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篠原 正憲; 茂木 利広; 齋藤 賢司; 芳賀 広行; 佐々木 新治; 勝山 幸三; 高田 清志*; 東村 圭祐*; 藤井 淳一*; 鵜飼 隆由*; et al.
JAEA-Technology 2012-032, 29 Pages, 2012/11
2010年3月の原子炉停止中に、広領域中性子検出器(WRM)が開発時の動作実績期間より短い使用時間で動作不能となる事象が発生した。本事象の原因調査を行い、WRMの寿命を向上させることは高温ガス炉の基盤技術開発において重要である。そこで、動作不能箇所の特定及び破損原因を調査するため、製作メーカにてWRM模擬試験体を製作し、組立に起因する強度低下及び熱サイクルによる強度低下試験並びに照射燃料集合体試験施設(FMF)にてWRMの破壊試験を実施した。本報告書は、WRMの動作不能の原因調査及び破壊試験結果をまとめたものである。
佐伯 盛久; 江坂 文孝; 田口 富嗣; 大場 弘則
JAEA-Research 2012-030, 16 Pages, 2012/11
レーザー微粒子化を利用した高レベル放射性廃液からの白金族元素分離法を考案し、パラジウム,ロジウム,ルテニウム及びネオジムが溶解した模擬溶液を用いて原理実証実験を行った。1.5mL模擬溶液に等量のエタノールを加え、266nm紫外レーザー(レーザー強度20mJ)を40分照射することにより、模擬溶液中のパラジウム,ロジウム,ルテニウムを選択的に微粒子化し、ネオジムと分離した。サブミクロンサイズまで成長させた白金族元素微粒子をろ過又は遠心分離により回収し、誘導結合プラズマ発光分光法により試料溶液中に残存する金属イオン濃度を分析した。その結果、ネオジムイオン濃度はレーザー照射前と変化しなかったのに対し、パラジウム,ロジウム及びルテニウムイオン濃度はそれぞれ100%, 94-99%, 65-69%減少しており、レーザー微粒子化とろ過又は遠心分離との組合せにより、白金族元素を溶液中から合金微粒子として回収できることを実証した。また、さまざまな実験パラメーターに対する白金族元素の回収率依存性を調べたところ、照射レーザー強度を調整することによりパラジウムとロジウムを相互分離できることがわかった。
先端基礎研究センター
JAEA-Evaluation 2012-002, 153 Pages, 2012/11
日本原子力研究開発機構は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成17年3月29日内閣総理大臣決定)及びこの大綱的指針を受けて作成された「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成17年9月26日文部科学大臣決定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規程」(平成17年10月1日制定、平成18年1月1日改正)等に基づき、平成24年4月20日に先端基礎研究センターの先端原子力科学研究に関する第二期中期計画期間中の実績に対する中間評価を先端基礎研究・評価委員会に諮問した。これを受けて、先端基礎研究・評価委員会は、本委員会において定められた評価方法に従い、原子力機構から提出された先端基礎研究センターの運営及び先端原子力科学研究の実施に関する説明資料の検討及び先端基礎研究センター長並びに研究グループリーダーによる口頭発表と質疑応答を実施した。本報告書は、先端基礎研究・評価委員会より提出された中間評価の内容をまとめるとともに、7ページ以降に「評価結果(答申書)」を添付したものである。
石神 努; 向井 雅之; 助川 武則; 松原 武史*
JAEA-Data/Code 2012-023, 83 Pages, 2012/11
原子力施設の廃止措置終了を確認するうえでサイト解放にかかわる検認作業が必要となる。この検認作業では、放射能濃度が基準値以下であることを測定によって確認することが想定される。そこでは、なるべく合理的な測定・検認を実施するために、対象領域から標本地点を抽出し、それに対する測定結果を用いて領域全体の空間的汚染状況を推定・評価することが重要である。この空間的汚染状況の推定・評価のために、地球統計学の中心的手法であるクリギングを適用した放射能分布推定プログラム(ESRAD: Estimation of Spatial RadioActivity Distribution)を開発した。ESRADは、標本地点抽出の支援機能、クリギングにおいて本質的な役割を担うバリオグラムの計算機能、及びクリギング方程式に基づく評価対象領域の空間的放射能分布情報の推定機能を有している。本報告書は、クリギングの手法、ESRADの構成と機能、入力ファイルの仕様と出力例、プログラムの実行方法及びサンプルランについてまとめたものである。
永目 諭一郎
JAEA-Review 2012-036, 27 Pages, 2012/10
平成23年度に実施された5件の黎明研究の成果をまとめた報告書である。原子力に関する基礎・基盤研究の発展の一助とするため、本報告書により、得られた成果を公表する。
山岸 秀志*; 藤 健太郎
JAEA-Research 2011-050, 16 Pages, 2012/10
高速,高位置分解能二次元ガス中性子検出器システムを実現するには、高速低雑音ASICが必要である。高速低雑音ASICを開発するため、これに必要な高いgで低雑音のp-MOSFET、MP8とMP16を提案した。本稿では簡単な低雑音増幅器(LNA)を提案し、LNAにおけるノイズパワーと雑音指数(NF)の計算法を示した。また、LNAにMP8及びMP16を適用してNFを計算評価し、これらのp-MOSFETが高速低雑音ASIC用として十分な性能を有していることを確認した。
川原 啓孝; 山本 雅也; 富田 悦夫; 高松 操
JAEA-Technology 2012-030, 50 Pages, 2012/09
「常陽」では、炉内観察結果より、計測線付実験装置(MARICO-2)試料部集合体のハンドリングヘッドとラッパ管継ぎ手を接続する固定ピン6本が脱落していることが確認された。よって、炉内で脱落した固定ピンの原子炉の安全性に対する影響を評価するため、炉内でのルースパーツの挙動を評価した。
金沢 優作; 安孫子 庄助; 寺田 秀行; 川崎 一男; 磯崎 典男; 松本 岳也
JAEA-Technology 2012-029, 82 Pages, 2012/09
核燃料サイクル工学研究所工務技術室が所掌する給水施設は、再処理施設及びプルトニウム燃料製造施設をはじめとする所内各施設で使用する飲料水(上水)並びに工業用水(工水)を供給している。本給水施設は、旧浄水場の老朽化等に伴い、平成19年4月から平成21年11月に掛けて更新され運用を開始した。本報告は、これら更新に関する計画,設計,工事及び運用の各段階における取り組み並びに新旧用水供給システムなどについて報告する。
中山 雅; 天野 健治; 常盤 哲也; 山本 陽一; 大山 卓也; 天野 由記; 村上 裕晃; 稲垣 大介; 津坂 仁和; 近藤 桂二; et al.
JAEA-Review 2012-035, 63 Pages, 2012/09
幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの段階に分けて実施されている。平成23年度は、「幌延深地層研究計画平成23年度調査研究計画」に従って、調査研究及び地下施設の建設を継続した。研究開発は従来通り、「地層科学研究」と「地層処分研究開発」に区分して実施した。具体的には、「地層科学研究」では、地質環境調査技術開発、地質環境モニタリング技術開発、深地層における工学的技術の基礎の開発、地質環境の長期安定性に関する研究という研究課題を設定し、「地層処分研究開発」では、人工バリアなどの工学技術の検証、設計手法の適用性確認、安全評価モデルの高度化及び安全評価手法の適用性確認という研究課題を設定している。本報告書はそれらを取りまとめたものである。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。
工務技術部
JAEA-Review 2012-034, 120 Pages, 2012/09
工務技術部は、原子力科学研究所及びJ-PARCの水,電気,蒸気,排水等のユーティリティー施設、原子炉施設及び核燃料物質取扱施設内の特定施設(受変電設備,非常用電源設備,気体・液体廃棄設備,圧縮空気設備)並びに一般施設内のユーティリティー設備の運転,保守管理を担っている。さらに、建物・設備の補修・改修工事及び点検・整備業務、電子装置,機械装置及びガラス器具の工作業務、大型実験装置の運転業務を行っている。本報告書は、平成22年度の工務技術部の業務実績の概要と、主な管理データ,技術開発の概要を記録したものである。また2011年3月11日に発生した東日本大震災の対応状況をまとめたものである。
齋藤 浩介; 野上 嘉能; 古田土 和雄; 松山 一富; 遠藤 秀男
JAEA-Research 2012-027, 118 Pages, 2012/09
平成19年から4年間に渡って実施してきた、グローブボックス用ゴム製グローブに対するアルファ線照射影響を定量的に評価した一連の試験をまとめた。試験内容は、グローブ材となる各種ゴム試料に模擬アルファ線として5MeVのHeイオンを照射し、照射試料を目視及び光学顕微鏡による外観観察並びに引張試験に供したものである。一般に、イオン照射によって表面層数十mのみが劣化して退色及び硬化を呈することがわかった。照射材料は照射量によって引張強さ及び切断時伸びが低下し、引張強さ低下の機構は、表面劣化に伴う損傷を契機とした応力集中である可能性が高いことが見いだされた。高線量環境にて使用されている現行の鉛グローブ材では、イオン照射量1.410cm程度で引張強さの減少が飽和した。また100%の引張り負荷を掛けた同試料への照射によって引張強さの減少が加速され、4.610cm程度で飽和することがわかった。本試験は、先例がないグローブ材料(有機材料)への低エネルギーイオン照射試験であり、物性変化や変質・劣化の定量的なデータが得られたことや、試験の具体化を行ったことは、学術的にも貴重であると言える。
吉田 一雄; 石川 淳
JAEA-Research 2012-026, 25 Pages, 2012/09
再処理施設では、長時間の全交流電源の喪失による放射性廃液を内包する貯槽の冷却機能の喪失で、廃液が沸騰する事象が想定される。この事象では、放射性物質は沸騰により発生する蒸気等より施設外へ移行すると考えられ、事故影響を評価するうえでは、貯槽を含めた施設内での熱流動状態を解析する必要がある。そこで、原子炉の過酷事故解析コードMELCORを用いて当該事象での施設内のエアロゾル移行を含む熱流動の解析を試みた。解析では、MELCORコードの制御関数機能及び複数の状態入力ボリュームを用いて、再処理廃液の沸騰の特徴である100Cより高い温度での沸騰,硝酸蒸気,NOXガスの発生などをモデル化した。解析の結果からMELCORの当該事象への適用性を確認するとともに、(a)乾固時刻を詳細モデルで予測した場合と単純な水の沸騰で予測した場合と大差ないこと、(b)揮発性Ruの発生と脱硝反応によるNOX等の非凝縮ガスの発生は、沸騰晩期から乾固段階初期の同じ時期に起こるため、脱硝反応による吸熱、非凝縮性ガス量の評価は放射性物質移行量評価の観点で重要であること等を明らかにした。
真田 昌慶; 岸 裕和*; 杉田 裕; 林 克彦*; 武部 篤治*; 大久保 誠介*
JAEA-Research 2012-025, 130 Pages, 2012/09
本研究では、「強度回復試験」,「一般化応力緩和試験」,「引張強度試験」を、稚内層珪質泥岩を用いて実施した。その結果、強度回復を表す構成方程式で適切な定数の値を用いることにより、押し込み試験での軸応力の変化を表現できることを示した。一般化応力緩和挙動については気乾状態と湿潤状態で試験を行った。粘弾性的な挙動は、気乾状態よりも湿潤状態の方が、また、一般化応力緩和試験を開始するまでの載荷速度が大きいほど顕著であることがわかった。さらに引張特性については圧裂引張試験と一軸引張試験を実施した。圧裂引張強度については層理面に対する載荷方向の影響が大きいことがわかった。
浅森 浩一; 丹羽 正和; 花室 孝広; 山田 国見; 草野 友宏; 幕内 歩; 高取 亮一; 國分 陽子; 松原 章浩; 石丸 恒存; et al.
JAEA-Research 2012-024, 132 Pages, 2012/09
本報は、深地層の科学的研究のうち、「地質環境の長期安定性に関する研究」について、第2期中期計画期間(平成22年度平成26年度)の2年目である平成23年度に実施した研究開発にかかわる成果を取りまとめたものである。第2期中期計画期間においても第1期中期計画に引き続き、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果を反映できるよう、(1)概要調査などに必要となる、自然現象に関する過去の記録や現在の状況を調査するための体系的な技術の整備(調査技術の開発・体系化)、(2)変動シナリオを考慮した安全評価の基盤となる、将来の自然現象に伴う地質環境の変化を予測・評価するための手法の整備(長期予測・影響評価モデルの開発)のほか、(3)最先端の分析装置などを用いた放射年代測定や鍵層の高分解能同定法などによる編年技術の高度化(年代測定技術の開発)を進めている。本報では、それぞれの研究分野にかかわる科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果及び今後の課題などについて述べる。
小松 満*; 西垣 誠*; 瀬尾 昭治*; 平田 洋一*; 竹延 千良*; 田岸 宏孝*; 國丸 貴紀; 前川 恵輔; 山本 陽一; 戸井田 克*; et al.
JAEA-Research 2012-001, 77 Pages, 2012/09
本研究は、地下水流動解析の上部境界条件として必要となる地下水涵養量を土壌に浸透した水分量から求める手法に着目し、その算定手法の体系化と現場で安定して長期間計測可能なシステムの構築を目的として実施した。計測システムの開発においては、多点かつ長距離に渡る計測が可能な光ファイバーの歪計測原理を、サクションによる圧力計測,土中湿度計測,吸水膨張材を適用した体積含水率計測の3方式に適用する場合についてそれぞれ検討した。さらに、浅層における降水の土中への浸透量を直接的に計測する手法として、現地水分量の計測結果から直接浸透量を算定する手法と、不飽和透水係数の値から浸透量を推定する手法について現地に計測機器を設置してその有効性を確認した。
矢野 康英; 皆藤 威二; 大塚 智史; 丹野 敬嗣; 上羽 智之; 小山 真一
JAEA-Data/Code 2012-022, 51 Pages, 2012/09
高速増殖炉では、経済性向上の観点から燃料の高燃焼度化が求められており、これに対応した炉心材料の開発が必要不可欠である。この高燃焼度達成のための炉心材料には、耐スエリング性能の観点からオーステナイト鋼の適用は難しく、被覆管材料としてはODSフェライト鋼、ラッパ管材料としては11Cr-フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)を第一候補材料として開発を実施している。そこで、本研究では、PNC-FMSラッパ管材の材料強度基準に資することを目的として、PNC-FMSラッパ管材の材料物性値を測定し、設計用物性式と今後の測定方法の標準化を整備した。
竹安 正則; 小沼 利光; 住谷 秀一
JAEA-Data/Code 2012-021, 29 Pages, 2012/09
ORION-WINは、複数の核燃料サイクル施設から平常運転に伴い大気中に放出される放射性物質の環境中における濃度及び一般公衆への線量を評価するために開発された汎用計算コードである。放射性物質の大気中における拡散は、ガウス型拡散式を基本として計算し、拡散過程における減少補正として、重力沈降,乾性沈着,降水洗浄及び放射性崩壊が考慮されている。また、沈着後の再浮遊及び環境中における崩壊連鎖に伴う壊変生成物についても考慮することができる。内部被ばく経路として吸入及び経口摂取を、外部被ばく経路として浸漬線量及び地表面沈着からの外部被ばくを計算する。線量は、公衆個人の線量として与えられる。ORION-WINはFORTRAN-77で書かれたORION-IIをベースに、Windows OSを有するPC環境で動作可能にし、かつ入力パラメータ作成及び出力ファイル参照等をGUI化したものである。
大丸 修二; 竹内 竜史; 尾上 博則; 三枝 博光
JAEA-Data/Code 2012-020, 44 Pages, 2012/09
超深地層研究所計画の第2段階(研究坑道の掘削を伴う研究段階)で実施された単孔式水理試験の試験結果(試験区間数:79区間)をデータセットとして取りまとめた。データセットには、試験区間深度,区間長,地質・地質構造,試験結果(代表値),試験手法,解析方法などの情報を一覧表で示した。
稲垣 大介; 澤田 純之; 常盤 哲也; 津坂 仁和; 天野 由記; 新沼 寛明*
JAEA-Data/Code 2012-019, 137 Pages, 2012/09
幌延深地層研究計画では、換気立坑,東立坑及び140m, 250m水平坑道の掘削とともに、第2段階の調査研究を実施している。本調査研究では、計測データを当該切羽や後続施工箇所の設計・施工にフィードバックする情報化施工プログラムを実施しており、毎掘削断面において、岩相及び割れ目などの壁面観察や、簡易弾性波探査・シュミットハンマー反発度試験・エコーチップ硬さ試験及び点載荷試験等の原位置試験を行い、特定断面では地中変位測定・ロックボルト軸力測定・吹付けコンクリート応力測定及び覆工コンクリート応力測定等のデータを取得している。また、第1段階で実施した地下施設の坑道掘削に伴う湧水量の予測解析結果の妥当性を確認することを目的とし、掘削工事の進行に伴う湧水量や水質の変化に関するデータを取得した。本報告書は、2010年度(平成22年度)に実施した東立坑(GL-210mから-250mまで)、並びに250m水平坑道で得られた調査・計測データをとりまとめたものである。
西原 健司; 岩元 大樹; 須山 賢也
JAEA-Data/Code 2012-018, 190 Pages, 2012/09
東京電力福島第一原子力発電所14号機の2011年3月11日時点、及び、その後の放射性核種量をORIGEN2コードにより評価した。評価対象は、原子炉内及び貯蔵プールに存在する、被照射燃料中のウラン燃料及びジルカロイ被覆管であり、評価量は重量,放射能,発熱量,光子放出量及び中性子放出量である。
草野 友宏; 浅森 浩一; 梅田 浩司
JAEA-Data/Code 2012-017, 19 Pages, 2012/09
断層運動や隆起・侵食作用の原因となる地殻変動は、地質環境の長期的な安定性を評価するうえで考慮すべき重要な外的要因である。これまでの研究によって地殻変動や火成活動が活発な地域ではマントル起源物質が地表から放出されている事例が数多く報告されている。本稿では代表的なマントル起源物質の一つであるヘリウム同位体に着目して、これらと地殻変動や火成活動の関連性を定量的に検討するための基盤情報として、国内においてこれまでに測定された地下水・温泉ガスのヘリウム同位体比を取りまとめたデータベースを作成した。このデータベースは、地下水井や温泉井から採取された遊離ガス及び溶存ガスの希ガス同位体及び主成分化学組成などについて、108件の学術論文などにより公表されている1728件のデータを取りまとめたものである。
武田 匡樹; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2012-016, 39 Pages, 2012/09
東濃地科学研究ユニットでは、超深地層研究所計画の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量を水収支解析によって算出すること、水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータを取得すること、及び研究坑道掘削に伴う浅層の地下水環境の変化を把握することを目的として、表層水理観測を実施している。本観測では降水量,蒸発散量算出のための気象要素,河川流量,地下水位及び土壌水分を正馬川流域,正馬川上流域,正馬川モデル流域及び瑞浪超深地層研究所用地で観測している。本報告では、2009年度の正馬川流域,正馬川モデル流域及び瑞浪超深地層研究所用地で得られた気象要素,降水量,河川流量,地下水位及び土壌水分について、欠測や異常値を示すデータに対して補正・補完を行うとともに、補正・補完前後のデータを取りまとめた。また、補正・補完前のデータを「観測データセット」、補正・補完後のデータを「補正・補完データセット」として取りまとめ、DVD-ROM化した。
武田 匡樹; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2012-015, 19 Pages, 2012/09
東濃地科学研究ユニットでは、広域地下水流動研究の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量を水収支解析によって算出すること、及び水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータを取得することを目的として、表層水理観測を実施している。本観測では降水量,河川流量を柄石川流域及び日吉川流域で観測している。本報告では、2009年度の表層水理観測で得られた降水量,河川流量について、欠測や異常値を示すデータの補正・補完を行うとともに、補正・補完前後のデータを取りまとめた。また、補正・補完前のデータを「観測データセット」、補正・補完後のデータを「補正・補完データセット」として取りまとめ、DVD-ROM化した。
今泉 和幸; 齊藤 隆一; 飛田 茂治; 長井 秋則; 北村 了一; 岡崎 義広
JAEA-Technology 2012-027, 49 Pages, 2012/08
原子炉容器内観察技術は、供用期間中の原子炉の安全性及び健全性を確認する技術として重要な役割が期待されている。一方で、ナトリウム冷却型高速炉にあっては、観察装置等を高温・高放射線・ナトリウム環境といった過酷な条件で使用することから、当該技術の信頼性を担保するために、実機環境下で機能確認することが重要である。「常陽」では、第15回定期検査時に発生したトラブルの原因究明を一つの契機とし、以下の観察技術を新たに開発し、実機に適用した。(1)回転プラグ貫通孔上のアクリルプレートに設置したビデオカメラを用いた集合体等頂部観察技術。(2)遠隔操作装置により狭隘部に挿入した耐放射線ファイバスコープを用いた炉心上部機構下面観察技術。本技術開発を通じて、原子炉容器内観察にかかわる装置設計・作業手順策定等にかかわる経験を蓄積するとともに、照明・放射線の影響や画像拡張処理技術にかかわる基礎データを拡充し今後の原子炉容器内観察技術に資することができた。
篠原 正憲; 茂木 利広; 齋藤 賢司; 高田 昌二; 石見 明洋; 勝山 幸三
JAEA-Technology 2012-026, 21 Pages, 2012/08
2010年3月の原子炉停止中に、広領域中性子検出器(WRM)が開発時の動作実績期間より短い使用時間で動作不能となる事象が発生した。本事象の原因調査を行い、WRMの使用期間を向上させることは高温ガス炉の基盤技術開発において重要である。そこで、事象発生部位の特定及び破損原因を調査するため、製作メーカにてWRM模擬試験体を製作し、短絡状態を模擬した特性インピーダンス波形測定並びに照射燃料集合体試験施設(FMF)にて高エネルギーX線CT検査装置を用いた照射後試験(PIE)を実施した。本報告書は、WRMの動作不能の原因調査及びPIE結果をまとめたものである。
篠原 正憲; 澤畑 洋明; 川本 大樹; 茂木 利広; 齋藤 賢司; 高田 昌二; 吉田 直昭; 磯崎 涼佑; 勝山 幸三
JAEA-Technology 2012-025, 31 Pages, 2012/08
2010年3月の原子炉停止中に、広領域中性子検出器(WRM)が開発時の動作実績期間より短い使用時間で動作不能となる事象が発生した。本事象の原因調査を行い、WRMの寿命を向上させることは高温ガス炉の基盤技術開発において重要である。そこで、事象発生部位の特定及び破損原因を調査するため、照射燃料集合体試験施設(FMF)にてX線CT装置を用いた照射後試験を計画した。本報告書は、WRM動作不能の原因調査、当該WRMのFMFへの輸送方法の検討及び輸送作業の結果をまとめたものである。
在間 直樹; 中島 伸一; 中塚 嘉明; 門 一実
JAEA-Technology 2012-023, 36 Pages, 2012/08
200リットルドラム缶収納の廃棄物中全ウランを定量する非破壊分析(NDA)装置を開発、人形峠環境技術センター製錬転換施設に貯蔵されているウラン廃棄物ドラム缶の測定に着手して実績をあげつつあるので、前報で報告した以降の状況について報告する。ウランの線と廃棄物中に存在するフッ素元素等との反応で生じるU(,n)中性子とUの自発核分裂中性子を16本のヘリウム-3(He)比例計数管を用い測定する。検出器周囲は厚さ100mmのポリエチレンで遮蔽する。種々のマトリックスと異なる化学形・濃縮度のウラン線源を装荷したモックアップ試験を、対象を拡大して行いそれぞれの条件に対応する較正定数を求め、実際のウラン廃棄物中全ウランの定量評価に用いた。製錬転換施設にはウラン廃棄物が多数保管されており、現在それらの全ウラン定量の作業を着実に進めつつある。実際のウラン廃棄物は内蔵されるマトリックス・嵩密度・収納状態・ウラン量等さまざまな態様を呈し、モックアップ試験で模擬したドラム缶試料とは異なる測定条件となることもある。そこで、幾つかの応用的な評価手法も試み、さまざまな態様のウラン廃棄物に対しても本NWAS測定装置の適用性を確認しつつある。
片桐 裕実; 奥野 浩; 岡本 明子; 池田 武司; 田村 謙一; 長倉 智啓; 中西 千佳; 山本 一也; 阿部 美奈子; 佐藤 宗平; et al.
