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原子力科学研究所 工務技術部
JAEA-Review 2024-001, 78 Pages, 2024/05
工務技術部は、原子力科学研究所及びJ-PARCの水、電気、蒸気、排水等のユーティリティ施設、原子炉施設、核燃料物質使用施設等の特定施設(受変電設備、非常用電源設備、気体・液体廃棄設備、圧縮空気設備)並びに一般施設の機械室設備の運転、保守管理を担っている。さらに、建物・設備の補修・改修工事及び点検・整備業務、電子装置及び機械装置の工作業務を行ってきた。本報告書は、令和4年度の工務技術部の業務実績の概況、主な管理データ及び技術開発の概要を記録したものであり、今後の業務の推進に役立てられることを期待する。
樽田 泰宜; 荒谷 健太; 宮下 進市; 友田 光一; 藤原 航
JAEA-Review 2024-002, 31 Pages, 2024/06
新型転換炉原型炉ふげん(以下「ふげん」という。)は、廃止措置に係る技術開発を計画・実施するにあたり、「ふげん」を国内外に開かれた技術開発の場及び福井県における研究開発の拠点として十分に活用するとともに、当該技術開発で得られる成果を有効に活用することを目的として、日本原子力研究開発機構外の有識者で構成される「ふげん廃止措置技術専門委員会」を設置している。本稿は、令和4年度に開催した第40回ふげん廃止措置技術専門委員会において「ふげん」から報告した「廃止措置の状況」、「燃料交換機解体方法の比較検討」、「予備電源装置の設置検討状況」及び「デジタル技術活用(DX)による廃止措置業務の効率化」について資料集としてまとめたものである。
香田 有哉; 松野 広樹; 松嶌 聡; 窪田 晋太郎; 戸田 圭哉; 中村 保之
JAEA-Review 2024-003, 38 Pages, 2024/06
新型転換炉原型炉ふげん(以下「ふげん」という。)は、廃止措置に係る技術開発を計画・実施するにあたり、「ふげん」を国内外に開かれた技術開発の場及び福井県における研究開発の拠点として十分に活用するとともに、当該技術開発で得られる成果を有効に活用することを目的として、日本原子力研究開発機構外の有識者で構成される「ふげん廃止措置技術専門委員会」を設置している。本稿は、令和5年度に開催した第41回ふげん廃止措置技術専門委員会において「ふげん」から報告した「廃止措置の状況」、「蒸気ドラムの解体及び除染について」、「汚染機器解体における放射線管理の知見等」、「放射性廃棄物でない廃棄物(NR)に関する汚染部位の特定・分離の実績と考察」及び「原子炉解体に向けた技術開発計画について」について資料集としてまとめたものである。
バックエンド技術部
JAEA-Review 2024-004, 124 Pages, 2024/07
本報告書は、日本原子力研究開発機構原子力科学研究部門原子力科学研究所バックエンド技術部における2022年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の活動をまとめたものであり、所掌する施設の運転・管理、放射性廃棄物の処理・管理、施設の廃止措置に関する業務、これらに関連する技術開発及び研究成果の概要を取りまとめた。2022年度の放射性廃棄物の処理実績は、可燃性固体廃棄物が約262m、不燃性固体廃棄物が約113m
、液体廃棄物が約203m
(希釈処理約72m
を含む)であった。新たな保管体の発生数は、200Lドラム缶換算527本であった。公益社団法人日本アイソトープ協会への保管体の返還作業及び保管廃棄していた廃棄物の減容処理を行うことにより、保管体数の削減に取り組んだ結果、最終的に2022年度末の累積保管体数は2021年度から3,902本減の122,925本となった。保管廃棄施設・Lの保管体健全性確認作業は、本格運用を継続して実施した。また、放射性廃棄物処理場が新規制基準に適合していることの確認を受けるため、設計及び工事方法の認可申請を原子力規制庁に対し、順次、実施した。廃止措置に関しては、再処理特別研究棟において、機器の撤去等を実施した。バックエンドに関連する研究・技術開発においては、廃棄物放射能評価法の構築に向けて、採取した廃棄物試料の放射能分析を実施した。また福島第一原子力発電所事故に伴い発生した除去土壌の埋立処分に関する実証事業について、埋立完了後のモニタリングを継続した。
廃炉環境国際共同研究センター; 工学院大学*
JAEA-Review 2024-005, 79 Pages, 2024/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「世界初の同位体分析装置による少量燃料デブリの性状把握分析手法の確立」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、少量燃料デブリの取り出し把握に必要な直接的なデータを世界で初めて取得して評価・検討を行っていくことを目的とする。SEM-EDS等やTEM-EDSでは同位体識別やPu、Bの分析ができない。一方、ICP-MS等のバルク分析では微小視野での情報が欠落する。つまり、既存の方法では、燃焼率指標情報(NdとUの組成比)、中性子毒物Gdや中性子吸収物質Bの存在比などの局所分析データを含めて燃料デブリ性状を把握するための分析手段がないことが大きな課題である。JAEA大洗研究所に導入した同位体マイクロイメージング装置(工学院大学開発)は放射性の微小試料に断面加工を行いながら同位体組成などの局所的な定量データが多量に得られ、燃料デブリの性状を正しくかつ迅速に把握できる。令和3年度は、同位体マイクロイメージング装置の実用性の向上のための改良を行った。具体的には、高線量試料への対応として、検出器の放射線シールドや安全な試料導入機構の開発を行った。また、分析スループットや実用性向上のため、手動で調整が必要だった機構の自動化・遠隔化を行い、併せて重要核種について、最適な共鳴イオン化スキームの開発を行った。
廃炉環境国際共同研究センター; 北海道大学*
JAEA-Review 2024-006, 54 Pages, 2024/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「汚染可視化ハンドフットクロスモニタの要素技術開発」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1Fの廃炉事業に携わる作業者の安心・安全を確保するべく、汚染頻度の高い足裏、両手表面を対象とした「
汚染可視化ハンドフットモニタ」と着衣等の汚染検査に使用する「
・
汚染可視化クロスモニタ」(
・
汚染分布・エネルギー計測可搬型ホスウィッチ検出器)から構成される新規装置の開発を目標として、新しいシンチレータ材料及び装置の実用化の可能性について基礎的な検討を行った。
汚染可視化ハンドフットモニタ用の
線検出用材料としてAD法によるZnS(Ag)厚膜作製及び希土類錯体について検討し、両者ともに
線によるシンチレーションを観察した。また、市販のZnS(Ag)シンチレータとCMOSカメラ等を用いて
線が撮像できること、手部及び靴底の汚染を一度に可視化できる可能性があることを確認した。
・
汚染可視化クロスモニタにおけるホスウィッチ用シンチレータの開発では、La-GPSの単相化を実現するとともに、窒素雰囲気中の高温でのアニールがフォトルミネッセンス強度の増大に効果的であることを見出した。エネルギー・分布計測装置の試作と基本性能評価では、これまでに得られたノウハウに基づき、取得データのハンドリング・分析プログラムの仕様を策定した。さらに、既存の測定装置と組み合わせることで次年度以降の装置製作で必要となる改良点を抽出した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2024-007, 83 Pages, 2024/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和2年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリにおける特性の経年変化と環境劣化割れの調査」の令和2年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料被覆管、制御棒シース等に由来する元素を主成分とする"金属デブリ"に着目し、事故の進展と経年化によるデブリの特性の変化及び材料の変化に由来する金属デブリの機械的特性と形状について、基礎的な知見を取得するものである。今年度が最終年度であり、三ヶ年で得られた知見は次の通りである。金属デブリには、Zr-Fe-B-C系の状態図に即した6つの相が析出する。燃料ペレットから金属デブリ側への酸素拡散による酸化は限定的だと予想される。事故直後を模擬した高温酸化状態では、表面にZrFeを主成分とする外層皮膜が形成される。この物質は良い耐食性を持つので、外層皮膜は金属的な性質を維持している。母相の化学組成に応じた内層酸化皮膜も形成される。内層皮膜の成長は体積膨張を伴うが、ZrB
等は硬質で酸化しないので、これを起点に表面隆起や割れが生じる。軽水炉運転温度程度の水蒸気腐食環境で、金属デブリを構成する各相は耐食性を持つ。金属デブリへの水素吸収は限定的である。被覆管材が主成分の金属デブリは金属的だが、原子炉圧力容器や制御材の構成物質を多く含むなら硬くて脆くなる。金属デブリの表面には、硬さの小さな外層皮膜が存在する可能性があるが、内部の機械的特性は主要構成物質の性質による。
廃炉環境国際共同研究センター; 岡山大学*
JAEA-Review 2024-008, 59 Pages, 2024/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「再臨界前の中性子線増に即応可能な耐放射線FPGAシステムの開発」の令和元年度から令和3年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では集積回路技術に光技術を導入し、1Gradのトータルドーズ耐性を持つ耐放射線光電子FPGAと光技術を用いずに既存の集積回路技術のみで200Mradのトータルドーズ耐性を実現する耐放射線リペアラブルFPGAの2つの開発を行う。日本の研究チームは耐放射線FPGAとハードウエア・アクセラレーションの面でイギリスの研究チームを支援する。イギリスの研究チームは日本の支援を受け、強ガンマ線環境下で使用でき、再臨界前の中性子線増を瞬時に検知可能なFPGAを用いた中性子線モニタリングシステムを実現する。この中性子線モニタリングシステムを日本側の耐放射線FPGAと組み合わせ、再臨界前の中性子線増に即応できる耐放射線FPGAシステムを実現する。
中山 梓介
JAEA-Review 2024-009, 16 Pages, 2024/05
