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小野 正人; 後藤 実; 篠原 正憲; 野尻 直喜; 栃尾 大輔; 島崎 洋祐; 柳 俊樹
JAEA-Technology 2013-001, 35 Pages, 2013/03
HTTRでは炉心の動特性計算に必要な温度係数を測定するために、燃焼初期の平成11年及び平成12年に原子炉出力30kW及び9MWで温度係数測定試験を行った。その後、各種運転に伴い燃焼日数(EFPD)は設計寿命660日の半分を過ぎた約375日となった。そこで、温度係数の燃焼度依存性を評価するために、同出力で温度係数測定試験を行った。その結果を燃焼初期のデータと比較し、温度係数の燃焼特性を明らかにした。また、高い精度で温度係数を測定するために、炉心温度の制御の手法及び炉心温度の均一化の手法を確立した。
Rai, D.*; 油井 三和
JAEA-Technology 2013-002, 35 Pages, 2013/05
溶解度法は次のような熱力学データを信頼性高く求めるのに有力な方法の一つである。その熱力学データとは、(1)個々の固相や複塩の溶解度積、(2)種々の配位子の錯生成定数、(3)広範囲なpH域にわたるデータ、(4)極めて難溶性な固相(例えば、4価のアクチニド)を生成する金属のデータ評価、(5)さまざまな廃棄物中での溶解度制限固相の決定、(6)酸化還元に鋭敏な系に対する温度上昇である。本書は、溶解度法によってこのような熱力学データを取得する際のさまざまな特徴を記述することに焦点を当てたものである。本書は、研究テーマの選定、重要な変数を定義するためのモデル、変数や実験パラメータの範囲の選定、予測される結果、一般的な設備要求、実験の実施及び実験データの解釈、といった溶解度試験の実施におけるさまざまな特徴を記述している。
平山 孝; 神成 政明
JAEA-Technology 2013-003, 33 Pages, 2013/06
日本原子力研究開発機構では、各拠点を接続するネットワークシステムの信頼性,情報セキュリティを確保するとともに、日本原子力研究開発機構内外との連携・融合、国際拠点化を促進するため利便性の向上に努めることを基本理念とする最適化計画を策定し、本計画に従ってネットワークシステムの最適化を進めている。このうち、信頼性の確保については障害発生確率の低減及び障害復旧時間の短縮に取り組むとともに、大規模地震発生時における事業継続計画に基づく対策として、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の経験と教訓を活かし、予備系メールシステムとインターネット接続環境を関西光科学研究所(木津地区)に整備した。これに加えて、その他の主要ITインフラのデータとサーバ機能のバックアップを行うシステムについても構築した。本報告書は、このデータ及びサーバ機能のバックアップを行うシステムについてまとめたものである。
水野 朋保; 小山 真一; 皆藤 威二; 上羽 智之; 田中 健哉
JAEA-Technology 2013-004, 16 Pages, 2013/05
ナトリウム高速冷却炉(SFR)の開発では、混合酸化物(MOX)燃料の副概念として、U-Pu(TRU)-Zを成分とする金属燃料スラグと酸化物分散強化型マルテンサイト鋼(ODS)を用いた燃料ピンが検討されている。この燃料ピンの高燃焼度への適用性について、原子力機構で開発した簡易プログラムを用いて評価した。燃料温度履歴,ギャップ幅履歴,照射末期の径方向温度分布を評価した結果、燃料ピンは照射中に燃料溶融に対して十分な裕度を持つことが示された。また、プレナムガス圧履歴と照射後の被覆管の変形プロファイルの評価結果から、燃料ピンのガスプレナム体積を十分に確保しているため、ガス圧による被覆管の変形が生じないことも示された。0.4wt%のAm添加燃料では、燃料中心温度の上昇が計算されたが、U-Pu-Zr燃料と比較してこの温度上昇分はわずかであった。
水野 朋保; 小山 真一; 皆藤 威二; 上羽 智之; 田中 健哉
JAEA-Technology 2013-005, 17 Pages, 2013/05
中空ペレットを用いた混合酸化物(MOX)燃料と酸化物分散強化型マルテンサイト鋼(ODS)被覆管による燃料ピンは、実用化ナトリウム冷却高速炉(SFR)の有望な燃料概念である。(U,Pu)酸化物燃料とAm添加の酸化物燃料による中空ペレットを用いたMOX燃料ピンの高燃焼度条件への適用性について、原子力機構で開発した燃料ピン挙動解析コード"CEDAR"を用いて評価した。燃料温度履歴、被覆管変形履歴、照射末期の径方向温度分布を評価した結果、燃料ピンは照射中に燃料溶融に対して十分な裕度を持つことが示された。また、被覆管内圧履歴と照射後の被覆管変形プロファイルの評価結果から、製造時の燃料ピンギャップ幅が十分に設けられていることにより、燃料-被覆管機械的相互作用(FCMI)は顕著にならないことも示された。
水野 朋保; 小山 真一; 皆藤 威二; 上羽 智之; 田中 健哉
JAEA-Technology 2013-006, 17 Pages, 2013/05
実用化ナトリウム冷却高速炉(SFR)の燃料概念として、マイナーアクチニド(MA)を含有した酸化物燃料と酸化物分散強化型マルテンサイト鋼(ODS)被覆管による燃料ピンが、TRU均質リサイクル計画で検討されている。軽水炉(LWR)から高速炉への移行期間において、LWRの使用済燃料からTRUを抽出する場合、燃料中のMAの含有量は5wt%と評価された。この条件で、燃料温度と被覆管の変形履歴、照射末期における径方向温度分布を燃料挙動解析コード"CEDAR"で解析し、高燃焼度条件での(U,Pu)酸化物燃料及びAmを添加した酸化物燃料の中空ペレットを用いた燃料ピンの照射挙動を評価した。また、被覆管の内圧履歴や照射後の変形プロファイルを評価した。
水野 朋保; 小山 真一; 皆藤 威二; 上羽 智之; 田中 健哉
