形成すること、またさらに高温でアニールするとクラスターは分解し始めることがわかった。これらの振舞いは、これまで調べた炭素空孔、シリコン空孔の熱アニールの振舞いで説明できた。また、ダメージ層の回復は結晶の深部より始まり、アニール温度の上昇とともに表面の方へ向かってくることも明らかになった。
伊藤 久義; 上殿 明良*; 大島 武; 青木 康; 吉川 正人; 梨山 勇; 谷川 庄一郎*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
Applied Physics A, 65(3), p.315 - 323, 1997/00
被引用回数:16 パーセンタイル:63.22(Materials Science, Multidisciplinary)立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)半導体に200keVの加速エネルギーで窒素(N)及びアルミニウムイオン(Al)を注入温度範囲:室温~1200C、注入範囲:10~10/cmでイオン注入し、生成される欠陥を単色陽電子ビームを用いた陽電子消滅測定法を用いて調べた。消滅線エネルギースペクトルのドップラー広がりを解析した結果、高温注入により3C-SiC中に空孔クラスターが形成されることが明らかになった。空孔クラスターのサイズは注入量及び注入温度を上昇させると増大することを見いだした。高温注入による空孔のクラスター化については、注入時の空孔の結合反応によって説明できる。注入試料を1400Cでアニールしたところ、低注入(10/cm)試料は形成された空孔型欠陥は除去できるが、高注入(10/cm)では空孔クラスターが残存することがわかった。陽電子拡散長の解析より、アニールにより陽電子散乱中心が形成されることがわかった。