核データは原子力の研究開発を根底から支える基礎データであり、その重要性は広く認識されてきた。その一方で、今後の「核データ研究」を考えた場合には、その種類(標的核種やエネルギー、物理量など)に関して、開発を優先すべきものの整理をすることが必要であると考えられる。こうした状況の下、日本原子力学会「シグマ」調査専門委員会内に「核データロードマップ作成タスクフォース(TF)」が設置され、今後の核データ研究開発に関するロードマップの検討が行われた。本書は核データロードマップ作成TFで行われた検討の結果を報告するものである。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-010, 112 Pages, 2024/08
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島第一発電所2、3号機の事故進展シナリオに基づくFP・デブリ挙動の不確かさ低減と炉内汚染状況・デブリ性状の把握」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、シールドプラグ下高線量の原因究明、事故時のCs移行経路や、Csの構造材付着・堆積状態の解明及び先行溶落したと推定される金属リッチデブリ特性評価を行うため、事故進展最確シナリオ評価に基づく材料科学的アプローチを行っている。令和4年度は、3号機RPVの炉心損傷進展においてMoやIを含んだCs系化学種が気相安定条件、3号機PCVではCsとコンクリート成分の相互反応で形成する可能性のあるCs-Si-Al-O系化合物の生成条件などを整理した。Cs含有物質や金属デブリ模擬物質やコンクリートを用いた水蒸気雰囲気における熱分析試験を実施し、金属表面ではCrやFe系化合物が、酸化物表面ではSiやAlなどの成分を含む化合物が化学吸着する傾向があることが分かった。Csを含有するエアロゾルに関して、CsO-Fe
O
系融体の粘度測定を行い、生成浮遊機構解明を進めた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2024-011, 121 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和2年度に採択された研究課題のうち、「合理的な処分のための実機環境を考慮した汚染鉄筋コンクリート長期状態変化の定量評価」の令和2年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。福島第一原子力発電所のコンクリート構造物の廃止措置では、廃棄物量や濃度を推計することが重要となる。本研究は、コンクリート部材における汚染濃度分布の定量予測を目的としている。コンクリート中の放射性核種の移動には、使用材料(セメント種類、骨材)、状態変化(ひび割れ、乾燥・炭酸化)、放射性核種との接触状態(冷却水と海水の混合、汚染水の濃度変化)等が影響を及ぼす。本研究では、実環境を考慮した放射性核種の浸透状況の推定に向けて、以下を実施した。経年変化したコンクリートの状態を数値解析上で再現するため、乾燥、再吸水によって生じる変形および水分移動に関するデータを取得した。並行して、剛体バネモデルを用いて、コンクリートの材齢変化および温度・水・応力条件を考慮できる、ひび割れの分布を計算する数値解析手法を開発した。コンクリートマトリクスへの長期的な核種の浸透挙動を評価するため、C-A-S-H系におけるCsやSrの収着に関するデータを取得し、熱力学的相平衡を考慮する多元素移動モデルに基づく、イオン浸透予測手法を構築した。構造的および化学的に変化したコンクリートへの放射性核種の浸透挙動を評価するために、ひび割れを有するコンクリートを事故後の汚染水組成相当の溶液に浸漬し、Cs、Srの浸透状況をオートラジオグラフィにより評価した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-012, 122 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1F事故で発生した多様な廃棄物を対象とし、固定化が難しく長期被ばく線量を支配するヨウ素(I)、核種のマイナーアクチノイド(MA)に注目し、これらのセラミクス1次固化体を、更に特性評価モデルに実績を有するSUSやジルカロイといったマトリクス材料中に熱間等方圧加圧法(HIP)等で固定化した"ハイブリッド固化体"とすることを提案する。核種閉じ込めの多重化、長期評価モデルの信頼性の向上により実効性・実用性のある廃棄体とし、処分概念を具体化する。潜在的有害度及び核種移行の観点から処分後の被ばく線量評価を行い、安全かつ合理的な廃棄体化法、処分方法の構築を目的としている。2年目の令和4年度は、1F模擬廃棄物の合成実験、各種放射線照射実験、浸出試験、ハイブリッド固化体の構造解析、固化元素の電子状態変化の放射光分析を行った。種々の計算でI固化体の固溶エネルギー、マトリクスと1次固化体との相互作用を解明した。実験と計算検討により、ヨウ素廃棄物にはマトリクスとしてSUSが適すると結論付けた。ハイブリッド固化体からの核種移行、被ばく線量に対する人工バリア、天然バリア機能の感度解析により、廃棄体寿命を長くすることが長半減期かつ難固定性のI-129には効果的であることが明らかとなった。以上により、廃棄物合成から廃棄物処分時の安全評価までの結節が達成された。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-013, 48 Pages, 2024/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「非接触測定法を用いた燃料デブリ臨界解析技術の高度化」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、非接触のアクティブ中性子法により燃料デブリの臨界安全上の特性を評価する測定システムの開発と、燃料デブリ取出し作業員の安全確保方策の確立に資する基盤技術として多領域積分型動特性解析コードの開発により燃料デブリ臨界解析技術を高度化することを目的としており、令和3年度から令和5年度の3年計画の2年目として東京工業大学、産業技術総合研究所、長岡技術科学大学が連携して実施した。検出器設計最適化のために新たに基礎実験を行って取得したデータを用いて、中性子輸送計算コードの妥当性及び不確かさを評価することで解析精度の向上を図った。この基礎データを基にした輸送計算コードを用いたパラメトリックサーベイにより、検出器の配置やHeガス圧、減速材、遮蔽材、中性子源配置の最適化を実施することにより検出器を設計した。遅発中性子による核分裂も考慮可能な多領域積分型動特性解析コードMIK2.0-MVPを開発し、予備検証としてGODIVA炉超臨界実験の再現解析を実施した。この結果より、MIK2.0-MVPコードでは、MIK1.0コードが有する計算機能に加えて、遅発中性子による核分裂の効果を考慮することができるようになり、MIK2.0-MVPコードと粒子法コードの弱連成解析の土台となる新たな機能を確立することができた。以上の活動により本研究の令和4年度の目的を達成することができた。
廃炉環境国際共同研究センター; 福井大学*
JAEA-Review 2024-014, 112 Pages, 2024/08
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ周辺物質の分析結果に基づく模擬デブリの合成による実機デブリ形成メカニズムの解明と事故進展解析結果の検証によるデブリ特性データベースの高度化」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。酸化物デブリの逆解析では、ガス浮遊法や微小な穴を持つタングステンパイプから溶融・噴出させる方法により模擬燃料粒子の合成に成功した。さらに、サンプリングデータに基づき作成されたU1-No.15試料の凝固パス図を再現し、鉄の挙動が熱力学予測と少し異なる結果を得た。金属デブリの混合・溶融・凝固状態の評価では、溶融させた金属デブリのステンレスへの落下試験や溶融ステンレスを模擬金属デブリへの落下試験より、それぞれ溶融反応が低下するメカニズムを明らかにした。さらにステンレス鋼とジルコニウム混合物の各種圧力容器部材や溶接部材との反応速度データに基づく大型試験体系での解析可能な簡素化モデルを提示、また圧力容器下部の材質を参照した大型試験体の実験より酸化物が圧力容器破損に与える影響を評価、さらに炉心部から先行して溶融・移行したステンレス鋼等の金属物質の再溶融過程におけるウラン混入条件の評価を行った。また、試験技術の整備として、二酸化ウランとジルコニウムと金属との半溶融模擬デブリの合成、少量のウランを用いる模擬燃料デブリ合成に最適な加熱炉の検討を行った。
廃炉環境国際共同研究センター; 工学院大学*
JAEA-Review 2024-015, 99 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「世界初の同位体分析装置による少量燃料デブリの性状把握分析手法の確立」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、少量燃料デブリの取り出し把握に必要な直接的なデータを世界で初めて取得して評価・検討を行っていくことを目的とする。SEM-EDS等やTEM-EDSでは同位体識別やPu、Bの分析ができない。一方、ICP-MS等のバルク分析では微小視野での情報が欠落する。つまり、既存の方法では、燃焼率指標情報(NdとUの組成比)、中性子毒物Gdや中性子吸収物質Bの存在比などの局所分析データを含めて燃料デブリ性状を把握するための分析手段がないことが大きな課題である。JAEA大洗研究所に導入した同位体マイクロイメージング装置(工学院大学開発)は放射性の微小試料に断面加工を行いながら同位体組成などの局所的な定量データが多量に得られ、燃料デブリの性状を正しくかつ迅速に把握できる。令和4年度は、ホット試料の分析と併せて、同位体マイクロイメージング装置の実用性の向上のための改良を令和3年度に引き続き行った。具体的には、同位体マイクロイメージング内にホット試料を導入し、数十
m程度の粒子に対して複数回FIB断面加工を行い、粒子の表面から内部にかけて、成分イメージングを行った。その結果、
Zrと
U
Oが同じ分布で存在していることが確認された。また、CとFe、Uの分布がそれぞれ分離して存在していることが確認された。また、
U、
Uの同位体比についてもホット試料から粒子単位で測定することに世界で初めて成功した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*
JAEA-Review 2024-016, 61 Pages, 2024/12