JAEA-Technology 2013-007, 17 Pages, 2013/05
耐スエリング性の優れるオーステナイト鋼であるPNC316は、ナトリウム冷却高速実証炉(SFR)の初期炉心の被覆管候補材料である。PNC316被覆管と(U,Pu)酸化物燃料の中空ペレットを用いた燃料ピンの照射挙動を、燃料挙動解析コードCEDARにより解析した。この解析により、燃料温度履歴、燃料と被覆管の変形履歴、照射末期における径方向温度分布を評価した。評価の結果、燃料ピンはピーク燃焼度100GWd/tまで健全性が確保されることが示された。
永田 寛; 井上 修一; 山浦 高幸; 土谷 邦彦; 長尾 美春
JAEA-Technology 2013-008, 30 Pages, 2013/06
JMTRの改修は平成22年度に完了し、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に対する補修も完了し、現在、JMTR再稼働に向けた準備を実施している。JMTR再稼働後は、軽水炉の安全研究や基礎基盤研究、医療用ラジオアイソトープ等の生産のための照射試験が実施される予定である。一方で、利用者にとって魅力的な試験炉とするため、利用性の向上を検討してきた。その一環として、照射利用申込から照射試験完了までの期間(ターンアラウンドタイム)短縮について検討した。検討にあたっては、別途試作した照射キャプセルの製作プロセスを分析した。その結果、照射キャプセルの部品の共通化や電気ヒータ等の計装類については既製品を利用し、検査工程の見直し等により、これまで製作に6か月要していた照射キャプセルについては、その製作期間を約2か月短縮できることがわかった。
水野 朋保; 小山 真一; 皆藤 威二; 上羽 智之; 田中 健哉
JAEA-Technology 2013-009, 12 Pages, 2013/06
U-Pu(TRU)-Zrを成分とする金属燃料は、第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)において有望な原子炉として選定されたナトリウム冷却炉(SFR)の候補燃料である。金属燃料の設計研究は日本における高速炉の実用化研究で実施され、照射挙動に関して挙動解析コードを用いた予備評価を実施中である。過出力事象時の温度解析は燃料健全性評価上重要であるため、U-Pu(TRU)-Zr燃料の照射挙動評価を原子力機構で開発した簡易計算プログラムを用いて実施した。過出力事象時の最大出力、すなわち定常運転時の110-120%の出力条件において、燃料温度は最高で1100Kと評価され、燃料溶融が回避できることが示された。
水野 朋保; 小山 真一; 皆藤 威二; 上羽 智之; 田中 健哉
JAEA-Technology 2013-010, 17 Pages, 2013/06
U-Pu(TRU)-Zrを成分とする金属燃料は、第4世代原子力国際フォーラム(GIF)において、有望な原子炉として選定されたナトリウム冷却炉(SFR)の候補燃料の一つである。金属燃料の設計研究は日本における高速炉の実用化研究で実施され、照射挙動に関して、挙動解析コードを用いた予備評価を実施中である。原子力機構においても、U-Pu(TRU)-Zr燃料の照射挙動評価を簡易計算プログラムにより実施した。燃料へのナトリウム侵入を考慮した実効熱伝導度による燃料軸方向温度分布は、照射後の実際の燃料組織と良く整合する結果となった。これより、ナトリウム侵入を考慮した燃料実効熱伝導は、照射挙動評価に適すると考えられる。
水野 朋保; 小山 真一; 皆藤 威二; 上羽 智之; 田中 健哉
JAEA-Technology 2013-011, 10 Pages, 2013/06
燃料中心温度や被覆管最高温度のように、過渡事象時の高速炉燃料ピンの健全性に影響する因子を評価するため、燃料解析コード"CEDAR"による照射挙動評価を実施した。冷却材喪失型(LOF)の過渡事象時における燃料ピンの温度履歴を、炉心過渡計算コード"HIPRAC"に導入した2通りのギャップコンダクタンスモデル(Ross&Stoute型のギャップコンダクスタンスモデル及び一定のギャップコンダクタンスモデル)に基づき計算した。被覆管最高温度と被覆管周辺の冷却材温度は、Ross&Stouteモデルではギャップコンダクタンスの時間変化を考慮することにより、一定のモデルを用いる場合よりも低く計算された。これより、一定のギャップコンダクタンスモデルによる炉心過渡計算では、現実的なRoss&Stouteモデルを用いる場合よりも、被覆管と冷却材温度の評価結果は保守的になることが示された。
水野 朋保; 小山 真一; 皆藤 威二; 上羽 智之; 田中 健哉
JAEA-Technology 2013-012, 13 Pages, 2013/06
中空ペレットを用いた混合酸化物(MOX)燃料と酸化物分散強化型マルテンサイト鋼被覆管による燃料ピンは、実用化ナトリウム冷却高速炉の有望な燃料概念である。この燃料概念を標準の低増殖炉心、break-even炉心((高速炉)平衡期炉心)、高増殖炉心に適用することが検討されている。高増殖炉心における燃料ピンの定常運転時の照射挙動を理解するため、U,Pu酸化物燃料とマイナーアクチニド含有燃料の照射挙動計算を、原子力機構で開発した燃料ピン挙動解析コード"CEDAR"を用いて実施した。燃料温度履歴、燃料と被覆管の変形履歴、照射末期における径方向温度分布を評価した結果、本研究で検討した燃料仕様と照射条件において、MOX燃料ピンは250GWd/tまで健全に照射できる見通しが得られた。また、10.4mmの太径ピンでは、問題となるような挙動は解析されなかった。MA含有燃料の温度は、(U,Pu)酸化物燃料よりも高くなる傾向が示されたが、MAによる燃料挙動への影響は限定的であるという評価結果となった。
竹本 紀之; 菅谷 直人; 大塚 薫; 花川 裕規; 小沼 勇一; 細川 甚作; 堀 直彦; 神永 雅紀; 田村 一雄*; 堀田 浩司*; et al.
