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中山 雅; 石井 英一; 早野 明; 青柳 和平; 村上 裕晃; 大野 宏和; 武田 匡樹; 望月 陽人; 尾崎 裕介; 木村 駿; et al.
JAEA-Review 2025-027, 80 Pages, 2025/09
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和7年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」について、引き続き調査研究を行う。令和7年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や原位置試験を対象とした解析検討の準備を行う。「処分概念オプションの実証」では、坑道スケールピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、坑道スケール
ピットスケールにおける閉じ込め性能の評価手法の整理を行う。500m調査坑道において先行ボーリング調査を行い、岩石の強度や岩盤の透水性などのデータを取得するとともに、トモグラフィ調査による試験坑道周辺の掘削損傷領域の広がりに関するデータを取得する。埋め戻し材や止水プラグの施工については、原位置施工試験に向けた計画検討を進める。深度500mの坑道掘削に伴う湧水量を観測するとともに、解析において予測された湧水量の範囲に収まるかどうかを確認する。500m調査坑道で施工予定のピット周辺の掘削損傷領域の広がりについて原位置における掘削損傷領域の把握のための試験計画を検討する。また、割れ目からの湧水量やピット周辺の掘削損傷領域の広がりについて調査・評価手法の整理を進める。地下施設の建設・維持管理では、令和6年度に引き続き西立坑と500m調査坑道の掘削を行い、令和7年度末に施設整備を完了する予定である。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスク(タスクA:物質移行試験、タスクB:処分技術の実証と体系化、タスクC:実規模の人工バリアシステム解体試験)について調査研究を継続する。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2025-015, 73 Pages, 2025/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島第一原子力発電所の廃止措置における放射性エアロゾル制御及び除染に関する研究」の令和3年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、英国研究者との協力の下、高度な粒子検出及び特性評価システムとエアロゾルの分散制御を同時に組み込んだ安全なレーザー除染システムの開発を目指している。エアロゾル分散制御については、単純な機械的封じ込めフードから光学レーザーシールドに至るまでの新しい封じ込め方法を共同で調査する。日本側は、レーザー切断及び除染用途での放射線リスクを低減するため、ウォーターミストとウォータースプレーの利用に基づく放射性分散制御方法を開発する。英国側から提供されたエアロゾル粒子のデータに基づき、エアロゾルスクラビングの効率を高める可能性を調査する。また、エアロゾル粒子とウォーターミスト粒子の間の引力向上させるための電荷付与の効果を確認する。英国側は、エアロゾルのレーザー閉じ込め法を開発しており、スプレースクラビングにおいてエアロゾル粒子とミストの凝縮を改善するための実験を行う。エアロゾル除去技術と戦略の開発は、包括的な実験と計算研究によって実行される。実験はUTARTS(東京大学エアロゾル除去試験施設)で行われ、レーザー除染や切断とスプレー操作の同時作業等を検証する。また、CFDモデルのより適切な検証を実行できる高空間分解能データを取得するためエアロゾル測定を実施する。検証済みのCFDモデルは、効果的で安全な除染及び廃炉計画を作成するために、様々なレーザー操作シナリオで確認する。最終年度においては、実スケールでの作業及び除染効果を検証するため、モックアップ試験を実施し、本研究により構築した除染システムを評価検証する。
廃炉環境国際共同研究センター; 福井大学*
JAEA-Review 2025-007, 120 Pages, 2025/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ周辺物質の分析結果に基づく模擬デブリの合成による実機デブリ形成メカニズムの解明と事故進展解析結果の検証によるデブリ特性データベースの高度化」の令和3年度から令和5年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、酸化物デブリの形成条件の推定研究として、ガス浮遊法や微小な穴を持つタングステンパイプから溶融・噴出させる方法によりウランを含有する模擬燃料粒子を合成し、その生成条件と性状をまとめた。また、JAEAによりサンプリングデータに基づき作成された凝固パス図を再現し、鉄の挙動が熱力学予測と少し異なる結果などを得た。金属デブリの混合・溶融・凝固状態の評価では、溶融させた金属デブリのステンレスへの落下試験や溶融ステンレスの模擬金属デブリへの落下試験を行いその生成物を分析した。その結果ステンレス鋼温度が1000C程度の場合は溶融金属のZr濃度に関わらず薄い反応相を形成してステンレス鋼損傷が抑制されることがわかり、またB