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「革新的アルファダスト撮像装置と高線量率場モニタの実用化とその応用」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。ここでは、2つの検出器の開発を実施している。1つ目は、作業員の安全の確保のための線核種の炉内の分布を明らかにする技術の実現を目指し、スミヤろ紙上に付着するより細かい
線核種を含む微細なダストの詳細な分布を可視化することを可能にする技術の開発である。初年度にあたることから研究開始時は資材等の準備から始まり優れた位置分解能、高感度化を目指した検出素子などの材料開発、光検出器などのハードおよびソフトウェアといった準備を順調に行うことができた。令和4年度末までに発光波長が500-800nmの目標値の中に入る材料の開発などを実施することができた。2つ目の検出器は、光ファイバーを用いた超高線量率場での線量率モニタの開発である。こちらについても、高感度化を目指した検出素子などの材料開発およびシミュレーション体系の構築といった準備を順調に行うことができた。そして目標発光波長である650-1,000nmを満たす当該材料の開発を行うことができた。加えて、モニタとしての実証試験も実施して、80mSv/h未満から1kSv/h以上までの線量のダイナミックレンジを有することが分かり、現場適用に対応可能な検出器の開発が進められた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2024-017, 55 Pages, 2024/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ取り出しのための機械式マニピュレータのナビゲーションおよび制御」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、未知環境での衝突対応のための機械的可変インピーダンスアクチュエータを用いたロボットマニピュレータの開発および効率的な探査・廃止措置のための人工知能を使った制御手法の構築に取り組む。従来調査では困難だった開口部から奥の領域における調査を行う他、先端部のグリッパーで、ペデスタルの底部に存在する小石状の燃料デブリの回収を目指す。ペデスタル内部の環境制約に対応するためのマニピュレータ機構と遠隔操作システムの開発に取り組む。令和4年度は、最適なマニピュレータのパラメータ設計とナビゲーションアルゴリズムの開発に取り組んだ。令和3年度に開発したシミュレーション環境を活用し、廃炉措置に最適なマニピュレータやアクチュエータのパラメータの設計をライテックスと共同で行った。構築したシミュレーション環境において適したマニピュレータの寸法・速度伝達比および効率的な把持力の推定を目指した。得られた情報・最適なマニピュレータのパラメータは英国と情報交換をすることで、最終的なマニピュレータ設計へと反映させた。並行して、ナビゲーションアルゴリズムの開発をライテックスと共同で進めた。特に、機械学習手法等を活用した手法の構築、二次元画像からの目標点のオペレータ提示に基づく高信頼性ビジュアルサーボの実現を目指した。
原子力システム技術評価委員会
JAEA-Review 2024-018, 38 Pages, 2024/06
原子力機構は、文部科学省・原子力システム研究開発事業「脱炭素化・レジリエンス強化に資する分散型小型モジュラー炉を活用したエネルギーシステムの統合シミュレーション手法開発」に係る研究開発活動の中で、日本および他国における設計標準化、工場製造、サイト独立型小型モジュール炉(DFS-SMR)の展開の可能性に関するアドバイスを得るために、対象分野の専門家からなる「原子力システム技術評価委員会」を設置した。本委員会は2021年から2024年のプロジェクト期間中に3回開催され、日本におけるDFS-SMRの商業展開の可能性のための規制枠組みに関する提案が議論された。委員会での議論の出発点は、日本の原子力規制の枠組みは、既存の商用原子力発電所が稼働している他のほとんどの国と同様に、大型軽水冷炉(LWR)に焦点を当てているという見解であった。また1つの考慮事項は、世界中の他の規制イニシアチブと一致する、規制の枠組みの基本構造に関する委員会の見解であった。具体的には、最も効果的な規制の枠組みを実現するには、規範性を減らし、テクノロジーに依存せず、パフォーマンスに基づいたものにする必要があるというものである。本報告書では、SMRおよびその他の先進的原子炉の配備に関して指導的役割を果たしている米国を取り上げ、日本におけるSMRに対応するライセンス枠組みに関する提案に関する議論の内容及び、日本の現在のライセンス枠組みと提案されている枠組みとの間のギャップの分析並びにギャップを埋めるための具体的な推奨事項をまとめている。本委員会は、この報告書で提案された規制の枠組みの変更が現実になることに期待を寄せている。
廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*
JAEA-Review 2024-019, 102 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和2年度に採択された研究課題のうち、「/
/
線ラジオリシス影響下における格納容器系統内広域防食の実現:ナノバブルを用いた新規防食技術の開発」の令和2年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、デブリの本格的取り出し工程での閉じ込め機能(PCV、負圧維持系等)の経年劣化要因として重要と考えられる腐食を対象としたものである。1F 1
3号機PCV内部における腐食環境の特殊性は、燃料デブリ由来の
線/
線放出核種の粒子やイオンと構造材料がPCV内の種々の部位で直接接触し得ることに在り、飛程の短い
線/
線放出核種が接触する局所で、ラジオリシスにより生成する化学種(特にH
O
)が局所的に高濃度となれば、当該箇所において鋼材の腐食が大きく加速する可能性が有る。対して、
/
ラジオリシスを考慮した腐食評価に関する知見が欠けていた。このような背景に鑑みて、本研究では以下の研究成果を得た。(1)
線/
線/
線の影響を網羅したラジオリシス解析モデルを構築した。(2)
線放出核種/
線放出核種を用いた電気化学試験(ホット試験)ならびにコールド条件での模擬環境腐食試験による系統的な腐食速度データを取得した。
廃炉環境国際共同研究センター; 海上・港湾・航空技術研究所*
JAEA-Review 2024-020, 77 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和2年度に採択された研究課題のうち、「無人航走体を用いた燃料デブリサンプルリターン技術の研究開発」の令和2年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、日英共同研究体制の下、耐放射線性を持ちつつ中性子検出効率を向上させた中性子検出器と、強力な切削能と収集能を持ったエンドエフェクタ並びにマニピュレータを融合させた燃料デブリサンプリング装置を開発し、それらを無人航走体へ搭載させた燃料デブリサンプリングシステムを構築することを目指したものである。さらに、システム位置を同定する測位システムと、光学カメラ、ソナー、今回開発する中性子検出器の計数情報を仮想現実システムへ投影させる技術を開発し、遠隔操作技術の向上に貢献する技術開発を行った。日本側が担当した燃料デブリマッピングツールの開発では、1)高耐放射線小型高効率中性子センサの開発、2)UUVプラットホームの開発、3)放射線環境シミュレーション及び積算中性子線量計の特性評価を実施した。実施項目1)ではシリコン半導体検出器に微細構造を施して中性子の感度を上げ、ガンマ線の感度を下げたMSNDの特性評価と専用集積回路を開発し、小型高効率中性子センサを実現した。実施項目2)では、燃料デブリマッピングツール構成要素(中性子センサ、水中カメラ、ソナー、LiDAR)が連動するための通信制御系とUUVプラットホームとのインターフェースを完成させた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2024-021, 126 Pages, 2024/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「ジオポリマー等によるPCV下部の止水・補修及び安定化に関する研究」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、PCV底部の止水及び補修を目的として、改良したジオポリマーや超重泥水によりジェットデフレクター等を止水し、併せてドライウェル下部を補修する施工法を提案する。また、堆積状況など未解明な状況にある現場施工の選択肢を増やすため、止水・補修材の対象部位周辺への局所的施工のみならず、ペデスタル外の広範囲にわたる施工についても検討し、最新の熱流動シミュレーション法により、工法実現性を評価する。広範囲に施工する場合には、ペデスタル外に流出した燃料デブリや堆積物は止水・補修材で被覆されて廃棄体となる。このため、燃料デブリの成層化状態等性状を実験及び解析により把握した上で、廃棄体を安定化する方策を検討するとともに、核種浸出性を含めた廃棄体の長期寿命を評価する。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-022, 59 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「マイクロ・ナノテクノロジーを利用したアルファ微粒子の溶解・凝集分散に及ぼすナノ界面現象の探求」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。安全で合理的な燃料デブリ取出しを進めるためには、デブリ加工時に発生するアルファ微粒子の溶解や変性挙動の把握は不可欠であることに鑑み、本研究は、金属酸化物ナノ粒子の凝集、溶解、変性挙動を熱力学的・速度論的に解明し得るマイクロ・ナノデバイスを創出すると共に、数理科学と組み合わせることで、アルファ微粒子の溶解・凝集・変性プロセスのメカニズム解明と反応モデル化を実現することを目的としている。具体的には、(1)ナノ粒子溶解特性評価、(2)溶解ダイナミクス分析、(3)凝集ダイナミクス分析、(4)表面微構造解析、(5)数理科学的モデリングの5項目を日本側・英国側で分担し、互いに有機的に連携しながら推し進める。令和4年度には、マイクロ限外ろ過分離法を用いて金属酸化物ナノ粒子(TiO、CeO
、ZrO
、ZnO)の溶解特性を調べ、これら金属酸化物ナノ粒子と反応溶媒(純水、硝酸、H
O
)との組み合わせによって、個々のナノ粒子の変性挙動は異なっており、特に、H
O