JAEA-Technology 2013-013, 44 Pages, 2013/06
日本原子力研究開発機構では、原子炉挙動の理解及び技能向上を図り、原子力発電所を導入しようとしているアジア諸国をはじめとした国内外の原子力人材育成に貢献するため、照射試験炉シミュレータを開発した。本シミュレータは、文部科学省からの最先端研究開発戦略的強化費補助金のうち、世界最先端研究用原子炉の高度利用による国際的研究開発拠点の整備事業の一環として整備したものであり、照射試験炉の一つであるJMTRをベースに設計し、照射試験炉における運転,照射試験,運転時の異常な過渡変化や事故を模擬することにより、これらに対応した原子炉及び照射設備の運転操作訓練を行えるようにした。本報告は、本シミュレータのシミュレーションモデル,ハードウェア仕様及び運転手順についてまとめたものである。
針替 仁; 高木 剛彦; 浜野 知治; 中村 省一; 大場 俊雄; 江橋 政明; 奥田 英一; 木下 知宣
JAEA-Technology 2013-014, 150 Pages, 2013/07
高速増殖原型炉もんじゅにおいて、平成22年8月26日に炉内中継装置(以下「IVTM」という。)本体が原子炉機器輸送ケーシングのグリッパ爪から外れて落下する事象が発生した。その後、IVTM本体の引抜きが「荷重超過」警報の発報により実施できなかったことから、IVTM本体の状況を把握するため、不活性アルゴンガス中にナトリウム蒸気が浮遊する原子炉容器内で観察を行うための観察装置、観察方法等について検討を行い、IVTM本体内側案内管の内面観察とIVTM本体の上部・下部案内管接続部の外面観察を実施することとした。これら観察の結果、案内管接続部で上部案内管下端部が径方向に変形し、燃料出入孔スリーブと干渉することを確認したため、燃料出入孔スリーブと一体で原子炉容器内から引き抜くことを決定した。本報告はIVTM本体を引き抜くために実施した原子炉容器内の観察について、観察装置、観察方法等の検討内容及び結果についてまとめたものである。
佐藤 博之; 大橋 弘史; 田澤 勇次郎; 今井 良行; 中川 繁昭; 橘 幸男; 國富 一彦
JAEA-Technology 2013-015, 68 Pages, 2013/06
本報告では、熱化学法ISプロセスによる水素製造施設を高温ガス炉に接続するうえでの安全設計に対する考え方を具体化するとともに、安全設計方針及び適合のための設計方針、水素製造施設を非「原子炉施設」として扱うための条件とこれに応じた設計対応を示した。また、HTTR-IS水素製造システムを対象に、水素製造施設の非「原子炉施設」化のための設計対応及び安全設計方針適合のための設計方針が工学的に成立することを明らかにした。
大橋 弘史; 佐藤 博之; Yan, X.; 角田 淳弥; 野本 恭信; 田澤 勇次郎; 野口 弘喜; 今井 良行; 橘 幸男
JAEA-Technology 2013-016, 176 Pages, 2013/09
原子力機構は、小型高温ガス炉システムの開発途上国等への2030年代の世界展開を目指し、蒸気タービンによる発電、工業プロセスへの高温蒸気、及び地域暖房への低温蒸気供給を目的とした小型高温ガス炉システムの商用1号機あるいは実証炉と位置づけられるリファレンスの原子炉として、原子炉熱出力50MWtの小型高温ガス炉システム(HTR50S)の概念設計を進めている。本検討では、HTR50Sのプラント設計として、原子炉出口温度750Cで発電,蒸気供給,地域暖房を行うシステムを対象としたうえで、原子炉出口温度900Cへの高温化及び中間熱交換器の追設を考慮に入れ、プラント基本仕様及び各設備の設計要件に基づき、炉内構造物,原子炉圧力容器,炉容器冷却設備,停止時冷却設備,中間熱交換器,蒸気発生器及びヘリウムガス循環機,蒸気発生器隔離及びドレン設備,原子炉格納容器,発電設備及び熱供給設備の概念設計、並びに配置概念検討を実施した。これらの結果、各設備ともに設計目標を達成でき、小型高温ガス炉システムの概念設計の技術的成立性を示すことができた。本報は、小型高温ガス炉システムのプラント設計及び技術的成立性評価の結果について報告する。
大橋 弘史; 佐藤 博之; 田澤 勇次郎; 相原 純; 野本 恭信; 今井 良行; 後藤 実; 井坂 和義; 橘 幸男; 國富 一彦
JAEA-Technology 2013-017, 71 Pages, 2014/02
原子力機構は、小型高温ガス炉システムの開発途上国等への2030年代の世界展開を目指し、蒸気タービンによる発電、工業プロセスへの高温蒸気、及び地域暖房への低温蒸気供給を目的とした小型高温ガス炉システムの商用1号機あるいは実証炉と位置づけられるリファレンスの原子炉として、原子炉熱出力50MWtの小型高温ガス炉システム(HTR50S)の概念設計を進めている。安全設計では、早期の建設を目指して、我が国において既に設置許可を取得している高温工学試験研究炉(HTTR)の安全設計の内容を基本としながらも、強制循環冷却系の残留熱除去設備である停止時冷却設備の非「工学的安全施設」化による防護の最適化、安全上の機能を有する系統・機器である炉容器冷却設備の受動設備化等を行った。さらに、主要な事故事象として選定した1次冷却設備二重管破断事故、及び蒸気発生器伝熱管破損事故についての安全予備評価を実施し、判断基準を満足することを確認した。本報では、小型高温ガス炉システムの安全設計及び安全予備評価の結果について報告する。
加藤 優子; 矢吹 健太郎*; 大川内 靖
JAEA-Technology 2013-018, 118 Pages, 2013/07
高速増殖原型炉もんじゅは、平成7年12月に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故後、運転を停止していたが、平成22年5月6日に14年5か月ぶりに性能試験を再開した。性能試験は、3段階に分けて実施していく計画であり、その最初の段階の炉心確認試験を78日間にわたって実施し、同年7月22日に終了した。炉心確認試験のうち、「制御棒価値確認」では、制御棒価値測定のための基礎データを取得するとともに、各制御棒の反応度価値を測定した。
岡田 祐次; 馬籠 博克; 塙 博; 近江 正男; 菅野 勝; 飯田 一広; 安藤 均; 柴田 光敦; 米川 昭久; 上田 晴康
JAEA-Technology 2013-019, 236 Pages, 2013/10
日本原子力研究開発機構では、軽水炉利用の高度化及び高経年化に対応するため、軽水炉燃料及び材料の照射試験を実施する準備を進めている。JMTRは第165運転サイクル後の2006年8月に停止し、再稼働に向けて照射施設の整備を進めており、燃料・材料の中性子照射試験を行うための燃料異常過渡試験装置及び材料照射試験装置を2008年度から2012年度の間に製作、設置する予定である。本報告書は、2008年度から2010年度までに実施した照射誘起応力腐食割れ(IASCC: Irradiation Assisted Stress Corrosion)研究のための材料照射試験装置の水環境調整設備等の整備についてまとめたものである。
野口 弘喜; 久保 真治; 岩月 仁; 小貫 薫
JAEA-Technology 2013-020, 38 Pages, 2013/07
熱化学水素製造法ISプロセスでは、硫酸,二酸化硫黄,ヨウ化水素酸等の有害な化学物質を使用するため、試験研究を行う際には作業者の安全、外部への影響について十分な対策を講じる必要がある。現在、実用材料製の主要反応機器について、実プロセス環境における信頼性確認を目的としたISプロセス信頼性試験を進めており、ISプロセス信頼性試験装置(硫酸分解系機器)の設計・製作が完了した。本試装置では、腐食性流体(硫酸(HSO), 二酸化硫黄(SO)等)を取扱い、また、加圧条件で試験運転を行うため、本試験開始に先立ち、試験装置の安全対策、作業の安全対策及び異常時の対策について検討を行った。本報告書はこれらの検討結果を取りまとめたものである。
綿引 俊介; 花川 裕規; 今泉 友見; 永田 寛; 井手 広史; 小向 文作; 木村 伸明; 宮内 優; 伊藤 正泰; 西方 香緒里; et al.