JAEA-Review 2012-033, 70 Pages, 2012/08
日本原子力研究開発機構は、災害対策基本法等に基づき「指定公共機関」に指定されており、国及び地方公共団体その他の機関に対し、災害対策又は武力攻撃事態等への対処に関して、技術支援をする責務を有している。原子力緊急時支援・研修センターは、緊急時には、全国を視野に入れた専門家の派遣、防災資機材の提供、防護対策のための技術的助言等の支援活動を行う。また、平常時には、我が国の防災対応体制強化・充実のために、自らの訓練・研修の他、国, 地方公共団体, 警察, 消防, 自衛隊等の原子力防災関係者のための実践的な訓練・研修並びに原子力防災に関する調査研究を実施する。平成23年度においては、上記業務を継続して実施するとともに、平成23年3月11日の東日本大震災により発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故対応について、原子力機構が実施する人的・技術的な支援活動の拠点として、原子力緊急時支援・研修センターを機能させた。各部署と連携を取りながら原子力機構の総力を挙げて、国,地方公共団体の支援要請を受け、事業者が対応する復旧にかかわる技術的検討、住民保護のためのさまざまな支援活動や、特殊車両・資機材の提供を継続して実施した。
敦賀本部 高速増殖炉研究開発センター
JAEA-Review 2012-032, 187 Pages, 2012/08
高速増殖原型炉もんじゅは、日常の運転、保守等の経験を通して、我が国の高速増殖炉サイクル技術確立に向けた技術的成果を蓄積してきている。本年報は、平成23年度の「もんじゅ」の主な成果及びプラント管理に関連するデータをまとめたものである。
研究協力課
JAEA-Review 2012-031, 139 Pages, 2012/08
本報告書は、平成23年度に実施した高速増殖炉関係、核燃料サイクル関係、放射線安全関係及び地層処分・地層科学関係の先行基礎工学研究に関する27件の研究協力課題の実施結果についてその概要をまとめたものである。
社本 真一; 樹神 克明
JAEA-Review 2012-029, 264 Pages, 2012/08
物質・材料研究機構,理化学研究所及び日本原子力研究開発機構の三機関での「超伝導と磁性とフォノン」に関する特徴的な技術,装置,優れた研究やこれまでの三機関での共同研究結果等について、今後の方向性を含めて、講演及び議論した。本報告書は本研究会の講演要旨及び講演で使用された発表資料を収録したものである。
國丸 貴紀; 見掛 信一郎; 西尾 和久; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 石橋 正祐紀; 窪島 光志; 竹内 竜史; 水野 崇; 佐藤 稔紀; et al.
JAEA-Review 2012-028, 31 Pages, 2012/08
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、地層処分技術に関する研究開発のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」、「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる。2012年度は、第2段階及び第3段階の調査研究を進めていく。本計画書は、2010年に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づいた2012年度の超深地層研究所計画の調査研究計画,施設建設計画,共同研究計画などを示したものである。
瀬口 忠男*; 田村 清俊; 工藤 久明*; 島田 明彦; 杉本 雅樹; 出崎 亮; 大島 武; 吉川 正人
JAEA-Review 2012-027, 46 Pages, 2012/08
平成18年度から22年度までの5か年にわたり、ケーブル劣化のメカニズムに関する研究が、経済産業省原子力安全保安院の原子力発電所高経年化対策事業として、実施された。本研究の終了にあたり、劣化メカニズム研究に焦点を絞りレビューした。1970年以降の研究報告について、実験的な裏付けがなされている報告を選定し、確証されている事象、解釈が合理的なもの、未だ解釈が定まっていない事項等を検討した。本研究を含めて、その後に得られた新たな事実をもとに、過去のデータの解釈を改定し、劣化メカニズムの新たなモデルを提案した。
東濃地科学センター 施設建設課
JAEA-Review 2012-026, 252 Pages, 2012/08
本工事記録は、瑞浪超深地層研究所研究坑道掘削工事の平成14年度から平成17年度(平成18年度の一部を含む)までの工事概要、主な出来事、工事過程、工事安全に関する記録をまとめたものである。工事概要は特記仕様書、主な出来事は東濃地科学センター週報、工事工程は約定工程表と東濃地科学センター週報、工事安全に関する記録は施設建設課による事故・災害・不適合・不具合管理記録に基づいて取りまとめたものである。工事の計画と実績については、平成18年6月30日に竣工した、瑞浪超深地層研究所研究坑道掘削工事(その1)について記載した。
中山 雅; 澤田 純之; 佐藤 治夫; 杉田 裕
JAEA-Research 2012-023, 65 Pages, 2012/08
高レベル放射性廃棄物の処分施設は、地下300m以深に建設されることから、坑道の空洞安定性確保や周辺岩盤のゆるみ領域の抑制、掘削に伴う湧水量の抑制のため、セメント系材料を用いた吹付けやグラウトが必要となる。従来の地下構造物に一般的によく用いられるセメント系材料として、普通ポルトランドセメント(以下、OPC)がある。このセメントはセメント硬化体の細孔溶液中に含まれるアルカリ成分により、pHが1213程度の高アルカリ性を呈する。地層処分施設においては、上記の高アルカリ成分が地下水に溶出した場合、緩衝材を構成するベントナイトや周辺の岩盤を変質させ、人工バリア及び天然バリアとしての性能に影響を与えることが懸念されている。このような影響を低減するために、幌延深地層研究計画においては、低アルカリ性セメント(以下、HFSC)を開発し、化学的特性,機械的特性,施工性,鉄筋の耐腐食性などについて検討を実施してきた。HFSCはポゾラン反応により、浸出液のpHの低減を指向しており、OPCにポゾラン材料であるシリカフューム及びフライアッシュを混合したセメント系材料である。これまで、幌延の地下施設の140m調査坑道において、吹付け施工試験を実施し、施工性を確認した。本報告においては、250m調査坑道において実施した同様の施工試験について報告する。その結果、HFSCは良好な施工性を示し、地下坑道への適用性が確認された。
安藤 賢一*; 田中 達也*; 橋本 秀爾*; 三枝 博光; 尾上 博則
JAEA-Research 2012-022, 60 Pages, 2012/08
本研究では、超深地層研究所計画の第1段階や広域地下水流動研究におけるボーリング調査結果を用いて、土岐花崗岩中の透水性構造分布に起因する水理学的な不均質性を考慮したブロックスケールの水理地質構造モデルを構築した。また、構築したブロックスケールの水理地質構造モデルに基づき、モデル化領域を対象とした等価な水理特性を算出し、既往の単孔式水理試験結果との比較することで算出した等価な水理特性の妥当性を確認した。
森平 正之
JAEA-Research 2012-021, 25 Pages, 2012/08
高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト。以下、「FaCT」)では、集合体平均150GWd/t(集合体ピーク250GWd/t)の高燃焼度を目指している。このような高燃焼度域では被覆管の内面腐食が従来以上に厳しくなると予想され、照射中における燃料の酸素ポテンシャル上昇の抑制が必要になる。このため、照射中に生じる余剰酸素を吸収させる酸素ゲッターについての検討を開始し、ペレット型MOX燃料に適用する酸素ゲッターオプションの概念の構築と実現性検討を進めてきた。その結果、チタンロールペレット方式が最も有望であるとの評価結果を得たことから、平成23年度にチタンロールペレットの製作性評価、チタン材の酸化特性にかかわる追加データ取得及びチタンロールペレットの酸化特性評価を行い、製作加工性、余剰酸素吸収の有効性、燃料設計上の要求の充足性の観点から同方式の実現性を見通した。
佐藤 大樹; 小嶋 健介; 大泉 昭人; 松田 規宏; 久語 輝彦; 坂本 幸夫*; 遠藤 章; 岡嶋 成晃
JAEA-Research 2012-020, 97 Pages, 2012/08
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、福島県をはじめとする東日本各地では、除染による線量の低減化が期待されている。原子力機構では、除染作業で効果的に線量率を低減させる計画の立案を支援するため、除染効果評価システムCDE(Calculation system for Decontamination Effect)を開発した。CDEは、環境中に分布する放射性セシウムに対して作成した線量寄与データベースを用いて、適用する除染技術に応じた放射性物質の除去効果(除染係数)から、除染前後の空間線量率を計算する。これにより、除染効果を示す線量率の減少(線量率減少係数)が得られ、その結果は除染対象地域の地図上に可視化される。計算結果の妥当性は、3次元放射線輸送コードPHITSを用いた除染領域と線量低減効果の解析結果と比較して検討した。これにより、CDEは短時間の計算で、PHITSによる解析と同等の精度で結果を与えることが確認された。本報告書では、CDEの概要,計算手法,検証解析を示すとともに、付録として線量計算プログラムのソースコードと取扱説明書を掲載する。
福島技術本部 福島環境安全センター; 人形峠環境技術センター; 安全研究センター サイクル施設等安全研究ユニット; 地層処分研究開発部門 地層処分基盤研究開発ユニット; バックエンド推進部門
JAEA-Research 2012-019, 125 Pages, 2012/08
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に起因した放射能汚染対策が、現在福島県をはじめとして各地で進められている。汚染物質対策の一つである植物を用いた除去技術(ファイトレメディエーション)について、芝草を用いたフィールド試験を行った。芝草は、他の植物に比べて根域深度が浅くかつ生育密度が高く、マットを形成するという特徴を有する。試験としては、芝草への吸収による放射性セシウムの除染と芝草の剥離による除染の効果を把握することを目的とした。結果としては、芝草への吸収は小さく、その除染係数は最大でも1%未満であった。一方、芝草の剥離による除染は、育成が順調に進んだものは100%に近い効果が得られた。国における除染方針及び各自治体で策定された除染計画に従い、今後さまざまな方法により除染が進められる。芝草を用いたファイトレメディエーションは、限定的な適用が可能と考えられる。
田中 忠夫; 向井 雅之
JAEA-Research 2011-053, 41 Pages, 2012/08
放射性核種の移行現象を理解するため、バッチ試験,カラム試験,フィールド試験などによって、移行挙動データが実験的に取得されている。本研究では、さまざまの手法や条件で取得された移行挙動データを合理的に解釈するため、固液相間における放射性核種の相互作用に関する9タイプの実験モデルを体系的に整理した。実験モデルの検討にあたっては、反応の平衡到達度,可逆性,線形性,メカニズム,放射性核種の化学形を考慮した。さらに、さまざまな移行実験の結果を任意の実験モデルで解析できる計算プログラムを整備した。計算プログラムを用いて、さまざまな条件での放射性核種の移行挙動を予測、あるいは実験結果の逆解析から移行パラメータ値を推定できることを示した。
行川 正和; 深堀 智生
JAEA-Data/Code 2012-014, 206 Pages, 2012/08
核種のさまざまな数値データ(質量,励起準位エネルギー,スピンとパリティー,天然存在比,質量欠損,崩壊エネルギー及び半減期)について、元素ごとに「核データの表(JENDL/TND-2012)」としてまとめた。核データの表は、JENDL委員会(旧シグマ委員会)及び核データ評価研究グループが発行している核図表と関連しており、存在が確認されている核種のデータが収録されている。また、Se-79及びSn-126の基底状態の半減期については、新たな量定を採用している。
市川 正一; 芳賀 広行; 勝山 幸三; 上羽 智之; 前田 宏治; 西野入 賢治
JAEA-Testing 2012-001, 36 Pages, 2012/07
高速炉の炉心燃料集合体の寿命を制限する要因の一つとして、燃料ピン束(バンドル)とダクト(ラッパ管)との相互作用(BDI: Bundle-Duct Interaction)が挙げられる。著しいBDIが発生した場合、燃料ピンとダクトの間隔が狭くなる結果(冷却材流路断面積の減少)、被覆管表面積の局所的な温度上昇、機械的接触による応力等により、燃料ピンが変形又は破損する可能性がある。このためBDI挙動を精度よく予測する手法の確立が高速増殖炉の実用化に向けての燃料設計課題の一つとして重要視されている。これまでの炉外バンドル圧縮試験では高速増殖原型炉もんじゅの集合体で使用される6.5mm等の中実燃料ペレット用細径ピンを対象としてきた。さらに「もんじゅ」高度化炉心や実証炉心では中空燃料ペレットが装荷された太径ピンの採用が想定されており、従来の細径ピン主体の炉外バンドル圧縮試験結果からは外挿が困難な太径ピンのBDI挙動データを得るため、太径ピン仕様の炉外バンドル圧縮試験は必要である。本報告では、太径ピンを対象とした炉外バンドル圧縮試験計画、試験手順及び詳細について報告する。
松橋 信平; 操上 広志; 安田 良; 高野 隆夫; 瀬古 典明; 長縄 弘親; 黒木 良太; 三枝 純
JAEA-Testing 2011-007, 189 Pages, 2012/07
東日本大震災を原因とする東京電力福島第一原子力発電所の事故で環境中に放出された放射性物質の降下により、福島県の学校のプール水中の放射性物質濃度が高くなり利用できなくなった。原子力機構では、プール水から放射性物質を取り除いてこれを安全に排水するために、プールでの実証試験を行った。一刻も早くプール水除染活動に貢献するため、その成果を取りまとめ、手引として公開した。本資料は、その後作成し、公開した英語版手引と合わせ、改めて試験研究の成果報告書として取りまとめたものである。
経営企画部; バックエンド推進部門
JAEA-Technology 2012-028, 71 Pages, 2012/07
第2期中期目標及び中期計画において、平成23年度(2011年度)までに、外部有識者の意見を聴取するなど客観性を確保しつつ、安全を前提とした合理的・効率的な中長期計画を作成し、これを実施するとしている。本「原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分の中長期計画」は、廃棄物発生から処分に至る長期の廃棄物管理を見通したうえで、今後の10年間の廃止措置計画、クリアランス及び処理計画、施設整備計画、技術開発計画等についての方向性を示したものである。今後、本中期計画を基本として、放射性廃棄物の処理処分や廃止措置に向けた具体的な作業を進めるとともに、国による原子力大綱の議論、技術開発の進展、国による処分の制度化や法整備の状況等に応じて、適宜本計画の見直しを図っていく。
勅使河原 誠; 木下 秀孝; 涌井 隆; 明午 伸一郎; 関 正和; 原田 正英; 伊藤 学; 鈴木 徹; 池崎 清美; 前川 藤夫; et al.
JAEA-Technology 2012-024, 303 Pages, 2012/07
J-PARC構成施設のひとつ核破砕中性子源である物質・生命科学実験施設(MLF)では、中性子を発生するため3GeVまで加速された陽子ビームが、水銀ターゲットに入射する。高エネルギーの陽子や中性子に晒された機器(ターゲット容器,モデレータ,反射体及び陽子ビーム窓)は、照射損傷を受けるため、定期的な交換保守を必要とする。使用済み機器は高度に放射化され、遠隔による交換保守が必要となる。使用済みの機器の交換保守が行える保守シナリオを構築し、必要な設備をホットセル内及びMLF内に導入した。保守シナリオの整合性を確認するため実機を用いて予備試験を行った。本報告書では、使用済み機器(モデレータ・反射体,陽子ビーム窓を対象)について、予備試験を通して得られた知見をもとに、使用済み機器の取り扱いに反映することを目的とし、交換保守に関する問題点と解決策等を報告する。
本田 順一; 松井 寛樹; 原田 晃男; 小畑 裕希; 冨田 健
JAEA-Technology 2012-022, 35 Pages, 2012/07
我が国において発電コスト及び放射性廃棄物の低減を目的とした軽水炉燃料の高度利用が進められている。電力事業者は、さらなる高燃焼度化,高出力化に対応するための改良型燃料の開発を進めてきており、国は、これら改良型燃料の申請にかかわる安全規制を行ううえで必要とされる安全基準,指針等を整備するために、常に最新の技術的知見を蓄積することが重要となる。日本原子力研究開発機構では、被覆管材料の微細組織の違いが事故時の燃料挙動に及ぼす影響を簡便かつ定量的に把握、評価するために結晶方位解析装置付遠隔操作型電子プローブマイクロアナライザを開発した。本装置は、高放射性物質を対象試料として使用するため、遠隔操作型とし、設置する施設の規制及び放射性物質取り扱い上の観点から耐震性及び放射性物質の閉じ込め機能を考慮した構造とした。本報告書は、照射後試験装置として開発した結晶方位解析装置付遠隔操作型電子プローブマイクロアナライザの仕様と、その特性試験結果をまとめたものである。
本田 順一; 松井 寛樹; 原田 晃男; 小畑 裕希; 冨田 健
JAEA-Technology 2012-021, 17 Pages, 2012/07
我が国において発電コスト及び放射性廃棄物の低減を目的とした軽水炉燃料の高度利用が進められている。電力事業者は、さらなる高燃焼度化,高出力化に対応するための改良型燃料の開発を進めてきており、国は、これら改良型燃料の申請にかかわる安全規制を行ううえで必要とされる安全基準,指針等を整備するために、常に最新の技術的知見を蓄積することが重要となる。日本原子力研究開発機構では、これらの被覆管材料の微細組織を調べるために遠隔操作型イオンミリング装置を開発した。本装置は、高放射性物質を対象試料として使用するため、遠隔操作型とし、設置する施設の規制及び放射性物質取り扱い上の観点から耐震性を考慮した構造とした。本報告書は、照射後試験装置として開発した遠隔操作型イオンミリング装置の仕様と、その特性試験結果をまとめたものである。
高松 操; 小林 哲彦; 長井 秋則
JAEA-Technology 2012-020, 60 Pages, 2012/07
高速実験炉「常陽」では、トラブルを一つの契機として、炉心上部機構の交換作業にかかわる検討・技術開発を進めた。「常陽」炉心上部機構は、あらかじめ交換することを想定したものでないこと、また、30年以上の供用により高い放射化量(表面線量率)を有するため、ここでは、(1)旧炉心上部機構ジャッキアップ・引抜作業中の旧炉心上部機構・案内スリーブの変形等防止策、(2)キャスク総重量の低減策等の課題にかかわる解決策について検討を進めた。炉心上部機構の交換作業は、平成26年(2014年)に実施される計画である。本作業の完遂及び蓄積された経験は、「常陽」の復旧のみならず、稀少な知見として、SFRにおける今後の原子炉容器内保守・補修技術開発に大きく資することができるものと考えている。
井尻 裕二*; 納多 勝*; 笹倉 剛*; 延藤 遵*; 松井 裕哉; 見掛 信一郎; 橋詰 茂
JAEA-Technology 2012-018, 288 Pages, 2012/07
超深地層研究所計画では、「研究坑道の設計・施工計画技術の開発」、「研究坑道の建設技術の開発」、「研究坑道の施工対策技術の開発」、「安全性を確保する技術の開発」を目的として、工学技術に関する研究を進めている。本研究では、これら4項目の工学技術研究として、深度300mまでの研究坑道の施工によって取得された計測データを用いて、設計の妥当性の検討や施工管理のための計測結果の分析と課題の抽出、地山安定化対策の有効性に関する評価などを行うとともに、研究坑道掘削工事で適用されている技術の抽出と有効性評価を実施し、今後の技術開発の方向性について検討を加えた。
石塚 悦男; 石原 正博; 鈴木 雅秀
JAEA-Review 2012-030, 247 Pages, 2012/07
本講演集は、原子力機構主催の「(n,)法によるMo-99製造にかかわる専門家会議」に提出された発表資料をまとめたものである。本会議は、各国のMo製造の現状と計画に関する情報交換及びMo製造にかかわる今後の試験研究炉の協力について議論することを目的として、2012年3月9日から10日に東京の有楽町朝日ホールで開催された。会議には、ポーランド,カザフスタン,インドネシア,タイ,マレーシア,オランダ,韓国,日本の8か国から合計27名が出席した。会議の結果、将来のMoの安定供給のために、(n,)法によるMo製造技術開発を進めることで一致するとともに、照射ターゲットの共通化によるメリットを考慮して、原子力機構で開発した高密度MoOペレットを共通ターゲットとした照射試験が提案された。
忽那 秀樹; 大谷 洋史; 中村 保之
JAEA-Review 2012-025, 30 Pages, 2012/07
原子力機構は、新型転換炉ふげん発電所の新型転換炉原型炉施設の廃止措置計画を平成18年11月7日に認可申請(平成19年12月28日一部補正)し、平成20年2月12日に認可を受けた。これに伴い、新型転換炉ふげん発電所を原子炉廃止措置研究開発センター(以下「ふげん」という。)に改組し、施設の解体撤去作業に着手するとともに、自らの廃止措置に関する技術の開発及びこれに必要な研究(以下「廃止措置技術開発」という。)を実施している。この廃止措置技術開発を計画・実施するにあたり、「ふげん」を国内外に開かれた技術開発の場及び福井県が目指すエネルギー研究開発拠点化計画における研究開発拠点として十分に活用するとともに、当該技術開発で得られる成果を有効に活用することを目的として、原子力機構内外の有識者で構成される「ふげん廃止措置技術専門委員会」を設置している。本稿は、平成24年3月16日に開催した第25回ふげん廃止措置技術専門委員会において報告した「廃止措置の状況」、「使用済樹脂を対象とした廃棄体化基礎試験」、「レーザ切断工法にかかわる試験状況及び今後の計画」について、資料集としてまとめたものである。
浅森 浩一; 丹羽 正和; 花室 孝広; 山田 国見; 草野 友宏; 幕内 歩; 高取 亮一; 國分 陽子; 石丸 恒存; 梅田 浩司
JAEA-Review 2012-024, 44 Pages, 2012/07
本計画書は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における地質環境の長期安定性に関する研究についての第2期中期計画期間(平成22年度平成26年度)における平成24年度の研究開発計画である。本計画の策定にあたっては、「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画-第2期中期計画に基づき、第1期中期計画期間(平成17年度平成21年度)における研究成果、平成22年度及び平成23年度の研究成果、関係研究機関の動向や大学などで行われている最新の研究成果、実施主体や規制機関からのニーズなどを考慮しつつ策定した。研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進していく。
原子力科学研究所
JAEA-Review 2012-022, 208 Pages, 2012/07
原子力科学研究所(原科研)は、保安管理部,放射線管理部,工務技術部,研究炉加速器管理部,ホット試験施設管理部,安全試験施設管理部,バックエンド技術部,計画管理室の7部・1室で構成され、各部署が中期計画の達成に向けた活動を行っている。本報告書は、平成21年度及び22年度の原科研の活動と原科研を拠点とする安全研究センター,先端基礎研究センター,原子力基礎工学研究部門,量子ビーム応用研究部門,バックエンド推進部門,原子力研修センターなどが原科研の諸施設を利用して実施した研究開発及び原子力人材育成活動の実績を記録したものであり、今後の研究開発や事業の推進に役立てられることを期待している。
細馬 隆
JAEA-Review 2012-008, 83 Pages, 2012/07
放射性Yを用いた医薬品及び医療機器が実用化され、欧米では3種類、我が国でも1種類の製品が承認・上市されている。いずれも、診断ではなく内照射による治療を目的としている。我が国での薬事承認の審議報告書から、Yは使用済燃料の再処理工程で生じる高レベル放射性廃液から、欧州で抽出されていることが示唆された。そこで、上市された製品の概要,物理的性質,製品が成立する理由及び今後の製品が成立する条件の推測,抽出とそれ以外の方法との比較,技術的課題,関連法令について、調査・検討を行った。治療を目的としてYを用いた医薬品が承認され、我が国独自の医療機器も研究されているが、他の治療法で代替できる場合があること等から、Y利用には一段の飛躍が必要と思われる。例えば、短い血中半減期でかつ正確にYを目標に送達する技術が進展し、従来の治療法と組合せてこれを補うことができるならば、そのような飛躍が期待できる。高レベル放射性廃液からYを抽出する方法は、熱中性子照射による製造よりも有利な点が多い。親核種のSrを再処理施設で抽出・精製し、放射性医薬品の製造所に輸送・貯蔵し、需要に応じてYを抽出する仕組みが期待される。
石橋 正祐紀; 栗原 新*; 松岡 稔幸; 笹尾 英嗣
JAEA-Research 2012-018, 48 Pages, 2012/07
本報告書では、超深地層研究所計画の第2段階において実施してきている、地質構造モデルの変遷について整理した結果を取りまとめた。第2段階においては、研究坑道の掘削に伴う研究坑道の壁面地質調査結果や研究坑道から実施したボーリング調査結果などに基づき、第1段階に構築した地質構造モデル(SB3地質構造モデル)の更新を行っている。現在までに、Shaft180地質構造モデル、Pilot500地質構造モデル、Substage200地質構造モデル、Stage300地質構造モデルと4回の更新を実施してきている。地質構造モデルは、各段階の調査データをもとに更新した地質・地質構造の空間分布を示しているため、前段階に構築した地質構造モデルと比較することで、調査の進展に伴う地質・地質構造の分布、情報の過不足、不確実性の変遷を総合的に評価するうえで有効である。