処理がナノ粒子の変性と溶解の促進を引き起こすことを見出した。また、金属酸化物ナノ粒子と反応溶媒との衝突反応を観測できるマイクロデバイスを創出し、観察画像の輝度変化からナノ粒子の凝集速度を求めることに成功した。
廃炉環境国際共同研究センター; 京都大学*
JAEA-Review 2024-023, 78 Pages, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という。)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「高放射線耐性の低照度用太陽電池を利用した放射線場マッピング観測システム開発」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、自立・遠隔で駆動するセンサーを応用した放射線場マッピングが可能なシステムを開発することで、PCV内の放射線情報を網羅的かつリアルタイムで取得し、非常に透過性が高く事故の要因となりえるガンマ線や中性子などの漏洩監視により作業員や住民に対する安全性を担保可能なシステムを実環境に実装するための実証研究を行うものである。太陽電池型線量計は、宇宙用太陽電池として開発されてきた高放射線耐性を有する半導体素子を利用した自立駆動形の省電力・小型センサーとして開発を進めており、PCVへの適応可能性について議論してきた。CIGS太陽電池型線量計をベースとして1F実装に向けた素子の高機能化及びシステム化が必要となる。高機能化として、さらなる難アクセス箇所への探索を目指したフレキシブルシート化、マッピングモニタリングシステム開発基盤となる多接続化及び再臨界事故評価システム開発に向けたガンマ線・中性子検出構造の最適化を実施している。令和4年度では、CIGS太陽電池素子構造をベースとしたフレキシル素子の作製設備の整備及びガラス基板CIGS素子を用いた試作機による初期特性をガンマ線、電子線及び中性子線照射試験により解明する。中性子検出構造においては、変換材料のホウ素を塗布による成膜を検討しており、粉末材料粒径の調製条件の解明や、塗布法及び溶剤条件に関する選定を行う。
廃炉環境国際共同研究センター; 横浜国立大学*
JAEA-Review 2024-024, 88 Pages, 2024/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「障害物等による劣悪環境下でも通信可能なパッシブ無線通信方式の開発」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、上記無線通信システム実現のための基地局とセンサノード、センサ位置特定アルゴリズム、電磁波遮蔽領域に対する無線エリア形成手法を開発した。基地局アンテナとしては、ダウンリンクに2.45GHz、アップリンクに2倍高調波である4.9GHzを用いる基地局アンテナを開発した。またこれに対応するセンサノードを開発した。また開発した回路およびアンテナが放射線の影響を受けずに動作することを確認した。センサ位置特定アルゴリズムに関する研究としては、原子炉建屋内など対象エリア内のロボットや作業者の位置を可視化および座標化するための多重波電波トモグラフィー法を計算機シミュレーションにより開発し、単純な実験室環境での測定による動作確認を行った。また高分解能測定系構築と信号処理手法として、伝搬特性の類似した到来波同士をクラスタ化する手法を開発し、求められたクラスタから電波伝搬メカニズムを同定し、多重波経路を求める手法を構築した。電磁波遮蔽領域に対する無線エリア形成手法に関する研究として、原子炉格納容器内のような電波遮蔽領域に対してペネトレーションを無線リンク確立手段とした導波路およびアンテナ素子を開発した。
廃炉環境国際共同研究センター; 自然科学研究機構*
JAEA-Review 2024-025, 33 Pages, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「中赤外レーザー分光によるトリチウム水連続モニタリング手法の開発」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、中赤外レーザーを用いたキャビティリングダウン計測システムによる「濃度60Bq/ccレベル」トリチウム水短時間計測の原理実証を成果目的とする。令和3年度は、上記目標を達成するため(1)キャビティリングダウン装置に関する研究及び(2)環境条件下における水素同位体組成評価と標準試料作製(再委託先:弘前大学)を行った。核融合科学研究所の計測実験棟2F実験室に光学ベンチを用意し、ガスセル中に充填した重水の中赤外光源を用いた吸収分光計測に成功した。次にキャビティリングダウン計測必須なレーザー光源を開発した。キャビティリングダウン計測において、光源性能は計測精度に支配的であるため、波長4.0m帯の量子カスケードレーザーを光増幅器等で出力を向上させた。波長4.0
m帯の量子カスケードレーザーを独自開発の光増幅器によって、レーザー出力を200mWから870mWへ向上させた。(2)においては、複数の試薬会社より市販されている重水標準溶液を利用して水素同位体標準溶液作製を進めるとともに、安定水素同位体比及びトリチウム濃度を決定した。加えて、市販の重水試薬を用いて、約100Bq/Lの標準試料を作製した。次に、これまでに開発を進めてきたトリチウム測定用高時間分解能大気水蒸気捕集装置を用いて、実験室内だけでなく屋外の大気水蒸気捕集を行い、水素同位体比存在量(H/D)を求めた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-026, 80 Pages, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という。)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明」の令和元年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、放射化学、核化学、核物理、燃料材料科学の専門家に環境微生物の専門家を加えた研究者により、模擬デブリの作製から、照射、化学的作用及び生物作用による溶出試験を行い、富岡町の国際共同研究棟等にJAEAが有する先端分析機器を駆使してデブリの性状の変化、元素の溶出挙動を分析し、放射線損傷と酸化環境下における化学的及び生物学的損傷の複合作用による燃料デブリの劣化機構を解明することを目的とした。令和4年度には、放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明のため、線照射下における微生物の模擬燃料デブリ劣化試験、Feと錯形成能を有するシデロフォアであるdesferrioxamine (DFO)あるいは代替物とFe、Uの錯形成能、模擬燃料デブリやマイクロ粒子を計測できるマイクロ流路を用いた溶解試験、Fe酸化物への収着へのシデロフォアなどの影響、モデル微生物や1F付近で採取した菌種による模擬燃料デブリの劣化に関する知見を実験により得た。更に、模擬デブリの劣化を時間の関数として表すモデルを作成し、計算を行った。
廃炉環境国際共同研究センター; 東海国立大学機構*
JAEA-Review 2024-027, 77 Pages, 2024/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「無線UWBとカメラ画像分析を組合せたリアルタイム3D位置測位・組込システムの開発・評価」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、原子炉建屋内の空間線量計測における人やロボットによる10㎝精度未満での簡易リアルタイム3D位置測位を目標とし、最新普及技術である『無線UWB(Ultra Width Band)』と『複数カメラ物体認識』の2種類を組合せた組込システムの実現を目指している。その中で、岐阜大学・福島高専グループがカメラ撮影機能・カメラ分析機能・無線通信機能を有する組込装置を開発し、それら複数装置用いて、カメラ画像群の分析に基づくリアルタイム3D位置測位の実現を目指す。東京大学・LocationMind(株)グループが、UWBリアルタイム位置測位技術の原子炉建屋内へ適用を行い、安定性向上技術の開発を試みる。なお、名古屋大学グループが電磁波吸収材料を使用し、ハード面からの無線UWB安定化の検証を担当する。そして耐放射線評価は、原科研グループ・福島高専グループが協力して行う。
辻村 憲雄
JAEA-Review 2024-028, 19 Pages, 2024/07
放射性表面汚染に関してわが国の法令で現在定められている表面密度限度(放出核種に対して4Bq/cm
、
/
放出核種に対して40Bq/cm
)は、1950年代から1960年代にかけて英国原子力公社(UKAEA)のDunsterによって研究された誘導実用限度に基づくとされる。この誘導実用限度は日英両国でほぼ同じ時期に法令に取り入れられたが、それ以来、わが国では規制内容がほとんど変わらなかったのに対し、英国では過去数十年の間に幾度となく変更が加えられた。英国の最新の法令にあっては、表面密度に関する具体的な数値の要求は一切無く、原子力事業所は自らの管理基準を定めるなど自主的な対応をとることとされている。本報告書は、表面密度に関する日英法規制の違いをその歴史的な変遷も含めて詳らかにしつつ、わが国における今後の規制の在り方について検討するための基礎資料として整理したものである。
研究炉加速器技術部
JAEA-Review 2024-029, 107 Pages, 2024/08
研究炉加速器技術部は、JRR-3 (Japan Research Reactor No.3)、NSRR (Nuclear Safety Research Reactor)の研究炉、タンデム加速器、ラジオアイソトープ製造棟、トリチウムプロセス研究棟を運転管理し、それらを利用に供するとともに関連する技術開発を行っている。また、JRR-4 (Japan Research Reactor No.4)の廃止措置や、JRR-1 (Japan Research Reactor No.1)及びFEL (Free Electron Laser)研究棟の維持管理も行っている。本年次報告は令和4年度における当部の実施した運転管理、利用、利用技術の高度化、JRR-4の廃止措置、安全管理、国際協力及び人材育成について業務活動をまとめたものである。さらに、論文、口頭発表一覧、官庁許認可及び業務の実施結果一覧を掲載した。
石田 怜也; 園部 博; 木村 明博
JAEA-Review 2024-030, 75 Pages, 2024/08