JAEA-Technology 2013-021, 43 Pages, 2013/07
世界の試験研究炉は、老朽化に伴う廃炉により、その数は減少しているが、原子力発電の導入を計画している国では、原子力人材育成、科学技術の向上、産業利用、軽水炉の安全研究のために、試験研究炉の必要性が高まっている。日本原子力研究開発機構では、平成22年度より試験研究炉設計のための環境整備及び人材育成のため、汎用小型試験研究炉の検討を開始し、平成24年度までに概念検討を行う予定である。平成23年度は、汎用小型試験研究炉の炉心構成の検討、汎用性及び実用性の高い照射設備の検討及びMo製造のためのホットラボ設備の検討を実施した。その結果、炉心構成の検討結果として、照射物を考慮した原子炉の未臨界度及び連続運転時間について確認するとともに自動制御運転中における反応度外乱に対する原子炉の過渡応答について、定格出力運転中の汎用小型試験研究炉は、自動制御運転が十分に可能であることを確認できた。また、照射設備の検討としては、Mo-99のような短半減期ラジオアイソトープの効率的な大量生産の実現が期待できることを確認し、ホットラボ設備の検討においては、Mo製造,RI搬出等を考慮したうえで迅速に試料を配布できるセル・設備を考案した。
久慈 雅栄*; 浅井 秀明*; 橋詰 茂; 堀内 泰治; 佐藤 稔紀; 松井 裕哉
JAEA-Technology 2013-022, 72 Pages, 2013/10
岩盤分類は、岩盤地下構造物の設計や施工管理を行ううえで一般的に用いられるが、既往の岩盤分類法は定性的な評価項目が多く、サイト固有の岩盤性状を定量的に評価するうえで限界がある。一方、高レベル放射性廃棄物の地層処分などの大型の岩盤地下構造物の合理的・効果的な設計施工や安全確保の観点からは、地上からの調査や掘削中の壁面観察結果からサイト固有の岩盤の力学的性質を反映しつつ設計等に必要な岩盤物性を決定しうる岩盤分類法の構築が課題のひとつとなっている。本研究では、「岩盤の工学的分類法」をベースとした新しい定量的岩盤分類法(新分類法)を考案し、瑞浪超深地層研究所の堆積岩部及び結晶質岩部に適用した。新分類法の適用性評価は、電研式岩盤分類法の岩盤等級区分と比較することにより行った。その結果、換気立坑側の堆積岩部において、CL級の評価範囲に低い評価点が分布する傾向はあるものの、両分類法による評価は良好な相関性を示すことがわかった。一方、結晶質岩部においては、新分類法の評価点分布が岩盤状況の変化のトレンドをおおむね捉えているものの、個々に見ると電研式との相関性は堆積岩部よりも劣っていることが明らかになった。
須黒 寿康; 西川 義朗*; 綿引 聖*; 加川 昭夫
JAEA-Technology 2013-023, 22 Pages, 2013/10
TRU廃棄物処分の安全評価上不可欠なプルトニウム(Pu)について、セメント硬化体の間隙水中における溶解度データを取得する試験を実施した。試験で使用したセメント混和剤は、TRU廃棄物処分場で使用される可能性のあるポリカルボン酸系化合物を選定した。Puの初期添加濃度は10Mとし、液相には、普通ポルトランド,脱イオン交換水,セメント混和剤を混練して硬化させたセメント硬化体から採取した間隙水と比較のため、セメント混和剤を添加しないで硬化させたセメント硬化体から採取した間隙水の2種類を使用した。その他の溶解度試験条件として、試験期間は最大で154日、常温(2985K)のAr雰囲気中(O濃度1ppm以下)とし、バッチ式溶解度試験を行った。その結果、試験期間154日目の間隙水中のPu濃度は、セメント混和剤の有無にかかわらず10mol/dmオーダーであった。また、Pu(IV)の高pH条件における溶解度(約10mol/dm)と比べても同等程度であり、セメント混和剤によるPu溶解度への影響は見られなかった。
柴田 晃; 三浦 邦明*; 武内 伴照; 大塚 紀彰; 中村 仁一; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2013-024, 21 Pages, 2013/10
東京電力福島第一原子力発電所の事故においては、全電源喪失により、原子炉圧力容器内水位及び使用済燃料プールの水位が測定できなくなり、事故対策及び事故後の状況の把握に大きな困難をもたらした。このため、全電源喪失時にも、小電力で作動可能な信頼性の高い水位計の開発を行った。既存の水位計を調査し、小電力作動する信頼性の高い水位計の設計と試作を行った。また、試作した水位計を用いて、性能評価試験を行い、常温から95Cの水温範囲において20mmの精度で水位を測定できることを確認した。この結果、新型水位計を使用済燃料プールや過酷事象時の原子炉圧力容器の水位計として使用する見通しを得た。
木村 明博; 新関 智丈*; 掛井 貞紀*; Chakrova, Y.*; 西方 香緒里; 長谷川 良雄*; 吉永 英雄*; Chakrov, P.*; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2013-025, 40 Pages, 2013/10
照射試験炉センターでは、JMTRを用いた(n,)法によるMo製造に関する技術開発を行っている。(n,)法は簡便な反面、製造されるMoの比放射能は低く、そこから得られるTc製品の放射能濃度も低下する欠点がある。そこで、効率よくMoを吸着するための吸着剤として、PZC及びPTCを開発した。一方、これら吸着剤は使用した後、放射性廃棄物として廃棄されるため、再利用による放射性廃棄物の低減化を実用化するとともに、希少資源であるMo原料をリサイクルする必要がある。本報告書は、試作した再利用可能なPZC及びPTCの合成方法並びにMo吸着/溶離特性、Mo吸着/Tc溶離特性及びリサイクル性等を調査するために行ったコールド試験及びホット試験についてまとめたものである。
高藤 清人; 村上 龍敏; 鈴木 紀一; 柴沼 公和; 畑中 延浩; 山口 文吾; 飛田 良正; 篠崎 雄; 飯村 直人; 沖田 高敏; et al.
