Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
藤田 朝雄; 谷口 直樹; 松井 裕哉; 棚井 憲治; 前川 恵輔; 澤田 淳; 牧野 仁史; 笹本 広; 吉川 英樹; 柴田 雅博; et al.
JAEA-Research 2011-001, 193 Pages, 2011/03
本報告書では、堆積岩で塩水系地下水を対象とした幌延深地層研究計画において段階的に得られる地質環境条件を一つの適用例として、第1段階である地上からの調査で得られた情報をもとに処分場の設計技術や性能評価技術それぞれの適用性について論じるとともに、必要に応じて実施した技術の改良や代替技術の開発状況を取りまとめた。
亀井 玄人; 本田 明; 三原 守弘; 小田 治恵; 市毛 悟; 栗本 宜孝; 星野 清一; 赤木 洋介; 佐藤 信之; 村上 裕*; et al.
JAEA-Research 2011-002, 82 Pages, 2011/03
TRU廃棄物の地層処分研究開発については国の全体基本計画に基づき、併置処分の評価にかかわる信頼性向上,ジェネリックな評価基盤の拡充及び幅広い地質環境に柔軟に対応するための代替技術開発が進められている。原子力機構においても処理,処分の両面で全体基本計画のなかの分担課題に取り組んでいる。本年報は平成21年度のそれらの進捗を記すもので、具体的課題としては、(1)ニアフィールドの構造力学評価(構造力学評価モデルの開発・整備,岩盤クリープモデルの導入及び検証計算,処分施設の長期的な変形挙動解析)、(2)性能評価(核種移行データ取得・整備,セメント変質,高アルカリ性環境における緩衝材及び岩盤の長期化学挙動,硝酸塩影響)及び(3)代替技術(硝酸塩分解技術)である。
長谷川 信; 近藤 等士; 亀井 玄人; 平野 史生; 三原 守弘; 高橋 邦明; 船橋 英之; 川妻 伸二; 植田 浩義*; 大井 貴夫*; et al.
JAEA-Research 2011-003, 47 Pages, 2011/02
原子力発電環境整備機構と日本原子力研究開発機構は協力協定に基づき、2009年度から「TRU廃棄物の処分に係る検討会」を設置し、TRU廃棄物の処分のための検討を実施している。今回の検討では、原子力機構が開発したTigerコードと原子力発電環境整備機構が今後の安全評価に使用を予定しているGoldSimコードについて、同一条件でのベンチーマーク解析を行い、双方の信頼性について確認を行った。2つのコードの解析結果が同程度のものであったことから、両者の解析コードの信頼性について確認ができたものと考える。また、処分場へ処分する想定物量(約19,000m)が変動した場合の処分場設計への影響について検討を行った。その結果、第2次TRUレポートの概念に基づき評価した場合、10%程度の廃棄体量の増加は、現在の処分場設計に適用している地層処分技術で対処可能であることが確認できた。
白井 更知; 稲野 昌利; 福田 一仁; 小坂 一郎; 山中 淳至
JAEA-Research 2011-004, 60 Pages, 2011/03
東海再処理施設では燃焼度55,000MWD/tまでの軽水炉低濃縮ウラン燃料及び新型転換炉原型炉ふげんの照射燃料(MOX燃料)を用いた再処理試験を計画している。この再処理試験の実施に際しての安全性の確認は、施設内に存在する放射能量(内蔵放射能量)に基づき実施している。本報告では燃焼度55,000MWD/tまでの軽水炉低濃縮ウラン燃料及び新型転換炉原型炉ふげんの照射燃料(照射用36本燃料,照射用セグメント燃料,照射用ガドリニア燃料)を対象として安全性の確認に用いるために設定した内蔵放射能量について、計算に用いた方法・計算コード,核データライブラリ及びその計算条件について結果とともに整理し、さらに東海再処理施設の設計に用いられている軽水炉基準燃料との内蔵放射能量等を比較した。
白井 更知; 稲野 昌利; 福田 一仁; 小坂 一郎; 山中 淳至
JAEA-Research 2011-005, 95 Pages, 2011/03
東海再処理施設では集合体あたりの初期ウラン濃縮度最高4.2%,燃焼度最高55,000MWD/tの軽水炉低濃縮ウラン燃料,新型転換炉原型炉ふげんで照射されたふげん照射燃料(照射用36本燃料,照射用セグメント燃料,照射用ガドリニア燃料)を用いた再処理試験を計画している。一方、東海再処理施設は初期ウラン濃縮度を4%として臨界安全設計を行っている。このため初期ウラン濃縮度4.2%の軽水炉低濃縮ウラン燃料及びふげん照射燃料について臨界安全評価を行い、臨界安全であることを確認した。
若杉 圭一郎; 小尾 繁*; 柴田 雅博
JAEA-Research 2011-006, 31 Pages, 2011/06
地層処分の安全評価では、国際的に合意された方法論に則りシナリオやモデルを構築し、これを用いて安全性が確保されていることを影響解析により確認してきたが、システム全体で安全確保を達成することが地層処分の基本概念であるため、個別の安全機能の性能やその多重性について研究された例は少なかった。このため、本研究では、地層処分の安全機能の多重性について理解するため、安全機能の個別の性能や相互補完の関係を明らかにするための手法を構築するとともに、これに基づき、人工バリアの安全機能に着目し検討を行った。その結果、安全機能を一つだけ考慮する場合、ガラスの溶解速度は線量を大きく低減させた。さらに、安全機能間の相対的重要度の関係や安全機能の相互補完の組合せを明らかにした。さらに、安全機能が発揮される条件を定量的に把握するために、上述の離散的な解析を補完したBounding Analysisを実施した。その結果、ガラスの閉じ込め性能と緩衝材の閉じ込め性能のそれぞれが発揮される条件を明らかにした。このような知見は、地層処分システムを構成するシステム要素の安全機能に対する性能要求を検討するうえで、重要な知見になると考えられる。
市川 康明*; Choi, J. H.*; 丹野 剛男; 平野 享*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2011-007, 91 Pages, 2011/06
結晶質岩の長期挙動を解明するために、古典破壊力学理論を総括し、破壊靱性値以下の荷重状態においても亀裂が進展して破壊に至る亜臨界亀裂進展を取り上げて、力学・化学連成現象の観点からその原因を考察し、花崗岩の長期挙動における亜臨界亀裂進展現象について考察を加えた。また、亜臨界亀裂進展現象の主たる要因である圧縮応力下におけるケイ酸塩鉱物の化学的な溶解現象について、実験室でその現象を再現し、現象の理解を試みた。さらに、これまでの研究内容を総括するとともに、実験結果をもとに、温度溶液(pH)・固体圧力と溶液の間隙水圧を変数とした石英に対する溶解速度式を提案した。
竹内 竜史; 小坂 寛; 佐藤 敦也*; 富山 眞吾*; 景山 宗一郎*; 池田 誠*
JAEA-Research 2011-008, 77 Pages, 2011/06
地下水涵養量を推定する方法の一つである水収支観測を実施するにあたっては、流域ごとにその規模や地形,地質などのさまざまな影響を受けるため、多くのさまざまな流域において、長期に渡る水収支観測が必要となる。しかし、すべての流域を対象として水収支観測を実施することは、多大な費用と長期に渡る観測期間を要することから、涵養量を効率的に推定する手法の確立が課題となっている。本研究では、水収支観測が実施されていない流域を含む広域の水収支を把握するための推定手法の適用性の確認を目的として、東濃地域(日吉川流域)を対象に数値標高モデルを用いた統計量解析を実施し、水収支におけるパラメータの一つである流出量の推定を行った。具体的には、地形計測及び主成分分析結果をもとに、表流水の流れやすさの指標である流出指標を算出した。また、流出指標と実測の流量観測データとを比較することにより、対象地域における流出量の推定を行った結果、対象地域における流出量推定結果は、6割程度の再現性となることが確認された。
岩月 輝希; 佐藤 治夫; 野原 壯; 棚井 憲治; 杉田 裕; 天野 健治; 藪内 聡; 大山 卓也; 天野 由記; 横田 秀晴; et al.