材料試験炉部のホットラボ施設は、1967年から建設が行われた施設である(1971年よりコンクリートセル及び鉛セル供用開始、1982年より鉄セル供用開始)。建設年数が古いことから、施設内に敷設されている配管類に巻き付けられた保温材にはアスベストが使用されている可能性が高い。当該配管類の保温材にアスベストが含有していた場合、それら配管類の修理・改造又は撤去等の工事により大気中に飛散し、作業者に肺がんや中皮腫等の健康障害を発生させる恐れがある。そのため、施設内におけるアスベストの使用状況を把握することも重要である。これまで、ホットラボ課では、施設内に敷設されている複数の系統の配管に巻き付けられた保温材等についてアスベスト含有の有無を調査してきた。結果、いくつかの保温材中からアスベストが検出された。本報告書では、これまで実施したアスベスト調査結果について報告する。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2024-031, 75 Pages, 2024/08
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島第一原子力発電所の廃止措置における放射性エアロゾル制御及び除染に関する研究」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、英国研究グループとの協力のもと、レーザー除染時のエアロゾル拡散制御を行いつつ、同時に高度な微粒子測定と評価が可能な安全なレーザー除染システムの開発を目的としている。日本側では、東京大学が保持する試験装置を活用し、水ミストと液滴を用いたエアロゾル拡散抑止技術の確立と、CFD解析を活用した除染時の流れ場評価を実施し、効果的に制御する除染システムを開発する。具体的には、エアロゾルと水界面の相互作用に関連する技術を応用し、模擬放射性物質へのレーザー照射試験を行い、高精度検出器による10nm10
mのエアロゾル粒子の計測、水ミストやスプレー液滴の電気化学的処理による粒子分散制御、並びに得られたデータを基にして分散制御に関するCFDシミュレーションの精度向上を目指す。最終成果としては、模擬ウェル試験場において日英の研究成果を活用したモックアップ実験を通した実証試験を行う。得られた成果は、両国の廃炉現場における高線量エリアのレーザー除染計画に役立つものと期待される。
岩村 桐子; 仲田 久和; 前川 恵輔; 坂井 章浩; 坂本 義昭
JAEA-Review 2024-032, 39 Pages, 2024/08
日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、平成20年に改正した原子力機構法により、研究施設等から発生する低レベル放射性廃棄物(研究施設等廃棄物)の埋設事業の実施主体と位置づけられた後、原子力機構法に基づいて平成21年に「埋設処分業務の実施に関する計画」(実施計画)を定めた。実施計画では、原子力機構及び原子力機構外の廃棄体等物量の調査結果に基づき、埋設施設の規模としては200Lドラム缶換算で約60万本と定め、平成24年に埋設施設の概念設計の検討結果を「研究施設等廃棄物浅地中処分施設の概念設計」に取りまとめた。一方、原子力機構は、平成30年にバックエンド対策にかかる長期的な見通しと方針として「バックエンドロードマップ」を公表したが、このバックエンドロードマップにおいては、原子力機構から発生する廃棄体等物量も整理し公表した。これに伴い、原子力機構外の廃棄物発生者からの廃棄体等物量の再調査を行った結果、埋設施設規模を200Lドラム缶換算で60万本から75万本とし、実施計画の変更認可を得た。この際、施設規模の拡大に伴う埋設施設の設計を見直した。本報告書は、平成24年の概念設計からの前提条件及び埋設施設の設計を更新した結果を取りまとめたものである。
中山 雅
JAEA-Review 2024-033, 64 Pages, 2024/09
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和6年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」および「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」について、引き続き調査研究を行う。令和6年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や解析課題などに取り組む。また、物質移行試験について、掘削損傷領域を対象とした試験および有機物・微生物・コロイドの影響について取りまとめ、評価手法を整備する。さらに、ブロックスケールを対象とした物質移行について、稚内層深部を事例とした評価手法を取りまとめる。「処分概念オプションの実証」では、閉鎖技術の実証として、坑道掘削・閉鎖後の地質環境変化に関する調査試験結果などの整理・取りまとめを行うとともに、坑道内から掘削されたボーリング孔の閉塞技術の適用性や技術的な課題について取りまとめる。坑道スケールピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、調査・評価手法の整理や解析などを進める。また、高温度(100
C以上)等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験では、令和5年度に開始した原位置試験を継続し、ひと組の試験体を解体して100
Cを超える熱履歴を経た緩衝材の特性を確認する。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、地殻変動が地層の透水性に与える影響、ダクティリティインデックスを用いた透水性の評価手法・隆起侵食の影響の評価手法および水圧擾乱試験による断層の活動性(力学的な安定性)評価手法について取りまとめる。地下施設の建設・維持管理では、令和5年度に引き続き東立坑と換気立坑の掘削を行うとともに、湧水対策を実施した後に西立坑および500m調査坑道の掘削を開始する。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスクについて調査研究を継続する。
高温工学試験研究炉部
JAEA-Review 2024-034, 70 Pages, 2024/10
本報告書は、2022年度のHTTR(高温工学試験研究炉)の運転・保守管理状況、HTTRを用いた研究開発等についてまとめたものである。HTTRは熱出力30MW、原子炉出口冷却材温度950Cの我が国初の高温ガス炉の試験研究炉である。高温ガス炉は固有安全性に優れ、発電のみならず水素製造等の多様な産業利用が可能な原子炉として、将来の脱炭素社会に対応した次世代原子炉の候補として挙げられている。HTTRの目的は高温ガス炉技術の基盤の確立及び高温ガス炉の安全性の実証等であり、安全性実証試験、長期連続運転等の高温ガス炉の研究開発に関する各種実証試験並びに高温ガス炉の運転・保守に係る実績を有している。2022年度は、2021年の運転時に発生した1次ヘリウム循環機フィルタ差圧上昇の対策等の保守管理を主に実施した。
丹羽 正和; 島田 顕臣; 浅森 浩一; 末岡 茂; 小松 哲也; 中嶋 徹; 小形 学; 内田 真緒; 西山 成哲; 田中 桐葉; et al.
JAEA-Review 2024-035, 29 Pages, 2024/09
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和6年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
桑原 涼太; 箭内 智博; 鍵 伎; 谷本 政隆
JAEA-Review 2024-036, 43 Pages, 2024/09
材料試験炉(JMTR)は1967年から建設が行われた。このため、アスベストが規制される以前に建てられたことから、アスベストが各所に使用されていることが懸念される。アスベストはその耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性等、非常に優れた特性を持ち合わせており、当時の部材、建材にアスベストが高い確率で含有されている。そこで、調査にあたって比較的設置年が経過しており、外観上アスベストが含有していそうな保温材の多い非管理区域である特定施設(JMTR施設に必要な電源、水、空調を供給する等のユーティリティー施設のこと)に絞り調査を開始、施設内に敷設されている配管に巻いてある保温材について調査を実施した。対象として、施設内に敷設されている複数の系統の配管のうち、特に設置年数の経過している配管の保温材についてアスベスト含有の有無を調査した。アスベストを吸い込むと、肺がんや中皮腫等の疾患を引き起こす可能性があることから、建築物等の解体・改修工事を行う際には、あらかじめアスベストの有無の事前調査を行う義務が法律で定められていることもあり、事前に施設内のアスベストの使用状況について把握することは重要であることと、今後の廃止措置の中で機器、設備の解体撤去の際の計画の策定についても適用できると考える。調査の結果、保温材中、特に配管が曲がるエルボと呼ばれる箇所からアスベストが検出されることが分かった。本報告書においてこれら調査結果について報告する。
物質科学研究センター
JAEA-Review 2024-037, 141 Pages, 2024/11
JRR-3(Japan Research Reactor No.3)には、日本原子力研究開発機構(原子力機構)が所管する15台の中性子ビーム利用実験装置が設置されており、装置高度化を含めた原子力機構の独自利用を行うとともに施設供用装置として外部利用者に供し、様々な研究成果を創出している。本報告書は、運転再開後の令和3年度、令和4年度の独自利用研究および中性子ビーム利用実験装置の高度化などの技術開発の進捗状況を取りまとめたものである。
佐賀 要
JAEA-Review 2024-038, 9 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構では、使用済燃料に含まれる元素の中から産業分野において利用価値の高い元素を分離する手法を開発してきた。本調査報告では、産業分野の最近の動向を踏まえて、利用価値の高い元素及び核種を把握することを目的とした。使用済燃料中に含まれる元素及び核種の存在量と産業分野の需要の観点から調査を実施し、以下の調査結果を得た。産業分野における放射性同位体の経済規模(放射線利用も含める)は、工業、医療、農業の分野で近年増加傾向である。一方で、利用核種の国内生産量は少量に留まっており、核種によっては全量輸入に頼っている状況である。なお、使用済燃料中にはSr-90, Mo-100, Cs-137, Am-241など、産業利用に向いた適度な長さの半減期を持つ核種が多く存在している。元素の利用としては、産業利用の価値が高く、かつ、国内自給率も低い元素である白金族元素と希土類元素の産業利用について調査した。白金族元素では、使用済燃料に含まれる存在量から国内の新規生産源として一定量を供給できる可能性があると評価した。一方で、自給率の乏しい希土類元素では、現在の年間供給量と使用済燃料から供給可能な量を比較した場合、供給可能な量は、年間供給量の1%にも満たないことから効果は期待できないと評価した。希土類元素は、国内のリサイクル率が低調である。そこで、リサイクル率向上に資する技術の提供が産業分野への貢献度が高いと評価した。具体的には、使用済燃料から有価元素を分離する技術である溶媒抽出法の数値シミュレーション技術の提供である。数値シミュレーション技術の提供により分離プロセスの処理段数計算や処理速度を分離・利用したい元素に合わせて最適な運転条件を試算することが可能になる。運転条件の具体化によりリサイクル費用なども試算できることで、リサイクル工程の導入に貢献できる可能性があると結論付けた。