C及びジルカロイのステンレス鋼融体への溶出速度を定量化した。さらに、ステンレス鋼とZrの混合物の各種圧力容器部材や溶接部材との反応速度データを拡充し、大型試験体系での解析可能な簡素化反応速度式を提案した。また、圧力容器下部の材質を参照した大型試験体の実験と反応速度式より、溶融金属と圧力容器構造材との反応による圧力容器下部破損挙動や溶融物流出挙動を評価した。さらに、圧力容器下部におけるデブリ再溶融過程でのウラン化合物とステンレス鋼等の金属物質の反応試験データを拡充し、金属デブリ層へのウラン移行挙動を評価した。また、試験技術の整備として、二酸化ウランとZrと金属との半溶融模擬デブリの合成と分析、CCIM炉とガス浮遊炉を用いた少量のウランの模擬燃料デブリ合成試験の検討を行った。
福島廃炉安全工学研究所*
JAEA-Evaluation 2025-001, 23 Pages, 2025/09
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成28年12月21日内閣総理大臣決定)及びこの大綱的指針を受けて作成された「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成29年4月1日文部科学大臣決定)並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規程」(平成17年10月1日制定、令和2年4月22日改正)等に基づき、令和7年1月10日に「東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発」のうち「環境動態研究に関する成果」に関する事後評価を福島研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、福島研究開発・評価委員会は、委員会において定められた評価方法に従い、原子力機構から提出された第4期中長期計画期間(令和4年4月令和11年3月)における研究開発計画について評価を実施した。本報告書は、福島研究開発・評価委員会より提出された事後評価の内容を取りまとめたものである。
長尾 郁弥; 大木 法子*; 沢田 憲良*; 蔀 雅章*; 丸山 廉太*; 上川 努*; 伊藤 聡美; 新里 忠史; 操上 広志
JAEA-Data/Code 2025-008, 60 Pages, 2025/09
平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災とそれに伴って発生した津波により東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出された。そのため、日本原子力研究開発機構(以下、機構)は環境中の放射性物質の動態研究を開始し、機構のWebサイト「根拠情報Q&Aサイト(以下、QAサイト)」上で成果発信を行った。また、機構の環境動態研究に加え、種々の機関が取得・公開した環境中の放射性物質や空間線量率のモニタリングデータを収集・整形して集約したデータベースサイト「放射性物質モニタリングデータの情報公開サイト」を開設した。その後、研究により得られた知見と、実際のモニタリングデータを一体のものとして公開するため、ポータルサイト「福島総合環境情報サイト」(FaCE!S;フェイシス)として取りまとめて運用した。福島国際研究教育機構(F-REI)の発足に伴い、機構の環境動態研究は終了し、F-REIへ移管されることとなった。そのため、環境動態研究の情報公開サイトであるQAサイトも令和7(2025)年度以降F-REIへ移管されることとなった。本報告書は、令和6(2024)年度時点までのFaCE!Sに関する取り組みをまとめるとともに、令和6(2024)年度時点のQAサイトをアーカイブとして保存するものである。
木田 福香; 渡邊 隆広; 奈良 郁子
JAEA-Testing 2025-002, 62 Pages, 2025/08
東濃地科学センターでは高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として地質環境の長期安定性に関する研究を実施している。年代測定技術開発グループでは地質環境の長期安定性に関する研究で重要となる地質試料の年代測定技術や化学分析技術の高度化を進めている。全岩化学組成分析は岩石学や地球化学も含め多分野で幅広く活用されている。特に、鉱物組成や同位体比のデータと合わせることで岩石の成因に関するより詳細な情報を得られることから、火山の活動性評価の技術整備などへ適用されている。岩石試料についてはガラスビードを用いた蛍光X 線分析装置による全岩化学組成の分析が主流であり、本手法により迅速かつ簡便に多数のデータを取得することができる。本稿では、東濃地科学センターでのガラスビードの作成方法、波長分散型蛍光X 線分析装置(ZSX Primus II、株式会社リガク製)の使用方法、岩石試料の主要元素(SiO、TiO
、Al
O
、Fe
O
、MnO、MgO、CaO、Na
O、K
O、P
O
)および微量元素(V、Cr、Ni、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Ba、Pb、Th)の定量分析方法について示した。また、分析方法とともに作業時の安全上の留意点などについて詳細に記載した。さらに、地球化学標準試料を用いた繰り返し測定による分析精度の評価結果を示した。
池谷 正太郎; 鈴木 武; 横堀 智彦; 菅原 聡; 横田 顕; 菊地 絃太; 村口 佳典; 北原 理; 瀬谷 真南人; 黒澤 剛史; et al.