JAEA-Research 2011-009, 73 Pages, 2011/06
本計画書は、第2期中期計画期間(平成22年度平成26年度)において、幌延深地層研究センターの地下研究施設を利用して行う調査研究開発の計画を整理したものである。当該期間においては、民間活力により深度350mまでの地下施設の整備,維持管理及び研究支援に関する業務のほかさまざまな受託事業,共同研究が行われる予定であり、第2段階(坑道掘削[地下施設建設]時の調査研究段階)に加えて、第3段階(地下施設での調査研究段階)の調査研究開発が開始される。これらの調査研究開発を通して、地質環境調査技術や深地層における工学的技術,処分技術,安全評価手法を向上させるとともに、その成果を広く社会に公開することで、地層処分にかかわる諸技術の実現性を示し、信頼感を醸成していく。
國丸 貴紀; 太田 久仁雄; Alexander, W. R.*; 山本 肇*
JAEA-Research 2011-010, 52 Pages, 2011/06
幌延深地層研究計画では、地質環境調査・評価において不可欠なツールの一つである品質マネジメントシステムの整備を進めている。これまでに地上からのボーリング調査(HDB-18孔)で取得された間隙水と地下水の地球化学データセットを対象に、国外のサイト特性調査において適用された地下水水質データの品質保証の手法に加え、新たに提案した間隙水水質データの品質保証の指針を適用して品質評価を実施した。その結果、過去に実施したHDB-911孔の品質評価の結果と同様に、9割以上のデータが低品質のカテゴリーに分類された。この主な原因として、品質評価に必要な情報が残されていないことが挙げられたことから、データ取得時の作業の品質管理を目的として「採水調査における現場品質マニュアル(第1版)」を作成した。これと併せて、サイト特性調査に必要な品質評価における基準の明確化に向けた取り組みも実施した。
内川 貞夫
JAEA-Research 2011-011, 50 Pages, 2011/06
水冷却高速炉FLWRは、発電炉としての経験・実績が豊富な軽水炉技術に立脚したBWRタイプの原子炉であり、今後の核燃料サイクル技術の進歩やインフラ整備の進展に対応して、同一炉心構成のもとで燃料集合体の仕様を段階的に進化させることにより柔軟かつ高度なプルトニウム利用をめざしている。本研究では、MOX燃料棒と濃縮UO燃料棒を集合体内で非均質(アイランド型)に配置してボイド反応度特性を制御するFLWR/MIX燃料集合体設計概念に基づき、軽水炉サイクル時代から将来の高速炉サイクル時代への進展に対応したFLWRの炉心燃料設計概念を3つのフェーズに分けて構築し、その炉心性能と技術的成立性を評価した。
中村 隆浩; 真田 祐幸; 杉田 裕; 加藤 春實*
JAEA-Research 2011-012, 217 Pages, 2011/06
幌延深地層研究センターの地下施設周辺岩盤の応力場を把握するため、換気立坑の深度250mの調査坑道において3本のボーリング孔を掘削し、水圧破砕法及び応力解放法と呼ばれる方法で初期地圧の評価を試みた。得られた結果は次のようである。水圧破砕法の評価では、応力状態が測定位置によらず一様であると仮定し、横き裂の法線応力と初期地圧の関係及び縦き裂の発生する位置と初期地圧の関係から250m坑道まわりの初期地圧を評価した。評価された初期地圧の中間及び最小主応力の大きさは接近しており、鉛直応力vは250mの被りから推定される土被り圧の半分程度と小さかった。また、最大主応力はNE方向にあって水平面から約40度傾斜していた。応力解放法では、すべての孔底ひずみを用いて評価した平均的な初期地圧は、鉛直応力vが被り圧の半分以下であり、水圧破砕試験の結果と整合した。また、応力解放法から評価された初期地圧の大きさも、そのオーダーが水圧破砕試験の結果と一致した。
丹野 剛男; 平野 享*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2011-013, 59 Pages, 2011/06
本報告は、2009年度に実施した岩盤力学に関する次に示す項目の調査研究成果をとりまとめたものである。(1)掘削ずりを用いた室内物理・力学試験結果の妥当性の確認、(2)第1段階で作成した岩盤力学モデルの妥当性の確認、(3)研究坑道周辺岩盤の予察的変形解析、(4)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための現象論的研究、(5)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための理論的研究、(6)掘削影響領域の評価に関する基礎的研究。(1),(2)については、新たに試験を実施し妥当性を確認することができた。(3)については、調査対象の大きさにより変形解析の結果が異なることが確認された。(4)については、コンプライアンス可変型構成方程式が一軸圧縮試験での岩石の挙動を表すのに有効であることを確認した。また原位置によるコンプライアンス可変型構成方程式の実証試験案を示した。(5)については、熱-水-応力の連成現象の一因として石英の圧力溶解について実験を行い、実験結果から石英の溶解に関する式を示すことができた。(6)については、コア法による応力測定及び弾性波を利用したSWD(Seismic While Drilling)法により掘削影響領域の推定方法を提案することができた。
松本 一浩; 藤田 朝雄
JAEA-Research 2011-014, 26 Pages, 2011/06
高レベル放射性廃棄物の地層処分における人工バリア埋設後においては、緩衝材の物理的安定性に影響を及ぼす事象の一つとして、緩衝材の流出/侵入現象が考えられている。本報では、既往の研究において経験則に基づく侵入速さの指標として取扱ってきた則の時間依存性について、長期間の侵入試験を行いその挙動を確認した。また、処分場の閉鎖性能の評価にあげられている課題を考慮し、埋め戻し材料仕様の侵入現象データについても一部取得した。
阿部 仁; 鹿島 陽夫; 内山 軍蔵
JAEA-Research 2011-015, 27 Pages, 2011/06
核燃料サイクル施設の安全性の確認に資するため、同施設における火災時の閉じ込め機能の健全性を評価するための手法の整備を進めている。同施設に存在する代表的な有機材料として、グローブボックスパネル材料及びケーブル被覆材料を取り上げた。これらの燃焼に伴う質量減少速度や煤煙放出速度等の燃焼特性データと煤煙の目詰まりによるHEPAフィルタの差圧上昇データを、試験体に供給する輻射熱流束の大きさ及び試験体に対する給気流速並びに給気中の酸素濃度等をパラメータとしてそれぞれ取得した。また、これらのデータを相互に関連づけることによって、具体的な火災事故シナリオに基づいたHEPAフィルタの差圧上昇の時間的進展を評価し、燃焼物質や燃焼条件の相違による差圧上昇挙動への影響を定量的に評価することが可能となることを示した。
森山 清史; 田代 信介; 千葉 慎哲; 丸山 結; 中村 秀夫; 渡部 厚*
JAEA-Research 2011-016, 125 Pages, 2011/06