JAEA-Technology 2013-026, 42 Pages, 2013/10
高速炉実用化燃料は、高燃焼度化に対応する目的で、燃料ペレットのO/M比の仕様が1.95と、「もんじゅ」燃料仕様の1.98よりも低く設計されている。このような低O/M比の燃料ペレットの製造試験として、還元メカニズムの異なる二種類のO/M比調整試験を行った。1つ目の試験では、焼結ペレットを熱処理することでO/M比を低く調整する技術について評価した。もう一方の試験では、炭素を多量に含むペレットを焼結すると、残留炭素の還元反応によりO/M比が低下するという知見から、多量の有機添加剤を含むペレットを焼結し、残留炭素の還元反応によりO/M比を低く調整する技術について評価した。1つ目の試験の結果、O/M比の低下が見られたが、低下量は小さく、O/M比1.95に調整するには長時間の熱処理が必要と推測された。これは、熱処理中にペレットから放出される酸素を含むガスが焼結皿間に滞留し、このガスの酸素ポテンシャルと平衡となるようにO/M比が変化するためと考える。もう一方の試験の結果、残留炭素の還元反応によるO/M比の低下が確認された。また、O/M比を効果的に下げるには、焼結炉内の雰囲気ガスの酸素ポテンシャルを低く管理することが重要であることがわかった。
石神 努; 助川 武則*; 向井 雅之
JAEA-Technology 2013-027, 124 Pages, 2013/10
原子力施設の廃止措置を安全にかつ効率的に実施するには機器等の解体撤去に要する作業人工数、作業者の被ばく線量等(これらを廃止措置プロジェクト管理データという、以下、管理データ)を予測し、それに基づき廃止措置計画を検討・策定することが重要である。この予測は、作業人工数等の評価式を用いてなされるが、評価式には廃止措置実績データを分析して得られた単位作業係数等のモデルパラメータが含まれている。モデルパラメータの値には不確かさが含まれているが、この不確かさ及びそれに起因した管理データ予測結果の不確かさの評価はほとんどなされていない。しかし、管理データ予測結果に含まれる不確かさの情報は廃止措置計画をより柔軟に検討・策定するうえで重要である。そこで、動力試験炉(JPDR)の解体実績データを用いて、機器等の解体撤去に要する作業人工数及び作業者の外部被ばく線量にかかわるモデルパラメータの値の不確かさについて、その評価方法を検討し評価を行った。本報告書は、その評価方法と評価結果をまとめたものである。
渡辺 聡彦; 酒井 健二; 大井 元貴; 明午 伸一郎; 高田 弘
JAEA-Technology 2013-028, 21 Pages, 2013/11
物質・生命科学実験施設(MLF)の全体制御システムは、OSなどの選択の自由度が小さく、メンテナンスコストがかかる欠ける欠点があったため、この課題を解決する目的で全体制御システムの基盤ソフトウエア及び運転制御に用いる各種ソフトウエアの見直しを行った。この検討では、複数台の専用の監視操作用PCから多数の現場制御盤を制御できること、共有サーバーが7000以上の運転情報を収集・蓄積し、これをWEB画面などの形式に変換し配信するといった機能を維持できること、を前提条件とした。さらに、プロトタイプシステムを製作し、実際の運転で使われているデータを用いて、PLCとの通信速度、画面表示機能、DSサーバー取込速度・容量、長期運転時の安定性など、具体的に性能を評価し、その妥当性を確認した。この結果、次期の全体制御システムでは、EPICSを基盤ソフトウエアとし、根幹的な要素を成すデータ入出力モジュール、ユーザーインターフェース用画面作成ソフトウエア及びデータストレージサーバー用ソフトウエアに、各々Takebishi製のOPCサーバー、Control System Studio(CSS)及びPostgreSQLを採用するという結論を得た。
佐川 直貴; 井崎 賢二; 水庭 春美*
JAEA-Technology 2013-029, 28 Pages, 2013/11
MOX燃料製造施設の放射線管理において汚染の可視化及びその定量化は、作業環境の汚染管理における汚染状況の迅速な把握に極めて有効である。現在用いているIPの基本的な取扱方法や解析方法、Puの検出及び定量方法は、露光条件や解析条件が一定であることが条件である。しかし、現場で汚染が発生した場合、汚染試料はPuのみの状態ではなく、RnTnやPbが含まれている場合もある。そして、IP操作をしている同室で他作業を行っている場合には、室内を暗くすることが困難なため、IP露光面に光が当たりPSLの減少が起こる。本研究では、MOX燃料製造施設におけるさらなる放射線防護の高度化を図るため、露光条件の変化として、Pu露光時に鉛が混在した場合やIP露光面に光が照射されPSLの減衰が起きた場合について調査した。また、解析条件の変更として、解像度を変更した場合における解析方法について調査した。
中西 千佳; 佐藤 猛; 佐藤 宗平; 永井 晴康; 掛札 豊和; 堅田 元喜; 都築 克紀; 池田 武司; 奥野 浩; 山本 一也; et al.
JAEA-Technology 2013-030, 105 Pages, 2013/10
原子力緊急時支援・研修センター及び原子力基礎工学研究部門は、文部科学省からの要請に基づき、北朝鮮による三回目の地下核実験に対するモニタリング計画の策定に資する目的から、WSPEEDI-IIを用いた放射性物質の放出を仮定した拡散予測を行った。これらの予測結果は、平成25年2月12日から22日までの毎日、文部科学省及び防衛省に提供し、文部科学省のホームページにて公開された。一方、両部門では、平成24年4月から平成25年3月までの11か月間、夜間・休日を含め、地下核実験の実施に備えた体制の維持に努めた。本報では、これらの一連の対応の概要及び得られた課題について整理した。
岡野 文範; 池田 佳隆; 逆井 章; 花田 磨砂也; 市毛 尚志; 三代 康彦; 神永 敦嗣; 笹島 唯之; 西山 友和; 柳生 純一; et al.
JAEA-Technology 2013-031, 42 Pages, 2013/11
臨界プラズマ試験装置(JT-60)の本体解体(総重量として約6200トン)に平成21年度から着手し、平成24年度(平成24年10月)に完遂した。JT-60は、日欧共同で進めるサテライト・トカマク計画として、長パルス化と高圧力プラズマを目指した超伝導核融合実験装置JT-60SAに改修するため、JT-60トカマク本体及び周辺設備を解体・撤去する必要があった。JT-60解体は、核融合実験装置として放射線障害防止法に基づいて実施した最初のケースである。具体的な解体作業では、トロイダル磁場コイル(TFコイル)の補強溶接部の切断と真空容器の2分割が、工程的、技術的に大きな課題であったが、それぞれの解決策を見いだして作業を進め、平成24年10月に3年にわたる解体を無事故・無災害で完遂することができた。本報告書は、JT-60解体の概要を本体装置中心に解体全般についてまとめたものである。
岡野 文範; 正木 圭; 柳生 純一; 芝間 祐介; 逆井 章; 三代 康彦; 神永 敦嗣; 西山 友和; 鈴木 貞明; 中村 誠俊; et al.