JAEA-Technology 2025-001, 169 Pages, 2025/08
原子力科学研究所の放射性廃棄物処理場は、多様な施設により構成されており、その中に、第3廃棄物処理棟、解体分別保管棟及び減容処理棟がある。これらの3建家は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律による規制を受けており、耐震重要度分類でCクラスに分類されている。東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機として原子力規制委員会が策定した新規制基準に対応するため、最新の建築基準法に基づき3建家の耐震評価を実施したところ、許容応力度評価で一部基準を満足しない箇所が認められた。これに対応すべく、令和3年3月5日に設計及び工事の計画の認可(設工認)を取得し、令和3年(2021)から令和4年(2022)までの期間にて耐震補強を行った。本報告書は、第3廃棄物処理棟、解体分別保管棟及び減容処理棟の各建家の耐震設計の概況をはじめ、耐震改修工事の工事概要、作業体制、安全管理、使用前事業者検査について取りまとめたものである。
廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*
JAEA-Review 2025-011, 74 Pages, 2025/08
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「連携計測による線源探査ロボットシステムの開発研究」の令和3年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、ガンマ線の飛来方向を検出可能な検出器を開発し、これを搭載した複数のロボットの連携により、単一センサーでは得られない広視野・迅速・安価な放射線源探査を実現するロボットシステム(Cooperative Operation Robot system for RAdiation Source Exploration: CORRASE、コラッセ)を開発することを目的とする。令和5年度は、これまでの研究で得られた成果を結集させて線源探査に関する実証試験を中心に研究を実施した。ガンマ線の飛来方向を検出可能な指向性検出器として、8個のBGOシンチレータと遮蔽体を用いた多面体型指向性検出器を製作した。この検出器とIMU(Inertial Measurement Unit)、LiDAR(Light Detection And Ranging)を多脚ロボットに搭載したシステムを3組構築し、連携計測による線源探査実験を行った。7.85.3m
の部屋に障害物及び模擬放射能汚染源として10MBqの
Cs密封線源を配置して線源探査実験のための未知環境とした。本システムを用いて環境地図の作成、探索計画の立案、放射線カウントのヒートマップ作成、計算された最適観測配置からの線源イメージングを行った。得られた環境地図と線源イメージを融合させて表示することに成功し、3台のロボットシステムの連携により模擬放射能汚染源の位置の特定に成功した。以上の成果から、本研究では広視野・迅速・安価な放射線源探査を実現するロボットシステムの開発に成功し、当初の目標は達成されたと結論できる。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京科学大学*
JAEA-Review 2025-010, 62 Pages, 2025/08
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「非接触測定法を用いた燃料デブリ臨界解析技術の高度化」の令和3年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、非接触のアクティブ中性子法により燃料デブリの臨界安全上の特性を評価する測定システムの開発と、燃料デブリ取り出し作業員の安全確保方策の確立に資する基盤技術として多領域積分型動特性解析コードの開発により燃料デブリ臨界解析技術を高度化することを目的としており、東京科学大学、東京都市大学、産業技術総合研究所、長岡技術科学大学が連携して実施した。燃料デブリの臨界特性システムの開発・性能評価では、ポリエチレン減速材とHe比例計数管から構築される2層構造の検出器を開発し、検出器の動作検証及び性能試験を実施した。開発した検出器を用いて得られる測定データから燃料デブリに含まれる核分裂核種量、水素含有量、臨界安全上の特性を導出するための手法を検討・評価し、検出限界、精度、適応可能なデブリ形状を評価した。燃料デブリ弱結合炉体系臨界影響評価手法の高度化では、本研究を通じて、遅発中性子による核分裂の効果を考慮することができ、燃料デブリの動きにも対応可能なMIK2.0-MVPコードの基本機能を開発した。MIK2.0-MVPコードは、C
(