軽水炉シビアアクシデント時の格納容器内における放射線化学的作用による揮発性ヨウ素の生成は、ソースターム評価における重要な不確かさ要因である。この現象に関する実験を小規模な体系でよく制御された条件下において実施した。Iで標識し、ホウ酸-水酸化ナトリウム緩衝剤によりpHを制御した10Mヨウ化セシウム水溶液に線を照射し、一定流量のガスで掃気することにより、気相へ放出される揮発性ヨウ素を化学種選択性のフィルタを用いてIと有機ヨウ素に分別捕集し、各々の放出量を測定した。また、ヨウ素放出挙動に対するpH,温度,無機及び有機不純物、雰囲気中の酸素及び水素濃度の影響を調べた。本報告書には、ヨウ素放出割合の時系列変化に関するデータ、及び最終放出割合に対する各パラメータの影響に関する比較を示し、併せて、計算コードにより本実験のシミュレーションを行う場合に必要な初期・境界条件及び界面条件を示す。
下茂 道人*; 熊本 創*; 尾上 博則; 三枝 博光
JAEA-Research 2011-017, 132 Pages, 2011/09
本研究では、今後の研究坑道の掘削に伴う周辺の地下水流動場の変化や研究坑道への湧水量等の予測・評価による研究坑道の設計・施工への情報提供、及び研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)での今後の調査計画策定への情報提供を目的として、水理地質構造モデルを構築するとともに、それを用いた地下水流動解析を行い今後の研究坑道の掘削に伴う地下水流動場への影響を予測した。モデル化・解析に用いたデータは、地表からの調査予測研究段階(第1段階)で得られた調査データ、第2段階での堆積岩中の研究坑道掘削時の湧水量や水圧変化に関するデータ、並びに両立坑の切羽から掘削されたパイロットボーリング調査結果である。モデル化・解析の結果、研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺の地下水流動場の変化に大きな影響を与える水理地質構造の推定、及び深度1,000mまでの研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺地下水位の低下量を予測することができた。また、研究坑道へのプレグラウトが周辺の地下水流動場の変化に与える影響の程度を解析的に把握することができた。
森平 正之
JAEA-Research 2011-018, 32 Pages, 2011/07
高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト。以下、「FaCT」)では、集合体平均150GWd/t(集合体ピーク250GWd/t)の高燃焼度を目指している。このような高燃焼度域では被覆管の内面腐食が従来以上に厳しくなることが予想されることから、FaCTでは照射中の燃料要素内における酸素ポテンシャルの上昇を抑制することにより内面腐食を抑える方策として低O/M比ペレットの採用を検討してきたが、量産工程における実現には課題が多いことがわかってきた。このため、照射中に生じる余剰酸素を吸収させる酸素ゲッターの利用について検討を進めている。本研究では、実用期の燃料概念であるMOXペレット燃料に適用する酸素ゲッターオプションについて、燃料ピンへの装荷方法のほか、候補材としたチタン,ジルコニウムの酸素吸収挙動及びFMS材,UOとの共存性の評価を行い、チタンロールペレット装荷方式が最も有望であるとの見通しを得た。
平野 享*; 瀬野 康弘*; 引間 亮一; 松井 裕哉
JAEA-Research 2011-019, 51 Pages, 2011/09
超深地層研究所計画は、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備及び深地層における工学技術の基盤の整備を目標とする研究プロジェクトである。その中で実施された、深度200mにおける立坑掘削中のひずみ計測は、超深地層研究所計画で研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)での目標の一つとされる「研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を主な目的とするものである。具体的には、深度200mからの換気立坑掘削に先立ち、研究坑道からボーリング孔(07MI1012号孔)を掘削して孔中に埋設型ひずみ計・連続式挿入型傾斜計・光ファイバ式ひずみ計を設置し、換気立坑掘削に伴う応力解放や、湧水抑制対策の一環として実施したプレグラウトの影響が、岩盤ひずみ・変位としてどのように現れるのかを原位置調査によって把握した。
吉田 一雄
JAEA-Research 2011-020, 16 Pages, 2011/08
仏CEAでは、再処理廃液の沸騰事象での放射性物質放出にかかわる影響の評価に資するため、実廃液を用いて沸騰乾固時の放射性物質の移行割合を調べる実験を実施している。実験で得られた放射性物質の移行割合のデータを、実機での放射性物質移行量評価に適用できるかを検討するためには、本事象での放射性物質移行のメカニズムを解明することが重要であり、文献に記載の情報から参考となる情報の抽出を試みた。その結果、廃液の沸騰事象で重要となるRuの移行を支配する廃液の硝酸濃度及び活量に関するデータを得た。これらのデータをもとにRuの気相への移行割合を推定したが、実測値に比べ約200倍程度過大な推定となった。差異の原因として、廃液中で放射線分解により生成される亜硝酸と共存するNOがRuの生成を抑制する可能性を示すことができた。
FBR安全ユニット
JAEA-Research 2011-021, 35 Pages, 2011/09
日本原子力研究開発機構では、FaCTにおいて「高流速配管流力振動評価手法の開発」を実施し、単一エルボを持つ配管の流動状況,流体の乱れに起因する加振力及び流力振動応答を計測し、その成果により流力振動評価手法の整備,検証を進めてきた。加えて、これらの結果を反映して、単一エルボを持つ薄肉配管である1次系ホットレグ配管の流力振動評価指針を整備していくため、日本原子力研究開発機構主催の熱流動研究専門委員会の下に外部の有識者を含む大口径配管流力振動指針化ワーキンググループを設置し、指針作成に着手した。本指針(案)は、第1次案としてワーキンググループの検討成果をまとめたものである。
秦 はるひ; 横山 薫; 綱嶋 康倫; 大橋 裕介; 古賀 修; 杉杖 典岳
JAEA-Research 2011-022, 35 Pages, 2011/09
原子力施設等から発生する低レベル放射性廃棄物の埋設処分の安全評価の重要な要素のひとつに埋設後の溶出特性がある。そのうち、原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物については、既にコンクリートピットやトレンチ処分が行われており、溶出特性についても、その評価方法が確立している。一方、本報告で対象としているウラン廃棄物では、現状、溶出特性に関する試験方法について定まった考え方は示されていない。このような状況を踏まえて、埋設処分の安全評価上の留意点を評価するために予察試験を行った。これより、廃棄物を構成する材質とそこに含まれるウランの化学形態及び形状が溶出試験において重要なファクターになることがわかった。加えて、処分場への降水量の多寡により、溶出特性が変わってくると考えられる。以上のことから、ウラン廃棄物からの漏えい率を厳密に評価しようとするならば、これらのファクターを考慮した溶出試験を行う必要があることがわかった。
安江 健一; 浅森 浩一; 谷川 晋一; 山田 国見; 山崎 誠子; 國分 陽子; 丹羽 正和; 道家 涼介; 草野 友宏; 花室 孝広; et al.