茂木 孝介; 柴本 泰照; 日引 俊詞*; 塚本 直史*; 金子 順一*
JAEA-Review 2024-039, 45 Pages, 2024/09
既往研究において様々な対向複合対流の熱伝達相関式が提案されているが、それらは様々な試験装置、流路形状、試験流体、熱流動パラメータの範囲で実施された実験結果に基づいている。従って、使用に際してその適用範囲や外挿性を踏まえた上でどの相関式を選択すべきかを整理しておくことは重要である。本稿では既存の対向複合対流の熱伝達相関式についてレビューした。また、複数の既往実験データと各相関式との比較を行い、相関式の予測性能を評価した。その結果、Jackson and Fewster相関式、Churchill相関式、Swanson and Catton (IJHMT)相関式は、全ての実験データを精度良く予測可能であった。さらに、代表長さに水力等価直径を用いることにより流路形状の違いに関わらず相関式が適用可能であり、支配パラメータの無次元化により試験流体によらず相関式が適用可能であることを確認した。
竹田 武司; 柴田 大受
JAEA-Review 2024-040, 29 Pages, 2024/09
日本の第6次エネルギー基本計画では、2050年までのカーボンニュートラルを目指したエネルギー政策の道筋を示すことが重要なテーマとなっている。2030年に向けた日本の原子力研究開発(R&D)への政策対応には、国際連携による2030年までの小型モジュール炉(SMR)技術の実証が盛り込まれている。これを踏まえ、脱炭素化と経済成長を同時に達成するGreen Transformation (GX)の実現に向けて、今後10年を見据えた取組の基本方針が取りまとめられた。海外に目を向けると、米国、カナダ、欧州、中国、ロシアを中心に、重工メーカーやR&D機関のみならずベンチャー企業も含めて、国際的にSMRのR&D活動が活発である。このような状況下で、原子力機関(NEA)の原子力施設安全委員会(CSNI)は、SMRの安全性への影響評価を支援するために、SMRに関する専門家グループ(EGSMR)を招集した。EGSMRの取組として、SMRの導入や研究活動に関する最新情報の収集を主目的とした数回にわたるアンケートへの回答の提出が求められた。これに対して、筆頭著者から、JAEAに加えて日立GEニュークリア・エナジー株式会社、三菱重工業株式会社からの情報に基づき回答した。アンケートに対する日本の回答の多くは、CSNI Technical Opinion Paper No.21 (TOP-21)のベースとなる情報である。本報告書では、整理した公開可能な日本のアンケート回答と付加情報を示し、TOP-21の記載内容の一部を補完した。これにより、EGSMRの活動(2022-2023年)を中心とした日本におけるSMRに関するR&Dの調査結果をまとめた。本報告書は、SMRに関する今後の国際協力の議論や国内外の原子力分野の人材育成に役立てることを目的としている。この中で、日本の革新炉のR&Dの主なトピックスとして、高温ガス炉(HTGR)とナトリウム冷却高速炉(SFR)に関して、実用化に必要な技術と現状のギャップを同定している。また、HTGRと水素製造施設の相互接続に関連して、水素製造施設からの可燃性ガスの漏洩と異常発生が安全性に与える影響等について整理している。
田崎 真樹子; 清水 亮; 木村 隆志; 須田 一則
JAEA-Review 2024-041, 88 Pages, 2024/11
2018年度から開始した「非核化達成のための要因分析と技術的プロセスの研究」の一環で、イランの核開発及び非核化(包括的共同作業計画まで)の事例を調査し、それらを8つの非核化要因((1)核開発の動機、(2)非核化を決断した際の内外情勢、(3)核開発の進捗度、(4)制裁の効果、(5)非核化の国際的枠組み、(6)非核化のインセンティブ、(7)非核化の方法、(8)非核化の検証者、検証方法)から分析し、他国の非核化との比較も交えて得られる非核化の教訓を導いた。パーレビ国王下のイランは、米国の支援を得て研究炉等を導入し、商用原子炉の建設や自国でのウラン濃縮の実施等、原子力プログラムの推進を企図したが、1979年のイラン・イスラム革命で原子力計画は一時停止した。しかしイラン・イラク戦争で、イラクから化学兵器の攻撃を受け、国際社会からもイランが望んだ対応を得られなかったこと等から、秘密裡の核開発に舵を切り、パキスタンの「核の供給ネットワーク」から遠心分離機等を調達すると共に、ナタンズに秘密裡のウラン濃縮施設を建設し、アラクに重水炉の建設も企図した。加えて、後に「イランの核プログラムの軍事的側面の可能性」と呼ばれることになる核兵器開発に繋がる活動も実施したとされる。しかし、2002年のイラン反体制派によりそれまでの秘密裡の活動が暴露され、イランは核開発よりもウラン濃縮活動の維持と継続を優先した。IAEAとの協力を維持して外交交渉で事態打開を目指し国連安全保障理事会への付託や経済制裁を避けるとの「現実的アプローチ」を採ることとして、2002年からEU3か国(仏独英)と、また2006年からは5核兵器国を交えてEU3/E+3(中仏独露英米とEU)と非核化交渉を開始した。そして2015年に包括的共同作業計画の合意に至った。イランの非核化事例の教訓としては、非核化には、国際社会の非核化に向けたモメンタム、5核兵器国の協調・協力(当事国全ての国による合意の遵守も含まれる)、制裁の有効的な活用、非核化対象国の非核化に対するインセンティブを損なわないための原子力平和利用の保証が重要であり、非核化の検証方法や手段、制裁解除の条件の明確化等が必要であることが挙げられる。
中山 雅
JAEA-Review 2024-042, 111 Pages, 2024/11
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和5年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を再開し、350m調査坑道に新たに3本の坑道を掘削するとともに、東立坑および換気立坑の掘削を実施した。令和5年度末現在、350m調査坑道の拡張(坑道延長66m)を終了し、立坑の掘削深度は、東立坑で深度424m、換気立坑で深度393mである。また、令和5年2月から開始した幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行い、原位置試験や解析などの実施計画を検討するとともに、研究の進捗状況について確認、議論を行った。令和5年度末現在、原子力機構を含め、8つの国と地域から11の組織が参加している。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
田崎 真樹子; 清水 亮; 木村 隆志; 須田 一則
JAEA-Review 2024-043, 91 Pages, 2024/12
2018年度から開始した「非核化達成のための要因分析と技術的プロセスの研究」の一環で、朝鮮民主主義人民共和国(以下、「北朝鮮」という。)の核開発及び非核化の事例を調査し(ただし2018年に米朝交渉が開始される前まで)、8つの非核化要因((1)核開発の動機、(2)非核化を決断した際の内外情勢、(3)核開発の進捗度、(4)制裁の効果、(5)非核化の国際的枠組み、(6)非核化のインセンティブ、(7)非核化の方法、(8)非核化の検証者、検証方法)から分析し、得られる非核化の教訓を考察した。北朝鮮は朝鮮戦争以降、国家安全保障の確保、国家の威信及び金体制の維持・強化のため、核開発を進めて外交交渉を北朝鮮の有利に導く切り札としての核兵器を取得し、現在まで計6回の核実験を実施するに至った。その間国際社会は、南北朝鮮間の「朝鮮半島非核化宣言」、米朝間の「合意された枠組み」、さらに六者会合による「第4回六者会合に関する共同声明」及び左記声明に基づく「初期段階の措置」と「第二段階の措置」等に基づく北朝鮮の非核化に向けた国際的枠組みを形成した。加えて国連安全保障理事会(以下、「国連安保理」という。)決議に基づく経済制裁や、米国トランプ政権も「最大限の圧力」政策に基づく制裁で北朝鮮の非核化を推進しようとしたが、いずれも結果的には成功しなかった。2024年時点では北朝鮮が既に核兵器を保有していることから、同国の非核化は決して容易ではなく、北朝鮮をそのための外交交渉のテーブルに着かせることさえ難しいと思われる。しかし国際社会は、北朝鮮に対して核不拡散に係る国際規範の遵守の必要性を粘り強く主張すると共に、国連安保理常任理事国である5核兵器国の協調・協力による「抜け穴」を生じさせない強固な制裁の履行や、六者会合で示された「約束対約束、行動対行動」の原則に基づく北朝鮮の非核化の措置に即応し、確実な検証を伴った制裁の段階的な解除の実施など、将来的な「完全、検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID: Complete, Verifiable, and Irreversible Dismantlement)」の実現に向けた措置を1つ1つ確実・着実に実施して行くための努力を継続していくことが必要となろう。
システム計算科学センター 高性能計算技術利用推進室
JAEA-Review 2024-044, 121 Pages, 2025/01
日本原子力研究開発機構では、原子力の総合的研究開発機関として原子力に係わるさまざまな分野の研究開発を行っており、これらの研究開発の多くにおいて計算科学技術が活用されている。日本原子力研究開発機構における計算科学技術を活用した研究開発の論文発表は、過去十数年にわたり、毎年度、全体の約2割を占めている。大型計算機システムはこの計算科学技術を支える重要なインフラとなっている。大型計算機システムは、第4期中長期計画にて重点化して取り組むとされた「安全性向上等の革新的技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献」、「原子力科学技術に係る多様な研究開発の推進によるイノベーションの創出」、「東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係わる研究開発の推進」、「高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する技術開発の着実な実施」、「原子力安全規制行政及び原子力防災に対する支援とそのための安全研究の推進」等といった研究開発活動に利用された。本報告は、令和5年度における大型計算機システムを利用した研究開発の成果を中心に、それを支える利用支援、利用実績、システムの概要等をまとめたものである。