JAEA-Technology 2013-032, 32 Pages, 2013/11
日本原子力研究開発機構は、ITERを支援・補完する超伝導核融合実験装置(JT-60SA)の組立を2013年1月から那珂核融合研究所で開始した。既に解体された旧JT-60トカマク装置の一部(NB加熱装置等)とその施設を最大限に利用して、JT-60実験棟本体室にJT-60SAを組み立てる。組立の最初として、JT-60SAの基礎部であるクライオスタットベースを本体室ソールプレート上に設置した。クライオスタットベースは、直径約12m、高さ約3m、重量約250トンのステンレス製の架台である。欧州(スペイン)で製作され、7個の主要部品に分割して日立港に海上輸送され、日立港から大型トレーラーで那珂核融合研究所まで運搬した。仮固定作業では、本体室のベンチマークと仮固定位置を計測し、この結果に基づいてソールプレートの平面度とその高さを調整した後に、7個の主要部品を組み立て、設置した。レーザートラッカーを駆使して、絶対座標により定めた組立基準位置を目標に平面度と高さを調整して高精度で組み立てることができた。本報告書では、クライオスタットベースの輸送と組立作業について具体的な作業内容とその結果を報告する。
武部 愼一; 佐々木 利久; 齋藤 龍郎; 山口 尚子
JAEA-Technology 2013-033, 87 Pages, 2013/11
原子力施設の非管理区域における資材等は、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に係るフォールアウトによる原子力施設における資材等の安全規制上の取扱について」(経済産業省、平成24・03・26原院第10号、平成24年3月30日)に示されている判断基準(年間10マイクロシーベルト)以下であれば、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号)等の関係法令などに従って、適切に処分すること又は資源として有効活用することができる。本報告では、非管理区域における資材等を適切に処分又は資源として有効活用するため、「放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルについて」(文部科学省放射線安全規制検討会、平成22年11月、平成24年3月一部訂正)、や「原子炉施設及び核燃料使用施設の解体等に伴って発生するもののうち放射性物質として取り扱う必要のないものの放射能濃度について」(原子力安全委員会、平成16年、平成17年一部訂正及び修正)を参照し、年間10マイクロシーベルトの線量に相当する資材等中の放射能濃度を一例として試算した結果を提示した。
本間 史隆; 猪井 宏幸; 渡辺 周二; 福谷 幸司*
JAEA-Technology 2013-034, 57 Pages, 2013/12
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震においては、地震発生直後に発生した商用電源喪失事象により、震度5強の強く長時間の揺れの中で非常用発電機が自動起動したとともに、起動直後においても複数回の強い余震に見舞われた。非常用発電機は、十分な電力を必要な負荷に安定して供給できたが、非常用発電機設備にかかわる被災状況の把握に重点を置いた点検の一環として、ガスタービンエンジンの燃焼状態を確認したところ、燃焼器の一部である燃焼器ライナーに減肉が認められた。減肉は、地震を契機に短時間で発生しており、かつ減肉の様子は運転時間の蓄積後に確認される減肉とは明らかな差異を有しており特異であった。減肉の原因特定及び燃焼器ライナーの仕様変更を行うことで、減肉にかかわる知見の蓄積及び減肉に対する耐力を向上させた。この対策は、さらなる大地震に対する非常用発電機の信頼性向上に資するものである。
吉田 一雄; 阿部 仁
JAEA-Technology 2013-035, 14 Pages, 2013/12
再処理施設では、長時間の全交流電源の喪失による放射性廃液を内包する貯槽の冷却機能の喪失で、廃液が沸騰する事故が想定される。この事故では、放射性物質は沸騰により発生する蒸気等に搬送され施設外へ移行すると考えられ、事故影響を評価する上では、貯槽を含めた施設内で水蒸気等の熱流動およびエアロゾルの挙動を解析する必要がある。事故解析では、沸騰で生じる水および硝酸の蒸発量は、乾固までの時間余裕、放射性物質の気相への移行量を左右する重要なパラメータであり、これを精度よく求めるには、硝酸の気液平衡に関するデータが不可欠である。本報では、再処理廃液の組成を模擬した異なる2種類の多成分硝酸塩水溶液の気液平衡データの取得を試みた結果を報告する。
仲田 久和; 天澤 弘也; 坂井 章浩; 黒澤 亮平; 菅野 直弘*; 加島 孝浩*; 坂本 義昭
JAEA-Technology 2013-036, 47 Pages, 2014/02
埋設事業推進センターが設置を計画している研究施設廃棄物の浅地中処分施設においては、埋設設備として比較的濃度のレベルの低い廃棄物を埋設するコンクリートピット型埋設設備と極めて放射能濃度のレベルの低い廃棄物を埋設するトレンチ型埋設設備を設けることとしている。このうち、トレンチ型埋設設備においては、埋設する廃棄物中に含有する生活環境影響物質の観点から、素掘りのトレンチ埋設設備と、これに遮水工部材を具備した設備の2種類の埋設設備を設置する予定である。遮水工部材は、長期にわたり自然環境条件に曝されることから、埋設設備の設計にあたっては、その長期耐久性に係る基本特性を事前に把握しておくことが必要である。本報告書は、研究施設等廃棄物の浅地中処分施設の概念設計で用いた遮水工部材(遮水シート)を対象として、耐候性試験により透水性,引張強さを測定し、遮水シートの劣化特性値と時間との関係を確認して、将来の浅地中埋設処分施設の基本及び詳細設計に活用するものである。
津田 修一; 吉田 忠義; 中原 由紀夫; 佐藤 哲朗; 関 暁之; 松田 規宏; 安藤 真樹; 武宮 博; 谷垣 実*; 高宮 幸一*; et al.