JAEA-Research 2011-023, 113 Pages, 2011/10
本報は、深地層の科学的研究のうち、「地質環境の長期安定性に関する研究」について、第2期中期計画期間(平成22年度平成26年度)の初年度である平成22年度に実施した研究開発にかかわる成果を取りまとめたものである。第2期中期計画期間においても第1期中期計画に引き続き、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果を反映できるよう、(1)概要調査などに必要となる、自然現象に関する過去の記録や現在の状況を調査するための体系的な技術の整備(調査技術の開発・体系化)、(2)変動シナリオを考慮した安全評価の基盤となる、将来の自然現象に伴う地質環境の変化を予測・評価するための手法の整備(長期予測・影響評価モデルの開発)のほか、(3)最先端の分析装置などを用いた放射年代測定や鍵層の高分解能同定法などによる編年技術の高度化(年代測定技術の開発)を進めている。本報では、それぞれの研究分野にかかわる科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果及び今後の課題などについて述べる。
清水 浩之*; 菊池 広人; 棚井 憲治; 藤田 朝雄
JAEA-Research 2011-024, 74 Pages, 2011/10
高レベル放射性廃棄物地層処分における緩衝材の膨潤圧は長期的な人工バリアの力学的な状態を評価するうえで重要な物性値である。しかし、統一化された膨潤圧試験がないこと等により、その評価結果にはばらつきがあるのが現状である。そこで、本研究ではこのような土質材料中における破壊や大変形,膨潤挙動を良好に再現することが可能である粒状体個別要素法により膨潤圧試験のシミュレーションを行うとともに、膨潤圧試験における供試体の縦横比及び壁面摩擦力の影響について検討を行い、膨潤圧試験方法の標準化に向けた基盤情報を提供する。
芹澤 弘幸; 松永 純治*; 芳賀 芳範; 中島 邦久; 樫部 信司*; 岩井 孝
JAEA-Research 2011-025, 32 Pages, 2011/11
単結晶及び多結晶UO試料中に固溶しているヘリウムの析出に伴う組織変化を、FIB, FE-STEM及びFE-TEMを用いて調べた。ヘリウム放出後のマトリックスの微細組織は、放出温度によって変化することがわかった。1300Cで放出試験を実施した試料では、結晶粒内に体欠陥は見られるものの、結晶粒界は閉じていた。これに対して1700Cで放出試験を実施した試料では、結晶粒界にガスバブルが形成されており、一部の粒界は開いていることが確認された。これは、照射済み燃料の照射後加熱試験で観察されるFPガスの放出挙動と酷似している。結晶粒内に形成された体欠陥は、壁面がUOの格子面で囲まれた負結晶であり、その構造は、温度履歴とその試料が多結晶であるか単結晶であるかによって異なることがわかった。本研究では、負結晶を構成している格子面の指数を特定して、内圧と構造との関係について定性的に議論した。
福島支援本部 環境支援部; 人形峠環境技術センター; 再処理技術開発センター ガラス固化技術開発部; 放射線管理部 環境監視課
JAEA-Research 2011-026, 74 Pages, 2011/11
福島第一原子力発電所の事故に伴い放射性核種によって広範囲の土壌が汚染され、さまざまな環境修復策が検討されている。セシウム(Cs)の揮発性を利用した原位置土壌加熱によるCs除去方法の有効性を確認するため、バーナーを用いた土壌加熱による土壌温度の上昇確認,加熱時の放射性Csの揮発挙動を調べた。草焼バーナーで土壌表面をCs化合物の融点まで加熱するには15分以上の加熱が必要であり、最大温度は700Cであった。また、土壌表面が約600Cまで加熱されても表面から1cmの深さでは約300Cまでしか上昇せず、5cmの深さでは5060C程度であった。600C1300C及び5分60分とした加熱試験の結果、Cs-134並びにCs-137の加熱前後の放射能量変化率は-9.8%+14.0%の範囲でばらついている程度であり、顕著な揮発挙動は見られなかった。放射性Csの化学形態と揮発挙動を検討するため、CsCO試薬を土壌又は模擬土壌のモルデナイト型ゼオライトと混合させたものについて、TG/DTA分析等を実施した。結論として、放射性CsがCsCO単体で存在した場合、加熱によって揮発除去できるが、SiOとAlOが共存した場合、加熱によってCsAlSiO等の化合物が生成され、放射性Csは土壌中に留まると推定される。
山田 智*; 北 実*; 五藤 由香里*; 石森 有
JAEA-Research 2011-027, 38 Pages, 2011/11
鳥取大学農学部と日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センターは、世界有数のラドン温泉地域である三朝地域の放射線的特徴等に着目し、地産野菜等の特産品化を目指した植物影響効果研究を共同で行っている。本報告書は、平成21年度から22年度に実施した内容及びその成果について、とりまとめたものである。(1)各種作物の選抜栽培試験:三朝温泉水での栽培に適した有望種を選抜する目的で、葉菜類をはじめとする18種の選抜栽培試験を、三朝温泉水等を用いた水耕栽培により行った。その結果、18種のうち14種で、水道水を用いた場合より成育が促進され、このうち9種を有望種として選定した。(2)試料調製:選抜栽培試験で得られた試料の成分分析等により、温泉水等による生育や品質成分への影響効果について、メカニズム等の解明を行い、作物種の絞り込み等を行うため、定めた手順に従って試料を調製し、冷凍保存した。(3)省力栽培法の検討:選抜栽培試験で特に有望な作物について中規模の栽培試験を行い、生育や品質成分への影響効果についてさらに知見を得るほか、実用化試験にむけた課題を抽出する目的で、省力栽培法について検討した。
真田 昌慶; 林 克彦*; 岸 裕和; 武部 篤治*; 大久保 誠介*
JAEA-Research 2011-028, 102 Pages, 2011/11
本研究では、「強度回復試験」,「一般化応力緩和試験」,「引張強度試験」を、稚内層硬質頁岩を用いて実施した。その結果、いったん破壊した岩石が、条件が整いさえすれば強度,透水係数ともに回復することがわかった。この結果は、長期間に渡る密閉性,隔離性,安定性,信頼性の確保が極めて重要な岩盤内空洞の安定性評価にとって重要といえる。一般化応力緩和挙動については試験片を水没させた状態で試験を行った。水中で試験を行うことにより、試験片ごとのばらつきの少ない試験結果が得られた。また、一般化応力緩和を開始するまでの載荷過程における歪速度によって、一般化応力緩和試験の結果が異なることを確認した。さらに引張特性については圧裂引張試験と一軸引張試験を水中で行ったところ、気乾状態と比較して、強度が低下し試験片ごとのばらつきの少ない試験結果が得られた。これらの結果は、今後の構成方程式や予測モデルの改良に役立つと言える。
酒井 隆太郎; 宗像 雅広; 木村 英雄; 大岡 政雄*; 瀬口 真理子*