宇佐美 博士; 伊藤 倫太郎; 田川 明広
JAEA-Review 2024-045, 49 Pages, 2024/12
東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置は、長期にわたるプロジェクトであり、このようなプロジェクトを遂行していくには、今後の廃止措置を担う若い技術者や研究者の育成が必要かつ喫緊の課題となっている。この課題に対し、福島廃炉安全工学研究所廃炉環境国際共同研究センターでは、廃炉研究に取り組んでいる学生のための「次世代イニシアティブ廃炉技術カンファレンス(Conference for R&D Initiative on Nuclear Decommissioning Technology by the Next Generation: NDEC)」を2016年から継続的に開催してきている。NDECは、人材育成と若手研究者ネットワーク形成を目的とした学生の研究成果発表の場であり、廃止措置に関係する若者が互いに成果を発表し、切磋琢磨することで研究活動に対するモチベーションを高めることを目的として実施している。第9回目となるNDEC-9を、2024年3月21日(木)-22日(金)の2日間にわたり、福島県双葉郡富岡町の文化交流センター「学びの森」で開催した。本報告集は、これらの発表内容をまとめ、NDECの活動を広く周知するために公開するものである。
福島廃炉安全工学研究所 楢葉遠隔技術開発センター
JAEA-Review 2024-046, 52 Pages, 2025/01
楢葉遠隔技術開発センターは、東京電力ホールディングス株式会社が実施する福島第一原子力発電所の廃炉作業に資するため、遠隔操作機器・装置による廃炉作業の実証試験・要素試験が実施できる施設・設備を有している。2022年度は113件の施設利用を支援し、福島第一原子力発電所廃炉作業等に貢献した。また、福島第一原子力発電所の廃炉・除染に携わる事業者、災害対応分野においてロボット技術等を必要としている事業者との技術マッチングの機会として開催された廃炉・災害対応ロボット関連技術展示実演会に出展し、地域活性化・福島県の産業復興に協力した。さらに、第7回廃炉創造ロボコン等の支援を通じて、長期にわたる福島第一原子力発電所の廃炉関連業務を担う次世代の人材育成に貢献した。2020年度から開始した楢葉町教育委員会が実施している「ならはっ子こども教室」等への協力として、楢葉町小学生を対象とした遠隔ロボット操作及びVRの体験会並びに楢葉町中学生を対象としたキャリアスクールを実施し、地域教育活動に貢献した。本報告書は、2022年度における楢葉遠隔技術開発センターの施設・設備の整備・利用状況及びそれに係る取組み、緊急時対応遠隔操作資機材の整備・訓練等の活動状況等について取りまとめたものである。
岡垣 百合亜; 日引 俊詞*; 柴本 泰照
JAEA-Review 2024-047, 58 Pages, 2025/02
加圧水型原子炉(PWR)の事故シナリオでは、非常用炉心冷却系(ECCS)からの注水(ECC注水)により、低温及び高温の冷却材の混合が不十分な場合、温度成層が形成され、加圧熱衝撃(PTS)が引き起こされる可能性がある。その結果、原子炉圧力容器(RPV)の健全性に影響を与えることが想定されている。そのため、PTSは原子炉の安全性において重要な研究課題であり、原子炉の運転可能期間を決定するRPVの健全性評価に関連してPTS解析は不可欠である。PTS解析は、熱水力解析及び構造解析の連成解析により実施される。特に、熱水力学的側面からのアプローチでは、RPV壁面の温度勾配を予測するために、ダウンカマ(DC)の過渡温度分布に関するデータが必要とされる。したがって、将来的には信頼性の高い数値流体力学(CFD)解析が重要な役割を果たすことが期待されている。本研究では、ROCOM、TOPFLOW、UPTF及びLSTFで行われたPTSに関する実験を対象とした単相流及び二相流CFD解析について、2010年以降に発表された論文を基に、PTS解析に最も影響を及ぼす乱流モデルの観点からレビューを行った。
原子力人材育成センター
JAEA-Review 2024-048, 69 Pages, 2025/01
本報告書は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、「機構」という。)原子力人材育成センター(以下、「当センター」という。)における令和5年度の活動をまとめたものである。令和5年度は、年間計画に基づく国内研修の他、外部ニーズに対応した随時の研修、大学との連携協力、国際研修、原子力人材育成ネットワーク、人材育成コンシェルジュ等に関する取組を行った。国内研修については、年間計画に基づくRI・放射線技術者、原子力エネルギー技術者、国家試験受験者向けの研修に加え、外部ニーズへの対応として、機構外組織を対象とした出張講習等を実施した。大学等との連携協力については、東京大学大学院工学系研究科原子力専攻の学生受入れを含む連携大学院方式に基づく協力や特別研究生等の受入れを行った。また、大学連携ネットワークでは、7大学との遠隔教育システムによる通年の共通講座に対応した他、夏期集中講座や核燃料サイクル実習を行った。国際研修については、文部科学省からの受託事業「放射線利用技術等国際交流(講師育成)」として、原子炉工学等の講師育成研修及び講師育成アドバンス研修並びに放射線基礎教育等の原子力技術セミナーを実施した。原子力人材育成ネットワークについては、共同事務局として運営を着実に推進するとともに、研修や学生対象の原子力関連施設見学会を開催した。人材育成コンシェルジュについては、機構内外からの人材育成に係る窓口を通じて、問合せや相談への回答のみならず、文部科学省等主催の原子力オープンキャンパスの企画運営に携わるなど、人材育成コンシェルジュ活動を推進した。
寺田 敦彦; Thwe Thwe, A.; 日野 竜太郎*
JAEA-Review 2024-049, 400 Pages, 2025/03
福島第一原子力発電所(1F)事故における水素爆発を鑑みて、原子力技術者が理解しておくべき水素安全技術の先端を示しつつ、原子力技術者に協力すべき燃焼、爆発専門家向けに原子力における水素安全の要点を示し、事故後廃棄物管理までを視野に入れて放射線分解水素に関する情報を加えた「原子力における水素安全対策高度化ハンドブック(第1版)」を2017年に刊行した。その後、水素安全対策の合理的な高度化や水素安全評価のさらなる信頼性の向上に向けて、原子力事故の解析に一般的に用いられている集中定数系(LP)コードを補完するうえで、原子炉格納容器(CV)内での局所的な水素濃度上昇の影響、着火後の火炎伝播加速による安全機器の健全性、水素処理対策の妥当性等をより精緻、かつ定量的に評価できる数値流体力学(CFD)解析への期待が高まっている。これは、さらなる水素挙動や爆発燃焼に対する安全性の向上を図ることが必要とされていることにもよる。そこで、加圧水型原子炉(PWR)を対象に、シビアアクシデント(SA)時の水素拡散から爆発燃焼、それによるCV及びCV内の安全機器への影響評価までを解析するCFDによる水素挙動統合解析システムを構築・整備してきた。ここで得られたSA安全対策、それによる水素安全向上、安全対策を踏まえた水素発生事故に対する安全性評価などについて、LP及びCFD解析の役割や活用例を本「原子力における水素安全対策高度化ハンドブック(第2版)」にまとめた。ハンドブックに記載した実機サイズの解析結果は解析モデル等を既存の代表的な小型、中型、大型試験による照合解析で確認した。
人形峠環境技術センター
JAEA-Review 2024-050, 55 Pages, 2025/03
本報告書は、2023年度に人形峠環境技術センターが実施した研究開発や技術開発に係る主要な業務を概説するものである。人形峠環境技術センターでは、2001年まで核燃料サイクルにおける上流側(フロントエンド)と言われるウランの探鉱から採鉱、製錬、転換、そしてウラン濃縮までの技術開発を実施し、現在ではこれら開発に使用してきた施設・設備の解体・撤去に取り組んでいる。また、2016年に公表した「ウランと環境研究プラットフォーム」構想に基づき、ウラン廃棄物を安全に処理・処分するための研究開発にも取り組んでいる。ウランと環境をテーマとした研究開発は、人形峠周辺環境の特徴を活かした「環境研究」及び人形峠環境技術センターの施設やポテンシャルを活かした「ウラン廃棄物工学研究」に大別される。また、安全や現場管理に関する技術開発、保健物理や放射線生物学の視点から放射線影響評価に関する研究も進めている。本報告書では、環境研究や環境保全として、花崗岩山間地における地下水流動の特徴に関する調査、鉱物への微量元素の分配に関する基礎と応用について報告する。ウラン廃棄物工学研究として、レーザーを利用した除染技術開発、廃棄体容器材料に関する調査について報告する。保障措置として、人形峠環境技術センターのウラン濃縮施設における、課題や取り組みについて報告する。安全技術・設備開発として、鉱さいたい積場の防災対策について、また放射線影響評価研究として、ラドンのリスクと生体影響の評価について報告する。これら研究・技術開発の成果は、論文等を通じて積極的に外部発表するよう努めている。
研究基盤技術部
JAEA-Review 2024-051, 112 Pages, 2025/03
研究炉加速器技術部は、JRR-3(Japan Research Reactor No.3)、NSRR(Nuclear Safety Research Reactor)の研究炉、タンデム加速器、ラジオアイソトープ製造棟、トリチウムプロセス研究棟を運転管理し、それらを利用に供するとともに関連する技術開発を行っている。また、JRR-4(Japan Research Reactor No.4)の廃止措置や、JRR-1(Japan Research Reactor No.1)及びFEL(Free Electron Laser)研究棟の維持管理も行っている。本年次報告は令和5年度における当部の実施した運転管理、利用、利用技術の高度化、JRR-4の廃止措置、安全管理、国際協力及び人材育成について業務活動をまとめたものである。さらに、論文、口頭発表一覧、官庁許認可及び業務の実施結果一覧を掲載した。
國分 祐司; 細見 健二; 瀬谷 夏美; 永岡 美佳; 井上 和美; 小池 優子; 長谷川 涼; 久保田 智大; 平尾 萌; 飯澤 将伍; et al.