木村 暢之; 上出 英樹; 長澤 一嘉*; Emonot, P.*
JAEA-Research 2012-017, 97 Pages, 2012/07
サーマルストライピング現象の評価手法を確立することは原子力プラントの安全性を確保するうえで重要な課題となっている。本研究は、サーマルストライピング現象評価の一環として、3本の噴流が矩形断面のスリットから鉛直に置かれた壁と平行に吐出する体系での水及びナトリウム試験を対象に、ラージエディシミュレーション法(LES)を用いた流体-構造連成解析(仏原子力・代替エネルギー庁で開発した熱流動解析コードTrio-U)を実施した。本解析では、流体及び構造材の接触面近傍に詳細な計算メッシュを配置し、流体と構造材の熱的連成を熱伝導のみでモデル化した。流体中の温度変動強度に関して、水及びナトリウム体系とも数値解析により実験結果の空間分布を再現することができた。また、構造材内の温度変動強度は、水及びナトリウム体系とも本解析により再現できた。このことから、サーマルストライピング現象に対するLESをベースにした流体・構造連成解析の適用性を確認することができた。また、解析により、壁面近傍での流体混合特性及び温度変動の構造材への伝達特性を明らかにした。
田中 勝*; 五福 明夫*; 石坂 薫*; 佐藤 和彦; 長濱 洋次
JAEA-Research 2012-016, 23 Pages, 2012/07
日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター,岡山大学,鳥取環境大学及び廃棄物工学研究所は、ウラン鉱山の跡措置や産業廃棄物の処分の安全性にかかわる市民のリスク認知や関係者間の信頼醸成について研究を行っている。平成23年3月11日の東日本大震災で発生した岩手県及び宮城県の災害廃棄物の広域処理の安全性にかかわる市民の認知構造は、この研究の目的であるウラン鉱山の跡措置や産業廃棄物の処分の安全性にかかわる認知様式を理解するうえで重要であると考えられる。そこで、岡山県下の市民を対象に、災害廃棄物の安全性にかかわる意識を把握することを目的としてアンケート調査を行った。調査対象者は電話帳を用いて岡山市及び倉敷市それぞれ500人、合計1,000人を系統無作為抽出した。調査は、平成23年12月に郵便を用いた調査を行い、有効回答数は530であった。主な結果は、次の通り。(1)「岩手県,宮城県の災害廃棄物の処理・処分に他の自治体が協力するのは必要なことだと思う」93%、(2)「自分の住む自治体ががれきを引き受け、処理・処分に協力することに賛成する」87%、(3)「災害廃棄物を引き受ければ、放射性物質で自分の地域が汚染されるのではないかと心配」70%
山田 智*; 迫田 晃弘; 石森 有
JAEA-Research 2012-015, 32 Pages, 2012/07
鳥取大学農学部と日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センターは、農地土壌等における環境修復技術開発として、植物を利用した浄化手法(ファイトレメディエーション)について検討している。平成23年度は、フィールドでの実証試験に供しうる有望な植物種を2、3種程度選定するため、水耕栽培によるスクリーニング試験を実施した。供試植物種は好塩性植物を中心に選定した。栽培や収穫に手間のかからないこと、回復後に農作の妨害をしないことなどに留意した。苗を一定期間栽培した後、安定同位体のCs又はSrで試験した。原則、試験開始後2週間目に採取し、器官ごとにK, Ca, Mg, Sr, Csを測定した。総合的に判断して、今回の試験範囲で最も適した植物種はツルナとアイスプラントであると結論した。Cs, Srともにおもに茎葉に集積するほか、表層近くに根を張り匍匐して株が大きくなることから、表層土壌の汚染物質除去に適している。効果的な適用には、吸収と分配の生育時期による変化、植物の成長特性、根の分布などについてフィールドでの調査が必要である。これらを踏まえて、適用可能性にかかわる試験計画を立案した。
小林 順; 木村 暢之; 飛田 昭; 上出 英樹
JAEA-Research 2012-014, 40 Pages, 2012/07
JSFRの制御棒チャンネルと燃料集合体との出口ナトリウム温度差は最大で100C程度になるため、炉心出口部における流体の混合による温度変動が炉上部機構(UIS)の下部高サイクル熱疲労を与える可能性がある。そこで、炉心出口と炉容器上部プレナムを対象とする1/3スケール60セクタモデルを使用した水流動試験を実施した。制御棒周辺の温度とその変動強度分布を計測するとともに、熱疲労に対する対策構造の評価を行った。試験の結果、制御棒周辺の温度変動特性を把握するとともに、熱疲労に対する対策構造は温度変動振幅を低下させ、構造材料に対する熱応力に変換されやすい周波数領域においても、その変動強度を低下させる効果があることを明らかにした。また、比較的低温の冷却材が流出するブランケット集合体と炉心燃料集合体との境界における温度変動強度分布を把握した。
杉野 和輝; 石川 眞; 沼田 一幸*; 岩井 武彦*; 神 智之*; 長家 康展; 羽様 平; 千葉 豪*; 横山 賢治; 久語 輝彦
JAEA-Research 2012-013, 411 Pages, 2012/07
最新知見に基づいた高速炉の核設計精度の評価を行うため、国内で最新の評価済核データファイルJENDL-4.0を用いて、高速炉の種々の核特性にかかわる実験及び試験の解析を行った。具体的には、臨界実験装置としてZPPR, FCA, ZEBRA, BFS, MASURCA, LANLの超小型炉心、実機プラントとしてSEFOR,「常陽」,「もんじゅ」で行われた炉物理実験/試験及び照射試験にかかわる合計643特性を対象とした。解析においては、基本的に標準的な高速炉の核特性解析手法を採用し、最確評価となるように詳細な計算を行った。また、得られた解析結果について、実験誤差、解析モデルにかかわる誤差、核データに起因する誤差の観点から検討を行い、炉心間あるいは核特性間の整合性を総合的に評価した。さらに、これらの評価結果を活用して、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)で設計が進められている高速炉炉心の核特性予測精度の評価を行った。
小坂 寛; 三枝 博光; 栗原 新*; 尾上 博則
JAEA-Research 2012-012, 100 Pages, 2012/07
深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として進めている、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画では、第1段階(地表からの調査予測研究段階)、第2段階(研究坑道の掘削を伴う研究段階)及び第3段階(研究坑道を利用した研究段階)の3段階に区分して、繰り返しアプローチに基づく調査研究を実施している。本研究では、調査の進展に伴う情報量の増加に応じた、地下水の流速分布及び移行特性の変化を把握すること、及び不連続構造分布の地質学的解釈の違いや岩盤の水理的不均質性の有無が、地下水流動特性に与える影響を評価することを目的として、第1段階及び第2段階において構築された地質構造モデル及び水理地質構造モデルに基づき、地下水流動解析及び粒子追跡解析を実施した。結果として、調査の進展に伴う情報量の増加により、地下水の流速分布及び移行特性の不確実性が低減されたことを確認した。また、不連続構造分布の地質学的解釈の違い及び岩盤の水理的不均質性の有無が地下水流動特性に与える影響を確認した。これらの結果に基づき、次期調査に向けてターゲットとなる不確実性要因の特定及びターゲットに対する調査方法を提案した。
笹尾 英嗣
JAEA-Research 2012-011, 147 Pages, 2012/07
東濃鉱山の閉山措置に伴う周辺環境への影響の検討の一環として、捨石集積場の捨石、鉱業廃棄物埋立場の鉱業廃棄物、坑道に充填する鉱石と捨石に起因する一般公衆に対する被ばく線量を検討した。被ばくの評価点として東濃鉱山西方の東洞川評価点と南東方の日吉川評価点を設定し、現在の土地利用を考慮して基本シナリオと参考シナリオを設定した。解析は既存のデータ等に基づいて解析に必要なパラメータを設定した基本ケースで行うとともに、パラメータの幅などを考慮した代替ケースでも行った。解析の結果、東洞川評価点では、被ばく線量は基本シナリオ,参考シナリオとも最大で0.08mSv/年であり、直接線,スカイシャイン及びラドンによる被ばく線量を加えると最大で0.09mSv/年となった。代替ケースにおいては、基本シナリオ,参考シナリオとも最大で0.050.14mSv/年となった。日吉川評価点では、基本シナリオでは被ばく線量は最大でも0.001mSv年未満、参考シナリオでは最大で0.001mSv/年となった。代替ケースにおいて、基本シナリオではすべてのケースで最大でも0.001mSv/年未満となり、参考シナリオでは最大で0.00060.002mSv/年となった。
長谷川 健; 國友 孝洋; 橋詰 茂; 堀内 泰治; 松井 裕哉
JAEA-Evaluation 2012-001, 117 Pages, 2012/07
陸域地下構造フロンティア研究プロジェクトの一環として研究開発されたアクロスは地震研究をその目的としていたが、そこで培われた技術(信号の送受信技術並びにデータの解析技術)は非常に汎用性に富むものであり、超深地層研究所計画における工学技術の一環として、「研究坑道周辺の地質環境の時間的変化の把握」や「コンクリートライニングの健全性の評価」に利用可能かどうかについて2007年度から3年間を目途に検討を進めた。その結果、研究坑道周辺の地質環境の時間的変化を把握するための技術としてのアクロスの適用性を検討するためには、さらに2年程度の観測データの蓄積が必要であることが明らかになった。本最終報告書では、弾性波アクロスについては2011年12月末まで、電磁アクロスについては2011年9月中旬までの観測で得られたデータに基づき、研究坑道周辺の地質環境の時間的変化を把握するための技術としてのアクロスの適用性について検討した。その結果、弾性波アクロスは研究坑道周辺の地質環境の時間的変化を把握するための技術として利用できる可能性が高いが、電磁アクロスについては利用可能性が低いとの結論を得た。
國丸 貴紀; 森川 佳太; 舘 幸男; 久野 義夫*; 細谷 真一*; 下田 紗音子*; 加藤 博康*; 中澤 俊之*; 生瀬 博之*; 久保田 政子*
JAEA-Data/Code 2012-013, 96 Pages, 2012/07
物質移動に関する調査研究では、第3段階の調査研究として、研究坑道周辺の数10m100m程度のブロックスケールを対象に、物質移動に関する現象の把握、物質移動特性の取得、物質移動モデルの構築・更新に必要な調査・評価技術を体系的に整備することを目標としている。本試験は、上記の一環として、割れ目の特徴と物質移動特性の関係を把握することを目的に、深度300m研究アクセス坑道において掘削したボーリング孔から採取したコアを利用して花崗岩中の拡散試験、粉砕花崗岩への収着試験、水飽和法及び水銀圧入法による間隙率測定を実施した。本報告では、これらの試験結果を取りまとめたものである。
鈴木 元衛; 斎藤 裕明*; 宇田川 豊; 永瀬 文久
JAEA-Data/Code 2012-012, 374 Pages, 2012/07
FEMAXI-7は、軽水炉燃料の通常運転時及び過渡条件下のふるまい解析を目的とするコードとして、前バージョンFEMAXI-6に対して多くの機能の追加・改良を実施した高度化バージョンである。このモデルと内部構造,機能の詳細は、既にJAEA-Data/Code 2010-035として刊行されている。本マニュアルは、これと対をなすもので、FEMAXI-7及び関連コードの扱い方,入出力の方法,ソースの修正方法,サブルーチンモジュール,内部変数などについて詳述し、FEMAXI-7による燃料解析の具体的方法を説明したものである。なお、JAEA-Data/Code 2010-035の修正部分も記述した。
竹安 正則; 小沼 利光; 住谷 秀一
JAEA-Data/Code 2012-011, 28 Pages, 2012/07
ORION-WINは、複数の核燃料サイクル施設から平常運転に伴い大気中に放出される放射性物質の環境中における濃度及び一般公衆の線量を評価するために開発された汎用計算コードである。放射性物質の大気中における拡散は、ガウス型拡散式を基本として計算し、拡散過程における減少補正として、重力沈降,乾性沈着,降水洗浄及び放射性崩壊が考慮されている。また、沈着後の再浮遊及び環境中における崩壊連鎖に伴う壊変生成物についても考慮することができる。内部被ばく経路として吸入及び経口摂取を、外部被ばく経路として浸漬線量及び地表面沈着からの外部被ばくを計算する。線量は、公衆個人の線量として与えられる。ORION-WINは、各種モデルをオプションとして有していることから、核燃料サイクル諸施設の安全審査にかかわるケーススタディ、あるいは放出実績に基づく線量評価等に適用することが可能である。ORION-WINはFORTRAN-77で書かれたORION-II(PNC TN8410 87-17)をベースに、Windows OSを有するPC環境で動作可能にし、かつ入力パラメータ作成及び出力ファイル参照等をGUI化したものである。
川本 康司; 窪島 光志; 石橋 正祐紀; 鶴田 忠彦; 笹尾 英嗣; 池田 幸喜; 見掛 信一郎; 原 郁夫; 山本 勝
JAEA-Data/Code 2012-009, 47 Pages, 2012/07
本データ集は、2004年度から2008年度にかけて、瑞浪超深地層研究所の深度300mまでの研究坑道において実施した壁面調査の結果を取りまとめたものである。研究坑道では、浅部から深部に向かって、瑞浪層群の明世累層(戸狩部層,月吉部層),本郷累層,土岐夾炭累層と、深度約166m168m付近の不整合面を境として土岐花崗岩が分布する。
上野 孝志; 徳安 真吾; 川本 康司; 窪島 光志; 石橋 正祐紀; 鶴田 忠彦; 笹尾 英嗣; 池田 幸喜; 見掛 信一郎; 原 郁夫; et al.
JAEA-Data/Code 2012-008, 136 Pages, 2012/07
本データ集は、2005年度から2011年度にかけて、瑞浪超深地層研究所の研究坑道において実施した23本のボーリング調査の掘削仕様各種データの取得結果を取りまとめたものである。
北村 暁; 藤原 健壮; 土井 玲祐; 吉田 泰*
JAEA-Data/Code 2012-006, 65 Pages, 2012/07
高レベル放射性廃棄物及びTRU廃棄物の地層処分の性能評価に用いるための熱力学データベース(JAEA-TDB)について、ニッケル,セレン,ジルコニウム,テクネチウム,トリウム,ウラン,ネプツニウム,プルトニウム及びアメリシウムの固相及び気相に関する熱力学データを追加選定した。選定した熱力学データは、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)による熱化学データベースプロジェクトで採用されたGibbs標準自由エネルギーの加減算によって得られた平衡定数である。併せて、熱力学データベースの信頼性向上のために、ヨウ素の熱力学データの収集及び更新、テクネチウム(IV)の親化学種の変更、及びセレンの熱力学データの追加を行った。このJAEA-TDBのテキストファイルとして、PHREEQC, EQ3/6, Geochemist's Workbenchといった地球化学計算コード用フォーマットを整備した。これらのテキストファイルは、本報告書付属のCD-ROMに収納されるとともに、インターネット(http://migrationdb.jaea.go.jp/)でも公開され利用できるようになる予定である。
狩野 智之; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2012-002, 110 Pages, 2012/07
超深地層研究所計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」、「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画であり、現在は、第2段階における調査研究を進めている。本研究では、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤整備」及び「深地層における工学技術の基盤整備」を第1段階から第3段階までを通した全体目標としている。そのうち第2段階では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築及び研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を目標としており、その一環として、地下水の水圧長期モニタリングを実施している。本報告書は、2010年度に実施した地下水の水圧長期モニタリングデータを取りまとめたものである。
狩野 智之; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2012-001, 54 Pages, 2012/07
広域地下水流動研究は、広域における地表から地下深部までの地質・地質構造,岩盤の水理や地下水の水質を明らかにするために必要な調査・解析技術などを開発することを目標として、1992年度より調査研究を開始し、2004年度末をもって主な現場調査を終了した。2005年度からは、土岐花崗岩における水理学的・地球化学的な基礎情報の取得及び地下水流動解析結果の妥当性確認のためのデータ取得を目的として、既存の観測設備を用いた表層水理観測及び既存のボーリング孔を用いた地下水の水圧長期モニタリングを継続している。本報告書は、2010年度に実施した地下水の水圧長期モニタリングデータを取りまとめたものである。
原田 秀郎; 横山 賢治; 岩本 信之; 中村 詔司; 小浦 寛之
JAEA-Conf 2012-001, 200 Pages, 2012/07
2011年度核データ研究会は、2011年11月16日から17日にかけて、東海村のテクノ交流館リコッティにて開催された。当研究会は日本原子力学会核データ部会の主催、日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門、及び日本原子力学会北関東支部の共催の下、原発事故と事故時解析コード、最新の核データ研究手法やその応用に関するトピックスが、多くの研究者の参加を得て議論された。また、NJOY99とPHITSに関するチュートリアルも行われた。参加総数は97名で、盛況のうちに全日程を終えた。本レポートは、同研究会における講演、及びポスター発表者から提出された34件の報告集である。
平山 孝; 神成 政明; 佐藤 智彦
JAEA-Testing 2012-002, 29 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構では、各拠点を接続するネットワークシステムの信頼性、情報セキュリティを確保するとともに、日本原子力研究開発機構内外との連携・融合、国際拠点化を促進するため利便性の向上に努めることを基本理念とする最適化計画を策定した。利便性の向上の取り組みにおいては、日本原子力研究開発機構の拠点間の通信需要の増加に合わせた、回線容量の確保と適正配分を実施している。本報告書では、回線容量が逼迫しているが地理的要因により増強ができない、人形峠環境技術センターの広域イーサネット回線におけるWAN高速化装置の導入試験、導入結果、さらにその後の運用についてまとめたものである。
稲葉 良知; 佐藤 博之; 後藤 実; 大橋 弘史; 橘 幸男
JAEA-Technology 2012-019, 142 Pages, 2012/06
原子力機構は、開発途上国等への2030年代の世界展開を目指し、蒸気タービンによる発電、工業プロセスへの高温蒸気や地域暖房への低温蒸気供給を行う小型高温ガス炉システムの概念設計を進めている。その第1段階における概念設計の一つとして、商用1号機あるいは実証炉と位置付けられるリファレンス原子炉システムとなる原子炉熱出力50MWの発電・蒸気供給小型高温ガス炉システム(HTR50S)の炉心熱流動設計(HTTRと同じ被覆粒子燃料を用いた場合)を実施した。炉心熱流動設計の目標は、通常運転時における燃料最高温度が、燃料の健全性が維持される制限値以下となるようにすることである。また炉心熱流動設計に続き、減圧事故を想定した安全解析を実施した。通常運転時における燃料温度及び減圧事故時における燃料温度と原子炉圧力容器温度を評価した結果、燃料及び原子炉冷却材圧力バウンダリの健全性は損なわれないことを明らかにした。
後藤 実; 関 靖圭; 稲葉 良知; 大橋 弘史; 佐藤 博之; 深谷 裕司; 橘 幸男
JAEA-Technology 2012-017, 29 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構は、2030年頃の開発途上国への導入を目指し、商用もしくは実証炉の初号機となる小型高温ガス炉(HTR50S)の概念設計を開始した。HTR50Sの設計は、建設コストの抑制と2030年頃の建設を可能とするために、実証試験を必要とする新たな技術はできるだけ用いず、HTTRの設計技術を改良して用いることを方針とした。その中で核設計については、出力密度の向上、及び燃料濃縮度数の低減を改良項目として設計を行った。その結果、出力密度をHTTRの約1.5倍にするとともに、燃料最高温度を制限値以下に抑えるために必要な出力分布の最適化に用いる濃縮度数を、HTTRの12種類から3種類に大幅に削減することに成功した。
今本 信雄; 小磯 景一
JAEA-Technology 2012-016, 27 Pages, 2012/06
機械・電気設備の地震時の機能維持確認試験は、振動台を用いて行われている。振動台による機能維持確認試験では、被試験体に取り付けた加速度センサーからの応答より共振周波数を求め、求められた共振周波数に応じて試験条件を設定し、機能停止や誤動作が発生する限界の加速度を探索する。しかし、電気盤や制御系に使用される小型リレーは、加速度センサーの取り付けにより被試験体の振動特性に影響を与える。また、リレー誤動作の原因となる可動部は、ケース内に収まっており、振動を直接測定できない。このため、これまで共振周波数を把握することができなかった。そこで、外部から振動を与えるのではなく、リレーの励磁電流を変動させ、リレー可動部を電磁的に振動させるとともに、インピーダンス測定を行い、そのインピーダンス特性曲線からリレー可動部の共振周波数を測定する「励磁電流変動法」を考案、開発した。本報告書は、励磁電流変動法の原理、理論的インピーダンスの導出について述べるとともに、励磁電流変動法の実証のための電子回路設計及び製作した装置による試験の結果について述べる。
上坂 貴洋; 小澤 政千代; 松本 潤子; 遠藤 誠之; 木下 淳一; 鈴木 武; 鈴木 久雄; 森下 悟; 坂本 裕
JAEA-Technology 2012-015, 29 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所第2廃棄物処理棟の固体廃棄物処理設備・IIでは、放射線量の高い固体廃棄物の処理を行っている。固体廃棄物は圧縮減容され、封入容器に収納し、必要に応じた補充しゃへい体を選定付加したコンクリートを内巻した200Lのドラム缶若しくは1mのコンクリート製の容器(以下、しゃへい容器という。)に収納している。なお、しゃへい容器は、上部にコンクリートを注入する構造となっている。将来の埋設処分に備え、廃棄体の技術基準に適合させるための対応が可能となるよう、しゃへい容器に収納した固体廃棄物を容易に取り出せる構造とする蓋方式のしゃへい容器への変更が求められたため、蓋式しゃへい容器の変更にあたり、落下解析による蓋締めボルトの評価、しゃへい計算による評価を行い、設計・製作した試作品による落下試験を実施して、新たに使用する蓋式しゃへい容器の健全性を確認した。
原 弘典; 天澤 弘也; 坂井 章浩; 仲田 久和; 坂本 義昭
JAEA-Technology 2012-014, 49 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構が計画している研究施設等廃棄物の浅地中埋設処分施設では、再処理施設などから発生する低放射性濃縮廃液固化体を埋設処分の対象としている。この廃棄体には、高濃度の硝酸塩が含まれることが想定されているため、これらの硝酸塩含有廃棄体をコンクリートピット施設で埋設処分した場合、廃棄体中にある易溶性の硝酸塩が地下水中に溶け出し、環境中へ流出することが懸念されている。本検討は、我が国の一般的な自然環境条件下にコンクリートピット施設を設置した場合に対し、地下水又は近接する河川・湖沼等の環境中に流出する硝酸性窒素濃度を地下水移流拡散解析により試算したものである。また、環境条件の影響として、表層土壌の透水係数等が流出する硝酸性窒素濃度に及ぼす影響について検討を行った。これらの検討結果から、環境基本法に定められる環境基準値に則った埋設処分を実施するため、硝酸を含む廃棄体を1万本と仮定しコンクリートピットに埋設処分可能な硝酸イオン量を求めた。
水越 保貴; 安 哲徳
JAEA-Technology 2012-013, 26 Pages, 2012/06
昭和60年に竣工した照射材料試験施設は、核燃料物質使用施設であり、管理区域内雰囲気の排気を行う排気筒(スタック)が設けられている。本排気筒は、鉄筋コンクリート構造(RC造)で地上約40mの高さである。照射材料試験施設は、海沿いに位置しており建設後25年以上が経過したため、排気筒にはコンクリート剥離やひび割れや塩害等の経年劣化が生じていた。排気筒の経年劣化状況についてはこれまで調査方法が確立していなかったが、鉄筋・空洞の内部の劣化と塩害の把握に着目し、スタック全体のひび割れ発生状況の目視に加えて、電磁波レーダー法による鉄筋・空洞探査と塩化物含有量測定等の調査により詳細に把握する手法を選択した。本調査結果をもとに補修内容を検討して排気筒本体外表面部の劣化補修作業と、本体外表面のコンクリート厚さ不足部補修作業ことができた。以上の手法により経年劣化した排気筒の補修技術を確立したので、その詳細と実施結果について報告する。
木村 伸明; 今泉 友見; 竹本 紀之; 谷本 政隆; 斎藤 隆; 堀 直彦; 土谷 邦彦; Romanova, N. K.*; Gizatulin, S.*; Martyushov, A.*; et al.