)関数のタリー計算を並列化すれば、スパコンを活用することによって、燃料デブリ多粒子体系を含む弱結合炉体系のような複雑な体系であっても、粒子法との弱連成計算の範囲内で、動特性計算が実行可能となる見通しを得た。
廃炉環境国際共同研究センター 分析研究グループ; NAIS*
JAEA-Research 2025-004, 102 Pages, 2025/08
東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所にて発生する放射性廃棄物の管理を計画する上で、廃棄物中の放射能量の推算が不可欠である。核燃料の損傷に伴う汚染とともに原子炉運転中の放射化による寄与を考慮するが、後者に関して生体遮へいコンクリートは物量が多く重要な対象である。生体遮へいに含まれる放射化生成物の放射能濃度を求めるに当たって、福島第一原子力発電所では現地調査や分析試料の採取が困難であるので、放射能濃度を計算解析により求めることとなる。ここで、実際の構成材料の条件を考慮した検討のためには、微量に含まれる成分の放射化や水による中性子束への影響を考慮する必要があり、計算解析に係わる不確実性の評価が重要となる。本研究では、生体遮へいコンクリートが含む微量な成分及び水分量を調査するとともに、福島第一原子力発電所の2号機原子炉建屋を対象とした3次元の計算モデルを構築し、放射能濃度を推定した。この推定結果に含まれる不確実性を評価するために、不確実性に寄与する因子を抽出し、それらの因子が計算結果に及ぼす不確実性、すなわち、計算モデルの多様性及び計算モデルに用いるパラメータの変動幅が計算結果に及ぼす影響を検討した。その結果に基づいて、不確実性に寄与する支配的な要因を抽出するとともに、コンクリートを廃棄物として取り扱う方策を検討した。
小林 順; 田中 正暁; 浜瀬 枝里菜; 江連 俊樹
JAEA-Data/Code 2025-009, 74 Pages, 2025/08
ナトリウム冷却高速炉の安全性強化の観点から、多様な崩壊熱除去システムの設置が重要となっている。崩壊熱除去システムとして、原子炉容器内に冷却器を設置するDRACS、1次熱輸送系内に冷却器を設置するPRACS、2次熱輸送系内に熱交換器を設置するIRACS、蒸気発生器を用いた除熱、そして原子炉容器の外側から冷却するRVACSが挙げられる。原子炉容器内の上部プレナム部に浸漬させた直接炉内冷却器(D-DHX)を用いたDRACSは、炉心入口流量の確保が要件とはならず、原子炉容器内で冷却過程が完結する利点があるが、炉心部ではD-DHXからの低温ナトリウムが炉心部の集合体間の隙間に潜り込む流れ(IWF)が生じ、炉心-プレナム相互作用と呼ばれる複雑な熱流動現象を考慮することが必要となる。一方、炉心入口流量が確保されるPRACSあるいはIRACSでは、炉心部での複雑な熱流動現象を考慮する必要はないが、プラントの運転条件との関係が重要となる。そこで、崩壊熱除去システムと炉心部、さらにはプラント運転条件との相互作用を考慮したプラント挙動を適切に再現及び予測できる解析手法の構築を目的として、2つの試験条件を対象としてベンチマーク解析を実施することとした。これらの試験は、日本原子力研究開発機構が所有するナトリウム試験装置(PLANDTLDHX)にて、炉心部での集合体間径方向熱移行やIWFを含む炉内自然対流が重要となるDRACS方式と、1次熱輸送系の自然循環流量の確保による熱輸送が重要となるPRACS方式を採用して、定常運転時からのスクラムを模擬したシステム過渡試験である。本報は、ベンチマーク解析の実施にあたり、モデル化に必要となるPLANDTL-DHXの試験体の形状情報(1次熱輸送系のみ)と、計測結果に基づいて、中間熱交換器(IHX)と崩壊熱除去系の各2次熱輸送系入口における流量及び温度変化を解析時の境界条件として記載したものである。
青柳 和平; 村上 裕晃; 田村 友識; 藤枝 大吾; 戸賀瀬 和輝; 櫻井 彰孝
JAEA-Data/Code 2025-007, 62 Pages, 2025/08
幌延深地層研究センターでは、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示された研究課題である、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」に取り組んでいる。さらに、深度500mまで坑道を展開してこれらの研究課題に取り組むこととしている。2023年度以降は掘削工事を再開し、350m調査坑道の拡張工事として、3本の試験坑道(試験坑道6、7、東立坑側第1ボーリング横坑)を掘削するとともに、深度500mに向けた東立坑、西立坑、換気立坑および500m調査坑道の掘削が実施される。本データ集は、現在掘削している切羽や後続施工箇所の設計・施工にフィードバックする情報化施工プログラムを実施していくための基礎データとすること、地下施設建設時に取得した調査・計測データの共有化ならびに散逸防止を図ることを目的として、換気立坑および東立坑掘削時の調査・計測結果を取りまとめたものである。