JAEA-Review 2024-053, 116 Pages, 2025/03
本報告書は、原子力規制関係法令を受けた「再処理施設保安規定」、「核燃料物質使用施設保安規定」、「放射線障害予防規程」、「放射線保安規則」及び茨城県等との「原子力施設周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書」、「水質汚濁防止法」並びに「茨城県条例」に基づき、令和5年4月1日から令和6年3月31日までの期間に日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所から環境へ放出した放射性排水の放出管理結果を取りまとめたものである。再処理施設、プルトニウム燃料開発施設をはじめとする各施設からの放射性液体廃棄物は、濃度及び放出量ともに保安規定及び協定書等に定められた基準値を十分に下回った。
國分 祐司; 細見 健二; 永岡 美佳; 瀬谷 夏美; 井上 和美; 小池 優子; 内山 怜; 佐々木 一樹; 前原 勇志; 松尾 一樹; et al.
JAEA-Review 2024-054, 168 Pages, 2025/03
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2023年4月から2024年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が一部の項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の範囲を外れた値の評価について付録として収録した。
原子力科学研究所 放射線管理部; 青森研究開発センター 保安管理課
JAEA-Review 2024-056, 113 Pages, 2025/03
本報告書は、日本原子力研究開発機構の原子力科学研究部門原子力科学研究所、播磨放射光RIラボラトリー及び核燃料・バックエンド研究開発部門青森研究開発センターにおける放射線管理に関係する2023年度の活動をまとめたものである。これらの研究開発拠点で実施した放射線管理業務として、環境モニタリング、原子力施設及び放射線業務従事者の放射線管理、個人線量管理、放射線管理用機器の維持管理等について記載するとともに、放射線管理に関連する技術開発及び研究の概要を記載した。これらの研究開発拠点において、施設の運転・利用に伴って、保安規定等に定められた線量限度を超えて被ばくした放射線業務従事者はいなかった。また、各施設から放出された気体及び液体廃棄物の量とその濃度は保安規定等に定められた放出の基準値及び放出管理目標値を下回っており、これらに起因する周辺監視区域外における実効線量も保安規定等に定められた線量限度以下であった。放射線管理の実務及び放射線計測技術に関する技術開発・研究活動を継続実施した。
原子力科学研究所
JAEA-Review 2024-057, 178 Pages, 2025/03
原子力科学研究所(原科研)は、従来からの部署である保安管理部、放射線管理部、工務技術部、研究炉加速器技術部、臨界ホット試験技術部、バックエンド技術部の6部及び計画管理部に加えて、先端基礎研究センター、原子力基礎工学研究センター、原子力エネルギー基盤連携センター及び物質科学研究センターで構成され、各部署は、中長期計画の達成に向け、施設管理、研究技術開発などを行っている。本報告書は、今後の研究開発や事業推進に資するため、令和4年度の原科研の活動(各センターでの研究開発活動を除く)並びに原科研を拠点とする廃炉環境国際共同研究センター、安全研究センター、原子力人材育成センターなどが原科研の諸施設を利用して実施した研究開発及び原子力人材育成活動の実績を記録したものである。
原子力科学研究所
JAEA-Review 2024-058, 179 Pages, 2025/03
原子力科学研究所(原科研)は、従来からの部署である保安管理部、放射線管理部、工務技術部、研究炉加速器技術部、臨界ホット試験技術部、バックエンド技術部の6部及び計画管理部に加えて、先端基礎研究センター、原子力基礎工学研究センター、原子力エネルギー基盤連携センター及び物質科学研究センターで構成され、各部署は、中長期計画の達成に向け、施設管理、研究技術開発などを行っている。本報告書は、今後の研究開発や事業推進に資するため、令和5年度の原科研の活動(各センターでの研究開発活動を除く)並びに原科研を拠点とする廃炉環境国際共同研究センター、安全研究センター、原子力人材育成センターなどが原科研の諸施設を利用して実施した研究開発及び原子力人材育成活動の実績を記録したものである。
谷口 拓海; 松本 早織; 平木 義久; 佐藤 淳也; 藤田 英樹*; 金田 由久*; 黒木 亮一郎; 大杉 武史
JAEA-Review 2024-059, 20 Pages, 2025/03
廃棄物のセメント固化で求められる基本的な性能である硬化前の流動性および硬化後の強度特性は、廃棄物に含まれる物質や成分などの化学的作用の影響を受けることが予想される。硬化前の流動性および硬化後の強度特性はセメントの硬化速度に大きく影響されることから、セメントの硬化速度に影響を与える化学物質を対象に着目して既往の知見を調査し、取りまとめを行った。本報告書ではセメントの流動性に影響を及ぼす化学物質を大きく分類し、無機物質として(1)陰イオン種、(2)重金属等金属元素、(3)セメント混和剤として用いられる無機物質および(4)セメント混和剤として用いられる有機物質の4つに整理した。調査の結果、化学物質によって硬化を促進する効果と遅延する効果に大きく分類されることが分かったが、一部の化学物質ではその添加量によって硬化に与える影響が逆転するものも見られたことから、実際に化学物質を添加し、凝結時間測定を実施した。その結果、硬化促進に寄与するメカニズムが複数あることが分かった。セメントの硬化反応を阻害する化学物質を調査し、セメント固化における混入禁忌成分を検討するための情報を整理することができた。
J-PARCセンター 安全ディビジョン
JAEA-Review 2024-060, 139 Pages, 2025/03
本報告書は、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の安全管理(放射線安全及び一般安全)について2023年度の活動を取りまとめたものである。放射線管理については、施設及び周辺環境の放射線管理、個人線量の管理、放射線安全管理設備の維持・管理等の業務の概要、その他の関連業務について記述した。一般安全については、検討会及び各種専門部会、安全衛生会議、教育・講習会、訓練、さらに安全巡視等について記述した。また、安全文化醸成活動及び安全管理業務に関連して行った技術開発・研究についても、章を分けて記述した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*
JAEA-Review 2024-064, 118 Pages, 2025/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発」の令和元年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料デブリの取り扱い、臨界管理、保管管理等に必要な性状把握において、キーとなるアクチノイド核種の化学分析を中心に、最適な試料前処理・分離・分析プロセスを開発し、将来計画されている燃料デブリ分析の効率化・合理化を図るとともに、一連の研究業務における人材育成を通し、1F廃炉推進に資することを目的とする。特に、近年分析化学分野、放射化学分野で成果を上げつつある誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS/MS)を原子力分野に応用することにより、測定核種を単離するための前処理をせずに高精度で分析できる手法を開発し、分離前処理を省力化し、迅速な分析工程を確立するとともに大学、企業を含めた体制が構築された。
阿部 一英
JAEA-Review 2024-065, 26 Pages, 2025/03
日本原子力研究開発機構が保有する試験研究炉「JRR-3」は、令和3年2月26日に約10年ぶりに運転を再開した。この研究炉は供用施設として運営されており、外部からの利用者も受け入れている。利用課題の提案から成果報告書の提出までの手続きは、オンラインシステム「JRR-3 RING(Research Information NaviGator)」(https://jrr3ring.jaea.go.jp/)を通じて行われる。RINGは、課題申請、スケジュール調整、データ共有、成果報告までを一括して管理できるシステムであり、供用再開に向けた整備が進められてきた。RINGは特にビーム利用ユーザーの利便性を重視して設計されており、申請手続きの簡略化やスケジュール調整の柔軟性向上、データ管理機能の強化が特徴である。このシステムの導入によりユーザーは効率的かつ安全に研究を進めることが可能になった。今後JRR-3は国内外の多様な研究者に利用される中性子研究のプラットフォームとしての役割を拡大していく。供用再開とRINGの拡張は、中性子利用研究の活性化に寄与し、産業界や学術界との連携を推進する重要な一歩である。今回、新たに整備された機能や今後の展望について、報告する。
國分 陽子; 竹内 竜史; 西尾 和久*; 池田 幸喜
JAEA-Review 2024-066, 67 Pages, 2025/03
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、令和2年度以降、瑞浪超深地層研究所の坑道の埋め戻しや地下水の環境モニタリング調査等を含めたその後の進め方について定めた「令和2年度以降の超深地層研究所計画」に基づき、瑞浪超深地層研究所の坑道埋め戻し等事業を行っている。令和4年1月までに坑道の埋め戻しを終え、以降埋め戻し面を観察していたところ、令和5年11月6日に主立坑及び換気立坑にて埋め戻し面の沈下が確認され、令和5年12月5日までに埋め戻し面は主立坑で約12.9m、換気立坑で約27.7mに達した。そのため、沈下の状況とその後の対策を超深地層研究所安全確認委員会で確認の後、安全上の観点から、沈下部を埋め戻すこととした。本書は、立坑埋め戻し面の沈下と沈下部分の埋め戻し及び令和6年6月までの再埋め戻し面の状況を取りまとめたものである。