JAEA-Technology 2012-012, 34 Pages, 2012/06
原子力機構照射試験炉センターでは、産業利用拡大の観点から材料試験炉(Japan Materials Testing Reactor: JMTR)を活用した中性子核変換ドーピング(Neutron Transmutation Doping: NTD)法によるシリコン半導体製造を検討している。この検討の一環として、カザフスタン共和国国立原子力センター(NNC-RK)と原子力機構との原子力科学分野における研究開発協力のための実施取決め(試験研究炉に関する原子力技術)における特定協力課題のうち、シリコン半導体製造に関する技術(STC No.II-4)のもとで、NNC-RKの核物理研究所(INP)にあるWWR-K炉を用いて、高品位シリコン半導体製造のためのシリコン試料の照射試験を行う。本照射試験の実施に先立ち、シリコン試料の照射試験に必要となるシリコン回転装置を原子力機構で製作し、照射試料とともにINP-NNC-RKに輸送した。本報告書は、シリコン回転装置の設計,製作,性能試験及び輸送手続きについてまとめたものである。
中山 雅; 澤田 純之
JAEA-Review 2012-023, 24 Pages, 2012/06
本計画は、原子力機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している。原子力機構の第2期中期計画では高レベル放射性廃棄物の処分技術に関する研究開発について、「「地層処分研究開発」と「深地層の科学的研究」の2つの領域において、他の研究開発機関と連携して研究開発を進め、地層処分の安全確保の考え方や評価にかかわるさまざまな論拠を支える「知識ベース」を充実させる」こととしている。本計画では、深地層の科学的研究として、「深地層環境の深度(地下350m程度)まで坑道を掘削しながら調査研究を実施し」、「地上からの精密調査の段階に必要となる技術基盤を整備し、実施主体や安全規制機関に提供する」計画である。また、地層処分研究開発として、「深地層の研究施設等を活用して、実際の地質環境条件を考慮した現実的な処分概念の構築手法や総合的な安全評価手法を整備する」こととしている。さらに、「業務の合理化・効率化の観点から、幌延深地層研究計画にかかわる研究坑道の整備等に民間活力の導入を図る」こととしている。本計画は、全体で20年程度とし「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」に分けて実施することとしている。平成24年度は、地下施設の建設及び第2段階及び第3段階の調査研究を継続する。
田崎 真樹子; 須田 一則; 鈴木 美寿; 久野 祐輔; 持地 敏郎
JAEA-Review 2012-021, 83 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構は、2011年12月8日、9日に、東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に米国等から示された原子力発電所の核テロに対する核セキュリティ強化方策と、継続的で健全な原子力の平和利用の発展を実現する観点から、原子力安全と核セキュリティ対策の総合的アプローチ等について議論し、2012年3月の韓国ソウルにおける核セキュリティサミットに向けたメッセージを発することを目指して、東京大学グローバルCOE及び日本国際問題研究所と共催で、「原子力平和利用と核セキュリティに係る国際フォーラム; 福島原子力事故の教訓をソウル核セキュリティサミットでの議論につなげるために」を開催した。本報告書は、同フォーラムの基調講演及び特別講演の要旨、パネル討論の概要及びパネル討論で使用された発表資料を収録したものである。
國丸 貴紀; 見掛 信一郎; 西尾 和久; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 石橋 正祐紀; 上野 孝志; 徳安 真吾; 大丸 修二; 竹内 竜史; et al.
JAEA-Review 2012-020, 178 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」、「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなり、2010年度は、第2段階である「研究坑道の掘削を伴う研究段階」を進めるとともに、第3段階(研究坑道を利用した研究段階)の調査研究を開始した。本報告書は、2002年2月に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づき、超深地層研究所計画の第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」及び第3段階(研究坑道を利用した研究段階)における2010年度に実施した(1)調査研究、(2)施設建設、(3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。
花川 裕規
JAEA-Review 2012-018, 51 Pages, 2012/06
ノルウェーエネルギー研究所のハルデン炉は燃料材料照射試験において世界トップレベルの試験研究施設である。1959年の運転開始後、原子炉の燃材料について今日まで、さまざまな試験研究が行われている。そこで、ここ最近行われている共同照射試験について公開文献等を元に調査を行った。
丹野 剛男; 引間 亮一; 真田 祐幸; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀
JAEA-Review 2012-017, 61 Pages, 2012/06
超深地層研究所計画は、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備及び深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市で実施している結晶質岩における深地層の研究施設の建設を伴う研究プロジェクトである。本研究プロジェクトは、地表からの調査予測研究段階(第1段階)、研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)、研究坑道を利用した研究段階(第3段階)の3段階からなる。本報告は、2010年度に実施した以下の岩盤力学に関する調査研究項目の概要をまとめたものである。(1)深度300m地点におけるボーリングコアを用いた初期応力測定、(2)換気立坑の掘削ずりを用いた岩盤物性評価、(3)岩盤力学モデルの構築、(4)クラックテンソルによる等価連続体モデルに関する検討、(5)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための現象論的研究、(6)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための理論的研究、(7)第3段階における原位置試験計画策定のための海外調査事例の整理、(8)掘削体積比エネルギーを用いた原位置岩盤物性評価に関する研究、(9)種々の計測結果に基づく深部岩盤中の応力場評価に関する基礎的研究
亀井 玄人; 本田 明; 小田 治恵; 平野 史生; 市毛 悟; 栗本 宜孝; 星野 清一; 赤木 洋介; 佐藤 信之; 高橋 邦明; et al.
JAEA-Research 2012-010, 80 Pages, 2012/06
TRU廃棄物の地層処分研究開発については国の全体計画に基づき、併置処分の評価にかかわる信頼性向上、ジェネリックな評価基盤の拡充及び幅広い地質環境に柔軟に対応するための代替技術開発が進められている。原子力機構においても処理,処分の両面で全体基本計画のなかの分担課題に取り組んでいる。本年報は平成22年度のそれらの進捗と、平成18年度以降過去5か年の成果の要点を記すもので、具体的課題としては、(1)ニアフィールドの構造力学評価(構造力学評価モデルの開発・整備、岩盤クリープモデルの導入及び検証計算、処分施設の長期的な変形挙動解析)、(2)性能評価(セメント変質、高アルカリ性環境における緩衝材及び岩盤の長期化学挙動、硝酸塩影響)及び(3)代替技術(硝酸塩分解技術)である。
中原 将海; 鍛治 直也; 野村 和則
JAEA-Research 2012-009, 15 Pages, 2012/06
晶析工程に関してPuとCsの化合物の生成抑制の観点から、原料液中のCsを減少させることが求められている。照射済核燃料中のCsを粗分離するため、純水及び希薄HNOにおける浸漬試験を行った。浸漬67時間後の純水及び0.1mol/dm HNOにおける燃料粉末からのCsの溶出率は、それぞれ33.8及び38.3%であった。燃料溶解前に燃料粉末を純水もしくは希薄HNO溶液に浸漬させることによりCsを粗分離できる可能性を示した。
大丸 修二; 尾上 博則; 竹内 竜史
JAEA-Research 2012-008, 70 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究の一環として、結晶質岩を対象とした超深地層研究所計画を進めており、現在は、第2段階及び第3段階における調査研究を進めている。第2段階における調査研究の一環として、第1段階において構築した地質構造モデル、水理地質構造モデル及び地下水の地球化学概念モデルの妥当性の確認と更新を目的として、2010年度に瑞浪超深地層研究所の深度300m研究アクセス坑道100m計測横坑においてボーリング調査を実施した。主立坑断層を対象としたボーリング調査のうち、長期揚水試験の結果では、主立坑断層を境として水圧応答の傾向が大きく異なることが確認され、主立坑断層がその直交方向に対して低透水性であり、水理学的な境界を形成する地質構造であることが確認された。単孔式水理試験の結果では、母岩の変質を伴う割れ目帯において、9.4E-7m/sから3.8E-11m/sの透水係数を確認した。今回の結果から、母岩の変質を伴う割れ目帯は、透水係数が土岐花崗岩の上部割れ目帯の平均的な値である1E-7m/sオーダーの区間と、それよりも4オーダー程度低い主立坑断層近傍の区間に分類されることがわかった。
徳安 真吾; 松岡 稔幸; 程塚 保行*
JAEA-Research 2012-007, 55 Pages, 2012/06
本研究では、深度300m研究アクセス坑道掘削前の先行ボーリング時に1,000L/min以上の湧水が発生した2008年10月の自然電位測定結果について、ノイズ除去に有効なデータ処理方法の検討及び、処理後の自然電位測定結果から水理地質構造の推定を行った。次に、立坑排水の一時的な停止による立坑内水位上昇後の、立坑内の地下水排水作業期間である2006年3月から4月に実施した既存の自然電位測定結果について、今回検討したデータ処理を適用し、水理地質構造の推定を行った。これらを総合して、自然電位測定の地下水流動を規制する断層や割れ目帯の分布の推定への適用性について評価を行った。その結果、ノイズ除去に有効なデータ処理方法を示すとともに、このデータ処理によって研究坑道の掘削に伴う地下水流動に起因する自然電位変化を抽出し、地下水流動を規制する断層や割れ目帯の分布を推定することができた。
萩原 大樹; 新宮 信也; 栗田 和昭*; 江口 慶多*; 堀田 政國*; 水野 崇
JAEA-Data/Code 2012-005, 67 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構は、岐阜県瑞浪市に建設中の瑞浪超深地層研究所において、研究坑道掘削による地下水水質への影響把握を目的とした調査研究を進めている。その一環として、研究所用地内において掘削した浅層ボーリング孔(MSB-2号孔及びMSB-4号孔)に多区間間隙水圧モニタリングシステム(MPシステム)を設置して、地下水採水・水質分析及び間隙水圧・水温測定を2003年度から月1回の頻度で実施している。これまでの観測結果から、研究坑道の掘削に伴い、両観測孔において間隙水圧低下と水質変化が生じていることを確認している。本報告書では、2010年度のMSB-2号孔及びMSB-4号孔における地下水採水・水質分析及び間隙水圧・水温測定結果を示した。また、合わせて、広域地下水流動研究においてDH-2号孔で実施している地下水採水・水質分析及び間隙水圧・水温測定の結果を付した。
水野 崇; 岩月 輝希; 天野 由記; 濱 克宏
JAEA-Data/Code 2012-004, 30 Pages, 2012/06
研究所用地内の地表から掘削したボーリング孔(MSB-2号孔及びMSB-4号孔)にMPシステム(Westbay instruments社製)を設置して、地下水の間隙水圧測定及び水質観測を2003年度から月1回の頻度で実施している。本報告書では、2004年度及び2005年度に両孔において取得された地下水の間隙水圧及び水質データを共有し、散逸を防止することを目的としてとりまとめた。なお、本報告書内において使用したデータについては、電子ファイルとしてCD-ROMに収録した。
新宮 信也; 萩原 大樹; 増田 薫*; 飯塚 正俊*; 乾 道春*; 水野 崇
JAEA-Data/Code 2012-003, 50 Pages, 2012/06
日本原子力研究開発機構は岐阜県瑞浪市で進めている超深地層研究所計画において、研究坑道の掘削が周辺の地下水の地球化学特性に与える影響を把握することを目的とした調査研究を行っている。本データ集は、超深地層研究所計画において、2010年度に実施した地下水の採水調査によって得られた地球化学データを取りまとめたものである。また、データのトレーサビリティーを確保するため、試料採取場所,試料採取時間,採取方法及び分析方法などを示し、併せてデータの品質管理方法について示した。
島崎 洋祐; 篠原 正憲; 小野 正人; 柳 俊樹; 栃尾 大輔; 飯垣 和彦
JAEA-Technology 2012-010, 24 Pages, 2012/05
安全性実証試験の一つである炉心冷却喪失試験では、炉容器冷却設備(VCS: Vessel Cooling System)を流れる冷却水の循環を停止させるため、VCSの水冷管パネルの温度が上昇するが、試験中に水冷管パネルが最高使用温度を超えないことを監視する必要がある。そこで、炉心冷却喪失試験時におけるVCSの温度の監視強化を目的として、既設の仮設熱電対を炉容器冷却設備側部パネル出口リングヘッダ及び原子炉圧力容器スタビライザ近傍の水冷管パネルへ移設した。炉容器冷却水循環ポンプの起動に伴う温度変化の測定結果より、移設した仮設熱電対がVCSの温度変化を監視できることを確認した。
内藤 裕之; 板垣 亘; 岡崎 義広; 今泉 和幸; 伊藤 主税; 長井 秋則; 北村 了一; 社本 尚樹*; 竹島 由将*
JAEA-Technology 2012-009, 100 Pages, 2012/05
本研究では、高速炉の炉内観察に使用するための耐熱性・耐放射線性に優れたファイバスコープを開発することを目的として、ファイバスコープの構成要素であるイメージファイバとライトガイドファイバの高温環境における耐放射線性向上策の検討と、照射試験によるファイバスコープの構成要素の照射特性の評価を実施した。ファイバの耐放射線性については純粋石英コアのファイバが優れており、不純物によって耐放射線性が左右されることがわかっている。また、光の一部はクラッドを通過するため、クラッドについても耐放射線に優れた材料にする必要がある。そこで、コアをOH基1,000ppm含有の純粋石英,クラッドをフッ素ドープ石英とすることで耐放射線性の向上を目指した。照射試験の結果、コアのOH基含有量を1,000ppmに増加したことで伝送損失の増加につながる照射による新たなプレカーサ生成を抑制できていることが確認できた。クラッドについても、フッ素ドープ石英クラッドは樹脂クラッドより伝送損失増加量や増加速度を大きく改善することができた。本研究の結果、イメージファイバ及びライトガイドファイバのコア材についてはOH基を1,000ppm含有する純粋石英,クラッド材についてはフッ素ドープ石英とし、これらでファイバスコープを構成することより、200C環境で510Gy照射後でも観察できる見通しが得られた。
井上 修一; 小室 忠男; 鍋谷 栄昭; 松井 義典; 飯田 一広; 伊藤 和之; 木村 明博; 菅野 勝
JAEA-Technology 2010-010, 27 Pages, 2012/05
沸騰水キャプセルを用いた燃料照射試験では、燃料破損時においてキャプセルから流出する核分裂生成物(FP: Fission Products)量を炉外に設置した放射線モニターで検出できる最小限にし、FPの原子炉施設内への放出を低減させる目的で沸騰水キャプセル内に希釈管を設けている。JMTR再稼動後に行う燃料異常過渡試験では、広範囲の試験条件の設定が可能なように沸騰水キャプセルの給水流量の増加が計画されている。給水流量が増加すると、放出されるFPの増大が予想されたため、給水流量をパラメータとして希釈管の希釈効果を炉外実験で確認した。本報告は、沸騰水キャプセル内の希釈管の希釈係数測定結果をまとめたものである。
東濃地科学センター 鉱山措置・施設管理課
JAEA-Review 2012-016, 196 Pages, 2012/05
東濃地科学センターでは、閉山措置に向けた実施計画の検討が進められており、その一環として、坑道,捨石集積場及び鉱業廃棄物埋立場の措置に伴う線量計算を行った。この線量計算の技術的な妥当性を検討していただくため、外部有識者による「東濃鉱山安全性評価検討委員会」を2010年度に設置した。本資料は、東濃鉱山安全性評価検討委員会の会議資料を取りまとめたものである。
住谷 秀一; 渡辺 均; 中野 政尚; 竹安 正則; 中田 陽; 藤田 博喜; 磯崎 徳重; 森澤 正人; 水谷 朋子; 國分 祐司; et al.
JAEA-Review 2012-015, 166 Pages, 2012/05
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2010年4月から2011年3月までの間に実施した環境モニタリングの結果、及び大気,海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものであり、2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、東電福島第一原発事故)の影響が一部の試料にみられた。なお、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、東電福島第一原発事故の影響による平常の変動幅を外れた値の評価について付録として収録した。
浅野 典一; 花川 裕規; 楠 秀彦; 佐藤 信一
JAEA-Review 2012-014, 37 Pages, 2012/05
JMTRの更新工事では、これまで保全活動により実施されてきた保守実績,交換部品の調達性,交換機器に関する最新技術の反映状況等を考慮し、設備・機器を、(1)全更新する設備・機器、(2)部分更新する設備・機器、(3)継続使用する設備・機器に分類した。本報告書は、(1)全更新する設備・機器に分類され、2007年度(平成19年度)から2008年度(平成20年度)にかけて実施した、JMTR純水設備の更新工事についてまとめたものである。
佐藤 勇; 有馬 立身*; 仁科 匡弘*; 田中 康介; 小野瀬 庄二; 出光 一哉*
JAEA-Research 2012-006, 66 Pages, 2012/05
燃料の製造性及び照射挙動に影響する物性である拡散挙動に関して、実験的手法と分子動力学シミュレーション(MD)の両面から評価した。実験的手法では、Amを含有した混合酸化物燃料とUO燃料を用いた拡散試験を実施した。その結果、UO中のPu及びAmの拡散は粒界に大きく影響される傾向があった。格子拡散と粒界拡散を区別せずに拡散係数を評価したところ、その大きさは1010m/s程度であり、PuとAmの間に差はほとんどなかった。一方、MDでは、混合酸化物燃料中のU, Pu及びAmの格子拡散係数を評価し、拡散係数の温度依存性を導き出した。また、対応格子粒界構造を用いた粒界拡散係数の評価方法を確立した。その結果、MDから得られた粒界拡散係数の温度依存性の外挿値は実験的手法で得られた拡散係数と良い一致を示した。MDで得られた粒界拡散の熱活性化過程と実験的手法で得られた拡散係数を考慮し、PuやAmの拡散現象をよりよく再現できるような実質的な拡散係数の温度依存性を得た。燃料挙動解析コードで使用できる拡散係数の整備に関して検討を行った。
江連 俊樹; 三宅 康洋*; 飛田 昭; 木村 暢之; 上出 英樹
JAEA-Research 2012-005, 56 Pages, 2012/05
高速増殖炉による核燃料サイクルの実用化を目指して、炉容器をコンパクト化することで経済性を高めたナトリウム冷却高速炉であるJSFRの設計研究が行われている(FBRサイクル実用化研究開発)。JSFRでは、冷却系2ループ化によって冷却系配管内の平均流速が増加するため、ホットレグ配管入口部において強い旋回渦が発生する可能性がある。その結果として、渦中心での圧力低下に伴う液中渦キャビテーションの発生が懸念されており、液中渦キャビテーションの発生状況の評価が構造健全性の観点から必要である。本研究では、液中渦キャビテーションの発生評価に関連して、ナトリウムと水の物性の違いが液中渦キャビテーションの発生に与える影響について検討するための基礎的な水試験を行った。基礎的な円筒体系において、水の温度を10Cから80Cに変化させることで水の粘性係数を変化させ、液中渦キャビテーションの発生状況を定量的に評価した。その結果、10Cから30C程度の比較的粘性係数が大きい条件では粘性依存性が確認されたものの、50Cから80C程度の比較的粘性係数が小さい条件では粘性の影響が少ないことを確認した。
大倉 毅史; 大石 哲也; 滝 光成; 芝沼 行男; 菊地 正光; 秋野 仁志; 菊田 恭章; 川崎 将亜; 三枝 純; 堤 正博; et al.