長谷川 俊成; 長住 達; 石塚 悦男; 江頭 慶一郎*; 古屋 碧海*; 安藤 涼太*; 坂口 旺*; 櫻井 洋亮; 中野 優美*; 飯垣 和彦
JAEA-Technology 2025-004, 20 Pages, 2025/07
「HTTRに関する技術開発」をテーマとした2024年度夏期休暇実習において、3つの大学から4名が参加した。参加者は、HTTR炉心の解析、一次冷却系統のCs沈着挙動解析、高温ガス炉を利用した原子力ロケットの概念検討について実習した。実習後のアンケートでは、就業体験として有益であったこと、職員とのコミュニケーションをとる機会が多かったので有意義な実習になった等の感想があり、本実習は概ね良好な評価を得た。
廃炉環境国際共同研究センター; 自然科学研究機構*
JAEA-Review 2025-009, 48 Pages, 2025/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「中赤外レーザー分光によるトリチウム水連続モニタリング手法の開発」の令和3年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、中赤外レーザーを用いたキャビティリングダウン計測システムによる「濃度60Bq/ccレベル」トリチウム水短時間計測の原理実証を行った。令和5年度は、(1)キャビティリングダウン装置に関する研究及び(2)環境条件下における水素同位体組成評価と標準試料作製(再委託先: 弘前大学)を行った。(1)については、核融合科学研究所の計測実験棟2F実験室に光学ベンチを用意し、各水素同位体濃度のレーザー吸収分光を行うことで、測定感度の評価と計測指針の作成を行った。さらに、令和4年度までに実証した、量子カスケードレーザーの光増幅を発展させ、狭線幅の量子カスケードレーザー増幅と波長可変試験を行った。その結果、波長4.3mの量子カスケードレーザーを鉄イオン添加媒質を用いたレーザー増幅器で光増幅を行い、最大出力390mWを挟線幅30MHz以下で得た。試験結果に基づき、更なる高性能化と他分野への展開についてまとめを行った。(2)においては、標準試料の作製として市販の重水試薬をBG水(トリチウムフリー水)で希釈し、約100Bq/Lの標準試料を作製した。屋内外の同位体比計測については、トリチウム測定用高時間分解能大気水蒸気捕集装置を用いて、パッシブ法(月間)でトリチウムの測定を行い、日々の水素同位体比(
D)測定を行って、弘前市の大気水蒸気について
Dとトリチウム濃度の関係を評価した。以上より、中赤外レーザーを用いたトリチウム水短時間計測の原理実証を行った。
バックエンド技術部
JAEA-Review 2025-006, 126 Pages, 2025/07
本報告書は、日本原子力研究開発機構原子力科学研究部門原子力科学研究所バックエンド技術部における2023年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の活動をまとめたものであり、所掌する施設の運転・管理、放射性廃棄物の処理・管理、施設の廃止措置に関する業務、これらに関連する技術開発及び研究成果の概要を取りまとめた。2023年度の放射性廃棄物の処理実績は、可燃性固体廃棄物が約156m、不燃性固体廃棄物が約84m
、液体廃棄物が約295m
(希釈処理約173m
を含む)であった。新たな保管体の発生数は、200Lドラム缶換算837本であった。公益社団法人日本アイソトープ協会への保管体の返還作業及び保管廃棄していた廃棄物の減容処理を行うことにより、保管体数の削減に取り組んだ結果、最終的に2023年度末の累積保管体数は2022年度から4,261本減の118,664本となった。保管廃棄施設・Lの保管体健全性確認作業は、本格運用を継続して実施した。また、放射性廃棄物処理場が新規制基準に適合していることの確認を受けるため、設計及び工事方法の認可申請を原子力規制庁に対し、順次、実施した。廃止措置に関しては、再処理特別研究棟において、機器の撤去等を実施した。バックエンドに関連する研究・技術開発においては、廃棄物放射能評価法の構築に向けて、採取した廃棄物試料の放射能分析を実施した。また福島第一原子力発電所事故に伴い発生した除去土壌の埋立処分に関する実証事業について、埋立完了後のモニタリングを継続した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*