JAEA-Research 2011-029, 24 Pages, 2011/11
放射性廃棄物の地層処分では、人間社会への核種の地下水移行を信頼性高く評価するため、地下深部の広域地下水流動モデルの検証方法の構築が重要である。地下深部には地下水起源,地下水流動特性の異なる複数の地下水システムが存在する可能性があるため、地下水システムの流動特性や流動境界を検証する必要がある。このため、本稿では地下水データが比較的多く存在する幌延地域と新潟堆積盆を事例対象として、深度方向の水理,地下水化学,熱,地下水年代等の指標データの空間分布の比較・検討を行うことにより、流動特性や流動境界に関する評価方法の検討を行った。幌延地域(北進地区)では、地化学データを用いた混合解析によって地下水起源を推定するとともに、熱データ,地化学データの空間分布を比較することにより、流動特性や流動境界の評価が可能であることが示された。また、新潟堆積盆(長岡地区)においても同様に地化学データを用いた混合解析,水理データ,地化学データの空間分布の比較を行うことによって、流動特性や流動境界の評価が可能であることが示された。
石川 淳; 吉田 一雄
JAEA-Research 2011-030, 24 Pages, 2011/11
日本原子力研究開発機構では、核燃料施設の確率論的安全評価手法整備の一環として事故影響評価手法の開発を進めている。その中で再処理廃液の沸騰時の物性値の変化を模擬するツールを開発した。再処理施設の機器では、万一、冷却機能が喪失した場合、放射性物質の崩壊熱により内包する溶液(廃液を含む)の温度が上昇し沸騰に至る。このような場合、機器内気相部への放射性物質移行量が増加し、その移行挙動を評価するには、廃液の温度,硝酸濃度など廃液の物性値が必要となる。開発したツールは、モル沸点上昇の原理に基づき再処理廃液の沸騰,濃縮過程を模擬している。モデルの検証のため実廃液を用いた沸騰実験を模擬した。その結果、廃液の硝酸濃度及び温度等の挙動を比較的精度よく計算できることを確認した。
道家 涼介; 安江 健一; 中安 昭夫; 新里 忠史; 谷川 晋一; 田中 竹延*; 青木 道範*; 関谷 亜矢子*
JAEA-Research 2011-031, 109 Pages, 2011/12
本研究では、活断層の活動開始時期を推定するための調査手法について、既存情報の収集・整理を行い、それぞれの調査手法の原理や適用する際の留意点,不確実性などを抽出し、適切に作業を実施する手順をタスクフローとして整理した。加えて、各調査手法の国内における適用事例を整理し、活断層の活動開始時期及びその正確度を示した空間分布図を作成した。
齋藤 宏則*; 武田 聖司; 木村 英雄
JAEA-Research 2011-032, 92 Pages, 2011/11
高レベル放射性廃棄物やTRU廃棄物の地層処分の安全評価において、放射性核種により汚染した河川水や土壌を利用して農作物を栽培し、その農作物を摂取することを想定した人間への被ばくに関するシナリオ(農作物摂取被ばく経路)は、多くの核種において支配的な被ばくの経路と試算されており、その評価に用いられる農作物への移行係数は重要なパラメータの1つである。本報告では、農作物への移行係数の不確実性の要因分析に必要なデータベースの改良を行うとともに、移行係数の不確実性に影響を与える可能性のある要因に対し、データベースに格納されたデータから移行係数の各要因の依存性について確認を行った。さらに、その要因分析の結果を踏まえ、一般的な生活習慣と条件をもとに様式化された場合に対する農作物への移行係数の不確実性の推定方法を検討し、その推定方法に基づいてHLW及びTRU廃棄物の評価対象の放射性核種に対し移行係数の選定値(代表値)と変動範囲の推定を試行した。
小島 圭二*; 大西 有三*; 渡辺 邦夫*; 西垣 誠*; 登坂 博行*; 嶋田 純*; 青木 謙治*; 杤山 修*; 吉田 英一*; 尾方 伸久; et al.
JAEA-Research 2011-033, 126 Pages, 2012/02
従来の地層処分システムの安全評価は、「地質環境調査・評価技術」,「処分場の工学技術」,「性能評価技術」の3つの分野の要素技術ごとの安全機能の評価に重点が置かれてきたが、各安全機能を独立的に評価するのではなく、分野間・要素技術間の中間領域にまたがる技術や評価手法の組合せとしての体系化の視点をもった研究開発の展開が今後ますます重要となる。本研究では、分野間・要素技術間の中間領域を考慮した地質環境調査・評価技術の高度化・体系化のために、(1)実際の地質環境下における連成現象を考慮したニアフィールド(NF)コンセプトの再構築、(2)各分野・要素技術間の連携を考慮した体系的な地質環境調査技術の開発に関する研究を実施した。(1)に関しては、結晶質岩系の現実的な環境でのNFコンセプトの検討を実施するとともに、委員会での総合討論を実施し、委員各位のNF研究の中間領域に関する意見をNFコンセプトの再構築に反映させた。(2)に関しては、NF,各研究分野間の中間領域を考慮した研究開発を行った。
千葉 豪*; 羽様 平; 金城 秀人*; 西 裕士; 鈴木 隆之
JAEA-Research 2011-034, 42 Pages, 2011/12
「もんじゅ」炉心体系を対象として、ドップラー係数の不確かさを最新の知見を取り込んで定量的に評価した。(1)核データ,計算手法に起因する不確かさ、(2)核分裂生成物の核データに起因する不確かさ、(3)制御棒位置に起因する不確かさ、(4)温度依存性を近似的に取り扱う不確かさ、(5)燃料平均温度に起因する不確かさ、(6)温度の空間分布の取り扱いに由来する不確かさ、などを評価し、ドップラー係数の不確かさ(2相当)として11.7%を得た。
百武 徹*; 武藤 明徳*; 笹倉 万里子*; 箕輪 弘嗣*; 鈴木 和彦*; 横山 薫; 高橋 信雄; 秦 はるひ; 杉杖 典岳
JAEA-Research 2011-035, 53 Pages, 2012/01
核燃料施設の廃止措置では、放射性廃棄物の発生量を極力少なくすることや、解体作業時の被ばく線量を低減することを目的として、一般的に、解体前系統除染や解体後の除染が行われている。人形峠環境技術センターでは、おもに、ウラン化合物により金属表面が汚染した機器を対象とした系統除染として「七フッ化ヨウ素(以下、IFという。)を用いた乾式除染」を適用している。「IFを用いた乾式除染」は、金属表面に付着したウラン化合物とIFの化学反応により除染を行う技術であるが、このような、除染ガスを用いた乾式除染技術に関しては、除染の進展メカニズムや除染レベル等の除染性能に関する基礎研究は、必ずしも十分に行われておらず、これらの研究を実施し、乾式除染技術として一般化することが求められている。このため、本研究では、人形峠環境技術センターで実施している、IFガスを用いた乾式除染データを活用し、最終的には乾式除染の基礎的メカニズムのモデル化を行うことを目的とし、これらの研究の基礎的知見として、数値解析手法によりUFの付着現象に関する解析を実施した。
岩元 大樹; 西原 健司; 辻本 和文; 杉野 和輝; 沼田 一幸*
JAEA-Research 2011-036, 64 Pages, 2012/01