JAEA-Data/Code 2012-010, 37 Pages, 2012/05
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によってもたらされた福島第一原子力発電所事故に伴い、原子力科学研究所では、緊急時環境放射線モニタリングを実施した。2011年6月上旬までのモニタリングで得られた結果を提供する。空気試料からはCs-134, Cs-137, I-131, I-132, Te-132, Xe-133などの人為由来放射性核種が検出された。2011年3月15日以降、空間線量率に連動して、大気中放射性物質濃度の変化した。それぞれのピークでの組成はさまざまな特徴を示した。実測された大気中放射性核種濃度を用いて、吸入摂取によってもたらされる内部被ばくを見積もった。
製錬転換施設廃止措置成果編集委員会
JAEA-Technology 2012-005, 64 Pages, 2012/04
人形峠環境技術センターに立地する製錬転換施設は、湿式一貫製錬法及び六ふっ化ウラン転換技術実証に使用した設備と回収ウラン転換技術開発に使用した設備を有する施設で、昭和54年から建設を開始し、昭和56年10月に完成した施設である。平成20年度から、管理区域内機器の本格的な解体・撤去を実施しており、平成23年度までに給排気設備・廃液処理設備を除く管理区域内の機器(使用済流動媒体貯槽,処分制限財産品を除く)の撤去,平成26年度までに給排気設備・廃液処理設備等の付帯設備の解体・閉止措置等(高所及び埋設ダクト,廃液配管の一部,電気ケーブルを除く)を含む撤去を終える予定としている。本報告書は、この製錬転換施設廃止措置の基本計画を記載するとともに、廃止措置進捗状況として平成23年度上半期の実績工程,廃止措置方法,写真による廃止措置経過,部屋・作業員種別ごとの作業人工実績,解体物・二次廃棄物の発生状況についてまとめたものである。
飛田 健治
JAEA-Review 2012-009, 62 Pages, 2012/04
平成19年度より開始したJMTR原子炉施設の改修工事は、平成22年度末に完了した。改修工事は、原子炉施設関連の機器、ユーティリティの更新等で約40件、その他工事として、構築物等の補修・保全で約20件、併せて約60件に及んだが、大きなトラブルもなく無事に完遂することができた。本報告は、改修する設備・機器の選定、改修仕様の決定方法等の基本的な考え方、原子力機構大洗研究開発センターの原子炉施設等安全審査委員会によるレビューや許認可対応における論点の概要についてまとめたものである。
下茂 道人*; 熊本 創*; 小坂 寛; 尾上 博則; 三枝 博光; 水野 崇; 大山 卓也
JAEA-Research 2012-004, 126 Pages, 2012/04
本研究では、超深地層研究所計画における地下水流動場の把握を目的とした水理地質構造のモデル化及び地下水流動解析技術の高度化に関する研究開発の一環として、ローカルスケール(研究所用地周辺を含む約十km四方の領域)を対象とした水理地質構造モデルの構築及び地下水流動解析を実施した。モデル化・解析に用いたデータは、地表からの調査予測研究段階(第1段階)で得られた調査データ及び第2段階における研究坑道を深度200mまで掘削時の調査データである。モデル化・解析の結果、研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺の地下水流動場に影響を与える水理地質構造の推定、及び深度1000mまでの研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺地下水位の低下量を予測することができた。また、研究坑道掘削時のグラウトが周辺の地下水流動場の変化に与える影響の程度を解析的に把握することができた。また、研究坑道掘削に伴う地下水の水質分布に与える影響の程度を把握することができた。
市川 康明*; 丹野 剛男; 引間 亮一; 真田 祐幸; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀
JAEA-Research 2012-003, 34 Pages, 2012/04
岩盤は断層や節理などのさまざまなスケールの不連続面群と鉱物を非均質に内包した複合材料であり、結晶質岩についてミクロな視点で岩石を見ると、個々の結晶粒子と粒界及び粒子内における微視亀裂の集合体である。結晶質岩の変形・破壊にかかわる時間依存性挙動を含む力学的な挙動は、個々の結晶の形状・物性に基づく変形挙動と粒界及び鉱物粒子内の微視亀裂の進展による変形挙動に起因している。石英や長石等のケイ酸塩鉱物を主成分とする岩石の破壊と、それに伴う亀裂の進展の機構については、1970年代から力学的要因のみならず化学的要因と結び付けて研究がされている。このように岩盤の長期挙動の研究では、応力と化学反応が連成した現象を理解することが重要である。そこで本研究では、以下の研究を行った。(1)非線形破壊力学の解説、(2)石英の圧力溶解現象に関する室内実験、(3)石英の溶解速度式の導出に関する理論的研究、(4)亀裂性岩盤を対象とした均質化理論の構築
中西 良樹; 青山 佳男; 野中 一晴; 曽根 智之; 中澤 修; 田代 清
JAEA-Testing 2011-008, 31 Pages, 2012/03
焼却処理が困難なウランで汚染されたリン酸トリブチルとノルマルドデカンの混合廃溶媒の減容処理を行うため、水蒸気改質処理法の開発を行っている。この混合廃溶媒を処理したところ、処理試験装置のガス化装置に孔食状の腐食が発生した。このため、原因調査及び試験を行った。この結果、ガス化装置に発生した腐食の原因は処理の過程で発生する残渣による隙間腐食であるとわかった。よって、この隙間腐食に対する防食法の検討を行い、本装置の防食法として、犠牲陽極方式のカソード防食法を採用した。この腐食対策を施した装置を用いて、混合廃溶媒の連続処理試験を行ったところ、638時間の処理でガス化装置に隙間腐食が発生しなかったことから、実施した対策が有効であることがわかった。
竹本 紀之; 大戸 勤; 馬籠 博克; 出雲 寛互; 堀 直彦
JAEA-Technology 2012-011, 53 Pages, 2012/03
日本原子力研究開発機構では、原子炉挙動の理解及び技能向上を図り、原子力発電所を導入しようとしているアジア諸国をはじめとした国内外の原子力人材育成に貢献するため、照射試験炉シミュレータの整備を進めている。本シミュレータは、照射試験炉の一つであるJMTRをベースに設計を行い、照射試験炉における運転,照射試験,事故等を模擬し、これらに対応した原子炉及び照射設備の運転操作を体験できるようにするためのものである。本シミュレータの整備は、文部科学省からの最先端研究開発戦略的強化費補助金のうち、世界最先端研究用原子炉の高度利用による国際的研究開発拠点の整備事業において実施するものであり、2010年度から2011年度にかけて整備を行い、2012年度から本シミュレータを用いた研修を開始する予定である。本報告は、2010年度に実施した本シミュレータの概念設計についてまとめたものである。
高橋 澄; 塙 博; 小沼 勇一; 細川 甚作; 菅野 勝
JAEA-Technology 2012-007, 31 Pages, 2012/03
材料試験炉は、1968年3月に初臨界を達成して以来、原子炉の燃料材料の耐久性,健全性の試験や基礎研究,ラジオアイソトープの製造等に利用されてきた。2006年8月の第165サイクルの運転をもって一旦停止し、平成24年度からの再稼働に向けて原子炉機器の一部更新及び照射設備の整備を進めている。現在、高燃焼度燃料の出力急昇試験設備,IASCC研究のための材料照射試験装置の据付が完了したところである。その他、水力ラビット照射設備については保守点検を実施した。本報告書は2011年までにJMTRに据え付けが完了した照射装置等の整備状況についてまとめたものである。
滝田 謙二; 飯村 光一; 冨田 健司; 遠藤 泰一; 菅野 勝
JAEA-Technology 2012-006, 41 Pages, 2012/03
原子力機構大洗研究開発センターでは、2012年度に材料試験炉を再稼働させる予定で改造計画が進められている。また、再稼働後におけるJMTRの有効利用の一環として、放射性医薬品として核医学の分野で最も多く用いられているテクネチウム-99m(Tc)の親核種であるモリブデン-99(Mo)の製造が計画されている。Moは、その供給のすべてを輸入に依存している状況にあることから、産業界との共同でMoの一部国産化を目指すものである。本報告書では、Moの製造に必要な照射装置である水力ラビット照射装置の選定、装置の構成検討について述べる。
小野 正人; 栃尾 大輔; 篠原 正憲; 島崎 洋祐; 柳 俊樹; 飯垣 和彦
JAEA-Technology 2012-004, 46 Pages, 2012/03
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震で、大洗では震度5強を観測した。そこで、原子炉施設の設備・機器等が正常に動作することを確認するために、コールド状態による確認試験を行った。試験では、設備起動時及び定常運転時のプラントデータを取得し、過去のプラントデータと比較することで設備・機器の健全性を評価した。その結果、HTTRの設備・機器が正常に機能することを確認し、健全性が維持されていることを確認した。本報は、プラントデータの評価結果をまとめたものである。
堀口 洋徳; 中村 剛実; 本橋 純; 樫村 隆則; 市村 茂樹; 笹島 文雄
JAEA-Technology 2012-003, 38 Pages, 2012/03
研究炉JRR-4では、悪性脳腫瘍や頭頸部癌等に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の臨床研究が実施されている。BNCTは、熱中性子と患者に投与されたホウ素(B)との核反応を利用した放射線治療法である。JRR-4では、反射体要素の不具合に伴い、全種類の反射体要素について設計仕様の変更が行われた。新たな反射体要素の製作においては、計算解析により中性子ビーム設備への影響を考慮した設計を行っている。反射体要素の据え付け終了後、中性子ビーム設備の性能についてフリービーム実験及び水ファントム実験による確認を実施した。得られた実験結果と本解析手法による結果を比較することにより、BNCTの治療計画に必要となる計算誤差を評価することができた。
花木 達美; 永崎 靖志; 鈴木 一
JAEA-Technology 2012-002, 8 Pages, 2012/03
平成22年度からの「独立行政法人日本原子力研究開発機構の中期目標を達成するための計画(中期計画)(平成22年4月1日平成27年3月31日)」(日本原子力研究開発機構, 2010)の第2期中期計画期間においては、東濃鉱山を廃止措置に着手する施設に位置付けている。「東濃鉱山閉山措置計画書; 計画検討とりまとめ」(平成22年6月)は、閉山措置の進め方に関する検討結果をとりまとめたものであるので、本報告書では、施設・設備の具体的措置内容について実施計画を作成することとした。
鶴田 忠彦; 武田 匡樹; 上野 孝志; 大丸 修二; 徳安 真吾; 尾上 博則; 新宮 信也; 石橋 正祐紀; 竹内 竜史; 松岡 稔幸; et al.
JAEA-Technology 2012-001, 134 Pages, 2012/03
日本原子力研究開発機構東濃地科学研究ユニットでは、深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を段階的(第1, 2, 3段階)に進めている。このうち第2段階では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築及び研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を段階目標の一つとして調査研究を進めている。本報告書では、第2段階の目標を達成するために、2010年度に深度300m研究アクセス坑道において実施した、主立坑断層を対象としたボーリング調査の結果を取りまとめた。本ボーリング調査は、瑞浪超深地層研究所の主立坑において認められる断層を対象として、2孔(10MI22号孔及び10MI23号孔)のボーリング孔掘削、地質学的調査、水理学的調査、及び地下水の地球化学的調査を実施した。その結果、主立坑断層及び周辺岩盤の割れ目や変質の特徴、水理特性、及び水質分布を把握することができた。
川上 剛; 山本 一也; 福本 雅弘
JAEA-Technology 2011-042, 56 Pages, 2012/03
平成22年度茨城県総合防災訓練において、自家用車を避難に使用した訓練における避難車両の車両挙動について分析評価を実施した。また、自家用車を含む避難手段の選択について、要援護者避難訓練及び住民避難訓練参加者へのアンケート調査を実施した。本訓練の調査を踏まえた考察から、次の知見が得られた。(1)混雑緩和と代替路の確保から、避難対象の居住区ごとに、通行できる台数の少ない道路も含めて複数の避難経路を検討する必要がある。(2)円滑な避難を進めるために、避難経路上の交通規制や誘導も重要である。(3)避難を円滑に実施するという観点では、自家用車による避難を行う場合は、特に避難施設の駐車場容量や入口構造を避難所選定条件とし、事前に確認することが必要と思われる。(4)被験者の原子力防災訓練における経験が避難手段の選択に影響を与える可能性がある。(5)避難指示が想定される地区を取りまく周辺の地区においても原子力災害時の避難行動に関する意識調査をする必要がある。
諏訪 昌幸; 井坂 浩二; 大内 諭; 後藤 真悟; 池亀 吉則; 寺門 義文
JAEA-Technology 2011-041, 35 Pages, 2012/03
JRR-3プロセス制御計算機システムは、冷却材の流量,温度,圧力等のプロセス量の監視・制御及び冷却ポンプ等の原子炉機器の操作に用いられている。JRR-3改造(平成2年)から使用され続けており、高経年化が進むとともに、予備部品の入手が十分にできなくなっていることから、更新が必要になった。更新にあたっては、費用を最小限におさえ及び、更新作業を3段階に分割して継続的に行うように計画された。本報告書は、更新計画及び当該計算機システムの主要部である操作端末,制御盤の制御部の更新作業についてまとめたものである。
木下 秀孝; 涌井 隆; 松井 寛樹; 前川 藤夫; 春日井 好己; 羽賀 勝洋; 勅使河原 誠; 明午 伸一郎; 関 正和; 坂元 眞一; et al.
JAEA-Technology 2011-040, 154 Pages, 2012/03
物質・生命科学実験施設(MLF)で発生する放射化機器については、高度に放射化しているものが多く、簡易な保管設備では保管できない。これまで、MLFの放射化物を対象として、原子力科学研究所内施設を利用した保管についての検討を行ってきたが、具体的な実施計画等の立案には至っていない。本報告では、MLFで発生する機器の概要や保管計画検討の経緯,現状での放射化機器発生予定,保管予定施設の状況についてまとめた。放射化機器の発生予定と保管予定施設(ホットラボ)の計画を照らし合わせた結果、双方の計画には隔たりがあることがわかった。また、ホットラボにおいて、現在の建物の状態や保管設備として利用するために必要な改修に関してコスト評価を行った結果、ホットラボを利用することに新規施設の建設と比較して優位性を見いだせないと結論できた。このため、新規施設建設に向けた検討を早急に行うこととした。
酒井 健二; 坂元 眞一; 木下 秀孝; 関 正和; 羽賀 勝洋; 粉川 広行; 涌井 隆; 直江 崇; 春日井 好己; 達本 衡輝; et al.
JAEA-Technology 2011-039, 121 Pages, 2012/03
本報告では、東日本大震災の発生時におけるJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子源ステーションの挙動,被害,復旧状況を調査し、本ステーションの緊急事態に対する安全設計について検証する。大震災発生時、MLFでは、幾つかの機器で大きな揺れを検知した後、外部電源が喪失し、全循環システムが自動停止した。水素は設計通り屋外に放出され、機器異常による水銀,水素,放射性ガスの漏えいも生じなかった。一方、激しい揺れは、遮蔽体ブロックのずれ、建屋周辺の地盤沈下による外部供給配管の破断を引き起こした。この配管破断による圧縮空気の圧力低下は、水銀ターゲット台車固定装置などに影響を及ぼしたが、主要機器の大きな破損までは至らなかった。これらの結果は、本ステーションの緊急事態に対する安全設計の妥当性を実証できたとともに、幾つかの改善点も見いだされた。
仲田 久和; 天澤 弘也; 坂井 章浩; 山本 正幸*; 坂本 義昭
JAEA-Technology 2011-036, 195 Pages, 2012/03
日本原子力研究開発機構が設置を計画している浅地中埋設処分施設に埋設する廃棄体等は、原子炉等規制法の第2種廃棄物埋設規則に規定された廃棄体等の性能にかかわる技術基準に適合していることが求められる。技術基準の一つには、「廃棄体が埋設された場合において、受けるおそれのある荷重に耐える強度(耐埋設強度)を有すること。」が規定されていることから、国による廃棄体確認においては廃棄体等の製作者はこれを定量的に証明することが必須の条件となる。本報告書では、原子力機構が設置を計画している浅地中埋設処分施設のうち、耐埋設強度が要求されるコンクリートピット埋設設備(俵積み方式)に埋設する廃棄体等を対象として200リットルドラム缶,200リットルコンクリート内張ドラム缶,200リットルセメント均質・均一固化体,角型容器等の実載荷試験を行い、想定載荷荷重に対する廃棄体等単体での変位量及びひずみ量を測定し、その結果をもとに廃棄体等の積載条件によるそれぞれの試験用廃棄体等の耐埋設荷重を設定した。試験の結果、耐埋設荷重の一番小さいものが200リットルドラム缶(M級)で18kN、最大となるものが角型容器で400kNであった。
綿引 俊介; 塙 善雄; 浅野 典一; 檜山 和久; 伊藤 祥人; 坪井 一明; 深作 秋富
JAEA-Review 2012-013, 92 Pages, 2012/03
今回の交換作業は、JMTRの更新計画によりベリリウム枠の曲がり量が許容限界に近づいているため更新した。また、ガンマ線遮へい板は今後の運転予定期間を考慮し、予防保全として更新した。ベリリウム枠及びガンマ線遮へい板の製作は、発注から完成するまでに約2年を費やし、平成22年2月に製作が終了した。また、交換作業は、平成22年1月から約5か月かけて行った。本報告書は、ベリリウム枠及びガンマ線遮へい板の製作及び交換作業についてまとめたものである。
今泉 友見; 竹本 紀之; 出雲 寛互; 井手 広史; 松井 義典; 相沢 静男; 堀 直彦
JAEA-Review 2012-012, 25 Pages, 2012/03
日本原子力研究開発機構では、平成22年度から、原子力産業の世界展開を支援することを目的に、原子力人材育成の観点から若手技術者,大学・高専生等を対象に材料試験炉JMTR及び関連施設を用いた実務的な研修講座を開設した。平成22年度は、研修準備を進めるともに、平成23年2月14日から2月25日にかけて、第1回研修講座を開催した。本研修講座では、JMTRの照射設備の一つである水力ラビット照射装置に関し、照射試験のために実際に行われている核計算実習を中心とした研修を実施し、国内の学生10名が受講した。本報告は、最先端研究基盤JMTR及び関連施設を用いた研修講座の概要及び第1回研修講座の実施結果について取りまとめたものである。
亀山 恭彦; 箭内 智博; 菅谷 直人; 楠 秀彦; 佐藤 信一; 深作 秋富
JAEA-Review 2012-011, 35 Pages, 2012/03
材料試験炉(以下「JMTR」という)は、発電用原子炉などで使用する燃料や材料の照射試験を行う施設であり、平成18年から改修工事を開始して、平成23年度に完了した。本報告は、改修工事の一環として更新した、(1)原子炉建家内除湿及び冷房を目的として設置されている冷凍機,冷凍機附随配管等及び附随電気設備等の更新、(2)原子炉建家・ホットラボ施設・AGF施設内の除湿及び暖房を目的として設置されているボイラー設備及びボイラー附随設備の更新についてまとめたものである。
尾上 龍次; 川俣 貴則; 大塚 薫; 関根 勝則; 小池 須美男; 五来 滋; 西山 裕; 深作 秋富
JAEA-Review 2012-010, 116 Pages, 2012/03
JMTRは、熱出力50MWの軽水減速冷却タンク型の原子炉で、世界で現在稼働中の試験炉・研究炉の中で有数の高い中性子束を発生することができ、昭和43年3月の臨界から平成18年8月まで、原子炉の燃料及び材料の耐久性,健全性の試験や基礎研究,RI(ラジオアイソトープ)の製造等に利用されてきた。原子力機構は、このJMTRを原子力の基盤技術を支える原子炉と位置づけ、平成19年度より4年間で原子炉機器の更新を実施し、平成23年度から再稼働するために、平成18年8月から平成19年3月まですべての原子炉機器について、これまでの運転実績,経年変化の程度について調査し、継続使用する機器と更新する機器を選定した。この中で、保守用の交換部品の調達ができなくなるものについては優先的に更新することとし、再稼働後の保守,施設定期自主検査等の保全活動において、経年変化等の状態が把握できるものについては、重要度に応じて優先順位をつけた。本報告は、JMTR原子炉施設の更新のうち、原子炉冷却系統施設の更新(本体施設)に関するものである。
山本 正弘; 加藤 千明; 佐藤 智徳; 中野 純一; 宇賀地 弘和; 塚田 隆; 加治 芳行; 辻川 茂男*; 服部 成雄*; 吉井 紹泰*; et al.