JAEA-Review 2025-004, 186 Pages, 2025/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「建屋応答モニタリングと損傷イメージング技術を活用したハイブリッド型の原子炉建屋長期健全性評価法の開発研究」の令和3年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、高放射線量率と高汚染のため、現場への接近性が極端に限られるような事故を経験した原子炉建屋の長期構造健全性の見通しを得るために必要な評価手法を開発しようとするものである。3ヵ年計画の最終年度目である令和5年度は、令和4年度までの成果を踏まえ、本研究の最終的な成果をまとめることを目的として、(1)地震等の外乱応答モニタリングによる建屋の振動性状・応答評価法の開発、(2)電磁波を用いたコンクリート構造物の損傷検知技術の開発、(3)損傷検知情報に基づくコンクリート材料・構造物の性能評価法の開発、(4)総合的な建屋安全性評価手法の開発と長期保全計画の提案、(5)研究推進の研究項目について試験、解析や活動を行い、3ヵ年計画の所期の目標を達成した。
廃炉環境国際共同研究センター; 福島大学*
JAEA-Review 2025-002, 108 Pages, 2025/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「化学計測技術とインフォマティックスを融合したデブリ性状把握手法の開発とタイアップ型人材育成」の令和元年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、新しい化学分析法の構築によるインフォマティックスとの融合技術の実現を目指し、少ない情報量で全体像を推定するシステムの開発を実施することを目的とする。JAEA研究者とのタイアップ方式による研究を実施することで、博士前期課程ポスドクまでの研究者の地域実践型の深化する横断的な人材育成を行うとともに、国際感覚豊かな人材の育成を目指し、実施した。
長住 達; 長谷川 俊成; 中川 繁昭; 久保 真治; 飯垣 和彦; 篠原 正憲; 七種 明雄; 野尻 直喜; 齋藤 賢司; 古澤 孝之; et al.
JAEA-Research 2025-005, 23 Pages, 2025/07
高温ガス炉の異常状態での安全性を示すため、HTTRを用いて安全性実証試験を行った。制御棒による停止操作の失敗事象を模擬した状態で、原子炉熱出力100%(30MW)での定常運転時に1次ヘリウムガス循環機を急停止させ、炉心の強制循環冷却機能が全喪失した後の原子炉出力および原子炉圧力容器まわり温度の経時変化データを取得した。事象発生(冷却材の流量がゼロ)後、炉心温度上昇に伴う負の反応度フィードバックにより原子炉熱出力は速やかに低下し、再臨界を経て低出力(約1.2%)の安定な状態まで原子炉出力が自発的に移行することを確認した。また、原子炉圧力容器表面から、その周囲に設置されている炉容器冷却設備(水冷パネル)への放熱により、低出力状態で原子炉温度を一定化させるために必要な除熱量が確保されることを確認した。このように、出力100%(30MW)で炉心強制冷却を停止したケースにおいて、能動的停止操作をせずとも原子炉の状態が事象発生から安定的(安全)状態へ移行すること、すなわち高温ガス炉の固有の安全性を実証した。
青野 竜士; 後藤 勝則*; 木名瀬 暁理; 佐藤 義行; 原賀 智子; 伊勢田 浩克
JAEA-Data/Code 2025-006, 24 Pages, 2025/07
日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する放射性廃棄物は、放射能レベルに応じて将来的にトレンチとピットに分けて浅地中処分される予定であり、埋設処分を開始するまでに、廃棄体の放射能濃度を評価する方法を構築する必要がある。そこで、原子力科学研究所バックエンド技術部では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、保管廃棄施設・Lに保管されている圧縮体より分析試料を採取し、放射化学分析を実施した。本報告書は、令和2年度に取得した12核種(H、
C、
Co、
Sr、
Nb、
Cs、
Eu、
Eu、
Pu、
Pu、
Pu、
Am)の放射能濃度データについて整理し、放射能濃度評価方法の検討のための基礎資料としてまとめたものである。
山下 晋
JAEA-Data/Code 2025-003, 262 Pages, 2025/07
原子炉内における定常時および過酷事故時の熱流動挙動を機構論的に解析できる多相多成分詳細熱流動解析コードJAEA Utility Program for Interdisciplinary Thermal-hydraulics Engineering and Research (JUPITER)を開発した。JUPITERは、流動に関わる経験式や実験相関式などを極力用いることなく、気泡流や溶融物流れといった複雑に変形する自由界面を有する熱流動熱流動を支配方程式に基づき忠実に再現できる。加えて、過酷事故時において重要な現象である異種金属接触面での共晶反応や水蒸気とジルコニウム合金の酸化反応現象を解析することができる。また、微粒子中の流動現象に対し良く用いられる多孔質体流れにも対応することができる。本報告では、JUPITERを構成する支配方程式および物理モデルとそれらの数値計算手法について概説し、付録としてJUPITERの入力マニュアルを示す。