汎用評価済核データライブラリJENDLの最新版JENDL-4.0と旧版JENDL-3.3を用いて、核変換システムの積分核特性(臨界性,冷却材ボイド反応度,ドップラー反応度)及びそれらの解析値に対する核データ起因誤差の解析を実施した。解析は、鉛ビスマス冷却加速器駆動未臨界システム(ADS)とマイナーアクチノイド(MA)添加型ナトリウム冷却高速炉(FR)を対象とした。両者のライブラリによる解析値の相違は、ADSとFRの両方で見られ、特にADSの核特性値で相違が顕著であることがわかった。この原因を感度解析及び誤差解析を用いて調査した結果、ADS核特性値の差は、おもにPb同位体の非弾性散乱断面積及びAmの各核反応断面積に起因すること等がわかった。さらに、FRの冷却材ボイド反応度誤差の相違は、おもにNaの非弾性散乱断面積に関する共分散評価値の差に起因することが明らかになった。
伴 康俊; 山岸 功; 森田 泰治
JAEA-Research 2011-037, 11 Pages, 2012/01
5種類の無機吸着剤(CST:(Crystalline SilicoTitanate)粉末,CST顆粒,合成モルデナイト粉末,合成モルデナイト顆粒、及び天然モルデナイト)に対して、バッチ法によるNaCl水溶液中のCs吸着試験を室温にて実施した。溶液量(ml)と吸着剤量(g)の比が100ml/gの条件において、バッチ試験後におけるCs濃度は初期Cs濃度と比較して低下し、本研究で用いた吸着剤がNa及びClイオンの存在下においてもCsイオンを吸着することを確認した。
真田 祐幸; 引間 亮一; 丹野 剛男; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀; 加藤 春實*
JAEA-Research 2011-038, 26 Pages, 2012/01
超深地層研究所計画の第2段階での調査研究として、深度300mステージでコア法による初期応力測定(DSCA)を実施した。また、コア法の結果の補完のために、DSCA試験近傍において多面体供試体を用いた三次元弾性波速度測定を実施した。主応力の方向は、今まで実施した第1段階及び第2段階での深度100m及び200mにおける岩盤力学ボーリング調査で得られた北西-南東方向と調和的なデータが多かった。また、一部の試験体において、三次元弾性波速度とDSCA試験で得られたクラックパラメータの主値の方位・分布がよく一致した。
古川 智弘; 加藤 章一; 前田 茂貴; 山本 雅也; 関根 隆; 伊藤 主税
JAEA-Research 2011-039, 20 Pages, 2012/02
高速実験炉「常陽」では、炉心平均燃焼度のさらなる向上を目指して、ドライバー燃料領域の周囲に、ジルコニウム(Zr)合金製反射体を適用することが計画されている。本研究では、「常陽」の冷却材であるナトリウム(Na)中におけるZr合金の耐食性の評価を目的として、高温Na中における腐食特性及び機械的強度に及ぼすNa環境の影響を調べた。Na中浸漬試験は、2種類のZr合金を対象に、500C及び650Cの停留及び流動Na中にて実施し、腐食評価の指標となる重量変化量の測定及び金属組織観察を行った。また、同浸漬材料について、大気中でNa浸漬温度と同一温度条件下で引張試験を実施し、浸漬後の強度特性を調べた。
大久保 誠介*; 福井 勝則*; 羽柴 公博*; 引間 亮一; 丹野 剛男; 真田 祐幸; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀
JAEA-Research 2011-040, 54 Pages, 2012/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分時においては、建設時及び操業時は言うまでもなく、坑道埋め戻し後も千年程度の長期に渡る坑道の安定性の評価が要求される。そこで、岩石や岩盤の時間依存性挙動を、精密な試験や観察・計測から直接的に検討する手法(現象論的方法)で解明し、岩盤構造物の長期挙動予測評価手法を開発する研究を行ってきた。本報告書は、2010年度に実施した研究をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。第2章では、1997年度から継続している田下凝灰岩のクリープ試験結果について報告した。第3章では、岩石の時間依存性の程度を表すnの値の意味をより明確に示すため、強度の載荷速度依存性とクリープ寿命の応力依存性との関係及び時間依存性,強度とクリープ寿命の分布特性,寸法効果の相互関係について論じた。さらに、既往の研究事例をレビューして、土岐花崗岩の力学特性や時間依存性について、今後実施すべき試験について検討した。第4章では岩盤の破壊基準の設定に関する検討として、十分長い時間をかけて岩石を壊したときの強度(長期強度)及び、いつまで経っても破壊に至らない応力条件について検討した。第5章では、周圧下でのnの値の変化及び岩盤強度のばらつきを考慮した二次元有限要素解析により、土岐花崗岩の長期挙動に関する予察的検討を行った。最後に、数値解析結果にもとづいて原位置試験計画に関する所見を述べた。
寺田 敦彦; 野口 弘喜; 竹上 弘彰; 上地 優; 稲垣 嘉之
JAEA-Research 2011-041, 62 Pages, 2012/02
水素利用研究開発ユニットでは、高温ガス炉と熱化学法ISプロセスを組合せて製造した大量水素を、貯蔵し、需要地まで輸送する水素サプライチェーンを提案している。水素を効率的に貯蔵/輸送するためには、水素貯蔵技術として注目されている有機ハイドライド法に着目した。そこで、今後の水素貯蔵・供給システム設計のために有機ハイドライドの特性を整理し、既存システム等の技術調査を行い、これらをもとに商用高温ガス炉を用いてISプロセスにより85,400Nm/h規模の水素を製造するときの水素貯蔵・供給システムの概念検討を行った。水素貯蔵・供給システムは、水素添加反応過程と脱水素反応過程で構成し、その主要機器の概念仕様を定めた。また、検討を通して、エネルギー効率やシステムの最適化など水素貯蔵・供給システムの課題を摘出した。
山本 陽一; 前川 恵輔; 横田 秀晴; 山崎 雅則
JAEA-Research 2011-042, 97 Pages, 2012/02
日本原子力研究開発機構では、北海道幌延町で進めている幌延深地層研究計画の一環として表層水理調査を実施している。表層水理調査では、地下水流動解析の境界条件や初期条件の設定に必要な地下水涵養量や表層部の地下水流動系の把握を行うことを目的に、気象,河川流量及び水質,土壌水分,地下水位等の観測を継続している。本報告は、表層水理調査の概要を紹介し、2004年12月2009年11月の調査流域の地下水涵養量を水収支法により検討した結果を示すものである。地下水涵養量の推定にあたり流出解析を行い、水文要素の空間代表性の問題を明らかにした。その結果、流域全体の地下水涵養量は131mm/yrと推定され、それぞれの流域に対する考察からは、流域内に分布する地質や断層の水理特性との関連を示唆する結果が得られた。