JAEA-Review 2012-007, 404 Pages, 2012/03
我が国の軽水炉は運転開始から20年以上経過したものが多くを占め、経年劣化に対応した技術を確立して安全に運転していくことが望まれている。特にSCCについては、これまでに幾つかのトラブル事象が報告されており、対応技術やメカニズムに関する数多くの研究例がある。今回、それらをできるだけ広く集めて整理し、体系的にレビューした。具体的には、軽水炉に発生したSCC事例とその評価の現状、SCC発生・進展因子に関する評価法の研究と知見の現状、SCC・腐食環境のモニタリング技術の現状等について調査を行った。調査した結果は、炉型(BWR, PWR),材料(ステンレス鋼,Ni基合金)及びSCC評価法(ラボと実機)について、横断的かつ総合的に検討を行い、それらの共通点,相違点を理解しやすい図表として整理し、相対的な比較を行いやすいようにまとめた。これらの整理した結果を元に、今後検討すべき課題を抽出し、また実機において留意していくべき事象に関してまとめた。ラボ試験における加速条件の評価においては、最新の解析技術を駆使したミクロな解析と統計的な手法を含めた計算機的な予測やモデル化技術が今後重要になることを示した。また、実機の状況を運転中に把握し、SCCが顕在化する以前の兆候をモニタリングする手法の重要性を示し、今後実用化を含めた検討が必要であることを示した。
住谷 秀一; 渡辺 均; 中野 政尚; 藤田 博喜; 河野 恭彦; 檜山 佳典; 吉井 秀樹*; 菊地 政昭*; 大谷 和義*; 後藤 一郎*
JAEA-Review 2012-006, 114 Pages, 2012/03
本報告書は、原子力規制関係法令を受けた「再処理施設保安規定」,「核燃料物質使用施設保安規定」,「放射線障害予防規程」,「放射線保安規則」及び「茨城県等との原子力施設周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書」,「水質汚濁防止法」並びに「茨城県条例」に基づき、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの期間に日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所から環境へ放出した放射性排水の放出管理結果をとりまとめたものである。再処理施設、プルトニウム燃料開発施設をはじめとする各施設からの放射性液体廃棄物は、濃度及び放出量ともに保安規定及び協定書等に定められた基準値を十分に下回った。
伊藤 公雄; 小野 高行; 石森 有; 川崎 悟
JAEA-Review 2012-005, 44 Pages, 2012/03
人形峠環境技術センターでは、良好な自然環境の確保等を目的として岡山県・鳥取県と締結した環境保全協定に従って、センターやウラン鉱山跡の捨石たい積場周辺の環境監視測定を実施している。回収ウラン転換実用化試験(平成6年平成11年)に伴ってセンター周辺でのプルトニウムについての環境測定も実施している。また、県境鳥取県側において方面掘削土を原料としてレンガを製造する計画に伴い、県境周辺の環境測定を平成18年度より実施している。これらの監視測定結果は、各々の県に定期的に報告するとともに、専門家で構成される岡山県環境放射線等測定技術委員会(岡山県)や鳥取県放射能調査専門家会議(鳥取県)において審議・評価を受けている。本資料は岡山県に報告し、岡山県環境放射線等測定技術委員会において評価を受けた平成22年度の環境監視測定結果についてまとめたものである。
伊藤 公雄; 小野 高行; 石森 有; 川崎 悟
JAEA-Review 2012-004, 20 Pages, 2012/03
人形峠環境技術センターでは、良好な自然環境の確保等を目的として岡山県・鳥取県と締結した環境保全協定に従って、センターやウラン鉱山跡の捨石たい積場周辺等の環境監視測定を実施している。これらの監視測定結果は、各々の県に定期的に報告するとともに、専門家で構成される岡山県環境放射線等測定技術委員会(岡山県)や鳥取県放射能調査専門家会議(鳥取県)において審議され、異常は見られないことが確認された。本資料は鳥取県に報告し、鳥取県放射能調査専門家会議において評価を受けた平成22年度の捨石たい積場周辺の環境監視結果についてまとめたものである。
板橋 慶造
JAEA-Review 2012-003, 52 Pages, 2012/03
日本原子力研究開発機構図書館活動の歴史と図書館統計をまとめた。日本原子力研究開発機構は、2005年10月に旧日本原子力研究所と旧核燃料サイクル開発機構が合併して現在に至る。本来ならば、旧2法人の図書館統計をまとめるべきであったが、旧核燃料サイクル開発機構の統計類が入手できていない。そこで、日本原子力研究開発機構図書館と謳っているが、2004年以前は旧日本原子力研究所図書館に関する記述に限定している。
原子力科学研究所 放射線管理部; 高崎量子応用研究所 管理部 保安管理課; 関西光科学研究所 管理部 保安管理課; 青森研究開発センター むつ事務所 保安管理課; 那珂核融合研究所 管理部 保安管理課
JAEA-Review 2012-001, 181 Pages, 2012/03
本報告書は、日本原子力研究開発機構の東海研究開発センター原子力科学研究所, 高崎量子応用研究所, 関西光科学研究所, 青森研究開発センターむつ事務所及び那珂核融合研究所における放射線管理に関連する2010年度の活動をまとめたものである。
原子力人材育成センター
JAEA-Review 2011-055, 73 Pages, 2012/03
本報告書は、日本原子力研究開発機構原子力人材育成センターの平成22年度における業務概況をまとめたものである。平成22年度は、研修の実施状況においては、年間で予定されている研修のみならず、新規の研修や随時研修など外部ニーズへの柔軟な対応,新たな大学等との連携協力,国際機関との新規の協力態勢の構築など積極的な取組を実施した。
材料試験炉部
JAEA-Review 2011-054, 30 Pages, 2012/03
2007年度から2010年度までの予定でJMTR(Japan Materials Testing Reactor)の一部更新を進め、予定通り更新工事を終了した。原子炉の運転管理では、施設定期検査の受検、施設定期自主検査等の安全を確保するための保守管理、原子炉施設の一部更新を行った。燃料の管理においては、2011年度からのJMTRの再稼働に向けて燃料の製作を行っており、受け入れは、2011年4月の予定である。照射設備の運転管理では、照射施設の施設定期自主検査及び定期点検、照射設備の整備及び一部更新を行った。ホットラボでは、ホットラボ施設の施設定期自主検査、JMTRで照射された材料試料の照射後試験等を行った。放射線管理に関しては、本体施設,照射施設及びホットラボ施設において、保安規定に定める線量限度を十分に下回り、安全に作業を行うことができた。また、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による設備,機器等への被害の状況について調査,確認等を行った。本報告は、2010年度に行ったこれらの活動についてまとめたものである。
研究炉加速器管理部
JAEA-Review 2011-053, 234 Pages, 2012/03
研究炉加速器管理部は、JRR-3, JRR-4, NSRRの研究炉並びにタンデム加速器を運転管理し、それらを利用に供するとともに利用に必要な技術開発を行っている。本報告書は2010年4月1日から2011年3月31日までの研究炉加速器管理部において実施した業務活動をまとめたものである。業務内容については以下の5項目に分類した。(1)研究炉及び加速器の運転管理、(2)研究炉及び加速器の利用、(3)研究炉及び加速器利用技術の開発、(4)研究炉及び加速器の安全管理、(5)国際協力。さらに論文、口頭発表一覧、官公庁許認可、表彰及び業務の実施結果一覧を掲載した。また、東日本大震災による研究炉加速器管理部が所轄する施設の簡単な被害状況も記した。
研究炉利用課
JAEA-Review 2011-050, 404 Pages, 2012/03
平成19年度における研究炉(JRR-3, JRR-4)での実験及び照射利用を行った利用者(原子力機構外も含む)からの成果の提出を受け、これを取りまとめたものである。
丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 引間 亮一; 松井 裕哉; 多田 浩幸*; 郷家 光男*; 熊坂 博夫*; 石井 卓*
JAEA-Research 2012-002, 86 Pages, 2012/03
日本原子力研究開発機構では、超深地層研究所計画(以下、MIU計画)の岩盤力学研究の一環として、結晶質岩を対象とし、坑道の掘削に伴って周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価を地上からの調査段階で実施する方法の構築を課題の一つとして設定している。この課題を達成するために、岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所において、割れ目の力学特性やその幾何学的分布が岩盤の変形に支配的な影響を及ぼす結晶質岩について、クラックテンソルモデル(等価連続体モデルの一つ)による研究を進めている。あわせて、クラックテンソルによる相対誤差に基づいたREV(Representative Elementary Volume: 代表要素体積,寸法効果を定量的に表現する指標であり、不連続体を等価な連続体とみなして解析・解釈する際の最小体積の意味)の検討を実施し、第3段階における試験計画の策定や、モデル化の際の要素の大きさの設定にREVの検討結果を適用することを試みている。2010年度は、クラックテンソルモデルに基づき、REVの検討を実施した。また、クラックテンソルのトレースと電中研式岩盤等級との関係を調査し、設計時に設定した岩盤等級に基づく物性分布評価の妥当性を検討した。
井上 賢紀; 池内 宏知; 竹内 正行; 小山 真一; 須藤 光雄
JAEA-Research 2011-057, 100 Pages, 2012/03
湿式法再処理システムにおける燃料溶解には硝酸水溶液が適用されるため、実用化段階の燃料被覆管の基準材料であるマルテンサイト系酸化物分散強化型フェライト鋼「9Cr-ODS鋼」の製造まま材の硝酸溶解特性を評価した。9Cr-ODS鋼はクロム濃度が比較的低く、不働態皮膜の安定化による溶解速度の抑制には、高硝酸濃度あるいは溶存金属イオンによる溶液からの酸化力に期待する必要があることがわかった。連続溶解槽のなかでは硝酸濃度と溶存金属イオン濃度が連続的に変化するが、剪断片に接触する溶液電位は連続的に上昇し、腐食電位が高電位域に維持されるために不働態化の促進効果が持続する傾向があることがわかった。
稲垣 学*; 田中 達也*; 橋本 秀爾*; 前川 恵輔; 柴田 雅博
JAEA-Research 2011-056, 37 Pages, 2012/03
我が国の地層処分事業は段階的に進められ、精密調査地区の選定段階においては、地下施設の基本レイアウトの設定、長期安全性に関する予備的評価等が行われる予定である。このためには、地上からの調査による限られた情報に基づいて、さまざまな不確実性や、地質構造や地質環境の不均質性を考慮した、評価対象とする地域の水理地質構造モデルの構築方法、さらに、処分施設に必要となる地下深部の空間的な広がりを考慮した、好ましい性能の岩盤領域(母岩)の把握方法等について、技術的な見通しを得るために、具体的なアプローチ、方法論を検討しておくことが重要である。本研究は、精密調査地区選定段階において地層処分施設の設定に好ましいということを判断するための指標について検討を行い、どのような手法と指標で評価することが有効となりえそうかという技術的課題について、幌延深地層研究計画における調査データを例題として用いた検討を実施し、手法の有効性の確認と課題の抽出を行った。
真田 昌慶; 岸 裕和; 林 克彦*; 武部 篤治*
JAEA-Research 2011-055, 79 Pages, 2012/03
地層処分施設における多連設坑道の設計手法については、第2次取りまとめの考え方に基づき、さらに詳細化・合理化を図ることを目的に検討を行ってきている。本報告では、実施工における施工性・経済性・安全性を考慮したケース設定を行ったうえで、坑道の掘削順序がEDZ発生領域に与える影響を三次元の多連設解析モデルを用いて検討した。この結果、隣接坑道間における切羽進行のズレの影響などが考慮されることにより、二次元解析とは異なる塑性領域の発生を表現できる可能性が示された。また、これまで未検証であった結晶質岩盤に対して、多連設坑道モデルの二次元解析を行った結果、塑性領域は発生せず、掘削順序が与える影響は非常に小さいことが確認された。
酒井 隆太郎; 宗像 雅広; 木村 英雄
JAEA-Research 2011-054, 19 Pages, 2012/03
放射性廃棄物の地層処分では、人間社会への核種移行を信頼性高く評価するため、地下深部の広域地下水流動を評価することが重要である。地下深部には地下水起源,地下水流動特性の異なる複数の地下水システムが存在する可能性があるため、地下水システムの流動特性や地下水システム間の流動境界を把握する必要がある。このため、本稿では地下水データが比較的豊富な幌延地域を対象に地下水の地化学データを用いた地下水流動特性,流動境界の評価方法について検討した。地下水の主成分分析を用いた混合解析を実施し、主成分分析によって抽出された起源水の地下水年代、地下水中に含まれる微量元素の特徴を調査した結果、天水の浸透下限は地下200m-400mであり、それ以深には天水の関与しない深部地下水が存在することが明らかとなった。さらに、大曲断層周辺の深度400-600m以深の高間隙水圧水は断層を通して地表に湧出している可能性があることが示された。
岩月 輝希; 水野 崇; 天野 由記; 國丸 貴紀; 仙波 毅
JAEA-Research 2011-049, 68 Pages, 2012/03
本報告書は、資源エネルギー庁からの受託事業「地質環境総合評価技術高度化開発; 次世代型サイト特性調査情報統合システムの開発」の成果に基づくものであり、地層処分にかかわる地質環境特性調査のうち、おもに地球化学特性の調査について、既存情報の分析・解析手法,ボーリング調査の計画立案方法,ボーリング調査手法,調査結果を用いた解析・地球化学モデルの構築手法について、留意点,ノウハウを整理したものである。報告書内に記載した内容は、標記受託事業で別途開発されたエキスパートシステムに反映されており、インターネットによりウェブ上から利用可能である。
南條 功; 天野 由記; 岩月 輝希; 國丸 貴紀; 村上 裕晃; 細谷 真一*; 森川 佳太
JAEA-Research 2011-048, 162 Pages, 2012/03
北海道幌延地域のような低透水性の堆積岩においては、施設建設に伴う地下水の湧水とその水圧・水質変化の相関及びそれらの経時的な変化の観測例が少なく、その観測技術の開発が課題となっている。本研究では、地下施設の建設が周辺地質環境に与える影響を調査するための技術開発を目的として、施設建設過程及び建設後の地下水の間隙水圧と水質(pH,電気伝導度,溶存酸素,酸化還元電位,水温)の同時連続観測が可能なモニタリング装置を新たに製作・設置し、その適用試験を行った。その結果、低透水性並びに溶存ガスを含有する堆積岩環境において、間隙水圧のモニタリング及び原位置の圧力を維持した状態で物理化学パラメータを測定する技術を確立することができた。また、施設建設過程における間隙水圧/水質の変化について評価を行い、間隙水圧の低下が確認された区間においてもpH及び酸化還元状態はほとんど変化していないことが示された。
小栗 朋美*; 増川 史洋; 中根 佳弘; 中島 宏
JAEA-Data/Code 2011-026, 25 Pages, 2012/03
SSCATは、MoyerモデルとTeschの式によるバルク遮へい簡易計算式及びStapletonの式による中性子スカイシャイン簡易計算式に基づく、高エネルギー陽子加速器施設用簡易遮へい計算システムである。このシステムは、当初、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の概略遮へい設計に適用する目的で開発された。近年、J-PARCの使用許可申請にかかる安全評価及び他の陽子加速器施設への適用を目的として改良が行われた。本報告書では、このSSACTの改良について報告する。
片倉 純一
JAEA-Data/Code 2011-025, 73 Pages, 2012/03
核分裂生成物(FP)の崩壊データ及び核分裂収率データをまとめたファイルをJENDL FP decay data file 2011(JENDL/FPD-2011)及びJENDL FP fission yields data file 2011(JENDL/FPY-2011)として整備した。崩壊データは2000年にJENDL FP decay data file 2000 (JENDL/FPD-2000)を公開したが、その後、新しい測定データが蓄積されてきたことやTAGS(全吸収線分光法)によるデータが新たに取得されてきたことを受け、データの改訂を行った。また、核分裂生成物崩壊データとの整合性を保つために、核種数を合わせ核分裂収率のデータも改訂した。改訂した崩壊データ及び収率データの有効性を確認するため、各種の崩壊熱計算を実施し、測定データと比較し、よく再現していることを確認した。また、崩壊熱計算における計算誤差を感度解析手法により求めた。
陶山 忠宏; 舘 幸男
JAEA-Data/Code 2011-022, 34 Pages, 2012/03
本報告では、TRU廃棄物等を含む多様な低レベル放射性廃棄物の処分、さらには今般の福島第一原子力発電所の事故にも関連した表層環境中の核種移行評価への活用も念頭に、セメント材料系,土壌系の分配係数データを中心にデータの拡充を行った。セメント系と土壌系については既往のデータベースも活用しつつ、JAEA-SDBのデータベース構造に整合させつつ導入を図った。また、ベントナイト系,粘土鉱物系や岩石系など、従来より進めているパラメータ設定やモデル開発と関連する最新データの拡充も併せて行った。今回の更新において、334の文献から約16,000件のKdデータを追加し、JAEA-SDBに含まれる文献数は684, Kdデータ数は約46,000件となった。今回更新されたJAEA-SDBによって、より多様な放射性廃棄物等の処分検討において、有効なデータの抽出や核種移行パラメータの設定が可能となると考えられる。
石原 正博; 鈴木 雅秀
JAEA-Conf 2011-003, 297 Pages, 2012/03
本論文集は、日本原子力研究開発機構主催の「第4回汎用照射試験炉に関する国際会議」に提出された論文をまとめたものである。本国際会議は、各照射試験炉の相互理解を深めるための情報交換を目的として、2008年に第1回が原子力機構大洗研究開発センター、2009年に第2回目が米国INL、2010年に第3回がチェコNRIで開催された。今年で第4回目となる本会議は、当初、アルゼンチンINVAPで行われる予定であったが、火山噴火の影響で急遽、日本で開催されることになった。会議にはアルゼンチン,ベルギー,ブラジル,フランス,ドイツ,インドネシア,マレーシア,フィリピン,韓国,南アフリカ,スイス,ウクライナ,米国及び日本から合計111名が出席した。本国際会議では、「照射試験炉の現状と今後の計画」,「照射技術」,「産業利用の拡大(RI)」,「施設,改良,高経年化の管理」,「次世代の材料照射試験炉」,「照射後試験技術」,「改良ドライバー燃料の開発」、及び「次世代の原子力人材教育」のセッションにおいて39件の講演が行われた。
大内 諭; 諏訪 昌幸; 井坂 浩二; 池亀 吉則; 寺門 義文
JAEA-Testing 2011-006, 43 Pages, 2012/02
JRR-3は、平成2年3月に初臨界に達して以来、各種照射設備及び中性子ビーム実験装置を装備した高性能研究用原子炉として、機構内外の利用に供している。JRR-3の運転に関する機器の操作,制御,監視及びプロセスデータ(温度,流量,電圧,圧力等)の計測,収集は、複数の計算機及びアプリケーションソフトを用いている。複数の計算機及びアプリケーションソフトによりデータの集計,演算処理を行っていることから、複雑で多くの維持管理が必要であった。また、複数の計算機を介することからデータ授受時にデータの取り違えなどもあり、データ管理に影響を及ぼしていた。そのため、データ通信を簡便に行える通信方式に変更し、すべての計算機間のデータが同期する計算機システムを開発し、問題を解消するデータ処理計算機システムを開発した。本報告は、平成19年度に実施したデータ処理計算機システムの開発についてまとめたものである。
河内山 真美; 原賀 智子; 亀尾 裕; 高橋 邦明
JAEA-Technology 2011-038, 26 Pages, 2012/02
廃棄体の合理的な放射能評価方法の確立に必要である廃棄物の放射能データ収集のために、多くの放射性廃棄物試料を効率よく分析できる簡易・迅速な放射能分析・測定技術の開発を進めている。その一環として、ガンマ線放出核種の非破壊測定の検討を行っており、Ge検出器とBGO検出器を組合せた検出器ユニットを4台同時に用いた「多重ガンマ線測定装置」を新たに構築した。この装置では、Ge検出器とBGO検出器の組合せによるコンプトン散乱低減に加え、カスケード崩壊で連続的に放出されるガンマ線を複数のGe検出器で同時に検出することにより、そのエネルギーの組合せから核種を特定する。多重ガンマ線測定装置を多量のCo-60を含む実廃棄物試料に適用したところ、従来のGe検出器に比べ、試料中に含まれる対象核種の検出限界が1/4から1/12に低減した。また、同試料中のNb-94の放射能定量を行い、放射化学分離を用いた定量値と比較したところ、15%以内で値が一致しており、本装置が定量測定に有効であることを確認した。
野島 健大; 安田 良; 竹中 信幸*; 林田 洋寿; 飯倉 寛; 酒井 卓郎; 松林 政仁
JAEA-Technology 2011-037, 33 Pages, 2012/02
JRR-3に設置されている熱中性子ラジオグラフィ装置(TNRF)で発電中における燃料電池可視化実験を行うため、TNRF専用の燃料電池発電システムを整備した。水素検知器やインターロック等の機器の装備により水素ガスリーク等の事故を抑制し、TNRFが設置されている原子炉施設内で安全に実験可能な仕様とした。JARI(日本自動車研究所)標準セルを用いた特性試験の結果、発電システムが仕様通りに動作することを確認し、その後中性子ラジオグラフィ実験に供して発電中における電池内部の水の可視化に成功した。
物質・生命科学ディビジョン 中性子源セクション
JAEA-Technology 2011-035, 536 Pages, 2012/02
大強度陽子加速器施設J-PARCの実験施設の一つである物質・生命科学実験施設MLFでは、強力なプローブである中性子ビームを用いて物質科学,生命科学での基礎研究の推進、さらには産業分野での技術開発が期待される。大強度の陽子ビームを水銀標的に照射し、核破砕反応により大量の中性子を発生させる。その中性子は超臨界水素により減速され、最適のエネルギーのビームとして各実験装置へ供給される。実験施設の中枢というべき核破砕中性子源の基本的な技術設計を集大成した。
柴田 晃; 伊藤 正泰; 竹本 紀之; 中司 雅文*; 小原 浩史*; 児玉 光弘*; 谷本 政隆; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2011-034, 67 Pages, 2012/02
試験研究用原子炉では、中性子束を高めるために中性子反射体として金属ベリリウム等で製作される反射体要素が用いられている。この反射体要素を中性子照射下で用いた場合、ベリリウムと中性子との核反応により生成するヘリウムを原因とする体積膨張等による反射体要素の曲がりが発生し、数年間でベリリウム製反射体要素を交換する必要がある。本報告書は、中性子照射下における金属ベリリウムの特性の影響を解明するための照射後試験技術の確立のために、金属ベリリウムを用いて非破壊検査方法である電磁超音波共鳴法(E-MAT)による欠陥評価手法に関する調査及び予備試験結果をまとめたものである。
栃尾 大輔; 齋藤 賢司; 島崎 洋祐; 中川 繁昭
JAEA-Technology 2011-033, 43 Pages, 2012/02
現在、高温ガス炉水素製造システムの熱利用系の熱負荷変動時における原子炉システムの安定性を実証するため、HTTRを用いた熱負荷変動試験を計画している。前報では、ACLファン停止試験について検討を行い、ある条件範囲内で試験実施が可能であり、コードの検証・実証に必要となるデータを提供できることを確認した。本報では、ACLに送られる加圧水流量を変化させることにより熱負荷変動を与えるACL加圧水流量変動試験について、試験実施可能な条件を調べるために予備検討を行った。その結果、HTTRを用いたACL加圧水流量変動試験は、ある条件範囲内で試験を実施することが可能であることを確認し、高温ガス炉を用いた革新的水素製造システムで熱負荷が変動した場合の原子炉システムの応答挙動解析コードの検証・実証に必要となるデータを提供できることを確認した。
石川 弘之; 舘 明宏; 村上 直*
JAEA-Technology 2011-030, 62 Pages, 2012/02
J-PARCでは、情報システムのセキュリティを維持するため、J-PARC情報セキュリティ脆弱性リスク管理システムを開発した。不正アクセスは、おおむねターゲットとなる機器の脆弱性を突いて行われるため、情報セキュリティ脆弱性検査を実施することは、極めて有効な手段のひとつである。しかし、単に脆弱性検査を実施するだけでは不十分である。本来はセキュリティ脆弱性検査を元に脆弱性対策が実施され、かつこれらが継続的に実施されることが重要である。この点に着目し、実際の脆弱性対策を実施する人自らが脆弱性に対するリスク管理を行い、脆弱性対策のPDCAサイクルを回す仕組みを整えた。
情報システム管理室
JAEA-Review 2011-052, 231 Pages, 2012/02
日本原子力研究開発機構では、原子力の総合的研究開発機関として原子力にかかわるさまざまな分野の研究開発を行っており、これらの研究開発の多くにおいて計算科学技術が活用されている。システム計算科学センターでは、計算科学技術活用成果の拡大とともに増大する計算需要に適切に対応すべく、平成22年3月に国内最大規模の性能を有するシステムを導入し、運用を開始した。新システムは、旧システムの約14倍の性能を有しながらも、運用開始後3日目で90%の利用率を達成するなど、導入当初から極めて高い利用状況にあり、旺盛な計算需要を裏付けている。平成22年度は新システムが稼働した初年度であり、規模拡大に伴う多くの成果が創出されている。本報告は、平成22年度における大型計算機システムを利用した研究開発の成果を中心に、それを支える利用支援体制,利用実績,システムの概要等をまとめたものである。
安全統括部 環境配慮促進課
JAEA-Review 2011-051, 208 Pages, 2012/02
日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という。)は、2010年度の環境配慮活動について、「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」に基づき「環境報告書2011」を作成し、2011年9月に公表した。本報告書は、環境報告書の信頼性を高めるためにその情報の検証可能性を確保し、また、原子力機構における環境配慮活動の取組を推進する手段として、環境報告書に記載した環境関連情報の根拠となる2010年度の環境報告関連データを取りまとめたものである。
ホット試験施設管理部
JAEA-Review 2011-048, 35 Pages, 2012/02
本報告書は、平成23年3月11日に三陸沖を震源として発生した東北地方太平洋沖地震(東海村:震度6弱)により被災した、ホット試験施設管理部所管の11施設の被害状況とその緊急対応措置をまとめたものである。本報告書では地震発生当日の各施設の状況とその応急措置等について記載し、それ以降の復旧状況等については第二部に引き継ぐものとする。各施設の被災状況は、ホットラボや燃料試験施設など大きな被害を受けた施設がある一方で、核燃料倉庫やウラン濃縮研究棟では影響がほとんど見られないなど、施設によって被災状況に大きな差が見受けられたが、すべての施設において人員掌握,安全確保などの初動対応が迅速かつ適切に行われた結果、人的被害及び放射性物質の施設外への漏えいを防ぐことができた。また、平成23年1月1日施行された備品棚・薬品等の地震対応要領に基づき、震度6強に対応した備品棚・ロッカー等の耐震措置状況を安全衛生パトロールなどで周知徹底する等の地震に対する事前の取り組みが功を奏し、落下物又は転倒物による傷害,避難路閉塞が発生しなかったことを特筆する。
小林 孝典; 佐近 三四治; 高田 修; 羽鳥 雅一; 坂本 勉; 佐藤 俊行; 風間 明仁*; 石沢 義宏*; 井川 克久*; 中江 秀雄*
JAEA-Review 2011-047, 48 Pages, 2012/02
高速増殖原型炉もんじゅ(以下「もんじゅ」という)では、設備点検中の平成22年12月28日に非常用ディーゼル発電機(以下「ディーゼル発電機」という)C号機の点検後の負荷試験中に、No.8シリンダライナー部にひび割れを確認したため、当該ディーゼル発電機を停止した。その後、現地並びに工場での調査を実施するとともに、点検を行った作業員からの聞き取り調査などを実施した。その結果、原因は、「作業要領書の記載不足」、「作業体制の不備」、「油圧ジャッキの取扱いの周知不足」による作業不備があり、シリンダライナーを取り外す際に油圧計を取付けず、油圧管理を適切に行わなかったことから、シリンダライナーに過大な応力をかけたことにより、ひび割れが発生し、破損に至ったものと推定した。今回の調査の過程で、一部のシリンダライナーの材料強度の低下が確認されたが、これはシリンダライナーの製造時の鋳造過程で材料に鉛成分が混入したことにより、ウィドマンステッテンと呼ばれる黒鉛形状の異常が発生し、材料強度が低下したものであることが判明した。また、このウィドマンステッテン黒鉛発生による強度低下を容易に判別する手法として、超音波速度測定が有効であることを検証した。
川田 耕嗣; 松木 卓夫*; 宮原 信哉
JAEA-Review 2011-046, 42 Pages, 2012/02
初期温度が約250度のナトリウムを用いたスプレイ燃焼試験を空気雰囲気と低酸素雰囲気で行い、ナトリウムの燃焼速度とエアロゾル放出割合を評価した。
西尾 和久; 島田 顕臣
JAEA-Review 2011-045, 101 Pages, 2012/02
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターにおいては、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(以下、地層科学研究)を実施している。地層科学研究を適正かつ効率的に進めていくため、研究開発の状況や成果、さらに今後の研究開発の方向性について、大学,研究機関,企業の研究者・技術者等に広く紹介し、情報・意見交換を行うことを目的とした「情報・意見交換会」を毎年開催している。本報告書は、平成23年11月1日に岐阜県瑞浪市で開催した「平成23年度東濃地科学センター地層科学研究情報・意見交換会」で用いた発表資料を取りまとめたものである。
ホット試験施設管理部
JAEA-Review 2011-044, 100 Pages, 2012/02
本報告書は、平成22年度におけるホット試験施設管理部が所管する11施設の運転管理についてまとめたものである。燃料試験施設では、燃料等安全高度化対策事業、燃料安全研究のための照射後試験及び核破砕ターゲット容器材料開発のための照射後試験等を計画に沿って実施するとともに、燃料等安全高度化対策事業に関連した新規装置の導入及び現有装置の更新のため、核燃料物質の使用の変更許可申請を行い、許可を取得し、さらに施設検査を受検し合格した。廃棄物安全試験施設では、原子力プラント材の照射誘起応力腐食割れに関する試験、ステンレス鋼高濃度ウラン溶液中でのステンレス鋼耐食性に関する試験及びマイナーアクチノイド含有燃料の各種物性試験等を実施するとともに、使用済燃料被覆管を用いたオートクレーブ試験に対応するため、核燃料物質の使用の変更許可申請を行い、許可を取得した。第4研究棟では、平成22年度よりホット試験施設管理部に移管された分析関連の業務として、分析機器の共同利用や分析技術相談を実施した。ホットラボでは、平成22年度の廃止措置実施計画に基づき、ウランマグノックス用鉛セルの解体撤去にかかわるセル内の除染及び付帯設備の解体撤去を実施した。その他、プルトニウム研究1棟,第2研究棟,JRR-3実験利用棟(第2棟),ウラン濃縮研究棟,高度環境分析研究棟,環境シミュレーション試験棟及び核燃料倉庫の施設管理を実施した。
河村 弘; Chakrov, P.*; 土谷 邦彦; Gizatulin, S.*; 竹本 紀之; Chakrova, Y.*; 木村 明博; Ludmila, C.*; 谷本 政隆; Asset, S.*; et al.