JAEA-Technology 2013-037, 54 Pages, 2013/10
東京電力福島第一原子力発電所事故後における広域の詳細な空間線量率マップを作成するために、原子力機構は走行サーベイシステムKURAMA-IIを用いた測定を文部科学省の委託を受けて実施した。KURAMAは、一般乗用車に多数搭載して広範囲の空間線量率を詳細かつ短期間に把握することを目的として京都大学原子炉実験所で開発されたシステムである。KURAMAは、エネルギー補償型線検出器で測定した線量率をGPSの測位データでタグ付けしながら記録する測定器、データを受け取り可視化のための処理や解析を行うサーバ、エンドユーザがデータを閲覧するためのクライアントから構成される。第2世代のKURAMA-IIでは更なる小型化、堅牢性の向上、データ送信の完全自動化等の機能が強化されたことによって、100台の同時測定が可能となり、広域の詳細な線量率マッピングをより短期間で実施することが可能になった。本報告では、KURAMA-IIによる測定データの信頼性を確保するために実施した基盤整備と、KURAMA-IIを空間線量率マッピング事業に適用した結果について述べるとともに、多数のKURAMA-IIを使用した走行サーベイの精度を保証するための効率的なKURAMA-IIの管理方法を提案した。
奥田 英二; 鈴木 寿章; 藤中 秀彰
JAEA-Technology 2013-038, 42 Pages, 2014/01
高速実験炉「常陽」では、計測線付実験装置不具合に起因した燃料交換機能の一部阻害に係るトラブルを一つの契機として、ナトリウム冷却型高速炉における原子炉容器内保守・補修技術の開発及び実機適用経験の蓄積を進めている。本作業は、当該トラブルの復旧措置として実施する炉心上部機構交換作業の際に、干渉物となる燃料交換機孔ドアバルブ、旧ホールドダウン軸駆動箱や炉内検査孔(A)ドアバルブを一時撤去するものである。これらは、「常陽」建設以来30年以上据え付けられている設計上交換することが想定されていないバウンダリ構成機器である。本作業を通じ、原子炉容器カバーガス中の放射能濃度が放射線業務従事者の線量限度内に収まることを条件とした原子炉容器での合理的な保守方策を確立した。具体的には、小回転プラグ上面に仮設グリーンハウスを設け、当該雰囲気を負圧とし、原子炉容器カバーガスに不純物混入を防止する手法を開発した。本作業により蓄積された稀少な経験、知見は、ナトリウム冷却型高速炉における原子炉容器内保守・補修技術に大きく資するものと期待される。
坂井 章浩; 黒澤 亮平; 原 弘典*; 仲田 久和; 天澤 弘也; 有川 眞伸*; 坂本 義昭
JAEA-Technology 2013-039, 228 Pages, 2014/02
日本原子力研究開発機構は、研究施設等廃棄物のコンクリートピット及びトレンチ埋設処分施設の立地基準及び手順の策定を進めている。この立地基準の技術的根拠とするため、旧原子力安全委員会が示した基本的立地条件を踏まえ、地質や水理などの管理期間終了後の安全評価に影響を与える様々な環境条件について、統計的な手法により安全評価の感度解析を実施した。その結果、想定した全ての評価経路で、概念設計における埋設施設の仕様、または追加の人工バリアを施工する対応により、97.5%以上の計算ケースについてめやす線量(10Sv/y)以下とできる結果が得られた。これより、基本的立地条件の地質や水理等の埋設施設の安全評価に影響を及ぼす項目については、埋設施設の設計により合理的に対応が可能であると考えられる。また、埋設事業所の規模に係る立地条件を検討するため、埋設施設の操業中の安全評価において、埋設施設等の配置及び形状毎に、各施設からの直接線及びスカイシャイン線による敷地境界での線量を評価した結果、概念設計の施設仕様で各施設から敷地境界まで120m以上離れていれば、敷地境界でめやす線量(50Sv/y)以下となる結果が得られた。
中村 保之; 手塚 将志; 岩井 紘基; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2013-040, 80 Pages, 2014/02
福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)は炉心溶融に至ったと報告されており、炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このような状態の中、溶融再凝固した炉内構造物の取出しに向けて、水中切断が可能なプラズマアーク切断技術(以下、「プラズマ切断」という)について、装置の切断能力を把握するために、切断試験により切断雰囲気(気中、水中)やスタンドオフ等の切断条件が切断能力に及ぼす影響を確認した。切断試験では、最大出力電流600Aのプラズマ電源を用いてプラズマ出力、プラズマガス及びシールドガスの各流量、スタンドオフ等の試験条件をパラメータとした。また、試験体材質は、1Fの炉内構造物に主に使用されているSUS304及び比較のために汎用炭素鋼であるS45Cの2種類の一般鋼材を用いるとともに、試験体形状は、連続的に切断深さのデータが取得できる矢型形状を用いて、各条件の下で切断性能を確認した。今後は、実機適用を考慮し、1Fの燃料被覆管と主な炉内構造物との炉内溶融金属を模擬した試験体等を用いて切断データを取得し、切断性能の確認、評価を行う計画である。
岩井 紘基; 中村 保之; 手塚 将志; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2013-041, 57 Pages, 2014/02
福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)は炉心溶融に至ったと報告されており、炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このような状態の中、溶融再凝固した炉内構造物の取出しに向けて、水中で厚板切断が可能なアブレイシブウォータージェット(以下、「AWJ」という)切断技術について、装置の切断能力を把握するために、切断試験によりポンプ吐出圧力やスタンドオフ等の切断条件が切断能力に及ぼす影響を確認した。切断試験では、AWJ切断装置を用いてポンプ吐出圧力、切断速度、試験体形状、試験体材質、スタンドオフ、切断雰囲気(気中及び水中)等の試験条件をパラメータとした。また、試験体は、1Fの炉内構造物に主に使用されているSUS304及び、比較のために汎用炭素鋼であるS45Cの2種類の一般鋼材を用いるとともに、試験体形状は、連続的に切断深さのデータが取得できる矢型形状及び一般的な平板形状を用いて、切断性能を確認した。今後は実機適用を考慮し、1Fの燃料被覆管と主な炉内構造物との炉内溶融金属を模擬した試験体等を用いて切断データを取得し、切断性能の確認、評価を行う計画である。
小野 正人; 篠原 正憲; 飯垣 和彦; 栃尾 大輔; 中川 繁昭; 島崎 洋祐
JAEA-Technology 2013-042, 45 Pages, 2014/01
HTTRは東北地方太平洋沖地震後の確認試験から約2年経過しており、その間に発生した余震や経年による損傷・劣化等の影響を受け、動的機器等の機能、配管・容器等の気密性、制御系の機能等の健全性が維持されているかは未確認であった。それらの健全性を確認するため、設備を起動して取得したプラントデータを過去のデータと比較することで異常の有無を評価した。その結果、冷却設備の全てのデータに異常は認められず、動的機器等の機能、配管・容器等の気密性、制御系の機能等の健全性が維持されていることを確認した。
柴田 晃; 武内 伴照; 大塚 紀彰; 斎藤 隆; 小野田 忍; 大島 武; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2013-043, 24 Pages, 2014/01