杉田 裕; 真田 祐幸; 相澤 隆生*; 伊東 俊一郎*
JAEA-Research 2011-043, 25 Pages, 2012/02
地下深部で坑道を掘削する際の坑道周囲における変化を捉えるため、坑道の掘削の進捗に合わせて繰り返し弾性波トモグラフィ調査を行うための新たな簡易弾性波トモグラフィ調査システムを開発した。これは、ボーリング孔の壁面打撃用のハンマーを組み込んだ起振源、ボーリング孔内埋設型の受振器から構成され、弾性波を発生させる起振のエネルギーにはメタン等の可燃性ガスの存在を考慮して圧縮空気を利用している。開発したシステムを水平坑道の掘削影響試験領域に適用し、坑道掘削時における調査領域における弾性波速度の変化を捉えることが可能となり、結果をトモグラフィ画像として処理を行った。この結果、掘削影響領域のモニタリング技術としての適用性を確認した。
FBR安全ユニット
JAEA-Research 2011-044, 185 Pages, 2012/02
日本原子力研究開発機構では、FaCTにおいて「高流速配管流力振動評価手法の開発」を実施し、単一エルボを持つ配管の流動状況、流体の乱れに起因する加振力及び流力振動応答を計測し、その成果により流力振動評価手法の整備、検証を進めてきた。加えて、これらの結果を反映して、単一エルボを持つ薄肉配管である1次系ホットレグ配管の流力振動評価指針を整備していくため、日本原子力研究開発機構主催の熱流動研究専門委員会の下に外部の有識者を含む大口径配管流力振動指針化ワーキンググループを設置し、指針作成に着手した。本指針(案)は、第1次案としてワーキンググループの検討成果をまとめたものである。
岩前 敦*; 小川 宏明; 杉江 達夫; 草間 義紀
JAEA-Research 2011-045, 11 Pages, 2012/02
ITERのプラズマ対向面での光の反射特性を調べるために、対向面に使われる材料の一つであるタングステンについて、実際に使用が予定されているタングステンブロックのサンプルを使って、双方向反射率分布関数(BRDF)を測定した。H及びHの光の放射を模擬するために、光源として、波長が652nm及び473nmの2つのレーザーダイオードを用いた。ブロック表面には、機械加工の際に生じた微細な溝が一方向に認められる。そのため、反射光は機械加工した表面の状態によって影響を受け、入射光線を表面の溝の方向に対して垂直に入射した場合には、反射光は直線的に分布し、一方、入射光線を表面の溝の方向に対して平行に入射した場合には、反射光は弧形に分布した。これらの測定結果を、光線追跡により模擬したところ、測定結果を定性的に説明することができた。
石戸谷 公英; 菅谷 敏克; 船橋 英之
JAEA-Research 2011-046, 32 Pages, 2012/02
本検討は、「余裕深度処分の管理期間終了以後における安全評価に関する考え方」(原子力安全委員会、平成22年4月)に示された人為事象シナリオのうち埋設施設貫通トンネル掘削シナリオ及び大開発土地利用シナリオの被ばく評価に必要となるパラメータについて、その事象の実態に即して検討することを目的として行ったものである。前者のシナリオについては、国内のトンネル工事における掘進速度の実績調査を行い、その結果に基づいてトンネル建設作業者の作業時間を検討した。後者のシナリオについては、盛土施工にかかわる技術基準類の調査を行い、その結果に基づいて盛土による宅地造成における客土厚を検討した。
四辻 健治; 舘 幸男; 西巻 祐一郎*
JAEA-Research 2011-047, 105 Pages, 2012/02
処分環境における圧縮ベントナイト中の核種の拡散係数や収着分配係数等の整合的な推定評価を目指し、原子力機構では統合収着・拡散モデル(ISDモデル)の開発を進めてきた。従来のISDモデルでは、多価イオンや錯体状化学種などの複雑な化学種に対してモデルの適用性が不満足であり、また付加的なフィッティング・パラメータの導入などモデル構造上の問題があった。そこで本報告では、より広範な処分条件へのモデルの適用、また圧縮系における拡散現象のさらなる理解を目的として、ISDモデルの基本仮定に立ち返ることによりモデル高度化要因を検討し、影響評価を試みた。まずPoisson-Boltzmann方程式の境界条件の厳密な設定、及び電粘性効果を考慮することによりISDモデルの拡散パートを改良した。さらに高度化要因として、排除体積効果,誘電飽和効果及びイオン間静電相互作用の影響を考慮し、ISDモデルに取り入れて影響解析を実施した。その結果、実効拡散係数への影響はいずれも小さく、したがって実測データとの不整合性はこれらの高度化要因に起因するものではないことが示された。
南條 功; 天野 由記; 岩月 輝希; 國丸 貴紀; 村上 裕晃; 細谷 真一*; 森川 佳太
JAEA-Research 2011-048, 162 Pages, 2012/03
北海道幌延地域のような低透水性の堆積岩においては、施設建設に伴う地下水の湧水とその水圧・水質変化の相関及びそれらの経時的な変化の観測例が少なく、その観測技術の開発が課題となっている。本研究では、地下施設の建設が周辺地質環境に与える影響を調査するための技術開発を目的として、施設建設過程及び建設後の地下水の間隙水圧と水質(pH,電気伝導度,溶存酸素,酸化還元電位,水温)の同時連続観測が可能なモニタリング装置を新たに製作・設置し、その適用試験を行った。その結果、低透水性並びに溶存ガスを含有する堆積岩環境において、間隙水圧のモニタリング及び原位置の圧力を維持した状態で物理化学パラメータを測定する技術を確立することができた。また、施設建設過程における間隙水圧/水質の変化について評価を行い、間隙水圧の低下が確認された区間においてもpH及び酸化還元状態はほとんど変化していないことが示された。
岩月 輝希; 水野 崇; 天野 由記; 國丸 貴紀; 仙波 毅
JAEA-Research 2011-049, 68 Pages, 2012/03
本報告書は、資源エネルギー庁からの受託事業「地質環境総合評価技術高度化開発; 次世代型サイト特性調査情報統合システムの開発」の成果に基づくものであり、地層処分にかかわる地質環境特性調査のうち、おもに地球化学特性の調査について、既存情報の分析・解析手法,ボーリング調査の計画立案方法,ボーリング調査手法,調査結果を用いた解析・地球化学モデルの構築手法について、留意点,ノウハウを整理したものである。報告書内に記載した内容は、標記受託事業で別途開発されたエキスパートシステムに反映されており、インターネットによりウェブ上から利用可能である。
山岸 秀志*; 藤 健太郎
JAEA-Research 2011-050, 16 Pages, 2012/10
高速,高位置分解能二次元ガス中性子検出器システムを実現するには、高速低雑音ASICが必要である。高速低雑音ASICを開発するため、これに必要な高いgで低雑音のp-MOSFET、MP8とMP16を提案した。本稿では簡単な低雑音増幅器(LNA)を提案し、LNAにおけるノイズパワーと雑音指数(NF)の計算法を示した。また、LNAにMP8及びMP16を適用してNFを計算評価し、これらのp-MOSFETが高速低雑音ASIC用として十分な性能を有していることを確認した。