JAEA-Review 2011-042, 46 Pages, 2012/02
カザフスタン共和国の国立原子力センター(NNC)と日本原子力研究開発機構(JAEA)との原子力科学分野における研究開発協力のための実施取決め(試験研究炉に関する原子力技術)に基づき、4項目の特定協力課題を2009年6月から実施している。4つの特定協力課題は、(1)中性子照射場における計測機器の国際標準化、(2)RI製造に関する照射技術、(3)試験研究炉で使用するベリリウム製反射体の長寿命化、及び(4)シリコン半導体製造に関する技術であり、情報交換、人員派遣及び共同実験を行っている。本報告書は、これら4つの協力課題についてWWR-K炉を用いた照射技術開発の現状と今後の計画についてまとめたものである。
清水 亮; 鈴木 美寿; 桜井 聡; 玉井 広史; 山村 司; 直井 洋介; 久野 祐輔
JAEA-Review 2011-038, 116 Pages, 2012/02
原子力の平和利用と核不拡散,核セキュリティの両立に向けた取り組みと、原子力新興国への協力のあり方について、関係する各国の専門家との意見交換を通じて広く理解推進を図るとともに、現状と課題を共有し、今後の議論に繋げていくことを目的として、「原子力平和利用と核不拡散にかかわる国際フォーラム」を原子力機構,日本国際問題研究所,東京大学G-COEの三者共催により、2011年2月2日,3日の2日間に渡り、学士会館(東京)において開催し、延べ310名の参加を得て盛況のうちに終了した。本報告書は、同フォーラムの基調講演要旨,パネル討論の概要、及びパネル討論で使用された発表資料を収録したものである。
佐藤 久; 澤田 淳
JAEA-Research 2011-052, 55 Pages, 2012/02
亀裂開口部の三次元形状が透水や物質移行特性に与える影響を検討するため、花崗岩の潜在的な弱面である石目ごとに作製した人工割裂亀裂を型として作製した3つの透明レプリカ試験を対象に透水試験,亀裂形状測定,光学的手法による開口幅測定,光学的手法によるトレーサー試験を実施した。光学的手法により取得した開口幅データを用いたLCLに基づく2次元浸透流解析による透水量は透水試験結果の1.5から2倍程度となり、これまでに報告されている結果と整合的であった。取得した亀裂開口幅データ及び亀裂形状データを用いて、亀裂の表面形状が2次元浸透流解析結果に与える影響を各測定点における透水量係数に亀裂形状の影響を考慮した補正を行うことにより検討した。その結果、局所的な亀裂の傾きを考慮した透水量係数を適用することにより亀裂全体の透水量は減少し、透水試験結果に近づく結果となったことから、亀裂の局所的な傾きを考慮した透水量係数を適用することが亀裂の透水性を評価するうえで有効であることが確認できた。
山岸 秀志*; 藤 健太郎; 中村 龍也; 坂佐井 馨; 曽山 和彦
JAEA-Research 2011-051, 19 Pages, 2012/02
高速,高位置分解能二次元ガス中性子検出器システム(InSPaD)を実現するため、これに使用するASD-ASIC(Amplifier-Shaper-Discriminator ASIC)を設計した。InSPaDは中性子とHe原子との核反応で発生したプロトンとトリトン粒子を識別することにより、高位置検出分解能を実現する個別信号読み出し方式の検出器システムである。これに使用するASD-ASICには極めて低い雑音性能,広いダイナミックレンジ,良好な出力直線性と高い計数率特性が必要とされる。CMOSを用いて設計した集積回路は、64チャンネルのASDとこれに続く16チャンネルのMultiplexer及びLVTTL driverから構成され、さらにこのASICにはS/Nを大幅に改善するためのSum amp.システムを設けた。設計したASD-ASICについてシミュレーションにより特性評価を行い、InSPaDに必要な低雑音性能と信号処理機能を有していることを確認した。
四辻 健治; 舘 幸男; 西巻 祐一郎*
JAEA-Research 2011-047, 105 Pages, 2012/02
処分環境における圧縮ベントナイト中の核種の拡散係数や収着分配係数等の整合的な推定評価を目指し、原子力機構では統合収着・拡散モデル(ISDモデル)の開発を進めてきた。従来のISDモデルでは、多価イオンや錯体状化学種などの複雑な化学種に対してモデルの適用性が不満足であり、また付加的なフィッティング・パラメータの導入などモデル構造上の問題があった。そこで本報告では、より広範な処分条件へのモデルの適用、また圧縮系における拡散現象のさらなる理解を目的として、ISDモデルの基本仮定に立ち返ることによりモデル高度化要因を検討し、影響評価を試みた。まずPoisson-Boltzmann方程式の境界条件の厳密な設定、及び電粘性効果を考慮することによりISDモデルの拡散パートを改良した。さらに高度化要因として、排除体積効果,誘電飽和効果及びイオン間静電相互作用の影響を考慮し、ISDモデルに取り入れて影響解析を実施した。その結果、実効拡散係数への影響はいずれも小さく、したがって実測データとの不整合性はこれらの高度化要因に起因するものではないことが示された。
石戸谷 公英; 菅谷 敏克; 船橋 英之
JAEA-Research 2011-046, 32 Pages, 2012/02
本検討は、「余裕深度処分の管理期間終了以後における安全評価に関する考え方」(原子力安全委員会、平成22年4月)に示された人為事象シナリオのうち埋設施設貫通トンネル掘削シナリオ及び大開発土地利用シナリオの被ばく評価に必要となるパラメータについて、その事象の実態に即して検討することを目的として行ったものである。前者のシナリオについては、国内のトンネル工事における掘進速度の実績調査を行い、その結果に基づいてトンネル建設作業者の作業時間を検討した。後者のシナリオについては、盛土施工にかかわる技術基準類の調査を行い、その結果に基づいて盛土による宅地造成における客土厚を検討した。
岩前 敦*; 小川 宏明; 杉江 達夫; 草間 義紀
JAEA-Research 2011-045, 11 Pages, 2012/02
ITERのプラズマ対向面での光の反射特性を調べるために、対向面に使われる材料の一つであるタングステンについて、実際に使用が予定されているタングステンブロックのサンプルを使って、双方向反射率分布関数(BRDF)を測定した。H及びHの光の放射を模擬するために、光源として、波長が652nm及び473nmの2つのレーザーダイオードを用いた。ブロック表面には、機械加工の際に生じた微細な溝が一方向に認められる。そのため、反射光は機械加工した表面の状態によって影響を受け、入射光線を表面の溝の方向に対して垂直に入射した場合には、反射光は直線的に分布し、一方、入射光線を表面の溝の方向に対して平行に入射した場合には、反射光は弧形に分布した。これらの測定結果を、光線追跡により模擬したところ、測定結果を定性的に説明することができた。
FBR安全ユニット
JAEA-Research 2011-044, 185 Pages, 2012/02
日本原子力研究開発機構では、FaCTにおいて「高流速配管流力振動評価手法の開発」を実施し、単一エルボを持つ配管の流動状況、流体の乱れに起因する加振力及び流力振動応答を計測し、その成果により流力振動評価手法の整備、検証を進めてきた。加えて、これらの結果を反映して、単一エルボを持つ薄肉配管である1次系ホットレグ配管の流力振動評価指針を整備していくため、日本原子力研究開発機構主催の熱流動研究専門委員会の下に外部の有識者を含む大口径配管流力振動指針化ワーキンググループを設置し、指針作成に着手した。本指針(案)は、第1次案としてワーキンググループの検討成果をまとめたものである。
杉田 裕; 真田 祐幸; 相澤 隆生*; 伊東 俊一郎*
JAEA-Research 2011-043, 25 Pages, 2012/02
地下深部で坑道を掘削する際の坑道周囲における変化を捉えるため、坑道の掘削の進捗に合わせて繰り返し弾性波トモグラフィ調査を行うための新たな簡易弾性波トモグラフィ調査システムを開発した。これは、ボーリング孔の壁面打撃用のハンマーを組み込んだ起振源、ボーリング孔内埋設型の受振器から構成され、弾性波を発生させる起振のエネルギーにはメタン等の可燃性ガスの存在を考慮して圧縮空気を利用している。開発したシステムを水平坑道の掘削影響試験領域に適用し、坑道掘削時における調査領域における弾性波速度の変化を捉えることが可能となり、結果をトモグラフィ画像として処理を行った。この結果、掘削影響領域のモニタリング技術としての適用性を確認した。
山本 陽一; 前川 恵輔; 横田 秀晴; 山崎 雅則
JAEA-Research 2011-042, 97 Pages, 2012/02
日本原子力研究開発機構では、北海道幌延町で進めている幌延深地層研究計画の一環として表層水理調査を実施している。表層水理調査では、地下水流動解析の境界条件や初期条件の設定に必要な地下水涵養量や表層部の地下水流動系の把握を行うことを目的に、気象,河川流量及び水質,土壌水分,地下水位等の観測を継続している。本報告は、表層水理調査の概要を紹介し、2004年12月2009年11月の調査流域の地下水涵養量を水収支法により検討した結果を示すものである。地下水涵養量の推定にあたり流出解析を行い、水文要素の空間代表性の問題を明らかにした。その結果、流域全体の地下水涵養量は131mm/yrと推定され、それぞれの流域に対する考察からは、流域内に分布する地質や断層の水理特性との関連を示唆する結果が得られた。
寺田 敦彦; 野口 弘喜; 竹上 弘彰; 上地 優; 稲垣 嘉之
JAEA-Research 2011-041, 62 Pages, 2012/02
水素利用研究開発ユニットでは、高温ガス炉と熱化学法ISプロセスを組合せて製造した大量水素を、貯蔵し、需要地まで輸送する水素サプライチェーンを提案している。水素を効率的に貯蔵/輸送するためには、水素貯蔵技術として注目されている有機ハイドライド法に着目した。そこで、今後の水素貯蔵・供給システム設計のために有機ハイドライドの特性を整理し、既存システム等の技術調査を行い、これらをもとに商用高温ガス炉を用いてISプロセスにより85,400Nm/h規模の水素を製造するときの水素貯蔵・供給システムの概念検討を行った。水素貯蔵・供給システムは、水素添加反応過程と脱水素反応過程で構成し、その主要機器の概念仕様を定めた。また、検討を通して、エネルギー効率やシステムの最適化など水素貯蔵・供給システムの課題を摘出した。
大久保 誠介*; 福井 勝則*; 羽柴 公博*; 引間 亮一; 丹野 剛男; 真田 祐幸; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀
JAEA-Research 2011-040, 54 Pages, 2012/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分時においては、建設時及び操業時は言うまでもなく、坑道埋め戻し後も千年程度の長期に渡る坑道の安定性の評価が要求される。そこで、岩石や岩盤の時間依存性挙動を、精密な試験や観察・計測から直接的に検討する手法(現象論的方法)で解明し、岩盤構造物の長期挙動予測評価手法を開発する研究を行ってきた。本報告書は、2010年度に実施した研究をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。第2章では、1997年度から継続している田下凝灰岩のクリープ試験結果について報告した。第3章では、岩石の時間依存性の程度を表すnの値の意味をより明確に示すため、強度の載荷速度依存性とクリープ寿命の応力依存性との関係及び時間依存性,強度とクリープ寿命の分布特性,寸法効果の相互関係について論じた。さらに、既往の研究事例をレビューして、土岐花崗岩の力学特性や時間依存性について、今後実施すべき試験について検討した。第4章では岩盤の破壊基準の設定に関する検討として、十分長い時間をかけて岩石を壊したときの強度(長期強度)及び、いつまで経っても破壊に至らない応力条件について検討した。第5章では、周圧下でのnの値の変化及び岩盤強度のばらつきを考慮した二次元有限要素解析により、土岐花崗岩の長期挙動に関する予察的検討を行った。最後に、数値解析結果にもとづいて原位置試験計画に関する所見を述べた。
古川 智弘; 加藤 章一; 前田 茂貴; 山本 雅也; 関根 隆; 伊藤 主税
JAEA-Research 2011-039, 20 Pages, 2012/02
高速実験炉「常陽」では、炉心平均燃焼度のさらなる向上を目指して、ドライバー燃料領域の周囲に、ジルコニウム(Zr)合金製反射体を適用することが計画されている。本研究では、「常陽」の冷却材であるナトリウム(Na)中におけるZr合金の耐食性の評価を目的として、高温Na中における腐食特性及び機械的強度に及ぼすNa環境の影響を調べた。Na中浸漬試験は、2種類のZr合金を対象に、500C及び650Cの停留及び流動Na中にて実施し、腐食評価の指標となる重量変化量の測定及び金属組織観察を行った。また、同浸漬材料について、大気中でNa浸漬温度と同一温度条件下で引張試験を実施し、浸漬後の強度特性を調べた。
小島 圭二*; 大西 有三*; 渡辺 邦夫*; 西垣 誠*; 登坂 博行*; 嶋田 純*; 青木 謙治*; 杤山 修*; 吉田 英一*; 尾方 伸久; et al.
JAEA-Research 2011-033, 126 Pages, 2012/02
従来の地層処分システムの安全評価は、「地質環境調査・評価技術」,「処分場の工学技術」,「性能評価技術」の3つの分野の要素技術ごとの安全機能の評価に重点が置かれてきたが、各安全機能を独立的に評価するのではなく、分野間・要素技術間の中間領域にまたがる技術や評価手法の組合せとしての体系化の視点をもった研究開発の展開が今後ますます重要となる。本研究では、分野間・要素技術間の中間領域を考慮した地質環境調査・評価技術の高度化・体系化のために、(1)実際の地質環境下における連成現象を考慮したニアフィールド(NF)コンセプトの再構築、(2)各分野・要素技術間の連携を考慮した体系的な地質環境調査技術の開発に関する研究を実施した。(1)に関しては、結晶質岩系の現実的な環境でのNFコンセプトの検討を実施するとともに、委員会での総合討論を実施し、委員各位のNF研究の中間領域に関する意見をNFコンセプトの再構築に反映させた。(2)に関しては、NF,各研究分野間の中間領域を考慮した研究開発を行った。
立邊 和明; 鈴木 百合奈; 白土 清一; 佐藤 義則
JAEA-Data/Code 2011-024, 84 Pages, 2012/02
昨今の環境に配慮した企業活動の要求は官民を問わず高まっており、法律においても「環境配慮促進法」によって一定規模以上の企業に対して環境配慮活動の結果を公表することが義務付けられている。また「省エネルギー法」ではエネルギー使用量の結果を定期報告として報告し、中長期の計画を、「温対法」では温室効果ガスの放出量の報告を行わなければならない。それ以外にも水質汚濁防止法や廃棄物関連法などさまざまな法律,条令等によって、環境に配慮した活動が企業に求められている。これらのさまざまな環境配慮活動の結果をとりまとめ、原子力機構全体の状況を把握し、情報発信していくことが国民や地域社会との信頼関係を築く観点からも極めて重要である。こうした背景から、原子力機構の環境配慮活動について、全拠点等の情報を集計し、法律に基づいた報告書の作成や「環境報告書」を作成し公表するためのデータベースとして、また、原子力機構における環境配慮活動の取組を推進する手段として、「環境データ管理システム」を構築した。本報告書は、「環境データ管理システム」の構造や収集データ,集計形態などを取りまとめたものである。
天野 由記; 山本 陽一; 南條 功; 村上 裕晃; 横田 秀晴; 山崎 雅則; 國丸 貴紀; 大山 隆弘*; 岩月 輝希
JAEA-Data/Code 2011-023, 312 Pages, 2012/02
日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターでは、幌延深地層研究計画に基づきボーリング孔の掘削を伴う地上からの調査研究(第1段階)の一環として、平成13年度から表層水,地下水などの水質分析を行ってきた。分析の対象は、ボーリング孔から採取した地下水,掘削水,掘削リターン水,岩石コアからの抽出水,河川水及び雨水などである。また、平成18年度から幌延深地層研究計画における地下施設建設時の調査研究(第2段階)が進められており、立坑内の集水リング,立坑壁面湧水やボーリング孔などから地下水を採取し、水質分析を実施している。本報告書は、平成13年度から平成22年度までの水質分析データを取りまとめたものである。
須藤 俊幸; 福島 学*
JAEA-Data/Code 2011-021, 91 Pages, 2012/02
将来の再処理施設を考える場合には、軽水炉ウラン燃料のみならず、軽水炉MOX燃料、さらには高速炉燃料も取り扱う可能性も考えられ、さまざまなプルトニウム富化度,プルトニウム同位体組成を持つ使用済燃料の再処理に対し、合理的な臨界安全管理・設計を検討していく必要がある。既存の臨界安全ハンドブック等では、プルトニウムの多様な組成に対する十分なデータが記載されておらず、また、中性子吸収材を使用した場合のデータや、円環槽に関するデータはほとんどなく、過度に保守的となるデータを使用するか、個別に臨界計算する必要があった。本検討では、将来の再処理施設の機器の臨界安全設計検討に活用すべく、複数のプルトニウム富化度、プルトニウム同位体組成に対し、無限円筒、無限平板、有限円環槽を対象に、硝酸ウラン、プルトニウム混合溶液に対するkeff(+3)0.95を満たす制限寸法を計算し、グラフ,表にまとめた。また、得られた結果より、臨界安全管理方法の選定において配慮すべき事項についてまとめた。
奥村 啓介; 岡本 力
JAEA-Data/Code 2011-020, 193 Pages, 2012/02
軽水炉使用済み燃料の貯蔵,輸送,再処理,処分の安全性検討において、臨界性,崩壊熱,放射能,毒性等を評価するためには、正確な核種別インベントリの情報が重要となる。そこで、最新の核データライブラリ(JENDL-4.0)と高精度な格子燃焼計算コード(MOSRA-SRAC)を使用して、日本の商用軽水炉における燃料仕様と運転条件を網羅する多数の格子燃焼計算を実施し、核特性やバックエンドの観点から重要と考えられる21の重核種と118の核分裂生成核種に対して、燃焼による核種インベントリの変化とその範囲を明らかにした。
竹安 正則; 武石 稔*
JAEA-Data/Code 2011-019, 23 Pages, 2012/02
原子力施設から放射性物質が異常放出した際の環境影響を評価するために、計算コード・システム(SIERRA-II;放出放射性物質による緊急時線量シミュレーションシステム)を開発した。SIERRA-IIは、3次元質量保存風速場モデルと粒子拡散モデルに基づいている。施設周辺での放射性物質の大気拡散計算の空間分解能をあげるために、ネスティング機能を有している。入力データは、10分間隔で施設の敷地で測定・観測された局地気象データと排気筒モニタのオンラインデータ、並びに大気力学モデルにより予測された1時間間隔の局地気象データである。出力データは、大気中の放射性物質濃度,内部及び外部線量の等値線図及び表である。東海再処理施設では運転時にKr-85を放出することから、Kr-85放出時に東海再処理施設周辺のモニタリングステーション及びモニタリングポストで観測された空間線量率データを用いてSIERRA-IIの性能を検証した。観測された線量率上昇は、精度良くシミュレートできた。計算及び観測された線量率の一致度は、ファクター2で42%、ファクター5で74%であった。
武田 匡樹; 佐藤 敦也*; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2011-007, 38 Pages, 2012/02
東濃地科学研究ユニットでは、超深地層研究所計画の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量を水収支解析によって算出すること、水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータを取得すること及び研究坑道掘削に伴う浅層地下水環境の変化を把握することを目的として、表層水理観測を実施している。本観測では雨雪量,蒸発散量算出のための気象要素,河川流量,地下水位及び土壌水分を正馬川流域,正馬川上流域,正馬川モデル流域、及び瑞浪超深地層研究所用地で観測している。本報告では、2008年度の正馬川流域,正馬川モデル流域、及び研究所用地で得られた河川流量,雨雪量,気象観測データなどについて、欠測や異常値を示すデータに対して補正・補完を行うとともに、補正・補完前後のデータを取りまとめた。また、補正・補完前のデータを「観測データセット」、補正・補完後のデータを「補正・補完データセット」としてとりまとめ、DVD-ROM化した。
武田 匡樹; 佐藤 敦也*; 竹内 竜史
JAEA-Data/Code 2011-006, 21 Pages, 2012/02
東濃地科学研究ユニットでは、広域地下水流動研究の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量を水収支解析によって算出すること、及び水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータを取得することを目的として、表層水理観測を実施している。本報告では、2008年度の表層水理観測で得られた河川流量,雨雪量などについて、欠測や異常値を示すデータに対して補正・補完を行うとともに、補正・補完前後のデータを取りまとめた。また、補正・補完前のデータを「観測データセット」、補正・補完後のデータを「補正・補完データセット」としてとりまとめ、DVD-ROM化した。
市川 正一; 阿部 和幸; 芳賀 広行; 梶間 久司*; 桜井 智*; 勝山 幸三; 前田 宏治; 西野入 賢治
JAEA-Technology 2011-032, 46 Pages, 2012/01
新たに設計製作されたキャプセル型照射リグに対して、遠隔操作による照射リグの組立,解体及び再組立に関連する一連の組立技術を確立した。本技術をMA含有MOX燃料ピンの照射試験で使用するPFB110(B11(1), B11(2))及びPFB140(B14)の各照射リグの組立,解体に適用し、これ等を達成した。B11(2)の組立においては、部材準備期間の短縮,費用の圧縮,放射性廃棄物の大幅低減を目的とした「シャトル照射」計画を実現するため、B11(1)の照射済み部材を再利用した。本報では、B11(1)の組立,解体及びB11(2)の再組立にて報告するとともに、B11(1)の組立技術を改良したB14の組立について報告する。
今泉 友見; 宮内 優; 伊藤 正泰; 綿引 俊介; 永田 寛; 花川 裕規; 那珂 通裕; 川又 一夫; 山浦 高幸; 井手 広史; et al.