東京電力福島第一原子力発電所(以降、東電福島第一原発)事故を受け、福島原発廃止措置終了までの主要な現場作業や研究開発等のスケジュールが政府から明示されている。しかしながら、格納容器内の線量が高く、燃料が溶融したデブリの位置を把握することが困難であることが、廃炉に向けた工程の策定において技術的障害となっている。このため、東電福島第一原発格納容器内の線量率を計測し、燃料デブリの位置等の炉内状況を把握することを目指して、自己出力型線検出器(SPGD)の開発に着手した。本報告書は、エミッタの形状をパラメータとしたSPGD出力値の形状依存性及び温度依存性を線照射試験により明らかにし、SPGDの実用化に向けたエミッタ特性評価についてまとめたものである。
露口 耕治; 黒岩 弘; 川本 康司; 山田 信人; 大貫 賢二; 岩月 輝希; 竹内 竜史; 尾方 伸久; 須藤 正大; 見掛 信一郎
JAEA-Technology 2013-044, 89 Pages, 2014/02
本報告書は、深度500m研究アクセス北坑道における先行ボーリング(12MI27号孔, 12MI33号孔)の調査結果を取りまとめたものである。調査では、地質学的,水理学的,地球化学的データを取得するとともに、12MI33号孔では第3段階の再冠水試験のための地下水の水圧・水質モニタリング装置を設置した。調査の結果、割れ目の少ない中粒から粗粒の等粒状組織を示す黒雲母花崗岩が分布し、岩級はCHB級である。また、12MI33号孔では当初モデルで推定していなかった断層ガウジを伴う小規模断層が認められた。主立坑断層に近い12MI27号孔での割れ目密度は、12MI33号孔に比べ大きくなる傾向がある。孔内湧水は両孔ともに少ない。透水係数は、非変質帯で湧水量が少ない区間で4.8E-106.1E-09m/sec、非変質帯で湧水量が多い区間で1.1E-072.7E-07m/secの範囲であった。地下水の水質は、Na, Clに富む水質であった。
檜山 和久; 塙 信広; 黒澤 昭彦; 江口 祥平; 堀 直彦; 楠 剛; 植田 久男; 島田 浩; 神田 博明*; 齊藤 勇*
JAEA-Technology 2013-045, 32 Pages, 2014/02
本報告書は、炉室内で作業する者の入域管理と被ばく管理を同時に行い、さらに、炉室内での位置情報と作業員が倒れていないか等の情報を取得できるリアルタイム多機能入域管理システムの開発についてまとめたものである。
笠井 昇; 岩撫 暁生; 植木 悠二; 佐伯 誠一; 保科 宏行; 瀬古 典明
JAEA-Technology 2013-046, 25 Pages, 2014/02
放射線グラフト重合法を適用して、セシウムに対して親和性が高い、リンモリブデン酸アンモニウムを担持した吸着材を開発した。実験室レベルで最適化した吸着材の作製条件をもとに150倍程度スケールアップしたベンチスケール規模の重合装置により、実験室規模の1,000倍量に相当する吸着材を作製し、実験室で作製したものと性能を比較評価した。また、作製した吸着材を用いて環境水中に溶存している放射性セシウムの吸着性能評価を福島県内でフィールド試験により行った。重合装置により得られた吸着材は、1ppmの安定性セシウムの水溶液を用いた吸着試験で、90%以上の吸着率を示した。また、吸着材を筒状のカラムに充填した吸着容量評価試験より、吸着材体積の3,000倍量の汚染水中のセシウムを吸着できることが分かった。さらに、福島県内で実施したフィールド試験では、水中に溶存する放射性セシウムを検出限界値以下まで除去できることを明らかにした。
井尻 裕二*; 納多 勝*; 延藤 遵*; 松井 裕哉; 見掛 信一郎; 橋詰 茂
JAEA-Technology 2013-047, 819 Pages, 2014/03
超深地層研究所計画では、「研究坑道の設計・施工計画技術の開発」、「研究坑道の建設技術の開発」、「研究坑道の施工対策技術の開発」、「安全性を確保する技術の開発」を目的として、工学技術に関する研究を進めている。本研究では、これら4項目の工学技術研究として、深度460mまでの研究坑道の施工によって取得された計測データを用いて、設計の妥当性の検討や施工管理のための計測結果の分析と課題の抽出、パイロットボーリングから得られた情報の有効性に関する評価を行うとともに、研究坑道掘削工事で適用される技術の抽出と有効性評価を実施し、今後の技術開発の方向性について検討を加えた。
木村 明博; 西方 香緒里; Nikolayevich, A.*; Vladimirovna, T.*; Chakrova, Y.*; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2013-048, 30 Pages, 2014/03
原子力機構とカザフスタン共和国核物理研究所(INP)との国際協力の一環として、(n,)法により製造したMoからのTc製造プロセスの現実性を確認するため、高密度MoOペレットの照射試験及び照射済MoOペレットを用いた照射後特性試験を行った。照射試験は、INPにあるWWR-Kにて高密度MoOペレットを熱中性子照射量4.910n/cm・sの条件で照射した。照射後、照射後特性試験として、まず、ペレットの外観検査、重量測定及び溶解特性試験を行った。その結果、本照射量の範囲では、照射済MoOペレットの外観上、割れや欠け等の著しい変形もなく、健全であった。照射済MoOペレットを約100度のNaOH溶液で溶解した結果、溶解時間は日本で実施した50度での溶解時間よりも短いことが分かり、溶解温度が溶解特性に与える重要な因子であることが分かった。次に、Mo吸着剤を用いたMo吸着/Tc溶離試験を行い、これまでの研究と同等の結果が得られ、本法によるMoからのTc製造プロセスの現実性に関し明るい見通しを得ることができた。
金山 文彦; 岡田 尚; 福嶋 峰夫; 吉元 勝起*; 羽生 敏紀; 川野邊 崇之
JAEA-Technology 2013-049, 60 Pages, 2014/03
東京電力は、2号機原子炉建屋5階のオペレーティングフロアからの燃料取り出し準備として遮へい・除染計画を立案するため、当該フロアの状況調査を行い、空間線量率が数十mSv/hから数百mSv/hであることをロボットで確認しているが、汚染部位計測には至っていない。そこで、原子力機構は自ら開発したガンマカメラである-eyeIIの汚染部位計測への適用性を事前に確認したうえで、当該フロアの詳細な汚染分布や汚染密度の情報収集を実施した。事前確認の結果、-eyeIIが比較的高い空間線量率環境下にあっても、当該フロアに想定された高い汚染部位を計測可能であることを確認した。そして当該フロアの汚染部位計測の結果、調査範囲の主たる汚染源は原子炉ウェル上部であり、推定表面汚染密度は約10Mから100MBq/cmであること、またブローアウトパネル開口部近辺の床面にも原子炉ウェル上部と同程度の汚染があると推定されること、さらに当該フロアの西側床面の推定表面汚染密度は10MBq/cm未満であることが評価できた。以上の調査を通し、-eyeIIの性能を実証するとともに、ガンマカメラ開発に係る種々の知見を得ることができた。
在間 直樹; 中島 伸一; 中塚 嘉明; 藤木 直樹*; 門 一実
JAEA-Technology 2013-050, 39 Pages, 2014/03
200リットルドラム缶収納の廃棄物中全ウランを定量する非破壊分析(NDA)装置NWASを開発、実ウラン廃棄物の測定に適用して実績をあげた。廃棄物中ウランアルファ線と共存するフッ素等とのU-234(,n)反応で生じる中性子とU-238自発核分裂中性子を、ポリエチレン減速材により熱中性子化し、16本のHe-3比例計数管を用い測定する。また、Ge半導体検出器によりウラン濃縮度を測定する。前報ではその成果の一端を紹介したが、その後ウラン廃棄物の測定作業が順調に進行し、約850体の測定実績を記録した。多種多様なマトリックス、ウラン線源物質、広範囲のウラン質量を含有する廃棄物測定実績を積み適用範囲を拡大させてきた。その反面、測定技術・解析手法における種々の問題点も明らかになった。それらの経験を詳細に報告するとともに、新たに得られた知見を整理した。さらにパッシブ測定方式をアクティブ測定方式へと転換する高度化計画を推進し、既に装置構築を完了した。これまでの経験の意義と課題を集約し次のステップへの糧とする。