山岸 秀志*; 藤 健太郎; 中村 龍也; 坂佐井 馨; 曽山 和彦
JAEA-Research 2011-051, 19 Pages, 2012/02
高速,高位置分解能二次元ガス中性子検出器システム(InSPaD)を実現するため、これに使用するASD-ASIC(Amplifier-Shaper-Discriminator ASIC)を設計した。InSPaDは中性子とHe原子との核反応で発生したプロトンとトリトン粒子を識別することにより、高位置検出分解能を実現する個別信号読み出し方式の検出器システムである。これに使用するASD-ASICには極めて低い雑音性能,広いダイナミックレンジ,良好な出力直線性と高い計数率特性が必要とされる。CMOSを用いて設計した集積回路は、64チャンネルのASDとこれに続く16チャンネルのMultiplexer及びLVTTL driverから構成され、さらにこのASICにはS/Nを大幅に改善するためのSum amp.システムを設けた。設計したASD-ASICについてシミュレーションにより特性評価を行い、InSPaDに必要な低雑音性能と信号処理機能を有していることを確認した。
佐藤 久; 澤田 淳
JAEA-Research 2011-052, 55 Pages, 2012/02
亀裂開口部の三次元形状が透水や物質移行特性に与える影響を検討するため、花崗岩の潜在的な弱面である石目ごとに作製した人工割裂亀裂を型として作製した3つの透明レプリカ試験を対象に透水試験,亀裂形状測定,光学的手法による開口幅測定,光学的手法によるトレーサー試験を実施した。光学的手法により取得した開口幅データを用いたLCLに基づく2次元浸透流解析による透水量は透水試験結果の1.5から2倍程度となり、これまでに報告されている結果と整合的であった。取得した亀裂開口幅データ及び亀裂形状データを用いて、亀裂の表面形状が2次元浸透流解析結果に与える影響を各測定点における透水量係数に亀裂形状の影響を考慮した補正を行うことにより検討した。その結果、局所的な亀裂の傾きを考慮した透水量係数を適用することにより亀裂全体の透水量は減少し、透水試験結果に近づく結果となったことから、亀裂の局所的な傾きを考慮した透水量係数を適用することが亀裂の透水性を評価するうえで有効であることが確認できた。
田中 忠夫; 向井 雅之
JAEA-Research 2011-053, 41 Pages, 2012/08
放射性核種の移行現象を理解するため、バッチ試験,カラム試験,フィールド試験などによって、移行挙動データが実験的に取得されている。本研究では、さまざまの手法や条件で取得された移行挙動データを合理的に解釈するため、固液相間における放射性核種の相互作用に関する9タイプの実験モデルを体系的に整理した。実験モデルの検討にあたっては、反応の平衡到達度,可逆性,線形性,メカニズム,放射性核種の化学形を考慮した。さらに、さまざまな移行実験の結果を任意の実験モデルで解析できる計算プログラムを整備した。計算プログラムを用いて、さまざまな条件での放射性核種の移行挙動を予測、あるいは実験結果の逆解析から移行パラメータ値を推定できることを示した。
酒井 隆太郎; 宗像 雅広; 木村 英雄
JAEA-Research 2011-054, 19 Pages, 2012/03
放射性廃棄物の地層処分では、人間社会への核種移行を信頼性高く評価するため、地下深部の広域地下水流動を評価することが重要である。地下深部には地下水起源,地下水流動特性の異なる複数の地下水システムが存在する可能性があるため、地下水システムの流動特性や地下水システム間の流動境界を把握する必要がある。このため、本稿では地下水データが比較的豊富な幌延地域を対象に地下水の地化学データを用いた地下水流動特性,流動境界の評価方法について検討した。地下水の主成分分析を用いた混合解析を実施し、主成分分析によって抽出された起源水の地下水年代、地下水中に含まれる微量元素の特徴を調査した結果、天水の浸透下限は地下200m-400mであり、それ以深には天水の関与しない深部地下水が存在することが明らかとなった。さらに、大曲断層周辺の深度400-600m以深の高間隙水圧水は断層を通して地表に湧出している可能性があることが示された。
真田 昌慶; 岸 裕和; 林 克彦*; 武部 篤治*
JAEA-Research 2011-055, 79 Pages, 2012/03
地層処分施設における多連設坑道の設計手法については、第2次取りまとめの考え方に基づき、さらに詳細化・合理化を図ることを目的に検討を行ってきている。本報告では、実施工における施工性・経済性・安全性を考慮したケース設定を行ったうえで、坑道の掘削順序がEDZ発生領域に与える影響を三次元の多連設解析モデルを用いて検討した。この結果、隣接坑道間における切羽進行のズレの影響などが考慮されることにより、二次元解析とは異なる塑性領域の発生を表現できる可能性が示された。また、これまで未検証であった結晶質岩盤に対して、多連設坑道モデルの二次元解析を行った結果、塑性領域は発生せず、掘削順序が与える影響は非常に小さいことが確認された。
稲垣 学*; 田中 達也*; 橋本 秀爾*; 前川 恵輔; 柴田 雅博
JAEA-Research 2011-056, 37 Pages, 2012/03
我が国の地層処分事業は段階的に進められ、精密調査地区の選定段階においては、地下施設の基本レイアウトの設定、長期安全性に関する予備的評価等が行われる予定である。このためには、地上からの調査による限られた情報に基づいて、さまざまな不確実性や、地質構造や地質環境の不均質性を考慮した、評価対象とする地域の水理地質構造モデルの構築方法、さらに、処分施設に必要となる地下深部の空間的な広がりを考慮した、好ましい性能の岩盤領域(母岩)の把握方法等について、技術的な見通しを得るために、具体的なアプローチ、方法論を検討しておくことが重要である。本研究は、精密調査地区選定段階において地層処分施設の設定に好ましいということを判断するための指標について検討を行い、どのような手法と指標で評価することが有効となりえそうかという技術的課題について、幌延深地層研究計画における調査データを例題として用いた検討を実施し、手法の有効性の確認と課題の抽出を行った。
井上 賢紀; 池内 宏知; 竹内 正行; 小山 真一; 須藤 光雄
JAEA-Research 2011-057, 100 Pages, 2012/03
湿式法再処理システムにおける燃料溶解には硝酸水溶液が適用されるため、実用化段階の燃料被覆管の基準材料であるマルテンサイト系酸化物分散強化型フェライト鋼「9Cr-ODS鋼」の製造まま材の硝酸溶解特性を評価した。9Cr-ODS鋼はクロム濃度が比較的低く、不働態皮膜の安定化による溶解速度の抑制には、高硝酸濃度あるいは溶存金属イオンによる溶液からの酸化力に期待する必要があることがわかった。連続溶解槽のなかでは硝酸濃度と溶存金属イオン濃度が連続的に変化するが、剪断片に接触する溶液電位は連続的に上昇し、腐食電位が高電位域に維持されるために不働態化の促進効果が持続する傾向があることがわかった。