JAEA-Technology 2011-031, 123 Pages, 2012/01
世界の試験研究炉は、老朽化に伴う廃炉により減少しているが、その一方でアジア諸国においては、原子力発電の導入計画が相次いでいる。このようなアジア諸国では、原子力発電所を建設した後の運転管理ができる技術者の育成が課題となっていると同時に、自国における原子力技術を高めるため、軽水炉の長期化対策,科学技術の向上,産業利用及び原子力人材育成のための試験研究炉の必要性が高まっている。このような背景から、照射試験炉センターにおいては、今後、発電用原子炉を導入する国に向け、各種照射利用や教育訓練に用いる試験研究炉の基本概念検討を開始した。設計活動を通じた本検討は、照射試験炉センターにおける試験研究炉の設計に必要な計算コードなどの環境の整備及び人材育成に貢献するとともに、本概念検討に共同研究として参加する原子力関連会社の試験研究炉にかかわる技術力の維持,向上にも貢献することが期待される。本報告は、平成22年度に設置された「照射試験炉センター汎用小型試験研究炉WG(ワーキンググループ)」と原子力関連会社が行った平成22年7月平成23年6月までの試験研究炉の概念検討結果について取りまとめたものである。
佐藤 宗平; 山本 一也; 武藤 重男; 福本 雅弘; 片桐 裕実
JAEA-Review 2011-049, 77 Pages, 2012/01
平成23年3月11日(金)14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震とそれが引き起こした津波が、東京電力の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所を襲い、放射性物質の放出に至る原子力事故が発生した。原子力緊急時支援・研修センターは、災害発生当初から日本原子力研究開発機構の実施する支援活動の拠点としての役割を果たし、福島支援本部設置後も福島県内のモニタリング等の支援活動の拠点として活動を継続している。事故発生から半年を機に、支援・研修センターを中心とする活動について時間を追ってとりまとめた。また、今回の事故対応については、さまざまな立場から問題点の指摘や提言が行われているところであるが、事故直後から支援活動を行ってきた経験を踏まえ、支援・研修センターからも提言を行うことは、今後の原子力防災体制のあり方等を検討するうえで、非常に参考になるものであると考え、このタイミングでとりまとめることとした。今後の原子力防災体制等の検討の一助となれば幸いである。
小嶋 拓治
JAEA-Review 2011-043, 207 Pages, 2012/01
高崎量子応用研究所研究年報2010は、同研究所にあるTIARA施設(イオン加速器4基)及び電子・線照射施設(電子加速器1基,Co線照射施設3棟)を利用して2010年4月1日から2011年3月31日までの間に行われた研究・技術開発成果をまとめたものである。この研究年報には、(1)宇宙・原子力・エネルギー,(2)環境保全・資源利用,(3)医療・バイオ技術応用,(4)先端材料・分析・基盤技術の4分野に分類した151編の論文及び8編の施設の運転・管理状況報告からなる合計159編を収録する。また、論文リスト,出願特許,新聞発表,テレビ放映及び研究実施形態・利用施設の一覧表を付録として含む。
大谷 洋史; 松嶌 聡; 毛利 直人; 忽那 秀樹; 東浦 則和
JAEA-Review 2011-041, 55 Pages, 2012/01
原子力機構は、新型転換炉ふげん発電所の新型転換炉原型炉施設の廃止措置計画を平成18年11月7日に認可申請(平成19年12月28日一部補正)し、平成20年2月12日に認可を受けた。これに伴い、新型転換炉ふげん発電所を原子炉廃止措置研究開発センター(以下「ふげん」という。)に改組し、施設の解体撤去作業に着手するとともに、自らの廃止措置に関する技術の開発及びこれに必要な研究(以下「廃止措置技術開発」という。)を実施している。この廃止措置技術開発を計画・実施するにあたり、「ふげん」を国内外に開かれた技術開発の場及び福井県が目指すエネルギー研究開発拠点化計画における研究開発拠点として十分に活用するとともに、当該技術開発で得られる成果を有効に活用することを目的として、原子力機構内外の有識者で構成される「ふげん廃止措置技術専門委員会」を設置している。本稿は、平成23年9月1日に開催した第24回ふげん廃止措置技術専門委員会において報告した資料「廃止措置の状況」,「重水系機器を用いた放射性腐食生成物(CP)除染試験」,「レーザ気中切断における粉じん挙動試験」,「クリアランス制度運用に向けた準備状況」について、まとめたものである。
鈴木 敏*; 小松崎 崇*; 田所 秀明*; 大木 耕一
JAEA-Review 2011-039, 74 Pages, 2012/01
本報告書は、パッシブガンマ法により200ドラム缶及びコンテナ(約1m)に封入されたウラン廃棄物中のウラン量評価に適用する非破壊測定装置の実廃棄物測定結果(内容物の種類,ウラン区分・濃度,発生施設,装置仕様等)についてまとめたものである。結果は次の通りである。(1)ドラム缶廃棄物の測定は、平成23年3月末現在で、18,884本(うちピット廃棄物4,703本)である。(2)コンテナ廃棄物の測定は、平成23年3月末現在で、749基(うちピット廃棄物110基)である。(3)ドラム缶廃棄物については約6割、コンテナ廃棄物については約8割が金属及びコンクリート・土砂類であった。(4)ドラム缶廃棄物は75%が検出下限値未満で、U-238の平均濃度は3.4Bq/gであった。また、コンテナ廃棄物は17%が検出下限値未満で、U-238の平均濃度は2.3Bq/gであった。(5)クリアランスレベル1.0Bq/g(IAEA RS-G-1.7)を基準とした場合、ドラム缶廃棄物,コンテナ廃棄物ともに約8割がクリアランスレベルを下まわっている。
真田 祐幸; 引間 亮一; 丹野 剛男; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀; 加藤 春實*
JAEA-Research 2011-038, 26 Pages, 2012/01
超深地層研究所計画の第2段階での調査研究として、深度300mステージでコア法による初期応力測定(DSCA)を実施した。また、コア法の結果の補完のために、DSCA試験近傍において多面体供試体を用いた三次元弾性波速度測定を実施した。主応力の方向は、今まで実施した第1段階及び第2段階での深度100m及び200mにおける岩盤力学ボーリング調査で得られた北西-南東方向と調和的なデータが多かった。また、一部の試験体において、三次元弾性波速度とDSCA試験で得られたクラックパラメータの主値の方位・分布がよく一致した。
伴 康俊; 山岸 功; 森田 泰治
JAEA-Research 2011-037, 11 Pages, 2012/01
5種類の無機吸着剤(CST:(Crystalline SilicoTitanate)粉末,CST顆粒,合成モルデナイト粉末,合成モルデナイト顆粒、及び天然モルデナイト)に対して、バッチ法によるNaCl水溶液中のCs吸着試験を室温にて実施した。溶液量(ml)と吸着剤量(g)の比が100ml/gの条件において、バッチ試験後におけるCs濃度は初期Cs濃度と比較して低下し、本研究で用いた吸着剤がNa及びClイオンの存在下においてもCsイオンを吸着することを確認した。
岩元 大樹; 西原 健司; 辻本 和文; 杉野 和輝; 沼田 一幸*
JAEA-Research 2011-036, 64 Pages, 2012/01
汎用評価済核データライブラリJENDLの最新版JENDL-4.0と旧版JENDL-3.3を用いて、核変換システムの積分核特性(臨界性,冷却材ボイド反応度,ドップラー反応度)及びそれらの解析値に対する核データ起因誤差の解析を実施した。解析は、鉛ビスマス冷却加速器駆動未臨界システム(ADS)とマイナーアクチノイド(MA)添加型ナトリウム冷却高速炉(FR)を対象とした。両者のライブラリによる解析値の相違は、ADSとFRの両方で見られ、特にADSの核特性値で相違が顕著であることがわかった。この原因を感度解析及び誤差解析を用いて調査した結果、ADS核特性値の差は、おもにPb同位体の非弾性散乱断面積及びAmの各核反応断面積に起因すること等がわかった。さらに、FRの冷却材ボイド反応度誤差の相違は、おもにNaの非弾性散乱断面積に関する共分散評価値の差に起因することが明らかになった。
百武 徹*; 武藤 明徳*; 笹倉 万里子*; 箕輪 弘嗣*; 鈴木 和彦*; 横山 薫; 高橋 信雄; 秦 はるひ; 杉杖 典岳
JAEA-Research 2011-035, 53 Pages, 2012/01
核燃料施設の廃止措置では、放射性廃棄物の発生量を極力少なくすることや、解体作業時の被ばく線量を低減することを目的として、一般的に、解体前系統除染や解体後の除染が行われている。人形峠環境技術センターでは、おもに、ウラン化合物により金属表面が汚染した機器を対象とした系統除染として「七フッ化ヨウ素(以下、IFという。)を用いた乾式除染」を適用している。「IFを用いた乾式除染」は、金属表面に付着したウラン化合物とIFの化学反応により除染を行う技術であるが、このような、除染ガスを用いた乾式除染技術に関しては、除染の進展メカニズムや除染レベル等の除染性能に関する基礎研究は、必ずしも十分に行われておらず、これらの研究を実施し、乾式除染技術として一般化することが求められている。このため、本研究では、人形峠環境技術センターで実施している、IFガスを用いた乾式除染データを活用し、最終的には乾式除染の基礎的メカニズムのモデル化を行うことを目的とし、これらの研究の基礎的知見として、数値解析手法によりUFの付着現象に関する解析を実施した。
FBRプラント工学研究センター; 敦賀本部 高速増殖炉研究開発センター; 敦賀本部 経営企画部
JAEA-Evaluation 2011-004, 132 Pages, 2012/01
福島第一原子力発電所事故を踏まえ、地震・津波発生時のもんじゅにおける安全確保の考え方、炉心と炉外燃料貯蔵槽(EVST)の自然循環冷却及び燃料池の冷却の成立性について掲題委員会に報告し、その評価を受けた。委員会では、原子力機構から上記について説明を行い、以下の委員長によるまとめが行われた。(1)原子炉については、全交流電源喪失(SBO)が起こっても、流路が確保されている限り、自然循環は確保される。したがって、炉停止後、自然循環がある限り、崩壊熱の除去がなされ、炉心溶融は起こらないと言える。(2)EVSTについては、SBO時にも自然循環冷却による使用済燃料の冷却に期待でき、使用済燃料が高温になって溶融することはないと考えられる。(3)燃料池については、SBO時でも、使用済燃料を入れた缶詰缶の頂部が水の蒸発により露出するまでに2か月以上の時間猶予があるので、給水等の十分な対策を取り得ると考えられる。
杉野 和輝
JAEA-Data/Code 2011-018, 125 Pages, 2012/01
実機高速炉炉心やロシアのBFS臨界実験体系の中性子輸送計算を高精度で行うことが可能な決定論的手法に基づく3次元六角体系用離散座標法(SN法)輸送計算コード、すなわち、ノード法に基づくNSHEXコード,六角メッシュ有限差分法に基づくMINIHEXコード,三角メッシュ有限差分法に基づくMINISTRIコードをそれぞれ整備した。NSHEXについては、精度向上のためのノード内多項式展開次数の拡張と収束性改善のための初期有限差分計算の導入を行った。MINIHEXについては、負の中性子束発生時の処理の見直しを行った。また、MINIHEXの基本アルゴリズムを変更することによりMINISTRIを新たに作成した。整備後のNSHEX, MINIHEX, MINISTRIの各計算コードを種々の高速炉炉心体系に適用した。その結果、計算精度の観点からは十分な性能を有することを確認した。しかしながら、各計算コードに共通した問題点として、適切な加速法の導入等により、計算時間の短縮や収束性の改善が必要であることがわかった。さらに、摂動計算等の後処理を行うための機能の整備が望まれる。そこで、計算コードを改善するうえでの今後の主要課題を整理した。
杉野 和輝; 神 智之*; 羽様 平; 沼田 一幸*
JAEA-Data/Code 2011-017, 44 Pages, 2012/01
国内最新の評価済み核データライブラリJENDL-4.0に基づく高速炉用炉定数セットUFLIB.J40及びJFS-3-J4.0を作成した。UFLIB.J40については詳細群炉定数として70群, 73群, 175群, 900群構造のものを作成するとともに超微細群炉定数も用意した。また、JENDL-4.0における核分裂収率データ付与核種の拡張に合わせて、ランプ化FP断面積の核種数を拡張した。
篠原 正憲; 柳 俊樹; 栃尾 大輔; 島崎 洋祐; 野尻 直喜; 大和田 博之; 佐藤 直; 佐川 浩; 梅田 政幸
JAEA-Technology 2011-029, 39 Pages, 2011/12
原子力機構では、高温ガス炉技術の高度化の一環として、高温ガス炉固有の安全性を実証するために、高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた安全性実証試験を計画・実施している。炉心冷却喪失コールド試験は、試験手順やプラント挙動を確認する目的で安全性実証試験前に実施した。試験は、核熱を伴わない状態で段階的に実施し、1次加圧水冷却器用ヘリウム循環機の入熱のみにより、原子炉圧力容器温度を120C程度に保持し、炉容器冷却設備の1系統又は2系統を停止させる試験(Phase1)、1次加圧水冷却器用ヘリウム循環機3台を停止させて炉容器冷却設備の1系統を停止させる試験(Phase2)を実施した。本試験により試験手順の確認を行うとともに、解析に必要なデータを得ることができ、2次元水平断面モデルによる温度解析は、実測値をほぼ再現することができた。
研究炉加速器管理部
JAEA-Review 2011-040, 119 Pages, 2011/12
原子力機構東海タンデム加速器施設は、重イオンを用いた原子核科学や物質科学などさまざまな分野において原子力機構の職員をはじめ、大学や研究機関,民間企業の研究者に利用されている。本年次報告は、2010年4月1日から2011年3月31日までの期間に、当施設のタンデム加速器,超伝導ブースター及び放射性イオンビーム加速装置を用いて実施された研究活動の要約をまとめたものである。総数36件の要約を以下の7分野に分類した。(1)加速器の運転状況と開発,(2)原子核構造,(3)原子核反応,(4)核化学,(5)原子核理論,(6)原子物理及び固体物理,(7)材料の照射効果。また、発表論文と会議での口頭発表,タンデム加速器に関係する技術者と研究者,委員会,大学等との共同研究課題及び施設共用課題の一覧を掲載した。
片桐 裕実; 奥野 浩; 澤畑 正由; 池田 武司; 佐藤 宗平; 寺門 直也; 長倉 智啓; 中西 千佳; 福本 雅弘; 山本 一也; et al.
JAEA-Review 2011-037, 66 Pages, 2011/12
日本原子力研究開発機構は、災害対策基本法及び武力攻撃事態対処法に基づき、「指定公共機関」に指定されており、国及び地方公共団体その他の機関に対し、災害対策又は武力攻撃事態等への対処に関して、日本原子力研究開発機構防災業務計画及び国民保護業務計画に則り、技術支援をする責務を有している。原子力緊急時支援・研修センターは、緊急時には、全国を視野に入れた専門家の派遣,防災資機材の提供,防護対策のための技術的助言等の支援活動を行う。また、平常時には、我が国の防災対応体制強化・充実のために、自らの訓練・研修の他、国,地方公共団体,警察,消防,自衛隊等の原子力防災関係者のための実践的な訓練・研修並びに原子力防災に関する調査研究を実施する。平成22年度においては、上記業務を実施したほか、平成23年3月11日の東日本大震災により発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故に際し、指定公共機関としての支援活動を総力を挙げて行った。
川上 剛; 田崎 隆
JAEA-Review 2011-028, 47 Pages, 2011/12
2010年5月17日から20日にかけて、米国エネルギー省主催の探索及び放出後管理に伴う国際ワークショップ(以下、「ISCM-WS」という。)が開催された。ISCM-WSは、世界的な原子力・放射線緊急事態への対応能力を構築・強化し、核・放射線テロへの戦いを支援することを狙いとしており、世界26か国から92名及びIAEAから3名の関係者を招き、米国の核・放射線テロ対応,原子力・放射線緊急事態も含めた放出後管理のための技術・体制・活動等について紹介していた。本報告は、このISCM-WSについて、ワークショップ内で紹介された核・放射線テロを想定した探索チームの活動,原子力緊急事態や核・放射線テロ発生後の放出後管理に伴う活動に関する内容を含めた調査結果をまとめたものである。
川久保 陽子; 井上 尚子; 千崎 雅生
JAEA-Review 2011-024, 75 Pages, 2011/12
「GEN IV原子力システムの核拡散抵抗性及び核物質防護評価手法」Revision 5報告書は「Rev.5報告書」とも呼ばれ、本WGで開発された評価手法の重要な枠組みが記載されている。Rev.5報告書はコンセンサスベースの議論により作成され、2006年11月にOECD-NEAより発行された。本活動はPR&PP文化の確立に寄与しているという点でも高く評価されており、将来システムの核拡散抵抗性の国際的議論に大きな影響を及ぼしている。我が国においても次世代核燃料サイクルを開発するうえで、拡散抵抗性を十分に有しているシステムを設計・開発していくのは勿論のこと、それを国内外に適確に説明し、理解を得ていくことが必須である。このため、このRev.5報告書は、我が国の次世代核燃料サイクルの開発や関連研究の進展に有用であると考え、OECD-NEAの同意を得て翻訳し、日本語版として刊行することにした。原著(英語)はOECD-NEAのウェブサイトから入手可能である。
千葉 豪*; 羽様 平; 金城 秀人*; 西 裕士; 鈴木 隆之
JAEA-Research 2011-034, 42 Pages, 2011/12
「もんじゅ」炉心体系を対象として、ドップラー係数の不確かさを最新の知見を取り込んで定量的に評価した。(1)核データ,計算手法に起因する不確かさ、(2)核分裂生成物の核データに起因する不確かさ、(3)制御棒位置に起因する不確かさ、(4)温度依存性を近似的に取り扱う不確かさ、(5)燃料平均温度に起因する不確かさ、(6)温度の空間分布の取り扱いに由来する不確かさ、などを評価し、ドップラー係数の不確かさ(2相当)として11.7%を得た。
道家 涼介; 安江 健一; 中安 昭夫; 新里 忠史; 谷川 晋一; 田中 竹延*; 青木 道範*; 関谷 亜矢子*
JAEA-Research 2011-031, 109 Pages, 2011/12
本研究では、活断層の活動開始時期を推定するための調査手法について、既存情報の収集・整理を行い、それぞれの調査手法の原理や適用する際の留意点,不確実性などを抽出し、適切に作業を実施する手順をタスクフローとして整理した。加えて、各調査手法の国内における適用事例を整理し、活断層の活動開始時期及びその正確度を示した空間分布図を作成した。
相原 純; 植田 祥平; 柴田 大受; 沢 和弘
JAEA-Data/Code 2011-016, 10 Pages, 2011/12
高温ガス炉(HTGR)用の被覆燃料粒子の運転時破損率予測のため、既存のコードを改良してCode-B-1を開発した。Code-B-1においては、応力計算部に有限要素法(FEM)を適用し、既存のコードでは取り扱えなかった塑性変形を取り使えるようになった。
深谷 裕司
JAEA-Data/Code 2011-015, 99 Pages, 2011/12
これまで、実用高速炉設計研究を効率的に進めるため、複数の分野を包括する次世代解析システムの概念検討が行われており、その成果の一つとして、次世代炉心解析システムMARBLE第1版が開発された。MARBLE第1版は高速炉核特性解析を目的として整備されているが、次世代解析システムのスコープにある軽水炉核設計や他分野との連成解析への対応も行っていく可能性がある。そこで、MARBLEにおける熱流動ソルバーの開発を行うとともに、熱流動パラメータを格納する枠組みを構築する。今回は、その先駆けとして、高速炉核設計用熱流動ソルバーを開発した。本開発により、高速炉核設計において、MARBLEを用いて出力係数の評価を行うために必要な温度評価が行えるようになった。また、HARP高速炉版に用いられる解析手法は、単チャンネル一次元モデルであるが、これは、一般に軽水炉炉心解析に用いられるものと同等であるため、今後の軽水炉対応への下準備としても意義がある。さらに、熱流動パラメータを格納する枠組みを検討することが可能となり、今後の連成解析のプラットフォームとしてのMARBLEの発展に資するものになると期待できる。